ノーガード戦法
最近は嫌な世の中になったもんでアチコチで盗難被害が発生している。
一戸建て、マンション、所かまわず侵入して、金、金目のもの、通帳、
カード、そういったものを盗まれる、それだけでなく車やバイクなどの
車両も盗まれる。コンビニで傘を立てたら数分の間になくなっている…
あーヤダヤダ。
仲間内でバイクがたくさん盗まれた時以来、バイクに対する防犯対策は
ガッチリしたけど、それでも完全な対策なんてないから、結局は気休め
だと思っている。
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じゃあ自宅はどうだ?と言うと、実はロクな防犯対策をしていない。
最近日よけのために設置したよしずや庭に張った農業用遮光シートは
外からガラス戸を覆い隠しているので防犯対策上は逆効果だ。窃盗団が
ガラス戸をカチ割ったり焼き割ったりして進入するためわざわざ覆いを
付けたようなもんだ
だが、窃盗団が狙うのなら、そんな事をしなくていい。ぶっちゃけた話、
庭に面したガラス戸や台所、風呂場の窓は通気性重視で網戸にしたまま
外出しているからだ。(^^;;;)
平屋だから他人が家に入ろうと思えば、ただそれをガラッ、と開けて
ズカズカと入れば、それでいい。ひどい時には道路に面した勝手口を
全開に開けたまま閉め忘れて車で外出してしまい、二時間後に帰って
きてから「あっ!やべー閉め忘れてた」となる事すらある。
ただ、泥棒が入っても、多分がっかりするだけだろう。現金なんて殆ど
置いていないし、一円玉が詰まった招き猫貯金箱はあるけど、それを
持っていかれても数百円の被害に過ぎない。有価証券なんて見た事も
無いし、貯金通帳も1000円だけ入ってる塩漬けのならあるけど、給料
振込口座等のは日常では本人すらアクセスが困難な別の場所に分散して
保管してあるので手元(つまり家には)無いのだ。
高価な品物なんてそれこそ何も無い。電化製品だって古いポータブルの
冷蔵庫、普通の電気釜、14インチのモノラルテレビ、コーヒーメーカー、
MDラジカセ、オーブントースター、洗濯機&乾燥機、扇風機…しかない。
強いて言えば、荷物置き場の六畳間にはTZRのレース仕様カウルやYUZO
チャンバー、レガシィB4から外したノーマルシート、スペアのレカロが
転がっているから、買うと高い物と言えばそれらがそうだが、泥棒には
二束三文の価値しかあるまい。
パソコンだって500MHz級の古い自作機とそれより低速の古いノートPC。
それを持って行かれるとコツコツ作ってきた各種カッティングシール用
データを失うのは痛いけど有る程度はバックアップとって有るからコレも
大丈夫だろう。
実は一番高価なのは家の外に有る太陽電池や沢山の乗り物だったりする。
だからそれがもし無くなるとちょっと痛いかな。でも乗り物だって全部
国産の中古ばかりだから金額に直せばそれほど高くない。仮に全てを
失った場合でも、意地で一度に全部買い直そうと思えばキャッシュで
買える。あ、XT600Zだけはそもそも数が無いからまず買えないか(^^;)
実際は金銭的な問題ではなくて、それらの道具や乗り物に付いた傷や、
自分が刻んだ距離、そこに篭っている思い出は、どんな大金を積んでも
金では買えない、でもそれらは思い出の品が目の前から無くなったって、
窃盗犯には絶対に盗まれはしないから、大丈夫だ。
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…とまぁ、一度人生をリセットした関係や、元々の嗜好、今の貧乏節約
生活で使わぬ物を処分していった関係で、自分と同年代の普通の中年
サラリーマンが持っているような「一般的に高価なシロモノ」は殆ど
持っていない。
背広だって十数年前のリクルートスーツ、時計もカシオの5気圧防水の
1980円のデジタルだ。これは現場労働や化学実験や分析を行う時に装着
したままでも気兼ねなく水作業が出来るのと、ストップウォッチやタイマ
機能が最高に使えるので手放せないのだ。単なるアナログ時計に過ぎない
ロレックスなどは自分の生活ではほとんど使い物にならない。
ゴルフもしないからそんなセット持ってない。頂き物のスノボはあるが
そんなものは盗んでも大した金にはなるまい。
このようにステイタス等の曖昧な価値判断による、ただ高価なだけの
シロモノには自分は全然興味がない。その値段に技術的機能や理由に
裏付けされた、そのコストに似合う価値があれば躊躇わず買うけども、
そういうモノは乗り物関連以外ではなかなか無いのだ。
今我が家に有る、そういう物は…チタン製シェラカップくらいだ(苦笑)
こんなワケで自宅防犯対策は「盗まれると嫌だけど困らない物」しか無い
ので、やってない。つまり、今の自分には失って困る物、絶対に失いたく
ない「大切な物」はもう無いのだ。
守る必要が無いなら、「攻撃は最大の防御」とばかりに徹底的に拘った
「攻めの人生」を歩めばいい。だから今はどうやればその生き方が出来る
のか、激しく模索中なのだ。
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ここまで書いて自宅の中でたった一つ「今の時点では失いたくない物」が
有る事を思い出した。それは手元に一枚だけ残ってる別れたカミさんの
写真だ(^^;)
離婚して、未来を夢見た家庭の廃墟と化した、かつて住んだ家の中に一人
残され、そこから逃げるように引越しの準備をして、そこの大掃除と各種
不用品の処分をした時にそういった「持っていてはいけない過去」は全て
処分した…はずだった。
だが長期現場出張時に使う物品を入れたプラケースの中にそんな出張時に
持ち歩き、宿舎に飾っていたそれが一枚だけ残っていた。原発の中という
特殊な緊張感と一ヶ月間休み無しで夜勤などの現場仕事で、身体も心も
消耗し尽してヘロヘロになって宿に帰還しても、寝りに付く前にその写真を
じっと眺めるだけで…頑張れた。
この一枚の写真に、どれだけ勇気を貰い、救って貰っただろう……
だから、他の写真同様発見した時にすぐ捨てようかと思ったが捨てられ
なかった。捨てるのであればいたって簡単だ。ビリッと破ってゴミ箱に
ポイ、これで完了。でも今はそれが現実逃避、自己弁護の「逃げ」だと
いう事が分かる。
引越し当時は辛さに耐え切れずに「逃げた」自分だが、今は「敵前逃亡」
せずにこうなった責任のある者の一人として、それをこれから背負い続け
生きる者として、この写真の正面を向いて、それこそ「ノーガード」の
ままで止むことの無い自責のボディーブローを痛みに耐えつつその全てを
受けねばならない。
ちゃんと自分の中でこの件に「完全にケジメが付く」までね。
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この、たった一枚残った元カミさんの写真は、そのケジメが付いて未来に
向いて歩み始める時になったら、その「未来」には持っては行けない。
その時には、以前のようにTWで人生最後の北海道に行き、朱鞠内湖の湖畔
あたりで焚火で「火葬」して、煙として空に、灰として大地に還そうと思う。
彼女がどんなものより愛してたタバコを一箱、線香代わりに添えてね。
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