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2004.05.31

終戦記念日でも独立記念日でもなく

今日は自分のとても大切な人の「命日」

こんなくだらない自分にも未来を夢見せてくれた我が人生中で最愛の人、
残念ながらこの世では、そしてあの世でも、もう二度と逢う事は出来ない。
臨終した後にあの世で出会っても、その人はもうその人ではないからだ。

人の命は二つある。身体の命、そして心の命。

例えばパソコンのハードウェアが人の身体だとすれば、マザボやデバイスは
筋肉や内臓。心の根幹はBIOS、その人格はOS、その人の行動や趣味は
アプリケーション。

ハードウェアが壊れればそのPCは死ぬ、事故や病で身体が死ねば、人は
死ぬように。

また、OSやアプリケーションが飛んでしまったら、PCは生きていても、その
機能は失われてしまう。その後リカバリーを行い、ソフトウェア類を全て新しく
インストールし直したPCは、一見今までのと同じように機能しているようで、
…実はもう今までのPCではない。

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自分の愛した人の「ハードウェア」は、今もこの世のどこかで動いているはず。
でもそこにインストールされていたはずの、自分が愛した人は、もうそこには
入ってない。だから、彼女は「死んで」しまった…。

いくら愛していても、「死体」とは暮らせない。離れたくなくて、意地でそのまま
暮らし続けても、どんなに努力した所で「腐敗を防ぐ」のが精一杯で、一度命を
失った物は二度と生き返らない。

自分の意地やメンツのような薄っぺらいモノのためでなく、純粋に彼女のためを
考え、今の俺に出来る事とは一体なんだろう?そう、自分が出来る最善の事は
「ハードウェア」だけをそのまま身近に束縛して「塩付け」する事ではないし、
いつか「蘇生」するんじゃないか?と放置して無為に時間を過させミイラ化や
腐らせる事でもない。自分との「現世」のしがらみを全て解き放って、「来世」に
彼女を送り出し、そちらで「生かして」やることだ。

自分と一緒に居ても彼女は幸せになれない、もう俺では幸せにしてやれない。
・・・こんな俺が、あと何を彼女のために何をしてあげられるのだろうか?
ずっとずっと、悩み苦しんだ。その果てに人生最大の決断をもって、当時の
彼女に自分がしてあげられる、彼女が心の底から望むものを、一緒に暮らし
始めてから初めて、そして一番最後にプレゼントした。

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幸せにしてやれず自分も幸せになれずに「死に」別れてから一年間、ずっと
自責の日々を過した。自分に能力が無いから、弱いから、悪いからこんな
事になってしまったんだ…!、ってね。

それは今も完全に吹っ切れていない気がする。だけど、一年たって「喪」も
明けた。あの時の自分は確かに力不足だったけど、でもその当時出来る事は
多分全部やれていた。その実力を使い切っても、二人は幸せになれなかった。
だから今はこの結果に納得が出来る。

それに、今の彼女は少なくとも自分と暮らしてた時より幸せになっているはず。
…そう考えたら不思議と自分もほんの少しだけ幸福感を味わう事が出来た。

そっか、「自分が幸せでありたいから彼女を自分が良しとする幸せにしたい」、
じゃなくて「どんな形であれ彼女が幸せであれば、自分はそれで幸せなんだ」
…そうだ、そうだったんだよ。

さあ、自分も片方のオールを失ってからずっと片方だけのオールを漕ぎ続け
同じ場所でくるくる回って一歩も先に進んでないボートを漕ぐのをもう止めて、
そろそろ先に進もうか(^^)

その前に今は「無き」妻に、届きはしないけれど、あらためて言いたい。

 「人生の中であなたに出会えてよかった。…さようなら」

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PCならソフトウェアやアプリケーション、データはバックアップしておけば
ハードウェアが壊れても「生き返らせる」事が出来る。例えハードウェアが
違ってもね。

もし「人の心」を何らかの方法でバックアップするような事が出来るのなら
「彼女」にまた逢えたのにな。外観はどんな姿でもいいから、逢える物なら
今すぐにでも逢いたい(^^)。

…そっか、恐山のイタコの婆さんにでも呼び出してもらうか(笑)
姿なんてどうでもいいよ、その中身が「彼女」ならば、もうそれだけで。

 

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