« 「選んではいけない男」に適合 | トップページ | 人妻からの「誘惑」を蹴る »

2006.01.14

「下流社会」に思うこと

最近あちこちで「下流」という言葉を目にしたり、耳にする機会が増えた。

これは資本主義社会における経済的観点から見た大雑把な階級分けの事だ。
これを現代日本の現状に合わせ、平たく表現すればこういう事になるようだ。

 上流階級:お金持ち、高給取り、高級な品々を愛用するセレブな方々
 中流階級:小金持ち、平均的所得、食うも暮らすのも困ってない人々
 下流階級:貧乏人、その日暮らしに近いカツカツ生活、食うのに困る

かつての高度成長期を終え、バブルに突入する手前くらいの日本社会には
ビルゲイツ級のとんでもない金持ちや、北朝鮮国民のように路上で飢えて
野垂れ死ぬ人はほとんど居なくて、誰もが普通に働いて、文化住宅に住み、
生活用品的な家電製品や自転車も買おうと思えば買えて、それでいて誰も
がポイ捨てや無駄使いや食い残しを戒めるような一定水準の道徳レベルを
持っていた、「一億総中流階級」だったと思う。

実はコレ、旧ソ連や東欧、中華人民共和国ですら結局は実現しえなかった
真の社会主義体制。日本は在る意味で奇跡の国だったのだ。

でもここ最近、幸か不幸かようやく(いまさら?)資本主義の洗礼を受けて、
そのイビツで不自然な状態から、真の有るべき?「原理原則的正常状態」
へ変化しつつあるようだ。

つまり一つまみのとんでもないお金持ちと、多くの低所得貧困層の出現。

まるでボールに箸を突き刺したような中流中心に丸かった階層人員分布が、
ピラミッド型、と言うよりドラクエのスライムのようにごく一部が上流で、
その他大勢が下流、という二極化分布に変貌する時代がこれから来るのだ。

…というのは、森永卓郎氏ら多くの経済アナリストの受け売りだ<ばき

------------

彼が提唱してる「年収300万時代」ってのは、つまりその中流が崩壊して
多くが「下流」に陥落してそれがごく一般的になる、って言う事のようだ。
まあ確かにそうだろうな。今までの日本人は身分不相応に高いレベルの
生活を横並びで暮らすのが「平等」だと勘違いし、まるで生まれながらの
特権であるかのように、あまりに背伸びしすぎて高度過ぎる生活をしてた。

極端な話、駅や公園で暮らすホームレスでも例えばバングラディッシュや
ソマリアみたいな国の貧困層からみたら夢のような暮らしなんだと思う。
だって飢えてもどこからか謎の集団がやってきて、勝手に炊き出しして
飢え死にさせてくれないじゃん。空き缶拾えば現金収入も得られるのだ。

逆に、あれだけ成果を出した、落合ヒロミツの年収が一億円を越えた
だけで、言われ無きやっかみと批判が殺到し、「貰いすぎだ!」といって
突出した才能に対し与えられるべき正統な報酬に世論がNOを突きつけた
あさましい事もあったけどね。

だがそんな古き良き(転じて硬直化、化石化した)日本システムはもう崩壊
しつつ、いや、してしまった。その誰もがある程度の幸せを享受できるという、
理想的社会主義風の虚構は今の大人が一時の価値観によってわずかな
カネで得るためにバブルを膨らまし、その崩壊をもって大事な礎を木っ端
微塵にブチ壊してしまった。

それはまるでタリバン政権がバーミヤンの石仏を爆破してしまったような
そのくらいの愚行だったかもしれない。なにせ一度破壊してしまった善意
と良心の上に成立つ格差が少なく治安の良い横並びの社会も貴重な文化
遺産も、もう二度と元には戻らないから。ま、形在るものは維持する努力を
注ぎつづけない限り、いつかは壊れてしまうものだけど。

…おっとっと、話が逸れつつあるな、元に戻そう。

------------

で、最近の国民の意識調査では今まで「自分は中流」というのが一般的な
回答だったのに、「自分は下流」という回答をする人が増えているらしい。

もしこれが、日本人が背伸びしすぎている事を自覚した結果であるならば、
自分は大歓迎♪。つまり「中流を無理に維持していたバブル」がはじけて、
人々が「落ちる」んじゃなくて本来の生活レベル、生き様に戻ってくる、と
言う事だから。さあみんなで心置きなくLOHASな生き方するべ(^^)/<ばき

でもその理由は、残念ながらそういう事じゃないようだ。

単に収入が減少したとか、リストラされたりフリーターやニートのように
収入そのものが無くなったとか、住む場所も無くホームレスしてたりする
現在の自分自身に対する、本音は中流や上流でありたいが不本意ながら、
(≒自分以外の誰かの責任で)下流に情けなくも陥った、というイメージの
卑屈な自嘲を多々含んでいるような、そんな気がするのだ。

そこにあるのこんな旧体然とした化石のような社民党や共産党が主張する
社会主義的脳梗塞思考単純階層を想定した世界感のような気がする。

 上流:素晴らしい、憧れ、届かぬ夢の生活 (転じて妬みや攻撃の対象)
 中流:誰も出来る普通の生活、この位当たり前 (転じて横並びの安心)
 下流:恥だ、したくない、逃げたい、でも仕方ない(転じて侮蔑の対象)

つまり今までの「総中流はスバラシイ」という風潮の中で、どう頑張って
みてもやっぱり「下流」に落ちてしまった自分を自嘲している感じが拭え
ないのだ。これは…なぜなんだろう?

------------

自分は人類学者でもなければ経済学者でもない、単なる理系エンジニアだ。
だからそのあたりの真相はわからないが、自分なりの考察はこうだ。

「総中流社会」ってのは「集団の中で妬みや侮蔑の対象となる上や下に
出た杭、つまり『仲間はずれ』にならないよう「個」を緩衝領域に留める
一種の処世保身術だったんじゃないか?

例えば、鰯が大群となり集団化して身を守るような、そんな集団心理だ。

例えば真の実力のある人も、「総中流」という最大集団の中に自分を置き
その存在をぼやかせる事で、個性も実力も集団の中に溶かし込み、責任を
背負わず、フルパワーで働かずに平均的な暮らしで満足するという一種の
自己防衛をしていたり、本来ならその生活レベルを維持するだけの実力が
全然無いのに大集団に紛れる事で、それをちゃっかりと得ていたりする、
つまり「寄らば大樹の何とやら」、という生き方も全体主義の中で許容が
されていた気がするのだ。何故なら、自分も入社後数年間は後者な存在
だったからね。

だから誰もが中流を標榜し、それよりもちょっとだけ頑張った人々の事を
「上流」、そして自分らの立場をより優位にする存在としてのスケープ
ゴートとして「下流」という階層を想定していたのに、哀れ自分がその
(なるはずもなかった)「下流」に落ちてしまった、そんな現実に対する
自嘲が、今の「下流意識」なんじゃないかな、と思うのだ。

------------

だがだ!、いいかい?自称「中流」さんや、自嘲的「下流」な皆さんよ、

全ての人が同じ条件を満たして「中流」であることが本当に正義なのか?
例えば家電製品や車を持っていないと下等なのか?そんな事はないだろ?
それと同じで、誰もがいつかはクラウンに乗ったり、必ず湾岸の高級で
高層なマンションに住んだり、無駄に高い食い物をバカスカと食っては
その食い残しを捨てる、ようなのが絶対的で普遍的な価値感で、それが
正義、実現するのが幸福であるのか?

断言しよう、『絶対にそんな事はないのだ』、と。

------------

例えば、暗く冷たい深海に住む魚が可哀相だ、と熱帯の淡水の池に入れたら
どうなる?せっかくそこで幸せに暮らしていた深海魚もあっという間に死ぬ。
つまり、暖かい淡水の池は誰かにとっては楽園でも、誰かにとっては
苦痛でしかない場所だ、って事
なんだ。これが大前提。

なのに今までの「総中流階級」っていうのは、例えるなら東京湾という場所に
メダカからジンベイザメまで、渓流魚から熱帯魚、回遊魚から深海魚までを
並べてむりやり住まわせているような、本来ありえない姿だったのさ。

それに無理がある事に気が付いて、各々が本来住むべき、身分相応で各々の
能力に応じてもっとも住みやすく快適と思える場所に戻る、その結果、努力に
努力を重ねて川をさかのぼり、源流近くの清浄なるミネラルウォーターが湧き
出す所で暮らす精悍な魚もいれば、そこまで辿り着けずともある程度は川を
さかのぼれて、そこで暮らす雑食の魚もいる、そして河口付近の流れの緩やか
なところに適合してそこで穏やかに暮らす奴もいれば、荒れる外洋に出て
回遊を始める奴、深海に潜りそこで落ち着いて生計を立てる奴もいるのだ。

それこそが様々な個性に応じたオンリーワンとしての暮らし方や生き方なんだ。
それには勝ち負けも、貴賎も一切有りはしないのだ。無論、どんな場所でも、
弱肉強食の生存競争はあるのは、そりゃ当たり前だぞ。…まさかそれすらも
無くせ、なんて都合の良い話はしないだろうな?>左側思想な面々よ

------------

なのに誰かが決めた規格品で仕切られた枠にメダカもマグロもアンコウも無理
に収めていたのが「総中流階級」って事だ。そう考えるとそれがどれだけ不自然か
想像が付くでしょ(^^)?

その枠が壊れて、やっと身分相応でところに戻るだけの「階級社会」を、まるで
大恐慌か大地震か大津波のようにみんな戦々慄々としているけど、実はたった
それだけの事なんだと思うよ。

濁った所や冷たい所、暗い所にだってそこに適応して住む魚が居るんだ。
マグロやタイやハマチやヤマメは偉くてダボハゼやオコゼやクサフグやハヤが
劣る?そんな事ないだろ、彼らだって同じなんだぜ(^^)?

最近良く言われているオンリーワンな存在になる、ってのは、マグロの頭を
かぶったハゼになるんじゃなく、ハゼならハゼなりの個性を生かした、最高の
ハゼになる事だ。

でも今は誰もがカネやモノを求めて、画一化された価値観に基づく「上流」に
住もうとしている。でもね、「下流」には「下流」ならではの楽しみや、生き
様だってあるんだ。無理して「上流」に住んでも、そこが快適とは限らんよ(^^ゞ

------------

今回ダラダラと書きなぐってまで自分が言いたかった事はつまりそういう事。
「下流」をへりくだった「げりゅう」と読まずに、河川と同じ「かりゅう」
と読んでみよう。下流生活ってのも住めば都さ、そこで生きるのも悪く無いぜ。

それに無理矢理に中流に戻ったとしても、もっと無理して上流に入り込もうと
しても、今の時流の流れは早いから、なかなか目指す所に辿り着けないかも
しれない。それならばあえて今はこっちに居た方が、かえって快適なのかも
しれないんだな。

下流階層は、無理に這い上がろうとするまえに、せっかくの機会だから下流生活
を楽しんでみる事をオススメする。え?なぜかって?ほら、実際大昔に誰かが
スマップの「世界に一つだけの花」よりも前に、こんなことを言ったらしいよ。

  「鶏口となるも、牛後となるなかれ」


------------

かく言う自分は、離婚を契機に収入は増加したけど、自らの意思ででとっとと
「かりゅう」に流れてきて、そこですっかり快適に生活する術を身に付けた。

どうやら自分は自称「中流で一般的な所帯持ちの生活」よりこっちの水の
方がそれなりに合う適性があったらしい:-p

コストを湯水のように使って生きる未来的生活と比べると、この昭和30年代
を彷彿とさせるような「下流暮らし」は確かに少しは面倒だ、と思うこともあった
けど、それでも飢えたり、凍えて死ぬ寸前にまで追い込まれた、という事は
一度足りとも無かったよ。つまり、この生活レベルでも、人は十分余裕を持って
生きているって事なんだ。

だから何かの事情で仮に大金が転がり込んできても、自分の暮らし方や生き
様はそれほど大きくは変わらないと思う。だって自分は嫌々「下流」に押し流
されたんじゃなく、自らの意志でこの場を選び、努力してここに居るのだから。

四季に応じて太陽や土と遊び、自然の恵みに感謝、感動する今の生活を捨てて、
土の無ければ窓も全開に出来ない、布団を外に乾せそうにもない六本木ヒルズに
住みたいとは全く思わないし、レカロを入れたターボ4WDセダンを手動変速機を
駆使し、操る面白さを捨てて、運転手付のマイバッハの後部座席に座りたい
とも、ちっとも思わない。

強いてやるなら毎月サバ缶を食って、家でフロが沸かせれば21世紀の未来人と
して十分過ぎるほどチョ〜贅沢な暮らし♪、と言っていいだろう(^^ゞ<ばき

------------

自分は住もうと思えばもっともっと下流でも余裕で生きる事も出来る知識と
経験もあるし、逆にそれほど頑張らなくても今よりもっと上にある中流の上
あたりまで遡上するだけの余力も併せ持っている。だからこれから生き方が
どう変動しても、かなりの範囲に適合する広い「パワーバンド」を持ってる。

だから、もし万が一(苦笑)、そっちに移動する必要が生じたら、躊躇無く
移動してそこに適した、そこならではの自分らしい暮らしをまた模索して
そして再構築すればいいのだ。

それが仮にどこかの第三者から見てそれが「げりゅう」な暮らしだとしても、
イワナやヤマメが生きるような流れの激しい時流の中でただ流されまいと
耐え全力以上でバタバタ泳ぐメダカさんや、水が合わず弱ったアナゴ君が、
たまにその結果、力尽きて過労死したり、借金して自殺してしまったりする
ニュースに心を痛めつつも、自分自身に適したその場所、適したレベルの
生き方を、胸を張って正々堂々と生きてやるよ(^◇^)

------------

以下蛇足:

実際の「げりゅう社会」とは暮らしだけでなく、生きる意欲、見たいなモノも
欠如してる人のことを言うらしい。そこで自分はそういった本来の「げりゅう」
なのかどうか、ちょっとお遊びでチェックしてみた。

----
Q:「下流社会 新たな階層集団の出現」より。○が半分以上なら下流確定

 1 .年収が年齢の10倍未満だ
 2 .その日その日を気楽に生きたいと思う
 3 .自分らしく生きるのがよいと思う
 4 .好きなことだけして生きたい
 5 .面倒くさがり、だらしない、出不精
 6 .一人でいるのが好きだ
 7 .地味で目立たない性格だ
 8 .ファッションは自分流である
 9 .食べることが面倒くさいと思うことがある
 10.お菓子やファーストフードをよく食べる
 11.一日中家でテレビゲームやインターネットをして過ごすことがよくある
 12. 未婚である(男性で33歳以上、女性で30歳以上の方)


A:1 × 37歳×10倍=年収370万?その額は入社二年目でクリアだ(^^;)
 2 × その日その日を「大切に積み重ねて頑張って」生きたいと思う。
 3 ○ 「自分らしく」≒「己の哲学を持ち責任も果たし」≠「自分勝手に」
 4 × やりがいのある事には辛い物もあるけど、ちゃんとそれには意味がある。
 5 ○ 自分はとことんダラシ無い人間。でなければこんな生き方はしてない。
 6 × 決して「好き」ではない一人暮らしも一応可能、つまり器用貧乏。
 7 ○ まるで日淡魚のように地味で目立たないルックスと性格と言動っす。
 8 ○ 流行には乗らない。十数年モノの皮ジャンとかゴアの装備等を好む
 9 × 一人で食う飯はちっとも「楽しく」ないが、「お勤め」でもない
 10 × 高くて買えないので旬で安いみかんや庭のサツマイモを食す
 11 × 一日中家にいる事もあるが、家事やバイク弄りに勤しんでる。
 12 ○ もうやり直しの出来ない37歳のバツイチ中年男である

判定:…ボクはギリギリセーフかしら(._.)?<ばき

----
Q:AllAbout 「俺が「下流」?「下流社会」がやってくる!」より。
  以下の設問の半分以上が○なら「予備軍」らしい。

 1 .独身である(結婚する予定もつもりもない)
 2 .非正規従業員(フリーター、派遣社員等)である
 3 .年収は400万円以下である(むしろ200万円前後の場合も)
 4 .貯金はない(あっても50万円以下)
 5 .100円ショップに毎週1回以上通う
 6 .最近1年間で7万円以上の買い物をしていない(旅行も含む)
 7 .ファーストフードが好き
 8 .だらだらするのが好き
 9 .本はほとんど読まない(マンガや雑誌は読む)
 10・今の自分の状態は10年後も変わらないと思う

A:1 ○ 一度結婚したけど失敗。結婚したい相手が居らず再婚も不可(T◇T)
 2 × こう見えても、一応は某T証一部上場会社の正社員だったりする。
 3 × ダブルスコアでクリアだが同世代では下から数えた方が早いカモ。
 4 × 失業してもしばらく安心という最低基準「年収の3倍」には未達。
 5 ○ ダイソー商品はino的生活には欠かす事の出来ない必須アイテム♪
 6 ○ 去年のTDM復活は総額22万だが、単価最高額はB4の任意保険67030円
 7 × そんな値段の高いモノはそうめったヤタラに食えるモンじゃない。
 8 ○ この通りだらし無い性格なので誰かよりもダラダラと生きている。
 9 × 昔はマンガを死ぬほど読んだが今は殆ど読まず。本は読むけどね。
 10 △ それだけは嫌だっ!、だがこの暮らしから脱せるかどうか判らない。

判定:こっちもアウトかセーフかビミョ〜だな(-◇-;)<べき!


|

« 「選んではいけない男」に適合 | トップページ | 人妻からの「誘惑」を蹴る »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「下流社会」に思うこと:

» あの国の人の予言 [知れば知るほどきらいになる国?]
[討論] 日本は30~40年以内に滅びる 日本語を勉強し、日本人向観光ガイドをして、 日本人の友達と毎日MSN(注:メッセンジャ)で話し、電話もして、会って、 日本人の恋人がいるし、いろいろと日本に関わってきた・・・・ 4年以上日本に関わってみた私の結論 >>>>>> 1. 30年以内に東京大地震が来る確率約70% (日本の有名大学教授や、学者が直接発表した内容) 2. 日本は徐々に沈んでいる。 3. ... [続きを読む]

受信: 2006.01.16 16:10

« 「選んではいけない男」に適合 | トップページ | 人妻からの「誘惑」を蹴る »