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2006.07.27

かつての夢、再び

単なる見苦しいビンボー中年男のようにしか見えない自分も、
実は某企業の研究所で働く、研究開発職を生業とする現職の
技術屋だ。

そういう職だとドロ臭い現場仕事もこなすが、基礎研究では
大学や学会というアカデミックな連中と付き合うことも多々
ある。助手や技師、助教授や教授、そういう人たちの名刺を
貰うと、大体肩書きにこう書いてあるのが普通だ。

 「理学博士」、「工学博士」

今の世の中、それは特に珍しくない。同じサラリーマンでも
ドクターだったりする事はよくあるからだ。

実は自分はそれがちょっとだけうらやましかったりする。
何故なら元々この通り文才のカケラもない理系人間なので、
子供の頃からのささやかな夢の一つが、実は「博士」になる
事だったからだ。

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世間の子供はヒーローになりたがるもんだが、自分はその
ヒーローを常にバックアップする、知識と技術の宝庫である
「研究所」の「博士」になりたがっていた。また悪の組織で
悪の知識と技術を駆使して悪役を作り出してはヒーローを
窮地に追い詰める悪の博士に畏怖と尊敬の念を持っていた。

そんな御茶ノ水博士や死神博士になるために、大学を出る
だけでなく大学院のドクターコースを出ねばならない事を
知ったのは高校生の頃だった気がする。技術科や理科だと
当時誰よりも好きで勉強しまくっていたけど、他の科目は
平凡だった自分は、…とてもその素養は無かった(^^;)<ばき

結局自分は「博士」になる事は無かった。学府に止まって
単一の道を極めるのは、どちらかというと自分が憧れてた
「博士」ではなくて、逆に専門バカというと語弊があるが、
狭い範囲だけを極めるよりも、早く社会に飛び出して広く
浅い「生きた知識と技術」を習得し、かつて憧れたような
「誰かの役に立つ人」、「誰より使い物になる人」になる
方が、よりかつて憧れた「~博士」になる事だ、と気が
ついたからだ。

事実、そういう肩書きは付いてなくても、今自分がやって
いる仕事はかつて子供の頃に夢見た「博士」がやるような
仕事も(一部だが確実に)あるので、実はそこそこレベルで
「夢」は叶った、と思う(^^)

そういう「博士」の次に憧れた、宇宙戦艦ヤマトの登場
人物である真田志郎的な、そういう役割を今はやっている
実感がある。ある意味、技術屋冥利かもね(^^)

普通に結婚して、ささやかでも楽しい家庭を築き、愛する
家族と幸せな生活を送る、という自分にもそんな資格が
あるんだと疑いもしなかった、もう一つの夢は、「誰かと
比べて著しく劣っているらしい男」である自分に、その
資格など生まれつき無いのだ、という「事実」を、一緒に
幸せになりたかった元カミさんが明確に証明してくれた
ので、そっちの夢は正真正銘の挫折に至ったけど<ばき

ま、「夢が叶わない」って事は残念だけど、それに挑み、
実際やってみて、頑張って、背伸びし、認められようと
自分なりに精一杯努力した「結果」がそうであったのだ、
だから誰が悪いでもなく、全て自分が一番悪いからその
夢は叶わなかった。これならば仕方が無いよね(^◇^ゞ

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だが一度だけ自分にも旦那になれるチャンスがあったように、
実は「博士」になる、という夢が一度だけ叶いそうになった
事がある。

それは結婚する数年前、当時やっていた仕事で、とある
大学と一緒に仕事をしていた頃。その学校で社会人枠で
大学院へ来ないか、とその教授に薦められたのだ。

その当時も今と同様に仕事を色々抱えていたため大学に
コツコツと通って論文を纏める事はとても出来なかった。

それでも諦め切れず当時の課長と延々掛けあってみたが、
結局行きたければそれは「個人の我侭として扱う」と、
会社側からの協力を得られない事になったため、断念
せざるを得なかった。

…企業の学位に対する理解なんてこんな程度だ(^^;)

結局その話は棚上げされて、約一年後その仕事が終わり
必然的にその話も自動的に立ち消えて終わった。まぁ
短いながらもいい夢を見れたな、と当時思ったもんだ(^^)

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で、つい最近の事だ。

ひょんなことから関わったある仕事の会合で、その当時
付き合いのあった大学の助教授がそのメンバーの中に
いる事に気が付いた。ので、おぉ!懐かしいですね、と
再会の挨拶をした。

その方は当時助教授だったが、今はその研究室の教授に
なっていた。今回の仕事はかつて一緒にやってた技術と
直結している話なので、その関連の理化学的技術話題で
しばらく二人で盛り上がって話をしていた。

そんな時、その教授からこんな話を振られた。

 教授:「…inoさん、以前の話、まだ諦めてませんよ」
 ino :「へっ?、ああ、ドクターコースの話ですか」
 教授:「あの時は残念でしたが、今度の件でウチに
     来ませんか?inoさんなら大丈夫ですよ」

つまり、また大学院へのお誘いを受けたのだ。これが
私大ならば、営業活動だろうが、そこは国立大だから、
社交辞令じゃないだろう。

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確かに学位を取るには、年齢的にギリギリのような気が
する。いや、老人になっても頑張れば行けるけど、実用
になるのは、これから定年になるまでの短い間だからだ。

かつて諦めた夢が、突然振って湧いてきた。一瞬マジで
考えてみた。だけど、今の自分は、あのかつてより重い
仕事を多く抱えている。もし社会人枠で大学院に入ると、
そういう仕事を全てこなす事は出来ないだろう。

もし学位が取れたら確かに子供の頃の夢は叶う、名刺で
堂々と「博士」を名乗れる。だけど社会で揉まれ仕事を
しながら生き残ってきた
経験からすると、仕事は学歴や
学位でするもんじゃない。本人の努力と、それが産む実績と
信用、多少の適性と、ほんの少しの能力でやるもんだ。

今は「博士」になるより「技術者」としての仕事を全うする
事が、自分が目指すモノに届く最短の距離にいる事が
直感的に判断出来た。

 ino:「やりたい気持ちはありますが…今は難しいです」

短い間では、そう答えるのがやっとだった(^^;)

 教授:「いつでも待ってますから、その気になったら
     声をかけてくださいね(^^)」

そう教授は答えて、去っていった。

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「夢」って、一度断念してもそれを持ちつづける限り
それを叶えるチャンスが来ないようで、意外な所から
ひょっこりやってくるもんなんだね(^^)

今回のそのチャンスは、今の責任を放棄してまで生かす
事は出来ないけれど、現役を無事にリタイヤ出来たらば
老後の道楽としてこの「夢」を叶えるのもアリかな(^◇^)

この夢は結婚生活と違って、やってみた結果「ダメ出し」
された訳じゃない。まだまだ諦めずに挑んでいい「夢」だ。
それにタイムリミットも無いから、命ある限りそれを叶える
チャンスは、自分にもまだ残っているだp(^◇^)q

そうさ、結婚生活のように、何事もやってみなければ
判らない。やってみてダメだったら、それを素直に受け
入れて、次の事にチャレンジすればいいのさ(笑)

 

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コメント

「博士」よりも「職人」なのでは?
などと思ってしまいましたよw>inoさん

僕もドクターコースに憧れていた時もありましたが
経済的な理由からやはり断念
専門も結局これといって目新しいものでもなく
目指す道は途切れたかと思いましたが・・・

最近思うのは、やはり日本人的気質から考えて
大多数の人が「職人」なのであるということです
そして、自分は「職人」になりたいのだろうなぁということです
(ですが、あまりに守備範囲が広軌にわたってしまいそれも難しくなりましたが(苦笑)

まぁ夢というか想いというか・・・の話なんでしょうけどねw

投稿: ねこまんま書記長 | 2006.07.31 08:18

ねこまんま書記長さん:

コメントありがとうございます(^^)

確かに今思うと「職人」って脳内イメージに極めて近い
概念です。でも、その道以外の物も含めた広く深い
知識を有する、というのが、「職人」を超えた子供の
頃の「博士」のイメージだったので頑固親父、という
イメージのある職人よりはそんな「博士」に憧れて
いました。

でも大学に入ったあたりで、自分に近い連中がマスターや
ドクターで単一なテーマに傾倒して専門ウマシカになる
様を見ていたら、これはオレがなりたかった「博士」じゃ
ないな、と気が付いたんです(自爆)

今の自分が目指すのは一つの技能を極める職人でありつつ
それだけでは終わってない、言わば「マルチパーパス職人」
…なのかなぁ。そんなイメージです。

大学生の頃から、いつか関わりたい、思って、今も全く
その方向性を失ってないモノの一つが原子炉の廃炉解体
工事なんですが、もはや中年に成り果ててますけども
今もまだそのための修行期間中だと思ってます。

色々な仕事に関わり、こなし、様々な人に沢山の事を
教わり、学びながら、過去の夢を振り返りながら惜しむ
事なく、今あるこれからの夢に向けて頑張りますp(^^)q

 

投稿: ino | 2006.07.31 22:57

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