イチゴ戦争顛末記
寂しい一人暮らしを余儀なくされている丸刈りバツイチ中年
サラリーマンの孤独生活は、カメのぬいぐるみや数多の趣味
という厚めの化粧を施す事でその寂しげな本質を覆い隠して、
どうにか現状維持を保っている。
その趣味の一つが庭を耕して野菜を育てる家庭菜園だ (^^)y
命ある植物を手塩にかけて育てる楽しみと喜びを体感しつつ、
主食や副菜、薬味といった用途になりうる各種の野菜たちを
日々見つめながら育てて、命の偉大さとそれを作り出す太陽と
風と雨と大地に敬意を表し、深く感謝してありがたく食して
いる。最近も庭のジャガイモ畑を半分程掘り返してみたら
こんなに沢山のイモが取れたよ(^^)♪
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そんな自分の庭先農業は当たり前だが、一般的な金儲けを
第一とする「商業農業」ではない。だから収穫量を少しでも
増して儲けを得ようとする魂胆は…全く無いよ、そんなに庭も
広く無いしね。
どちらかと言えば、本来ならば自然の営みが行われてる場所を
ちゃっかり借りて、その一部を使わせて貰っている気持ちで
いるのさ(^◇^)
そんな狭い家庭菜園を営む庭先も、実は立派な大自然の一部だ。
そこは多種多様な生き物の、複雑にして繊細で宇宙に光り輝く
無数の星のような、微細な無限の命の連鎖と競争の場…なのだ。
庭に植えられた野菜らも例外なくその輪廻に組み込まれ、そこ
から外れる事は出来ないし、許されない。
それもあってウチの庭先農業では一切農薬は使わない。それは
その成果が自分一人の手柄でなくて、あくまでも庭と自然との
「共同作品」であり、自分が独り占めをすべきじゃないと思う
からだ(^^ゞ
なので、俗に言う「害虫」と言われる虫らが発生してもそれに
対して「ちょっとどいてもらうよ」とつまみ出す事はしても、
(それは「命ある野生生物」としての自分の生存闘争なのだ)
農薬等の人工的な毒物攻撃をして他の命を壊滅させてまで自分
自身の取り分を少しでも増やしてやる、という意地汚いマネを
したくはない。
だって、その作物が育つ母なる土を過去から今までかけ作って
きたのは、そこに住んでる虫たちや小動物たち、茂る雑草たち
なんだもの。だから彼らは野菜の葉や果実(の一部)を食う正当
なる権利を有しているのさ。
農作物を全滅させられちゃうのは悲しいから、少し遠慮して
もらって見つけたら物理的除去はする。だけれども、命を奪う
積極的攻撃駆除をしないのが『ino的家庭菜園』の運営方針
なのさ(^^ゞ
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で、やっと本題。ちょっと前になるが、庭先では雑草のように
ブイブイと繁殖しているイチゴに、赤い果実がタワワに実った。
これは正真正銘、無農薬無肥料放任主義栽培による自然に近い
形のイチゴなので、形や色は不揃いだけれども、その味は旬の
野生らしく、甘酸っぱくて奥深くて、実に美味~いのだ(^◇^)
ハイシーズンは二日に一度位のペースで大体これくらい収穫を
得て、自然の恵みに感謝しつつ旬のイチゴを堪能出来ていた。
こういうビンボー生活も実は結構イイもんでしょ(^^)?<ばき
とは言ってもこんな暮らしをしてたら、虫は沢山寄ってきても
女は寄ってこない。高木美保嬢のような相当奇特な人でない
限りね(T◇T)ぅぅぅ
…で、このイチゴ、人間が食っても最高に美味いのだけども、
虫やナメクジにとってもどうやら「最高のご馳走」らしくて、
赤く色付き、甘みが増してくると、あっというまにダンゴムシ
とナメクジに取り付かれて、食われてしまう。
ハイシーズンには彼らだけでなくコメツキムシや大小のアリも
その甘い香りに誘われてやって来るので、「自然の取り分」が
徐々に増加し、いつしか8割を超えるくらいになってしまった。
…おいおい、お前ら、それはちょっと欲張りすぎだろ(^^;;)?
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そこで、彼らにはちょっと申し訳ないと思いつつ、自分の食う
分を確保するため、害虫対策を勉強してみる事にした。勉強に
使った「教科書」は以下のような本だ。
と、画像を載せても良く分からないだろうから詳細を。
書籍:『イチゴ栽培の理論と実際』
著者:香川 彰
発行:誠文堂新光社 S46-2-10 初版
ISBN:無し
書籍:『原色野菜病害虫図鑑・果菜 葉茎菜類編』
監修:青森県
発行:青森県経済農業協同組合連合会 S62-3
ISBN:無し
書籍:『原色野菜病害虫百科3 イチゴ・ネギ類他』
編者:農文協
発行:社団法人農山漁村文化協会 S62-8-25 初版
ISBN:4-540-87038-6
書籍:『農薬便覧・第8版』
著者:香川繁孝 数賀山靖 後藤宗玄
発行:社団法人農山漁村文化協会 1995-5-31 8版
ISBN:4-540-95008-8
…と、言うチョイ古い農業技術書。諸般の事情によって今の
自分はこれらの本を手軽に読める環境にあるのよ(苦笑)
これは本屋の趣味コーナーにある図鑑やガーデニング参考書
ではなくて本物の農業技術書なのでそので内容は素人には
かなり難解だ。自分はこの手の専門職ではないが貪り読んだ。
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我が家庭菜園に出没する、不名誉なる「害虫」としてリスト
アップされた生き物はナメクジとダンゴムシ、ドウガネブイ
ブイだ。それらと闘うための方法を上記書籍の中からピック
アップして、まとめると以下のようになる。
これは農業素人がまとめた記述故、家庭菜園やガーデニング
レベルの方はこれをそのまま鵜呑みにしてそのままやらない
ように!危ないからね!
ナメクジ:実を食害する。発見したらすぐにナメクジ
駆除剤(メタアルデヒド6%製剤)を1m3当り
2~5g株間に撒くか、ディプテレックス粉剤
(有機リン系殺虫剤)を敷藁の上下に二週間
おきに2~3回散布する。夕方に撒く方がより
効果的。発生の多い時は撒く頻度を上げる。
濡れたり4,5日経つと効果が薄れる。
ダンゴ虫:実を食害する。似た個体のワラジムシより顎が
強いので新芽を食う事もある。キリトン粒剤を
10a当り3kg、敷ワラの上下に撒く。またはピリ
ダフェンチオン1%粒剤を10aあたり3~6kg撒く。
ドウガネ:幼虫が根を食い、成虫が葉を食う害虫。土中の
ブイブイ 幼虫にはダイアジノン粒剤、エチメトン粒剤
(有機リン系&ダイアジノン混合剤)を10a当たり
3~4kg一度撒く。成虫は少なければ捕殺し、
多ければスミチオン水和剤(有機リン系フェニ
トロチオン剤)やディプテレックス乳剤を800~
1000倍希釈して、3回以内で散布する。
…うーむ、こりゃ穏やかじゃないね、有機リン系農薬って事
は、化学屋的にはその特性や毒性がどういうモノか直感的に
判るからね。まてよ?逆に言えば、市販の農作物はこういう
農薬を使って処置している可能性があるって事か…(-◇-;)
まあ、どんな劇物でも毒物でも摂取許容値以下なら食っても
全然平気だし、逆に普段食っている健康食材だって摂取量が
過剰になれば人はあっけないくらい確実に死ねるんだし。
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以下ちょっと脱線。
一応自分は化学系エンジニアなので「量が毒を成す」という
概念を正しく理解出来るし、化学物質ってのが、刃物や単車、
四輪車と全く同じ、使い方さえ間違えなければ便利で
日常に欠かせないけれども、使い方を間違えると一転
して恐ろしい凶器になる、という事をちゃんと分かっている。
食塩だって200g食えば人は死ぬ。タバコだって1箱分ムシャ
ムシャと食えば人はあっさり死ぬ。逆にダイオキシンも極々
少量なら食ってもかまわない、本当に微量なら青酸カリでも
カドミウムでもサリンでもフグ毒のテトロドドキシンでも、
それらを遥かに凌駕する最強の毒、ボツリヌス菌毒素すらも
食っても無害、人は死なないのだ。
ヒステックにダイオキシン!残留農薬!環境ホルモン!!と
騒ぎたてるオバサンが、それより遥かに強い毒物であるボツ
リヌス毒素を使ったシワ取り美容整形手術をしたがったり、
人体にとっては百害あって一利も無いタバコを吸いながら、
肌荒れや健康を気にしてクソ高い化粧品を使ったり、怪しい
高額のサプリメントを摂る姿は絵に描いたようなバカモノで
あり、まさに「愚の骨頂」を具象化した生き様と言えよう。
ダイオキシンは市のゴミ焼却場なんかよりも骨を拾うために
遺体を低温で焼かざるを得ない火葬場が一番多く発生するし、
農薬より強烈な化学物質なんて身近にいくらだってあるのだ。
ノニルフェノールやビスフェノールAといった「化学物質」と
豆乳や納豆、豆製品に含まれている大豆イソブラボンは、
どっちがより「有害」か?、「環境ホルモン」なのか?と
言えば、実は後者だ。それをミノモンタがTVで宣伝したら、
それを妄信して食いまくったり飲みまくったりしてるのだ
から、始末に終えない。
そもそも一番強烈で大量に環境中にタレ流しにされて実際に
悪影響が出ている「環境ホルモン」は前述のような人工的な
化学物質じゃなくて、下水に流されてる女性の尿中に含まれ
ている「本物の女性ホルモン」、つまり工場や塩ビ、食品
添加剤やダイオキシンよりも、前述のようなオバサン達が、
地球環境に悪影響を及ぼしている汚染源、なんだぜ(^^;)
…おっと、話が大きく逸れた、家庭菜園ネタに戻そう。
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で、虫たちと闘う術はわかったけど、ちょっとそこまでして
「庭の仲間」である彼らを駆除するのは同じ命を持つ自分の
良心が痛む。特にダンゴムシやドウガネブイブイ用の農薬は
それ以外の小動物に対しても致命的な毒性がある。なので、
それを使ったら、多分庭はしばらく元には戻らない。
…それだけはいくらイチゴを食われようと絶対に嫌だ。
だがナメクジに関してはメタアルデヒド系はナメクジやカタ
ツムリといった類に特異的に効く薬剤で残留性もあまり無い
らしい。庭にはカタツムリはいないし、ナメクジは良く台所
に出没して、たまに踏んづけたりする事もあり、思い切って
これを試してみる事にした。…許せ(-人-)南無阿弥陀仏…
実はこのナメクジ駆除剤、農薬として購入しなくても、実は
ダイソーで売っている。それを一箱購入してみた。ついでに
その隣にあった木酢液も買ってみた。
木酢液は木材を乾留して得られる液体で、フェノールを主幹
とした各種タール酸系の殺菌成分が含まれている。具体的に
クレオゾールが多い。これは以前関わった仕事の関係で自分
でQ-MSにかけて得られたマスフラグメントで定性したから
間違いないよ(苦笑)
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とりあえずナメクジ駆除剤が果たして効くのかどうかを確認
してみた。具体的には庭にいるナメクジを一匹捕らえ、この
駆除剤を一粒置いてどういう反応をするのかを見てみたのだ。
誘引作用がある、との事なのでそれに寄って来るのかと思い
きや、ちっとも関心を示そうとしない。一昼夜たっても全く
それを食す気配すら無い。あらら、所詮ダイソー商品って事
なのかな、と思って、効果が少ないなら庭に撒いて大丈夫だ
ろう、と、居そうな場所にパラパラパラパラと撒いて回った。
すると数日後、そこら辺中から大きめのナメクジが消えた(!)
うわ!なんだよ結構効くじゃん。絶滅されるのはバランスが
崩れるから困るんだがな、と取り返しの付かない事をして
しまった事を後悔したが、よくよく見ると、かなり小さいナメ
クジがそこにはちゃんと生存していた。さすが野に生きる命、
完全駆除っていう事は連続して散布するとかしないと難しい
ようだ。つまり適度に生息数を減らす効果があったと言う事
らしい。あ~よかった、ヒト安心だぜ(^^)<ばき
木酢液は原液のまま使え、と書いてあったが、それだと庭に
成ってるイチゴにかかって、それを食ってる自分自身が駆除
されかねないので、適当に希釈してジョウロでダンゴムシが
群生してる辺りに撒いてみた。…が、ちっとも減ってる気が
しないなぁ(--;)
ま、これも気休め程度の効果の方が、庭という大自然のバラ
ンスを崩さないからいいかもしれない、劇薬で殺戮するより
こんな程度の方がいいな(^^)
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このように実害を食い止めるために初めて駆除にトライして
みたけど、結局人間の浅知恵よりも、大自然の方が強い
ようで、結局その後もイチゴを食われ続けた。でも少ない
なりに自分も美味いイチゴを食えて、それを楽しませて
もらったから、ま、いいよね(^^ゞ
ダイソー農薬も大半が余ったけど、もう使う事も無いだろう、
ナメクジもダンゴムシも、命あるものはそこで生きていると
言う事実に必然性と重要な意味がある。その命の連鎖と
絶妙なバランスがこの狭い庭にもあるし、この町、この国、
この星の上で見事に成り立っているのだ。そして同様に
この宇宙で、でも、多分ね。
その中には「不要な命」なんて何も無い。もしあったらすぐに
死滅してその舞台から強制退場となるから。我が庭でその
可能性があるのは、ナメクジやダンゴムシじゃなく、自然の
中で極めて異質な生物たる人間の自分だけだろうな。事実
一切の存在価値が無い、という評価を最愛の人に下されて
自然淘汰された結果、滅するのを待つ身だもんなぁ<ばき
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