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2004.10.29

震災の後に死ぬのは人災

ちょっと辛口のことを言おう。異論反論や非難もあるかもしれないけどね。

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新潟の震災は自分が当初思っていたよりもはるかに酷い状況となった。
自分も遠縁が燕市の片隅に住んでいるが、無事で暮らしているらしい、安堵。

でも直接被災された方々、余震に怯え避難生活をされている方々、そして必死の
復旧作業、救護、ボランティア等に関わられる方々、日常とはかけ離れた
現状が数日間続くようになって、過労死にも似た死に方をされる方が出始めた。

震災で直接亡くなった方は人知を超えた自然の驚異によって、なすすべもなく
命を奪われた正真正銘の震災被害者だが、それを生き残ったにもかかわらず
その後亡くなってしまった人たちは、震災による死ではなく人災であって、
本当は地震被害者としての死者の数にカウントすべきではない。

人災って言なら、じゃあいったい誰が悪くて彼らは死んだのだ?と言われれば、
被災直後から手厚い救済策をしなかった国や自治体やボランティア団体や
周囲の人々のケアが足りなくて、救援物資が少なくて、ではない。

中には地域の為にと奔走したりした崇高な方もいるだろう。
もともと身体が弱かったり、持病を抱えていた人もいるだろう。
なぜそんな彼らが地震の後になって死に至らねばならなかったのか?

冷たいようだがその多くはその人自身の(または廻りの人の)責任で死に至っている。

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せっかく激しい天災を生き残ったのに、家財や土地や色々なモノから離れられず、
それを守ろうと頑張って、一番大切なはずの自分の(または家族の)命を第一に守ろう、
という行動に出なかった、というのが直接原因だと思うのだ。
これは間違っても「自分さえ良ければ何をしていい」という身勝手な行為をやれ、
と言ってるんじゃない。その事くらいは誰でも理解出来るだろう。

もし「命第一」が出来ていれば、震災後に亡くなる人なんて一人も居ないはずだ。
本当に地震で死にかけていれば、自衛隊のヘリで他県の病院に搬送するとか
安全な他県まで逃げるとか、借金してでもちゃんとした宿を取るとか、
そういう事が出来たはずなんだ。なのに、具合が悪くても、寒くても、
家の近くに居たい、と車の中で生活して疲れて衰弱して…これじゃ自殺じゃないか

今、元気ならば、冷たい体育館の床や、せまっくるしい車の座席で生活するよりも、
余震が続く土地でおびえながら炊き出しを待っているよりも、より安全な場所に
暖かい場所に移動して、そちらでまず一番大切な「命」を守るべきだ。
その土地や、家財に自分や家族の命と引き換えにするだけの価値があるのか、
もう少し冷静に考えて欲しい。

でもこんな事を言えるのは自分が固執出来る物を失ってる人間だからかもな。

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でも、もうその土地を捨てろ、家はあきらめろ、家財は放棄して無一文になれ、
と言ってるんじゃなくて、今!本当に大切なものは、何よりも守らねばならないのは
いったい何なのかを見極めないと生き残れない、そういう状況なんだと思うのだ。

以前の豊かな暮らしを今すぐ取り戻そうとか、家財を守ろうとかするよりも、
まず今は何よりも命、命を大切にしてほしい。

今は非常時、仮にホームレス級の暮らしをしても誰も眉をひそめたりしないし
決して恥ずかしい事じゃない。ホームレスの人たちの多くは金が無くても、
家財は無くても、少ない資材を駆使して、知恵を使って、ちゃんと冬を越して
生活している。つまり人間はそのレベルの生活だって死なず生きていけるのだ。

ほんの一時でもそんな低レベルの暮らしをするのはいやなのだろうか?
隣に他人が寝ている状況はプライバシーが無い、そんな生活するならば
いっそ死んだほうがいい・・・・そうなのか?

自分は違うな、生き残るためならばゴミを漁れるし、廃材やダンボールで
みっともなくもちゃんと暖の取れるバラック住まいを作るし、野草を食うし、
泥水だってろ過装置を自作して飲んでやる。ましてそれが自分一人だけでなく
自分の家族の命のためなら(始めはブツクサ言うかもしれないが)どんな我慢もする。

普通の人はいきなりそれをやるのは確かにちょっと無理かもしれない。
でも、『命がなにより一番大事』、という事はわかってもらえると思う。
まずは「安全第一」、プライバシーや金やモノや見栄はその後にしよう。

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ここで節約貧乏暮らしを送る元野宿ライダーの自分に出来るアドバイスを一つ。

TVを見る限り焚火は起こしているようだから、2~3kgの漬物石みたいな石を
その火であぶって素手で持てるくらいに暖めて、それをタオルや毛糸の
セーターで包んで寝袋なり布団の中なりに持っていけば暖かく寝れる。

これは野宿ツーリングでくそ寒い夜でもキャンプで快適に寝るためのノウハウ。
自分ら野宿旅人や、ホームレス体験者、手元にある資材を使っての創意工夫に慣れた
仮設工事現場職人らには、普通の世間の人からみたら嘲笑の対象にしかならない
みみっちくダセェ、でもこういう非常事の暮らしでは役に立つ様々な知恵がある。

「焼き石」は料理にも使えるし、水とそれを貯めるものがあれば風呂だって沸かせる
とりあえず暖めた石を寝床に入れて寝るのは簡単で快適だからくれぐれも火傷には
気をつけて自己責任でやってみて欲しい。

他にも日中はアルミホイルをダンボールに張りレフ板にしてテントや車を照らし
暖を取るとか、どうしても夜車で寝るならば窓にダンボールを貼り断熱性を
確保したり・・少しでも快適な生活を得るための創意工夫のやり方は無限にある。

例えば焚火のような熱源と、孔の開いていない車のラジエータ、適当な金属パイプ、
ブレードホースと少々の水とその他があれば無動力簡易スチームヒーターとかも
作れるんだけど、そういう部材が現地で入手出来るか状況がわからないから
詳しい事は軽々しく言えないや。

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以下、まだ震源地近くや車中で頑張っている皆様へ


 現場を見ず被害も受けてない自分がこんなことを言う資格は無いかもしれません、
 でも危ない場所にまだ居る人、家の近くの車でストレスを感じながら暮らす人、
 お願いです、安全な所まで、暖かい場所まで、避難してください、

 そこの暮らしは日常より辛いでしょうけど、今しばらくの辛抱をお願いします。
 そう長くは続かないです、自分も少ないですが義援金を送りました。
 この大災害をせっかく生き残ったのに、土地や物や金の、そんな命より遥かに軽い
 「モノ」の為に、死ぬまで頑張らないで下さい、生きて下さい。お願いします。

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