爆縮戦隊!サラリーマン!
かく言う自分もサラリーマンだが、昨日、実に半年振りくらいに
ネクタイを締めた。
研究所&現場勤めであるため、私服で出勤し、職場で作業服に
着替えるのが日常なのプレスされ折り目の付いたズボンと、襟の
硬いワイシャツ、存在意義不明なネクタイと、機能性に乏しい背広に
全く縁が無い。なによりも本人がそういう窮屈な服を極力着たくない。
だが、郊外の研究所勤めでも、数ヶ月に一度は本社や客先への
打ち合わせが発生する。髪型からしても、いかにも中学生っぽい
ルックスな自分は(プロフィールに画像をUP済)誰が見てもスーツを
着てもあまり似合わない。だから東京の本社に行く場合などは、
他の出張と組み合わせたりすることで今まで何度も私服のまま
本社に乗り込んでいる(笑)
だが昨日は諸般の事情でそういう我侭を通せない場所に行く必要が
有り、泣く泣く、前夜にスーツを引っ張り出し、ワイシャツとズボンに
アイロンを当てた。そういえばサラリーマンと化して13年、実はその間、
一着もスーツを買った事が無い。ネクタイを必要とする服は葬式が
あった時に必要に迫られ喪服を買っただけだ
今、自分が持っているスーツは、大学生時代に就職活動用にコナカで
買ったチョー安物。中学生のブレザーのような、いかにも典型的な
紺色のリクルートスーツ(秋冬用)が一着と、少し薄い生地の春夏用が
色違いで二着。この三着だけで着回しに一度も困った事がない(^^;)
なにせ、一週間連続でスーツを着たのは、入社式から新入社員研修が
終わる間だけ。その後、始まったのは技術者研修、それはもう、スーツ
ではなく作業服だった。一ヶ月間の地方現場実習を含む約5ヶ月の
研修が終わり、決まった配属先は就職活動時の面接の頃から希望して
いた今いる郊外の工場に隣接した研究所だった。
ここも研修時代同様に私服で通って、作業服で仕事するのが日常スタイル
だったので、スーツを着る機会は本社出張や客先訪問などの限られた
シチュエーションだけだ。
そんなスーツ嫌いの男が、それを着て息苦しいネクタイを締めて、
履き慣れぬ革靴を履き、一般サラリーマンが一日で使う体力の大半を
消耗するという、朝の通勤電車に乗った。郊外から、電車を三本乗り継ぎ
都心を目指す途中で久々に殺人的通勤ラッシュに遭遇した。
都心に近づくたびに、電車を乗り継ぐたびに、段々車内に人が増えてゆく。
ネクタイのせいだけはなく、明らかに暑苦しく息苦しい車内の不快指数は
右肩上がりで、一向に上げ止る傾向にない。額を流れる汗を拭うハンカチ
すら使えなくなってゆく。3本目の東海道本線に横浜駅から乗った時には、
車内は人間を乗せるモノではなく、肉轢き機に肉を押し出すための
プレス機に掛かっているような状態になっていた。
それなのに、途中の駅に止まるたびに、内圧でドアすら開かないような
殺人的状況の車内にさらなる圧力を加えながら人が乗り込んでくる!
信じられん。
そんな時にふと気付いた。これは長崎型プルトニウム原子爆弾と同じだ、と。
その起爆装置は爆縮という方法を取るのだ。これは核分裂物質である
プルトニウムの周囲に爆薬を配し、それに同時に点火することで、
ある一点(つまり中心)に向かって周囲から均一に圧縮することで、
プルトニウムを核分裂臨界状態に持ってゆく、というモノだ。
これを、周辺都市から都心へ出勤する人の流れと置き換えてみると、
人の密度の薄い郊外から都心に向けて同時に移動させ濃度を高めて行き
人同士の間隔は徐々に狭まり、そして押すな押すなのラッシュ状態になり、
それをそのまま続けたら、何処かのある一点、つまり「臨界」に達したら、
プルトニウムがプルトニウムでいられなくなって、核分裂連鎖反応を
起こすように、人は人でなくなってしまうのではないか?
それはもしかしたら本当は強大なエネルギーを内包しながらも
日々の生活に抑圧され続けながら苦悩しつつ生きる現代人の魂が、
真の解放を迎える瞬間ではないのか・・・・・
多摩川を越えて肉体に掛かる圧力がピークを迎えていた頃に、身動き
一つ取れぬ圧迫感と暑苦しさと早起きした眠気によって薄れてゆく
意識の下で漠然とそんな事を考えた。
だが東海道本線が品川に着いた途端、車内の「人圧」は急速に低下。
山手線に乗り換える人がそちらに流れたのだ。た、助かった…(-◇-;)
幸か不幸か(笑)、車内は自分が想像した「臨界点」には達しなかった。
だが、もし山手線がなかったら、逆に品川や新橋で更なる「人圧」の
上昇が続いたら、もしかしたら有楽町を越えて東京に到着するまでに
スーツで武装しサラリーマンという姿を保っている人々も、その
圧倒的な爆縮エネルギーによって「臨界」に達してサラリーマンは
サラリーマンではいられなくなって、人としてさえもいられなくなって
「爆発」するのではないだろうか?
以前又聞きした情報だと、こういったラッシュにより人間がパニック
状態に陥るのは1平方メートルに11人以上の人が密集している
状態だという。厳密に測定したわけではないが、朝の通勤電車は
この条件を十分満たしているような気がする。
つまり「臨界」寸前の「いつ爆発(崩壊)するかわからない」危険な
状態なのだ。
だがスーツを着てサラリーマンに変身した人達が人としての限界を
超えた「超人」として、「爆発」することなく、額から汗が流れても
身動き一つせずに黙って耐えているんだ。
無事に列車から排出された時には前夜のアイロンの甲斐もなく
ヨレヨレになった安物のスーツと未熟な心構えで戦場に挑んだ
自分から見れば日々こんなにも圧縮されながらも爆発せず、
いや、出来ずにいられる世間の都心に生きるサラリーマンは
つくづく尊敬に値すると思う。
生き甲斐を無くし、これからを一人で生きるその意義をまだ見つけ
られずにいる自分にとって家族のためでなく、自分のためだけ、
食うためだけに、こんな思いをしてまで通勤するのは・・
たまのスポット参戦は出来ても毎日は勘弁してほしいな、
精神を病んでしまいそうだ(^^;)
あー、俺は郊外勤め&作業服勤務でよかったよ、マジでね。
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