オレは拝火教の教徒(中編)
前編からの続き
錆びだらけでボロボロ、不格好なまでに大きい30Lタンクを背負う
このBlogのURLのモチーフともなっているわが愛車、ヤマハXT600Zは
元々パリダカールラリーに参戦していたヤマハが当時本気で公道に
放ったスーパーマシン、正真正銘のレーサーレプリカだが21世紀の
今となっては誰が見ても単なる走るポンコツだ(T◇T)<ばき
とはいえ、22年前の単車にしては品質過剰で今も現代レベルに通用する
造りをしているのだ。H4球による55/60Wのヘッドライト、大径ディスク
ブレーキ、41φのロングストロークフォーク、標準装備のオイルクーラー
大排気量単気筒エンジンしか成し得ない豪快なエンジンフィーリング、
ケッチン防止回路入りCDI、リンク式モノサス、そこそこの太さを持つ
アルミ角スイングアーム、今より緩かった騒音規制のおかげで実に
単気筒らしい歯切れの良いパルシブな鼓動を奏でるアルミメッキ防錆
処理されたノーマルマフラー等々…
なので、今コイツに乗っていても最近の(=最新の)バイク乗りには
何ら卑屈にならなくていい。逆に大型二輪免許取得が難しかった当時
あまり需要が無かっただろうビッグシングルの、ラリーレイド仕様の
オフロードバイクというジャンルで、たった300台しか作られなかった
限定仕様車なので、それに乗る自分は誇らしく思うのだ。とは言いつつ
自分がどう思っていても周りのバイク乗りの連中はそんな珍車を恐らく
一度も目にした事すらないに違いないので、単なるウス汚れた自作の
カスタム車くらいにしか見えないだろうけどね(^^;)
だが今ドキの単車には無い強烈な個性を放つ特異な存在である
コイツを誰が何と言おうと自分だけはカッコいいと思うのさ(^^)y
そんなお気に入りのXT-Zにお気に入りのキャンプ道具を積み込み、
最高の天気に感謝しながら走り出した、のが前編。ようやく本題に
入れるな<ばき!
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目指す先は、自分が生まれて初めてキャンプと言うものを経験した場所。
そこで結婚していた時期を除き、ほぼ毎年そこで焚火を楽しむキャンプを
行っているのだ。諸般の事情で場所は晒さない。あえてその理由も伏せる。
そこん所は察して欲しい。
今住んでいる所から適度に離れた場所にあるそこは、周りは行楽地で
あるために、車で行くとあっという間に大渋滞に揉まれてしまうが、
単車ならばスリ抜け&狭い山道や峠越えもラクラクスイスイ♪なので
わずか数時間で到着することが出来る。
都会を抜け、平野を走り、遠かった山々が目の前に近づいてくる。
そこを上る道に入ると、どんどん上がる標高も手伝って、それまでの
身体に粘り着くような平野の熱気が薄れて行き、全身で浴びる風が
徐々に高原の爽やかさを帯びてくる。まさに天然クーラースイッチON!
あ〜〜〜っ、気持ち、い〜〜〜〜〜〜〜〜ぃぃぃぃっ♪(by忌野清志郎)<ばき
エアコンの効いた密閉したガラス張りのハコに入って移動する四輪では
味わえない、全身の五感をフルに使って自然を感じる単車ならではの
そんな醍醐味を満喫しつつ、ポンコツXT-Zは歯切れの良い低周波パルスを
発しながら殆どの道を約70km/Hくらいで快走し、目指す現地に着いた。
前日は大型台風が通過したのでもしや湖の水面が上昇しているのでは、と
心配していたが、無用だったようだ。辺りを見回し、テント設営に適した
場所を探し、寝床となる場所を決め、そこの石を取り除いた。そしてそこに
何年ぶりか良く覚えていないほど久々に、十年来使い続けている愛用の
テントを組み立てた。去年は張る前に雨にやられたので、とっとと屋根付きの
場所に逃げ込んだのだ<ばき
もう何十回、いや3ケタかな?、何度も何度も設営と撤収を行なった愛用の
テントは、仮に豪雨の中や真っ暗やみでも手探りで迅速に組み立てが可能だ。
だから晴天の日中だったらもう余裕シャクシャク、数分で組み立てた。
そしてその中に寝床となる山岳キャンプ用エアマットとコンプレッサーによって
ハンドボールの球ほどに圧縮されているシュラフを広げ、車体から下ろした
その他のキャンプ用品類も全て放り込んで、クラウザーの中身を空にした。
食材と燃料の買い出しに出かけるためだ。
テントや道具をキャンプサイトに置いて出かけてしまうのは、北海道キャンプ
ツーリングでは当たり前の常套手段だ。場合によっては一週間張りっぱなしで
荷物も置きっぱなしで他の地域を巡ってくるなんてのもアリだ。だが本州の
こんな場所でそれをやってもいいものか、少しだけ迷った(^^;)
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買い出しは十数km離れた某ホームセンターと某スーパーまで足を伸ばした。
近場のコンビニだと品ぞろえが圧倒的に少ない上に値段が高いから<ばき
ホームセンターで特売の木炭を最小単位購入し、スーパーでは焚火料理が
可能な食材を探してまわった。鮮魚コーナーで新鮮な旬の生サンマを発見!
一匹150円と高かったが丸々として美味そうだったので迷う事無く即買いした。
後は少々の豚肉と、見切コーナーにあった鮭のハラミを購入。野菜はそこの
スーパーでエラく高かったので今回は無しだ(;_;)<ばき
それらを積み込みテントサイトへ戻る。途中の一番近いコンビニに寄って
薪を一束と缶ビールを2本購入。高くてもちゃんと地元へ金も落とさないと。
全ての買い出しを終えて「我が家」へ帰ってきた。さあ、準備は整った!
まずはその前に、景気付けだっ!まだキンキンに冷えてるビールを一本取った。
たった一人だけど、空と雲と山と湖に、そして過労を重ねた自分自身に、乾杯!
ino :「グビグビグビっ・・・・かーーーッ!美味い〜〜い(^▽^)/♪」
まだ日も沈んでないのに、こんな事しちゃっていいんだろうか(^^;)<ばき
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焚火を熾す前に(そして酔いが廻る前に)、まずランタンのマントルを焼いて、
さらにご飯を炊く準備をした。一泊二日のキャンプなのでガソリンストーブは
使わず、明かりも全てガスを使う。飯盒炊爨は得意なのでてきぱきと完了。
使う器具はプリムスの2in1(初期型)。キャンプ用ガスボンベはカセットコンロの
ガスを何度も再充填して使っている。ガスの再充填は怪しいアダプタを買えば
出来るのだけど、自分はそんなものを使わずに(以下自主規制)によってそれを
やっている。何かあると危険なので紹介はしないが、ちょっと考えれば案外
簡単に出来るのよ(^^)
じゃあ焚火に取り掛かろう。まず回りから大きめの岩を集め風向きを考えて
炉を組み、そこに薪の中から細いモノを選び、炉の中で数本を立体的に組む。
その下の空間に周りで拾い集めた小枝や枯れ草を詰めた。それが無ければ
薪をへし折ったり、ナイフで削り、その削りカスを使えばいい。折った薪の
末端に沢山のギザギザがあればそれで十分だし木片や削り粉なら一握りでいい。
後は適当な紙片にマッチで火を付けて、小枝+枯れ草やその木片等に火を移せば
薪が乾いていればそれだけでもう着火完了。少し湿っていたら燃え易い物を次々
投入し火炎をキープし、少しずつ薪を乾かしてゆけばいい。
赤い炎が一通り回って立ち上がったら完了、撤退するまで火は絶やさない。
また、無駄に燃料を投入し無意味に大きな火炎を上げる必要もない。
焚火ってのは臨機応変、その時々に必要な、そして最小限で行うモノだ。
安定したら焚火を調理に用いるために、燃料を薪から炭に徐々に変えて行く。
焚火が熾きていれば火中に木炭を投入するだけでいい。太い薪があればその
熾火だけでも十分だ。
最初の薪が燃え尽きた頃には、焚火は炭火バーベキューグリルと化していた。
炉の上に小さい焼き網を乗せ、そこに買ってきたサンマ君を乗せた。
ちなみに火力の調節は炉に吹き込む空気の量でUP、炭火と対象物との距離を
開ければDOWNとなる。炭火でゆっくりと火を通されたサンマが美味そうに
焼けた頃には飯盒の米もカニ孔とオコゲを伴って炊き上がっていた。
では、頂きま〜っす(^◇^)
炭火焼きしてレモン果汁と醤油で食う旬のサンマはスゲェ美味い!
軽く焦げた風味が加わった飯盒のご飯もムチャクチャ美味いっ!!
ああ、あとは大根オロシがあれば完璧っ!だったのになぁ<ばき
サンマを食い終わった後は塩コショウで軽く味付けしただけの豚肉を
この焼き網の上で炙り、それをオカズに残りのご飯を全て食い尽くした。
あー満足満足♪
質素極まりないが素晴らしく贅沢なディナーを食い終わった頃には
辺りは薄暗くなっていた。涼しい夕暮れの風と、徐々に大きく、そして
多重奏に変わる、まるでボレロのような虫の音が秋を感じさせた。
そんな時、遠くから聞きなれた大排気量ツインエンジンの排気音が響いた。
--- 長くなったのでさらに続く(^^;) ---
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