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2004.09.12

特別講義


学歴社会と言われる現代を生きる自分は一応「四年制大学卒」という
最終学歴になる。出身校はあまり(誰にも)知られてない弱小私立大学で、
兄貴が出たT大のような世間一般で言う所の「一流」ではなく「三流」と
いう目で見られるような所だ。

この一流、三流ってのは受験時は人生を左右する価値観があった気がする。
就職活動でも、もしかすると左右するような物差しだったのかもしれない。
でも社会に出たら、出身大学は、実は働き始めるスタートラインの位置が
ほんのちょっと違うだけで、実際は自分の履歴書の一行を埋めるくらいの
価値しか無い事に気が付いた。

「学歴」なんてそんなもんだ。どこの学校に何年通い、卒業していようが
長い人生にはあまり大きな影響を与えない程度のモノなのだ。。

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若い頃は最初はそのスタート台の高さこそが人の全ての優劣なのかと錯覚
していたが、そこからスタートを切ってある程度走って、ふと振り返って
みると、そのスタート位置の差なんて、その後の人生レースの中では実に
矮小で些細なもんだった、と思うのだ。

事実、自分は出身校の件でどうこう言われたことは一度も無いし、それに
よって仕事がやりにくかったり、仕事から外されたことも無い。だから、
学歴がどうこう、出身校がどうこう、といわれると逆に困ってしまう。

仕事は最終学歴でするもんじゃない。今現在の個人の能力でやるもんだ。
個人の能力は出身校という「生まれる前の卵の殻の中」で身に付くモノ
じゃない、その殻を破って実社会に出て、仕事をしながら得て、磨いて
行くものなんだ。スタート地点が優秀だろうと劣悪だろうと、そんなのは
実に些細な事であって、一旦スタートを切って走り出してしまえばそんな
差はこれからいくらでも取り戻せる。そう、いくらでも、だ。

大卒、院卒なのに全然使えない奴はこの世の中に嫌と言うほど沢山居るし、
中卒、高卒でも仕事が出来て自分より給料がいい優秀な同年代の人だって
この世の中には数え切れないほどいる。つまりこういう事だ。

 「最終学歴≠今の実力」

もし学歴の差が給料の差と主張するのなら、学生時代に頑張って高収入を
得たそういう人を見習って、当時頑張らなかった人は、今からでもそれと
同じかそれ以上頑張ればいいのだ。最後まで頑張らない人が最後までに
頑張った人と差が出るのは当たり前じゃんか。

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自分は男としては下位の存在だが、職業人としては優秀でないが目立って
劣悪でもない。エンジニアとして社内の仕事に関わる場合の自分の人的な
経費は一日で約5万なんだとか。つまり、自分がある仕事に加わると人件
費が5万/day余計にかかるという事だ。月にすると150万、つまり会社は
自分を雇う事で最低でもそれだけ金になる仕事をさせないと赤字になる。

今みたいに残業だらけだと、自分の一日あたりの人件費は10万近いだろう。
つまり今の仕事は自分一人で一日に10万以上の価値ある働きをしないと
元が取れない。まあ今の仕事に自分が加わっていることで自分の給料以上
の利益は余裕で稼いでいる、と言うより常にそれ以上の利益を会社に上げ
させ貢献している…はずだ。

証券や為替のデイトレーダー等のビッグビジネスと違い地味~ぃな理系の
研究開発者はせいぜいそんな小金を動かすだけのちっぽけな存在だけども、
自分みたいなすちゃらかなサラリーマンがこのリストラタイフーンが吹き
荒れる現代社会で未だにクビにならないって事は、自分は会社にとって、
雇っていてメリットのある存在だ、という事だと理解し自負している。

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ある日、新規研究開発テーマとして挙げた某技術の評価を(以下自主規制)
を検証するために必要な分析装置が社内に無く、それを借りて性能評価する
ために自分の出身大学の設備を借用出来ないか、指導教官であった教授に
メールで相談し、結局直接会いに行くことになった。

実は出身大学は研究所から比較的近い所にある。弱小無名私立大学とは
いえ、一応立派な工学部があり、そこには一通りの分析装置があるのだ。

かつて自分が通学していた頃とは見違えるようにきれいになったキャン
パスの中を、当時からすると老け込んで頭も薄くなってヨレヨレに汚れた
作業服姿の丸刈り頭の中年となった自分がてくてくと歩いているのは何か
不思議な感覚だった。かつて地味な卒業研究に没頭した実験棟が今では
廃墟のようになっているのを見ると年月を感じられずには居られないが、
昔と変わらぬ学食などを見ると、当時の仲間がその中にいてカケうどんを
食ってるんじゃないか、と思ってついつい覗き込んでみた。

が、そこに居たのは当時の地味な理系学生ではなくて茶髪&鼻ピアス&
カラーコンタクトの実に今らしい若者だった。やっぱりもう俺は若くは
無いんだなぁ、と一人で苦笑(^^;)

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かつてはボロっちい研究室だったのに、今では新築の10階立ての大企業の
研究所のようなこぎれいな所に、自分の出身研究室は移っていた。中には
自分同様ちょっと老けた先生がいた。自分が学生だった頃にはまだ若手の
助教授だったが、今はいっぱしの教授となっている。

最初はある程度思い出話に花が咲き、仕事の話をし出したのは訪問30分後
からだった。新テーマで使えそうな分析手法や、大学にある装置、他者の
研究論文の話など、かなり突っ込んだ話を熱く語ってその件はある程度の
目処が立った。

その後で各種雑談に入った時に、突然教授が思い出したようにこう言った。

「そうだ、ino君ならちょうどいい、どうだい?講師をやってみないか?」

…へ?いくら先生に教わったからと言っても、自分は大学の教壇に立てる
ような学や品格がある人間でありませんよ先生。 何を言っちゃってるん
ですか??

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よくよく話を聞くと、それは学問としての講義ではなくて、出身大学のOBが
今どのような仕事をしているのか現役企業戦士が今の学生に語る、という、
就職活動をする三年生を対象とした特別講義が一週間に一時限あるらしい。

今の学生君たちは就職活動が相当大変らしく、落ち込んでいるそんな若者を、
「ほら、ウチの大学を出た人でもこんな所に就職しこんな仕事をしてるよ」
と、勇気付けるための講義・・・なんだとか(本当か?)

教授は自分の研究室出身OBを毎年一人以上紹介するノルマがあり大変だとか。
ちょうどそのフォローが入った直後に、自分が葱を背負ってガァガァ鳴き
ながらやってきた、らしい。

まあ確かに自分は一応は東証一部上場という傍から見たら大企業?に勤めて
いるが、今も当時もそんな所に就職し、そして今でもバリバリと働き生き
残っているという卒業生は毎年一名ずつ出せるほど多くないらしい。

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…少し考えた。

 『今後ここの研究室の分析装置を手軽に(=無料で)使わせてもらうには
     ここは先生に少し恩を売っといた方が良いな』(≒大人の判断)

快く承諾した<ばき

大人数の前で話しをするのは決して得意ではないが、出来ないことも無い。
要は学会発表みたいなもんだと思えばいいのだ、それなら何度も経験がある。
それに学会のような緻密な資料を作る必要も無いし、苛烈で意地悪な質問も
無いだろう。社会人としての経験と、今やっている仕事を、仲間内でする
雑談の拡大版みたいな形で、つまりトークショーみたいに語ればいいのだ。
それなら簡単なもんだ。

大学を出て職場に帰り着くまでの短い間で、もう大体のストーリが頭の中で
組み上がった。一時間半もの長い時間を一人で持たせるのはそれなりに大変
だが、実際の自分を知る人ならわかるだろう、口も少しは廻る方だから(自爆)
それくらいの時間ならどうにか間を持たせる事は出来るだろう。

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で、大学から会社に正式なレターを出してもらい、上長に了承を得たので、
さあ実際はいつ頃やりましょうか、という話を固める前に「現場巡りの旅
が始まった。今は現場仕事が忙しくて自分の家に帰れる日すら不明なので
そんな特別講義の日程調整などはまったく出来ない状態。目処すら立たない。
どうしましょ?

…いっそ来年度か、それともやらなくてもいいですか?先生。
その方が自分は都合がいいんですけど(^▽^;)<ばき

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しかし、かつて若かりし頃に講義を受けてた教室の、内容はどうあれ教壇に
立って若者に講義をする事になろうとは、昔も今も、一度も想像すらした
ことが無かったな。

想像しなかった、と言えば自分自身が卒業した当時、まさか就職してからも
ガラス器具で化学実験したり、各種の機器分析装置を使って各種分析をする
仕事もするとは、全然思っていなかったが、今は実際そういう仕事もする。

まさに未来とは不透明で奇なり

結婚した時ににまさか離婚するとは少なくとも自分は思っていなかっ<ばき

 

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