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2004.07.26

プアマンズ・ハイ

今日は月に一度の家計の集計日なんだけど、家計簿エクセルファイルを
会社に置いてきてしまったので、集計ネタは月曜の夜にでもUPしよう。

で、その代わり、節約倹約生活について、自分が思う事をつれづれに語ろう。

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貧乏節約生活ってのは金が本当に無くて、食うものにも困るような
貧困生活で、そこから逃げ出したいけど逃げられない、という泥沼の
中で、まあ今の日本人ならこのレベルは殆ど居ないと思うが、そう
いう状態を除いて、大体は今よりも生活を楽にするためとか、マイ
ホーム購入の為とかの明確な目標を立てて、それを目指して行うべき
だと思う。

当然目標が達成するまでだって日々の生活がある。だからそっちと
目標とを両天秤にかけながら、頑張って目標を達成する、その為の
もんだろ、「節約」は。

だが、自分自身を含めて(苦笑)、最近の節約ブームを鑑みると、
「節約」にハマる人々は、する必要の無いレベルにまで手を出して
いているようだ。そしてその行動が段々と「エスカレート」する傾向に
あると思うのだ。

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実は自分の愛読書である「オレンジページ」や、その他”賢い奥様系
雑誌”に見られる『倹約節約上手なミセス』ってのは、実はある意味
「やりすぎた節約」を「やっちゃった」って事例が多いと思う。

節約という手段が完全に目的になってしまっていて、倹約節約こそ
唯一の正義で、出費浪費は万死に値する罪、みたいに盲目的となり
本来の「目的」はどこに?…そんな気がする。

その張本人の中年バツイチ兼業サラリーマンからするとね<ばき

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具体的にどれがそうか、と言い出すとキリが無いが、例えば水道代を
節約、というよくありがちな節約術を見て思うのは、水道代ってのは
地域格差は確かにあるけど、比較的安い単価の消耗品なので、努力
した割に節約効果が小さい代表例だ。

電気代もそうだ。電力会社から買っている電気は前述のように冷静に
考えれば安い。だからこれを涙ぐましい努力を重ねて爪に火を灯す
ように節約するよりもそれなりに上手に使って時間を削減し、その分
睡眠や余暇に回した方がマシだ。

食費はかけようと思えば湯水の如くコストをかけられるのだが、逆に
削ろうとすればビックリするくらい削れる費目でもある。でもこれを削り
すぎると健康に影響が出る。健康を害する事はどんな事よりも一番の
無駄使いだ。余計な時間も金も使うし働けなくなって収入も減るし、
なにより本人の意気、生気までもが消沈する。だから、それなりの量と
質の物を精神的に満足するように適度に食った方がいい。

自分の経験上、一ヶ月の食費が6000円を切ると身体的には仮にまだ
大丈夫でも精神衛生上あまり良くないようだ、ギスギスしてくる(^^;)

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この「費用対効果はどうあっても節約する行為に最大の喜びを感じる」
状態、それにより「地球環境に優しい」と盲信して勘違いしている節約
精神論状態を、走り続けることで脳内にエンドルフィンが分泌されて
快感となるという「ランナーズ・ハイ」にひっかけて、「プアマンズ・ハイ」と
名付けよう。

つまり、節約する効果やその成果を追求するのではなく、ただひたすらに
節約し続ける事に、預金通帳の残高が上昇し続ける事に、最上の意義と
自分の存在意義を見出し、冷静なコスト判断が出来ずに突っ走る状態。
前述の「やりすぎちゃった節約」ってのはもうトランス状態に入っていて、
「節約の神」が降臨してこないと、とても正気ではやれない物ばかりだ。

自分がやっている太陽熱貧乏シャワーなんてまだカワイイもんだ<ばき

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そういった事を創意工夫するのが自分のように「趣味」なら別に構わないが、
もし生活向上を目的として本気で家計の助けに、と思ってやっているならば、
「攻め所」を明らかに間違えている。攻め所は支出額が大きい費目からやる
のが定石なのだ。

家賃が高いなら低家賃の家に引っ越し、そして携帯を解約し、車も手放し、
外食は一切せず、服は擦り切れるまで着続け、一切の衝動買いをせずに、
タバコを吸うなら禁煙し、酒を飲むなら禁酒。これだけすれば最低でも月に
5万以上は確実に節約出来るだろう。ただし生活レベルは当然下がる

でも生きてはいける。つまり今の生活はそれだけの金が必要って事だ。

それをやった上で目標に達しないなら、ガス水道電気の生活費を削り、
それでも目標に達しないのなら、生きるために必要な食費を削り込み
始めるのだ。でもそれらの節約効果は前述の費目に比べると微々たる
額にしかならない。当然コスト削減効果が低いと言うことは生活レベルも
あまり変わらない…はず。

本当に僅かしか収入が無くてその手持ちでギリギリ生きねばならない
のであるなら、そういった「徹底的節約」で一円単位まで絞ればいい。
実際そんな例を見ると自分も貧乏節約生活の参考にはなる。ただし、
それをそっくり真似しようとはちっとも思わないが(苦笑)

だが「貯金したい」とか「生活を豊かにしたい」と今の生活の+αを
もし求めるなら無駄な支出を削るのは当然だが、「毎日たった15分で
一月で500円も節約ゥ♪」とかの「やりすぎちゃった節約」は出来れば
しないほうがいい。冷静に考えればそっちの方がかえって無駄なんだ。

15分*30日=450分で500円節約、つまり7.5時間労働で500円、
つまり、それは時給で言えばたった67円の仕事だ。

全く働かないでグータラするよりは価値を生み出しているからマシだが、
それをやるなら月に数百円のコスト削減効果しか望めないチマチマした
事をやるよりも逆にそのコストを増加させてでも、やった方がいい妙案が
ある。

生活費はあまりケチらず普通に使い、家電製品や便利な道具には金を
かけて家事労働時間を減らし、それで得た時間を使って本業と
別に労働して副収入を稼ぐのだ

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家の中で一円の出費を削る努力をするより、時給500円であっても、
一日2、3時間でも、又は週末の二日間の休みをバイトに費やしたら、
一月で3万円くらいの収入増は決して不可能じゃない。

もし毎月10万円かかっている生活費を3万円削減したら生活の
レベルは急速低下するが働いて毎月の現金収入を約3万円程
増やせれば生活レベルはそのままでいいのだ。

余暇が無い分、アクセク感は増すだろうが、「大願成就」のためで
あるならば期間限定でそのくらいした方がかえって達成感がある
…はずだ。

そういう短時間のバイトや週末だけのバイトはまじめに探せば
けっこうあるもんだ。「時給500円なんて安い給料はヤダ」とか、
「え?!そんな仕事したくない!」等の高望みや我侭を言ったり
「休日は家でゴロゴロしていたい」、「昼寝してテレビドラマの再
放送を寝転がって見たい」等の、甘えた事をウダウダツベコベ
言わなければ、今の不況下だろうとバイト先は必ずある。

そう、一番の貧乏対策、最も効果のある節約術とは
「出費を削る」事ではなく、何らかの方法で一円でも多くの
収入を得るために時間を作る事
、なんだ。

そのために必要な経費までを削るのは大きな間違い、むしろ
正々堂々と使っていいのだ。

例えばサラリーマンの小遣いも、ある意味働き手であるお父さんの
仕事の必要経費だ。家計が苦しいからと単にギリギリと締め付ける
だけでは、お父さんの稼ぎにも影響する。サラリーマンの小遣いに
ついては思う所があるので、また後日書こう。

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・・ん?そういうお前は会社以外に何かで収入を得ているのかって?
そういう時間を作れる機械を、自分自身が使って日々生活している
のかって?

いや、両方やってないよ。悪いけど俺はそんな必要がまったく無いから。

節約生活に挑む今の自分のライフスタイルは、丸刈りと同様に単なる
自己主張の一つだ。男性サラリーマンの平均年収以上の年収が
有れば一人で生きるには金には困らない。子無しバツイチの身の
上なら将来や家族の為に今以上に収入を増やす必要もない。

向上心が無いわけではなく、職場では認められてそれなりに給料は
上がっている
が、家庭持ちと違い日々の生活に追われる切迫感や
義務感、充実感が無い空しい日々
故にわざとその状況を作って自分を追い込んで、金でなく知恵を使って
乗り切る「節約生活」を楽しみ、野菜を育て趣味には金を使い、
金でなく手間と隙をかけた
自炊料理を味わう、と言うシンプルで心豊かな「
ローライフ」を確立し人生をどうにか楽しもうと暗中模索しているだけだ。

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つまり、

 1)こういう条件の貧乏生活だからいつでも脱せる。←←←←    
           ↓               ↑
 2)だから逆に自分をギリギリまで追い込んでいける。  ↑ 無限ループ(^^;)
           ↓               ↑
 3)結果生きる為の経費がかからなくなり金が浮く。→→→↑

でも浮かせられる経費は毎月の家計簿ネタで紹介している通りの
ごくごく微々たる(数千?数万円)もんだ。だけどその努力した結果が
数字で出るもんだからだんだんと面白くなってしまうのだ。
本当にカツカツの生活をしている人はそんな事は楽しくないだろう。

この状態こそが、まさに「プアマンズ・ハイ」、だ。

節約に成功した自分に酔って、だんだんその費用対効果が冷静に
判断出来なくなって、節約はどんどんエスカレートして、だんだんと
依存症化して、「数円も節約出来た♪」事に、大いなる喜びと自信を
感じるようになる。

末期症状では頭に底値リストが出来てしまい通常価格をその底値と
比較して「高い」と判断して普通の買い物が出来なくなったりする。
  ↑
  ちなみにこのあたりは全部今の自分自身に当てはまる(苦笑)

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しかし「プアマンズ・ハイ」は「ランナーズ・ハイ」と同様に「諸刃の剣」だ。
ハマりすぎると自滅する。だから適度に趣味に金を使ってガス抜<ばき!


 

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