オレは拝火教の教徒(前編)
最初に言っておくが、ゾロアスター教とは無関係の話なのであしからず:-p
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LPガス屋と契約していない自分の日々の調理用火力の主力は
カセットコンロだ。もう十数年も昔に初めて一人暮らしを
始めた頃に、ワンルームマンションの備え付けの電熱コンロの
電気代にビビって購入したモノを今もずっと使用している。
でも、それだけでなく、天気の良い日や、気分によっては
庭先で七輪を使い、炭火を起こして、そこで魚や肉や芋を焼き、
湯を沸かしたりしている。
炭火で焼く魚は何よりも美味い事と、今はガスコンロのグリルが
使えないので魚を焼く術がこれしかない事と(カセットコンロで
室内で魚を焼き網で焼くと煙で家中が大変なことになるのだ)
木炭のコストパフォーマンスが実はカセットコンロに次ぐ物で
ある(近所の安い所だと3kgで198円で売っている)事が取って
つけたような理由である、のだが、そんな理由以前に自分が
何よりも裸火を扱い、操る緊張感が好きな事が一番の理由!
…だったりする(^◇^;)
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裸火は、一歩間違えば火事を招く大変危険なシロモノだ。
また太い薪や、木炭は慣れないと着火することすら出来ない。
つまり電気やガス器具と比較すると格段に取扱いが難しい。
それを今まで自分の培った技を用い着火、火力を制御し、そして
利用する事は危険を嫌という程に理解していながら、そのリスクを
見極めてその中にある事の本質を求めつづける「単車乗り」の
本能と似通ったものがあるのだ。
おっと、勘違いしちゃいけないのは、わざと危険な行為を行っている
のではなく、危険な野生的本能を、人の英知と理性で押さえ込み
利用していると言う事。つまりこれは実は高度で知的な行為なのだ。
だから、たまに早く帰れた平日や休日の夕食などは、我が家では
七輪が大活躍する。それで焼いたサバやシャケの美味いこと(ToT)
…とはいえ、実は本当に自分が欲しているのは便利な七輪ではなく、
もっとワイルドな「焚火」、それも出来合いの台を使うようなものでなく
岩で竈を作り、直火を用いる一番原始的な焚火だったりする。
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カラスやチンパンジーがどれだけ賢くなり、様々な道具を使う
ようになっても、絶対に使わず人間だけが用いるもの、それは
「火」だ。つまり野で焚火を起こす、ということは動物と人間の
絶対的な違いであり、今まで脈々と受け継がれ累積されてきた
人類の文明、技術、文化、風習、習慣、知識、生活…、それら
全ての究極の原点、きっぱり断言してしまえばヒトとしての原点は
かつて我らの遠い祖先が一番最初に熾した焚火にあるのだ。
それはある意味でヒトが罪深き存在として歩み始めた原点でもあり、
いわば「パンドラの箱」でもあったのだが今回はその話は横に
置いといて話を先に進めよう(苦笑)
そんな焚火が人類に与えてくれたものはあまりに多い。そしてその
焚火が持つ『魔力』とも言うべき効能は、科学技術が進歩し人類が
宇宙に出て、生命体のDNAを弄る現代にもまだ十分通用するのだ。
例えば、人間はどんな極限状態に置かれても、例えば災害で家を
失ったり、無人島に漂着したりしても、そこで焚火を起こすだけで
野生生物としてではなく「人間」として生きて行くことが出来る。
焚火がもたらしてくれる明かりは恐怖を生む暗闇を追い払い、
暖かさは自然の温度とは違う空間を作り出してヒトの理性を保ち
身体を温め、チロチロと燃える炎は傷ついた心を癒すだけでなく、
様々な食材に熱を通す事で殺菌や調理する事が出来るので、
より安全で豊かな食をヒトに与えてくれるのだ。
自分はそんな焚火を愛してやまない。庭先で七輪で起こす炭火は
れっきとした裸火でありながら本物の焚火の疑似体験の域を出ない。
だから健全なる精神的健康状態を保つために、たまに焚火が必要だ。
これは「した方が良い」のではなくて「せねばならない」行為だ。
蛇足になるが自分の場合ステディな相手が居なければ「女断ち」
してても全然大丈夫だけど(自爆)、長期の「焚火断ち」はもしかしたら
耐えられないかもしれない(^◇^;;)
え?相思相愛の女がいたら?そりゃ男なんで(以下自主規制)<ばき
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先月と今月は先端科学技術の粋を集めた施設でスーパーハードな
業務をこなしてきたのでメンタル面ではまだ疲れてるし、ストレスも
そこそこ溜まっていた。えびぞ〜君にはけっこう癒されているけど(^^)
そこで現場から帰ってきたら久々に焚火を眺める「魂の洗濯」、
炎のヒーリングをするべく、週末を利用して焚火、具体的には
キャンプをする事にした。シュラフに入りテントで野宿する事は
自分にとってはストレッサーではなく、焚火と同様の「癒し」の
効果をもたらす行為なのでまさに一石二鳥なのだ(^^ゞ
現場仕事前には生傷を負うわけには行かなかったので「単車断ち」も
してたけど、それも解禁♪、久々に単車を出して没個性気味な
自分の数少ない得意分野であるキャンプツーリングを敢行だぜ!
何でも積み込んで運べてしまう四輪車でのオートキャンプと違って
あまり多くの荷物を積めない単車でのキャンプは、数多くの経験に
基づき吟味し尽くして厳選された必要最小限の愛用の道具類だけを
持参するので、経験を重ねれば重ねるほどに積み込む荷物が小さく、
軽く、少なくなって行く。人生と同じように、様々な修羅場をくぐり抜ける
度に物事の本質が見えてくるのだ。それを繰り返していると手元には
本当に使える優れた必要なモノだけが残る。
そんな使い込まれた愛用の道具を前日の夜にパッキングした。
手にとるのは実は一年くらいぶりなのだが、全て我が手になじんだ
絶対の信頼を寄せているものばかりなので何ら問題は無いのさ(^〜^)
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一週間前に、キャンプツーリングに多用する我が魂の器たるTW200を
久々に引っ張り出して点検してみたら、長期出張の間にバッテリーが
完全に干上がっていてキャブも詰まったらしくキックしてもエンジンが
かからなかった。それだけでなく、なんと自賠責保険も切れていた(^^;)
ちゃんと整備しないと、ツーリングには使えない。そこで今回は稼動
状態にありキャンプの荷物が詰めるキャパのあるXT600Zをチョイス。
当日の朝、クラウザーK2ソフトトップケースにキャンプ用品と食材を詰め、
テントとシュラフとドカシー、その他大物を別包の防水スタッフバッグに
詰めてそれをゴムひもでぎっちり車体に固縛、よっしゃ!出発すっか!
天気も快晴!クソ暑い真夏の空気も単車で走っていると気持ち良い〜♪
信号で停まり青信号で発進するたびに、600cc単気筒がもたらす
有り余る低速トルクをアクセルワーク一発で炸裂させフロントタイヤを
高々と跳ね上げて走り、久々の単車を満喫しつつ目的地を目指した。
--- 後半へ続く ---
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コメント
inoさん。
焚き火っていいですね。
火は怖いものですけど、
焚き火の火は見た目にもあったかくて
パチパチって音も優しくて
人がなんとなく集まってきて
何もしゃべらなくてもいい感じ。
といっても…普段、焚き火なんてしないなあ。
最近、何でも燃やすと叱られますしね。
キャンプは男らしいってイメージです。
川で魚を釣ったり、火をおこしたり
テントをたてたり。
そこにバイクで行くなんて最高ですね。
激務の後の精神的、肉体的疲労感が
自然の中で少しずつ癒され
快復されることを祈ります。
ストレスって自覚がない人ほど溜まってますから。
投稿: なお | 2005.09.02 10:18
ALL:
このネタ、前後編にするはずが三部作になってしまいましたm(_ _)m
なおさん:
そうなんですよね、焚火って、それを無言で囲んでいても
それだけで何か通じ合えるようなそんな雰囲気がありますね。
一人で焚火を眺めていてもそれもまた良い感じです。
自分が大好きなシチュエーションの一つです
キャンプは自然を楽しんでナンボなんですが、たまに
電気炊飯器や、カラオケや、TVゲームまで持ってくる
家族連れや、団体や、子供がいて、がっくり来ます(^^;)
一番好きなキャンプは、整ったキャンプ場じゃない
山の中で一人でやる「野営」です。
今、この山に人間は自分しかいない、という状況を作ると、
小さな焚火の明かりと暖かさ、ペナペナなテントや
シュラフの心強さ、そして周りから聞こえる風音や
何かの鳥や動物の鳴き声が自分をこんなにも
心細くさせるんだ、という日常生活では分からない
大切な事を感じることが出来ます。
自分に子供がいたらこういう事を沢山一緒にやって、
学校や塾では学べない様々な事を伝えたかったですね(^^)
投稿: ino | 2005.09.03 15:39