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2006年8月

2006.08.30

確かにオレなら困らんけどさ

自分はハゲかけたバツイチ中年男だ。それを隠したって何の得にも
ならないので、正々堂々とそういう欠点を晒しながら生きている。

そんな自分が毛根の衰退に気付いたのは20歳の頃だから、自分の
頭皮を見限ってガンガン抜け続ける毛とは長い友達ならぬ、時間を
無駄に費やしながら泥沼化しながらそれでも何が何でも!どうにか
して離婚しようとしている熟年夫婦みたいなもんだ(-◇-;)<ばき

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若い頃はやっぱりそれなりに悩んだよ。女の薄毛は悲劇でも、男の
それは喜劇、つまり当事者以外から見れば老若男女問わず、嘲笑と
侮蔑と差別の対象でしかないからね。

だからそんな社会的大衆迎合的イジメから逃れるために抜け毛を
食い止めようと無駄な努力を若い頃はしたもんだ。それはある意味
生物の本能に基づいた行為だったからね。

抜け毛や薄毛は病的な物を除けば基本的に自分自身にその原因や
非があるわけはなくて、自分という人間を設計したDNAに刻まれた
設計図にそうなるように仕組まれた「トロイの木馬」が仕込まれて
いたために発生する事象だ。つまりその人の毛が抜けてハゲると
いう事は、一つの命ある生物として持つDNAに刻まれたシーケンスが
忠実に実行されている、という事なのだ。

つまり、寝て、食って、子を成し育てるのと、ハゲるのは同レベル。
宿命に逆らって余計な神経使うより、周りが全て侮蔑を込めた嘲笑
を繰り返そうと、そんなあるがままの自分自身を、せめて自分一人
くらいは認めてやる方が…ウジウジ悩むよりもよっぽど健全な生き
様になるぜ、ご同輩(笑)。

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でも「人間」としてはそうでも「オス」としてハゲる事は致命傷だ。
なぜならそれで確実に「オス」としてではなく「メス」から嘲笑の
対象となって忌み嫌われるからだ。中には「タデ喰うムシも好き
好き」といった感じでそういう事を気にせず男の本質を見る女も
特別天然記念物級の珍しさで存在するかもしれないけど、残念
ながら自分が今の今まで出会った女にはそういう奇特な人は
一人も居なかったよ _| ̄|○<ばき

これはつまり「醜悪なるハゲ男」にはそんな劣悪な遺伝子がある
のでそれを選択せず、いい男を選ぶ事で遺伝的に優位なDNAを
選択し未来に引継ぎ、ハゲは自然淘汰されちゃってくださいネ♪、
という生物の母性としての本能と言ってもいい。

だからハゲをあざ笑う女は責められない。だけれど仮にそんな女
がもしハゲちゃったら、決してそいつらと同じようにバカにしたり
笑ったりはしないよ(^^)、その辛さや心の痛みが誰よりも分かる
からね。

自分は既にそんな「オス」としての役目は終えた男だから、もう
無理して虚勢を張る意味も必要性も失っている。そんな今だから
こそ、自分の頭髪が薄い事を

 ino :「何だぁ?文句あるか?、これがオレだ!コラァ!」凸(-◇-)

と主張もするし、別に恥ずかしいとも思わない。これは皮膚病
戸籍に刻まれたバッテンと同じ自分の個性の一つに過ぎない(^^)

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…で、とある日、とある場所でのことだ。

以前飲み会ネタで登場した事のある、自分的にはまぁ可愛い、でも
性格はチャッカリ気味な若い人妻が自分にこんな話を振ってきた。

 人妻:「inoさ~ん、あの~inoさんにあげたいモノがあるんです」
 ino :「はいは~い、何ですかぁ(-◇-)?」

その後の付き合いで大体の性格が分かっているので、もう何を振られ
てもドキマギする事はない(苦笑)、ちょっと話が脱線するがこういう
場合の既婚者や年長の女性は、若いどくしんぢょせいと違って自分を
「出来の悪いオス」ではなくて「単なる一人の人間」として話かけて
くれるので、実に気が楽だ(^^)♪

 人妻:「ウチのダンナが、色々ヤバくって、私思い切って買って
     みたんですけど、ダンナがそんなもの要らないって・・・
     それでずっと封を切らないまま放置してあったんですけど
     こういうの、inoさんなら、試してみるかな、と思ってぇ」

…をいをい、一体ナンだよそれは(^^;)?

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訳もわからず、きょとんとした自分に差し出されたのはこんなモノ。

Dhc

平たく言えば飲む毛生え薬、ならぬ栄養補助食品らしい。

 人妻:「ちょっと前に、ウチのダンナも凄く毛が抜けてきて大変で
     このままじゃハゲちゃう!って私心配になったんでコレを
     買ってみたんですけど、今は止まったみたいなんですぅ」

それは神経性やストレス性の、つまり一過性可逆性の円形脱毛(^^;)?

 人妻:「inoさんだったら、頭も薄いしぃ、それにこれ、消費期限が
     過ぎてるんですけど、それもinoさんには関係ないしぃ、
     それにこういうのって女性ホルモンとかのダンナの元気が
     無くなるようなものまで入ってるとイヤなんですけどino
     さんだったら独身だしぃ」

た、確かに全ておっしゃる通りデスけど、普通の人だったら言い難い
事をいとも簡単にズバズバ!サクサク♪オレに突き刺すね(^^;;)

 人妻:「なので試しにこれ飲んで、効果があるか試して下さい♪」

つまりダンナに飲ませる前に期限切れのコレをオレに飲ませてみて
効果があるかどうか実験したい、って事なのね(--;)

ま、拉致されて無人島に放置され飼育&観察されるよりマシか<ばき

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でも、確かにちょっと面白そうだ。この手のモノは大体マユツバ
だろうけど、まあ飲んでも死ぬことはあるまい。万が一生えても
別に今の自分にはプラスにもマイナスにも働かない。だが職業柄
実験と検証が大好きな自分は、こういうネタは積極的に食いつく
タイプだ。なのでこれを頂き、しばらく定期的に飲んでみた(自爆)

…ん~、何の変化も(つまり進行速度に負の加速度を与える
事が無くて)感じられないな(--;)<ばき

まぁ「健やかな毛髪環境を整える」なんて軟弱な事を歌ってる
ようなシロモノじゃ、オレの今の(抜け毛の)勢いは押さえられ
ないわな(^◇^;)

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ちなみにこれはDHCの商品としてはマイルドなモノらしい。
女性ホルモンを配合した強烈版もあるらしいけど、それは
史上最強の有害な環境ホルモンを大量に飲み干すような
シロモノなのでパス。女性ホルモンは抜け毛には必ず
効くんだけどね。

タダだから飲んでみたけど、自腹を切ってまで飲みたい、
とは到底思わんよ、この瓶で2100円もするらしいから。

 

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2006.08.25

BPレガシィの燃費計に思う事

ちょっと前に、エンジン丸ごと新品交換、という大手術を終えた
我がBPレガシィ2.0i(5MT)、実は近日に別件でまた一週間程の
入院が確定している。…この個体、ハズレだったかな(._.)?

少なくとも富士重工は自分にこの車を売って得たであろう利益を
全て失っている事は確実だろう。何せ実質4*万もの値引をされた
価格で販売してるのに、納車後にステアリングやらパーキング
ブレーキ廻りやら、果てはエンジンassyまでも、新品交換の憂き
目に遭ってるのに、さらにそれプラス、これからアレも…だもの。

でも、スバルは、ヘタすればクレーマー扱いされかねないような
事まで含めて全てを気持ちよく対応してくれているので、印象は
悪くない。一ヶ月点検の際に指摘した異常を気のせい、とその
まま返却され、その後も何度も指摘したがその都度違う答えが
帰ってきたりもしたけど、結局自分の主張が認められて無償で
対応してくれる事になったから、結果オーライだ(^^;)

初期トラブルはいくら出て来てもいいのだ。それが全て改善され
より良い方向にさえ向かってくれるのならね。例えるならそれは
結婚したての男女みたいなもんだよ、何度も衝突を繰り返しつつ
そうやって少しずつ馴染んで行くのさ♪

ま、それはあくまで互いが互いを必要としている二人だけに
成立する
って事を、…悲しいかな実体験しちまったから
誰よりもよく判るんだけどね…

おっとっと、話がアッチのアサッテに進む所だった、元に戻そう。

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一週間単位の入院修理に出す事がちっとも苦でないのは
他にもう一台アトレーがあるので、レガシィが無くても何一つ
困らない、という事と、修理の度に毎回色々な代車に乗れる
楽しみがあるのが大きい。

以前も卸したてのスゲェ代車を気楽に貸してくれたり、正直な所
ガッカリだった代車(これも新車!)も一週間貸してくれたしね。

今回の入院では乗った事の無いレガの2.0GTか3.0RのSpecB
(当然MT)に乗りたかったのだけど、どうやらそういう紳士的な車、
じゃなく以前タップリ楽しませて貰ったトルセンLSDと羽根付きの
『連邦の白いヤツ』をどうも丸々一週間借りることになりそう(^^;)

代車が6MT車でもOKっていう客はあまり居ないらしくて、そんな
凄まじい車にちょくちょく乗れるチャンスが自分に廻るらしいのだ。

乗り物としては単車と同じような最上級の愉しみを誇るGDBだが、
唯一の問題は、このガソリン高の時期に燃費を考慮してないハイ
オク仕様のハイパーターボ車って事かな。ま、ガス代だけで高い
タイヤを思う存分磨り減らせると考えれば安いもんだけどね(^^)

GDBに付いて語ると長いので我が2.0iが全て完治したら、それや
想定ガイの2.0Rの比較を含めて一本ネタとして書く予定。

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前置きが長くなったけど、今回は、BPレガシィに標準装備されて
いる燃費計について思う事をツラツラ書いてみる。

ダッシュボードの中央にある、そのデジタル表示は、色々機能が
あるけど、一番使い物になるのが時計、そして瞬間燃費計と積算
燃費計。以下はちょっと前に借りていたB4の2.0R(4AT)のそれ。
自分の2.0iと同じように同じ所を走ったのだが、何と!4.4km/Lしか
走らなかったその証拠画像(--;)。なお満タン法だと4.2km/Lだった。
2.0i(5MT)なら9km/Lは走るシチュエーション&コースなのに…

これでハイオク仕様だからなぁ(TT)

この燃費計、表示を見ているとその数値にビビってしまい、気持ち
よくアクセルが踏めなくなったりする効果がある。どうもターボ車は、
それがかなり燃費に効くらしくて、ディーラーのサービスマン曰く、
スバルののターボ車の燃費が最近良くなった、と言われるのは、
技術革新ではなく、この燃費計の効能らしい。

実は面白い事に、この瞬間燃費を見ながらビビってアクセルを踏ま
ないで走るよりも、車外温度あたりを表示させておき自分の経験を
元にしたエコラン走行をしてる方が満タン計測法で燃費が良くなる。
つまり機械まかせよりも人間の感性の方が優秀らしい(^^)<ばき

また積算燃費はここで表示される数値と満タン計測法の間に多少
差が出るのが普通だ。ほぼ確実にズレが生じる。

多くは表示よりも実燃費が悪いパターンだが、自分の2.0i(5MT)は
半々くらいの確率で表示より実燃費が良かったりする。この原因、
確証はないので想像の域を出ないが、以下のような理由があるの
ではないかな?と思っている。

 悪い場合:加速や減速、ストップ&ゴーが多い
 良い場合:燃料を使わずに走る距離が長い

つまり実燃費の方が悪い場合、車速の微分値の絶対値の増加に
伴う燃料の消費量の変動が移動距離に比例せずに誤差を生じ、
それが積み重なって結果大きなズレが生じるのではないだろうか?

そして良い場合は車速に対して燃料消費量が極端に低い場合に、
計算上ゼロに近い値で除算する事が出来ない為、そういう場合に
ECUに設定された、実際のそれよりも多い仮の燃料消費量がこの
計算に用いられるのではないか、と思うのだ。

…何を言っているか判らん、という人は…いるだろな(^^;)<ばき
特に後者の意味は不明だ、と。でもMT乗りは、自分がここで何を
言ってるのか判るよね(^^)?

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自分は車を運転する時、かなりの確率でニュートラルで走ってる。
つまり加速後にギヤをニュートラルにして、惰性で走るのだ。
これはある意味、MT車ならではの特権なのさ。

70km/Hくらいまで加速された1.4tonもの鉄の塊はそう簡単に
速度は落ちないので、前方が開けていて後続車が無ければ、
誰にも気兼ねなく惰性で走りまくる。長い下りがあればギヤは
入れたままクラッチを踏み、重力加速度を最大限に使い燃料を
使わず速度を乗せてゆき、その後エンブレはあまり効かないが
燃料カットを目論んで5速に入れて実用速度を保って下るのだ。

こうやって走る時には殆ど燃料を使わず車は高速移動している。
瞬間燃費計はその時50km/Lを示すがこれ以上の値は表示され
ない。つまり、実際は燃料カットされているからゼロで除算されて
瞬間燃費は∞になるはず。ちなみにニュートラル惰性走行時は
アイドリング分のガソリンは消費しているので∞とはならないが
50km/Lよりも良い燃費で走っているはずだ(笑)

この誤差が積もり積もって実燃費の方が良いという方向にズレ
るのではないか、と思うのだ。あくまでも想像の域だけどさ(^^)

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自分が使う四輪用エコラン技は惰性走行重力加速以外に
例えば登り坂の手前で加速しといて坂の途中で余計にアクセル
を踏み込まない、等だけど、それよりも効果が期待出来るのは
ブレーキをいかに踏まないで走るかって事だと思う。

余計な速度を出さず、廻りの状況を見極めながら適度に速度を
乗せて、エンブレを多用して減速する事でブレーキを踏まずに
すむようにすると燃費が面白いようにズルズルと伸びるのだ。

それにこれだとタイヤも減らないし、ブレーキパッドも長持ちして
トータルランニングコストの節約にもなるよ、オススメするぜぃ♪

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以下蛇足:

ちなみに重い四輪も軽い二輪も含めてエコランに最も効果がある
のは「アクセル開度の微分値を極力変動させないで走る」事だ。

…判る人には判る、よね(^^)?

 

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2006.08.21

私的熱帯夜安眠法

今は夏の真っ盛り!、なので当然のように暑い日々が続いている。

今まで暑さ対策についていくつかミミっちく恥ずかしい対策ネタを
UPしてきたが、今回は以前UPしたネタのうち、冷房の無い暑い部屋で
少しでも快適な眠りを得る方法
の最新バージョンを具体的に画像で
説明しつつ簡単に解説してみる。

自分のように諸般の事情でエアコンが無い所に住んでいたり、それが
あっても使えなかったり、エネルギー問題、地球環境問題の事を少し
でも考えるだけの精神的な余力のある同志諸君らの、少しでも参考に
なれば、いや最悪は笑い話のネタにでもしてもらえば本望だぜ(^^ゞ

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使うものは以下の画像にある3点だけ。

Bedzairyo

 1)身体を浮かせて保持する通気性のある素材のキャンプ用ベッド
 2)吸湿性と通気性のある厚めのシーツ等
 3)小型扇風機

たったこれだけでいい。ちなみに上記画像の物はベッドが1800円、
シーツは引き出物、扇風機は1280円。なおこのベッドは可搬性重視の
タイプで構造も布地もヤワなので、出来たらもう少し剛性の高い物の
方が寝覚めの快適さを考えたら良いと思うが、コストを抑えたければ
夏の海岸で使うようなビニール編み地のサマーベッドでもOK。

ただし、脚の設置面に相当の加重が掛かるのでこの画像にあるように
ベッドの脚を畳に直接脚を置かず、週刊誌や電話帳等で畳を養生する
事はお忘れなく。

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このベッドに、さっきのシーツを被せる。この画像のようにベッドの
左右の空間を布で塞ぐのが最重要ポイントだ。こうする事によって、
身体を中空に浮かせるベッドに、通気性のあるエアダクトの機能を
持たせる事が出来るのだよ。

Bedtochuu

そしてこの『┏┓』の形状の足元側の開口部に、小型扇風機を設置し
ベッド下の空間の内部にその送風が吹き込むようにするのだ。

Bedsouhuu

はい、これで完成♪

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この状態でこのベッドに寝転がると、一体どういうことになるのか?

身体には直接扇風機の風は当たらないが、体重でシーツに押し付け
られている身体の底面が布地を通して常に通風に晒されて、そこから
体温が放熱され続けるのだ。これだと中に入らない風も少しあるので
足の方も涼しい♪。もしそれじゃ困るなら、ダンボールとガムテープで
適当な簡易ダクトを作ればOK。

たったこれだけの組み合わせだけど、そのコストパフォーマンスは
相当高いぜ♪、少なくとも自分はこれで室温33度でも楽に寝られる
ようになったもの。

ちなみにこの方法は、以前紹介した四輪車のシート用に愛用している
尻冷えマシ~ン」にインスパイアされて考えたものだ。ちなみに
この「尻冷えマシ~ン」、自分の四輪生活では手放せない優れモノで、
レガシィとアトレーの夏の必須装備として両方の運転席に載っている。
またそれだけでなく、以前紹介したように自宅で日常座ってる椅子も
コレを使っていて、扇風機と併せて使う事で我が家のエアコン無しの
生活を成り立たせる主要装備の一つだ。

大げさに言えば、日常で自分が座るイスには全てにこれが装着されて
いる、と言っても過言ではない(^^;)

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元々は上記で紹介してるキャンプ用ベッドを使って身体を浮かせて
寝る事によって熱帯夜の睡眠を確保していたのだが、尻冷えマシ~ン
を寝る時も使えばより涼しい眠りが得られるじゃん♪、と考えて
その後、様々な実験を試みてみたのだ。

その結果これを睡眠に使うには以下のような欠点がある事が判った。

 1)噴出面が中央の幅30cm程しかなく、上に寝ると涼しい部位が
  限定されてしまう。

 2)車のシート用なので、その長さでは全身がカバーしきれず、
  効能が得られる所が頭と背中と尻までに限られる。

 3)そうなると送風用ファンの位置が必然的に頭側に配置せねば
  ならず、その場合寝るには意外とウルサい。

 4)送風を確保するため採用されている凸凹付プラスチックベースは
  やわらかい車用シートの上で使う事を想定してあるため硬くて
  突起が荒いのもあいまって長時間寝てると痛い。

 5)弱いながら直接風を受けるので皮膚が乾燥し痒くなったりする。

・・・これじゃダメじゃん(-◇-;)

で、その後色々な創意工夫を試行し、結果辿り着いたのが上記の方法。
これが一番単純で、一番効果があった。ちゅー事で、貧乏な地球に
やさしい同志諸君、こんな方法もあるよ、という事でご参考まで(^^ゞ

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で、実はこの原理、今年から商品化されて売られるようになってる。

それは以下のURLにある「空調ベッド」。布団の上に厚さ1cm程の流動
空気層を設けて、そこに通風する事で本来蓄熱される体温を排出する、
というモノ。つまり原理原則は上記で紹介した方法と全く同じ(苦笑)

http://www.rakuten.co.jp/pc2b/833334/

大した仕組みじゃないんだけどだからこそ優れモノだ。思わず自分も
買おうかと思った程だ。でも値段を見て止めた。高すぎる!だったら
自力開発の「キャンプベッド・布ダクト・扇風機方式」を今年も使って
乗り切ってやるよ:-p

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以下蛇足:

 ちなみにこれや空調ベッドは一人で寝る分にはいいけれど、二人や
 それ以上になったらアウトだと思う。なぜなら、人間はそれ自体が
 相当の熱量を持つ発熱体だから。つまりこの手の方式は風によって
 排出した熱を迅速に屋外に捨てられれば良いけども、殆どは屋内に
 吐き出されるため、結果として室温が上がる事になりそうだから。

 ま、冷静に考えれば「空調ベッド」を二つ買う金を出せばエアコン
 買えるから、それならば素直にエアコンを買った方が安いし簡単で
 ずっと快適だと思う。第一エアコンがあれば真夏でもH出来<ばき

 このビンボー技はあくまで寂しい一人寝用なので悪しからず:-p

 

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2006.08.16

久々に野宿旅(後編)

旅路の途中で昼間から青空の露天風呂を満喫してダラダラして
いた自分の携帯電話が、メールの着信を告げた…所から再開。

以下、中編からの続き

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旅に出ていると日常生活よりもメールを受ける可能性が高まる。

それは旅する方面にいる仲間に「行くよ」という予告を行ったり、
現在どのあたりにいる、というリアルタイム速報を流すからだ。
そうすると近所の(と言ってもその半径はかなりデカいが)仲間
から色々な役立つ情報が得られたり、たまに飲み会とを企画
してくれたりするからだ(^^)

実はこの辺りにも自分の仲間がいる。だから最初てっきりその
仲間からのメールなのか?と思った。だがそのメールは仲間は
仲間でも「バイク仲間」でなく、地元の「別の仲間」からだった。

その内容の詳細は語れないが、色々な事情により明後日、
つまり8/17から急遽出勤する必要性がある事を告げていた。

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そんなのイヤだね、やっと取れた休みなんだ、オレは意地でも
旅を続けるぜ!だから無視無視!!…と、やっても、多分自分は
責められはしないだろう。色々なモノを犠牲にしてここまで来た
事を、色々な人に判ってもらっているからね。

でも、今の自分は、それを出来るとしてもやってはいけない。

人として「責任を負う」っていう事がどういう事かもう判る歳だし、
「責任を果たす」事が、自分の役割を果たすだけでなく自分の
廻りにいる人たちに役に立てるって事だから。そしてその結果、
今以上に自分が認められ、もっと必要とされる事で廻り回って
社会ってものが成り立っている、そしてそれが自分の得、には
ならなくても「徳」になる事が理解出来るから。

だから、とりあえずすぐ折り返し相手にメールではなく電話を
かけ、詳細を聞く。…なるほど判った、その日には必ず戻る、
とだけ短く告げ、約束を交わして電話を切った。

これで、自分の今回の旅は明日8/16で終わる事が確定した。

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自分なりの「一人旅の極意」とは「臨機応変」だ。

立ちはだかる現実や現状、現場から逃げださずに受け入れて、
その時点での最良の道を選び、そちらへ進む。それを全て自分の
責任と権限を持って決定し、実行するのだ。

悪い事は避けられるのなら持てる全力を使って避ける。例えば
旅先で雨が降りそうなら、降らない方向に進む、とかね。でも
避けられないのなら(避けてはいけないなら)全力でそれを受け
入れ、それを現認しながら対応する。これこそ「旅」なんよ(^^ゞ。

恥も外聞も、何もかもをかなぐり捨ててでも、逃げ出さなければ
ならないのは…万が一元カミさんにばったり再会しそうにな<ばき

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だから、自分は非日常である旅の最中でも携帯電話を持つ事で
日常と完全には切り離されずに常に繋がった状態を保っている。

…と、言うよりそれを持たずに日常から「非日常」に逃げ出したと
しても、実は「非日常」そのもののような気がする「旅」と、単なる
日々の「日常」は、まるで異質な異次元への瞬間転位や、かけ
離れているエネルギーバンドへの励起を果たしたのかのような
イメージがあるかもしれないが、実は若干の凹凸や異なる刺激、
そのクロックに差はあるけど、途切れる事なくずっと続いてる
たった一本の同一の線上に連続して存在している。

その一本の線、とは…「人生」であり「」そのものだ(^^)

晴れる時もあれば、雨の時もある。最高のシチュエーションも
あれば、最悪のトラブルだってある。それが「旅」(=人生)だ。
何もかもを全てひっくるめた上に、初めて成り立つモノなんだ。

だから何があろうとも、常にその時々を楽しまなきゃ♪

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そうと決まればこの旅のプランは根底から練り直しだ。
8/17に出勤と言う事は8/16中には帰宅する必要がある。

要はこの旅は最長でもあと一泊で終了。しかも確実に帰る
ためにはもう北上して「現実」から遠ざかる訳にはいかない。

逆に非力なTWを労わりつつ帰る為に、距離を詰めなければ
ならない。ここからだったら、関越道か中央道を使って帰れる
ような場所に向かわねばならない。そうと決まれば即断即決!
広げた荷物を纏めて、南下コースを取り再び走り始めた。

今以上に南下するとなると、東北版ツーリングマップルでは
地図が足りない。そこでR290を少し南下した所の商店街の
本屋に飛び込み関東甲信越版のツーリングマップルを購入。

さらに県道295号を南下し、県道226号に繋ぎ、田舎道を満喫
しながら再びR290に乗って南下、上谷地から県道9号に乗り
ひたすら南下を続けた。

東北ツーリングマップルのP16だけを見ていたので、その後
R289に乗換え、東に向かった、てっきりそのまま通過出来る
と思っていたのだが、地図を切り替えるため、道の駅「漢学の
里・しただ」に入り、ページをめくったら…R289はなんとまだ
全通してなく途中で終わってる事に気が付いた!(同P11)

慌てて県道9号に戻り再び南下、県道317号に乗って一路
ひたすらに南下を続けた。

(2006年度版東北ツーリングマップル P16 Cの7)

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県道317号から三度R290に乗って道の駅「R290とちお」に
到着。地図の先を読まずにミスりかけた教訓から真面目に
今後のルーティングをやり直した。

このまま関越方向に進み越後湯沢辺りのキャンプ場に行くか
それともガンガン走って、暗くなる前に長野まで辿り着いて
そのあたりに泊まるか、を考えた。この時点で14:00だった。

前者だったら、越後湯沢だと近すぎるので水上あたりまで
足を伸ばせる時間だ。だけど、山を越えたら関東の天気に
なる。トンネルを抜けたら…っていうのは前日の二の舞に
なる可能性がある。

後者だと、雨はともかく、この時点で既に300km近く走って
いるのに、もっと長い距離を稼がねばならなくなる。そして
翌日は長野自動車道から中央高速を使ってスーパーロング
高速走行を年老いたTWに強いる事になる。

…よし、関越ルートだ、そして山の手前の辺りを目指そう。

名物のあぶらげも食わず再び走り始めた。R290をひたすら
南下して、次にR252に乗るが、このままずっと国道を走り
たくなかったのでその左脇を走る県道70号に換え、素朴な
田舎の風景を楽しみながらTWが得意とする60km/H以下で
残り少ない旅路を楽しみながらテケテケ♪と走り続けた。

(2006年度版東北ツーリングマップル P11 Aの7)
(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P95 Aの7)

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県道70号を南下し切った所でついに関越道にブチあたる。
そこでその近辺にある、道の駅「ゆのたに」に入り今夜の
宿泊場所を探す事にした。

北海道だと、目を瞑って地図に指を突き立てればだいたい
その近所にハイグレードな無料キャンプ場があるし、東北も
それほどではないにしろ、ある程度自由度が高くコストの
安いキャンプ場がそこそこ点在している。だけどここまで
南下すると、そういうキャンプ場は少なく…と言うよりも、
キャンプ場自体がえらく少ない事を地図で知る事になった。

地図には道が複雑に入り組んで沢山走っている様が、つまり
良くも悪くも開けてしまっている事が記されてた。…そっか
ここはもう立派な「都会」なんだよね。

湯沢あたりまで南下するといくつかあるが、料金が高くて
単車の乗り入れが出来ない、などイマイチの所ばかりだ。
いっそ宿を取るか、この辺りはスキー客用に宿泊施設も
整ってるし、と思ってそこにあったパンプのいくつかに
連絡してみたが、さすがに一年で一番旅行客の多いハイ
シーズンだけあって、空いてない。

不本意なキャンプで行くか、もっと宿を探すか、少し悩んだ
時に、地図を見たらすぐ近所にある関越道の小出ICが、
南端の浦和ICから205kmしか離れてない事に気付いた。
あらら?今は意外に近い所にいるんだね。

…ここで、今朝に聞いたラジオのニュースを思い出した。
たしか、盆休みのUターン渋滞が今日あたりから始まって
明日からどんどん酷くなる、って言ってたっけなぁ…
そういや明日は関東は天候が崩れて雨、とかも言ってた。

…ちゅーことは、ココで無理して一泊するよりも今日中に
一気に帰ってしまった方が、実は良いんじゃないの(^^;)?
それだと野宿放浪旅をタップリ楽しむ、という前提のはず
だったこの旅が、僅か一泊二日のキャンプツーリング、に
なってしまうけど。…少し悩んだが、これも即断即決!

 よし!今日で帰る!

時刻は16:00だった。

------------

この時点で、本日の走行距離は下道のみで300kmをゆうに
超えていた。ここからさらに高速道路を200km以上走ると
言う行為は英断というより蛮行のようにも思えた。なにせ
今一緒に走っているのはそういう長距離走行の得意なTDM
じゃない、たった200cc、僅か16馬力の空冷4スト単気筒の

TW200
なのだ。

…でも、今の自分とTWならばやってやれない事は無い。
コイツならちゃんとやり遂げてくれる、自分もコイツを
壊さずに最後まで操ってみせる。だって俺らは共に「旅」
する一心同体、そうそう、「無敵」なんだから(^◇^ゞ

な~に、最悪、明日中に帰ればいいんだ。それに何だったら
途中のSAや、PAでゲリラキャンプして一泊したっていいのだ。
外にあるベンチや、屋内の一服コーナーで寝込むための必須
アイテムであるアイマスクや耳栓も、TW用のウェストバッグ
には常備してあるし(笑)

そうと決めたらとっとと動く!、高速に乗る前にガソリンを
給油した。高低差のあまりない、信号も少ない県道メインで
130.3km走って、給油は3.0L。つまり燃費は43.4km/Lだった。

以前北海道で叩き出したベスト燃費45km/Lには届かないけど
それに準じる低燃費を叩き出してくれたぜ。サンキュー♪
段々調子を上げてきたのに、これからまた酷使しちゃうけど、
オレも頑張るから、オマエも頑張ってくれよ。

そんな気持ちを込めてアクセルを捻り、すぐ傍の小出ICから
関越道に乗った。

高速道路は前日に嫌という程走ったはずなのに、久々に走る
そんな気がしていた。それはこの2日間の「旅」が短いけれど
中身の濃い、充実して満足の行く内容だったからだと思う(^^)。

そんな旅路を思い返しながら、最高速は90km/Hに押さえて
再びどんな車両よりも遅い速度で高速道路を走った。

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P87 Iの7)

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関越トンネルまでは上り坂が続く。荷物満載の非力なTWには
かなりハードなシチュエーションだ。心なしか、旅の初日、
つまり前日だけど、それよりタペット音が大きくなっている
気がする。そんなエンジンに余計な負荷を掛けぬよう大きい
コンテナを背負ったトラックのすぐ後ろのエアポケットに入り
追突に注意しつつ、粘っこい空気を切り裂いてもらったその
後ろをちゃっかり走った:-p。

前方には関越トンネルが見えてきた。

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P79 Kの7)

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長い長い関越トンネルを抜けたら…前日のように雨なのか?
と思ったけど、それは無かった、でもやっぱり曇天、今にも
降ってきそうだ。これ以降の道中、雨は覚悟しないとなぁ。

気を引き締めつつ、それでも心の中では降りませんように、
と祈りつつ(-人-;)、そのまま淡々と高速を突っ走った。

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P70 Mの5)

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赤城高原SAが近付いた。入り口にはそこに入るための渋滞が
発生していた。よく見ると、「給油最後尾こちら→」と看板を
掲げた警備員らしき姿が見えた。

高速道路の給油所で売っているガソリンは下道よりも安い。
レギュラーで137円/Lだ。だからどうも高速を降りる前に
ガソリンを満タンにしよう、という車が多いようだ(苦笑)

それを横目に見つつ、全力走行しているTWを左手アクセルで
コントロールしながら、ひたすら南下した。

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P71 Cの7)

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渋川伊香保ICの手前で、空がにわかに暗くなってきて、突然
大粒の雨が降り始めた。次の駒寄PAまではまだ5km近くある。
路肩に止まってカッパを着るかどうか瞬間の決断を迫られる!

空を見上げると雲には濃淡がある。今頭上にあるのは暗くて
分厚い雲だが、その左右は薄明るい薄い雲。つまりこれは
通り雨だ。そう判断して、そのまま走りつづけた。

雨はその後すぐ止んだ(^^)。なのでそのまま南下を続けた。

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P63 Bの7)

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高崎Jct、藤岡Jctを通過し上里SAに近付いた。そろそろ給油
しないとタンクの小さいTWでは後々が辛くなる。さっきまでの
下道走行ならば40km/L位で走るTWは高速走行だと極端に
燃費が悪化するから。

でもさっき赤城高原SAで見た安いガソリンを求める四輪車の
群れがもしあったら、単車の我らはその最後尾に付いて相当
長い時間待たねば給油出来ない、なんて事にならないか?

空はどんどん暗くなってきて、雨が降る傾向を見せている。
降る前に少しでも走っときたいんだけどなぁ。どうせ数Lしか
入らないから、10円高くていいから先に入れてくれぇ<ばき

そんな事を考えながら上里SAに入った。そしたら給油
渋滞の最後尾がすぐ目の前にあった…_| ̄|○

愕然としながら、渋々その列に並ぶ。10分ほど待っても、
殆ど車列が動かない。こりゃ給油だけで1時間以上待つんじゃ
ないのか?それでもここで給油しておかないとガス欠になる。
数円ケチる四輪と違って、こっちは死活問題だ!

そう思っていたら、前方から係員がやってきた。

 係員:「バイクの方は前方の左側に並んでください」
 ino :「え?いいの(^^;)?」
 係員:「車の給油のタイミングを見て、係員が誘導します」

助かった!なんとガソリンスタンドに向けて3列!に並んで
いる長い長~い車の列を一気に飛び越え、単車の列に並ぶ。
四輪さんよ、そこでそうやって、エアコンかけながらずっと
アイドリングしてたら数円安いガソリンを入れるメリットが
吹き飛ぶんじゃないの(-◇-;)?<ばき

え?自分?当然待ってる間はTWのエンジンを止めてるよ(笑)
すると僅か数分で、係員が溜まった単車の一群を先にGSに
誘導してくれた。おお、感謝感謝 (T人T)

100%高速道路走行で129.7km走って、ガソリンは3.9L入った。
つまり燃費が33.26km/L。さっきまで43km/Lで走ってたのに…

Twsa1

係員のお陰で時間が節約出来たので、ずっと走りっぱなしで
草臥れた体と眼を休ませるべく、少し休んだ。水分補給して
パン屋でメロンパンその他を買い、飲み食いしてたら、雨が
降り始めた。あっちゃー、やっぱり来たかよ。

でも幸か不幸かここはSA、ゆっくり屋根つきの所でカッパを
着よう。作業用耐油グローブ、ブーツカバー、そしてカッパ。
これでどんな豪雨がやってきても、一応大丈夫だぜ(^◇^)
その姿で上里SAを後にした。

すると雨はさっきと同じ通り雨だったようですぐ止んだ_| ̄|○
ならば着続けることは無い、すぐさま隣の寄居PAに飛び込み
儀装を解いた。即断即決、臨機応変だからね(笑)

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P55 Hの7)

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この辺りからUターン渋滞がどんどん激しくなってきた。

それまでも赤城高原SAのあたりとかで数kmの断続的な渋滞は
あったが、ここらで10km単位の渋滞が頻発してきた。

単車だから渋滞して流れが完全に止まっていても車間を走り
距離を稼ぐ事が出来る優越感をひたりつつ、他の単車と共に
ひたすら先を目指した。

半帽、Tシャツ、素手、裸眼でゴーグル無し、ととんでもない
姿で250ccのスクーターに乗るにーちゃんと並走していたが、
高坂SAの手前で、遂に本格的に雨が降ってきたのでそこに
飛び込み、さっき脱いだばかりのカッパを装着した。

一緒に入ったさっきのにーちゃんはデカイトランクのある大きい
スクーターなのに、カッパを持ってないらしく、大雨に呆然と
して、どこかに電話してた。もっと色々な経験を積みな(^◇^)

雨の中、再び走り出す。関越道ももう少しで終わりだぜ。

(2006年度版関東甲信越ツーリングマップル P47 Mの7)

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その後、料金所で単車専用レーンが左端にあるのに気付かず
四輪の後ろにバカ正直に並び時間を食ったりしたが、後は
それなりに順調に帰ってきた。再び別の高速に乗った時には
もう雨は上がっていた。なのでとっととカッパを脱いだ(笑)

Twsa

こうやってその場の状況に応じてどんどん臨機応変で対応
するのが「旅」、カッパやジャケットも立派な一要素なのさ(^^)

自宅に近付いたあたりで、今回の旅の最後となる給油をした。
渋滞の高速メインで少し下道を127.5km走って、3.9L給油。
つまり燃費は32.7km/L。都会を走るとやっぱこうか(^^;)

結局この日だけで550kmも走ってしまった。一日で最長
不倒距離記録をあっけなく更新した事になる(苦笑)

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疲れ果てて、自宅に辿り着き、とりあえず装備をそのままに
したTWを庭先に置いて、部屋に入った時に無意識に口から
こんな言葉が出て驚いた。

 ino :「…ただいま」

でも、当然だけど、それに答えが返ってくる事は無いわな。

その時に瞬間的に気が付いた!、自分の日常の生活、実は
今回のような「一人旅」そのものなんだ、って事に。

七輪で料理して、庭先にタープを張り銭湯に行き、一人で
自炊し、日中は人々と交流をもちつつ、夜は一人で過ごす
これって、野宿旅とまったく同じ生活パターンじゃんか(自爆)

つまり我が「一人旅」は離婚した時からあの時から始まり、
途中で色々なイベント(例えば今回の旅とか)があっても、
基本的にずっと途切れる事がなく、今も継続してるんだ、
そして、このままずっと、ずっと、ずっと…、だろう(苦笑)

でも、それが自分の現実だから、それを楽しんで生きよう♪

それに、自分の「一人旅の極意」は「臨機応変」だもの、
現状を見失わず柔軟に対応して、何かが起きてもその
時々の最適で最良の判断を、あくまで自己責任で実行
してゆく…ただそれだけさ(^^)/

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前日頑張ったおかげで丸一日ぽっかりあいたのんびりした
休日となった翌日、酷使したTWと、使ったキャンプ用品を
一通りメンテナンスして過ごした。もしチャンスがあれば
それを確実に掴んで、生かして、再び「旅」に出るために。

ご苦労様、TW。また一緒に旅しようぜ♪


 

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2006.08.15

久々に野宿旅(中編)

前編からの続き。

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十年以上使ってる愛用のテントは、今では考えられないけれども、
スポーツ用品で有名なミズノが発売した「ツーリング用テント」だ。
これは3本のポールで6角形を作り、その一部を前室として使う。

Twtent1

その中でキャラバン社の山屋用半身エアマットを使い、夏用の
コンパクトシュラフを使って「生活」するのだ。シュラフは標準
でも十分小さいのだが、シュラフコンプレッサーを使って12cm角
くらいまで圧縮し持ち運んでいる。

これでも最初は安々テント+でかいシュラフ+銀マットだったが、
回数を重ねる毎に、使えないものは淘汰され、使える物は継続し、
良さそうなモノは躊躇わず導入して使い、良ければ採用、ダメなら
不採用、を繰り返した結果、このスタイルに辿り着いたのだ。

そんなテントの中で、自然に目が覚めた。時刻は05:00だった。
疲れて自然が求めるまま本能に従って眠りに付いて熟睡すると、
結果「早寝早起き」しちゃうもんだね(笑)

でも、まだ前日の疲れが残ってる状態なのでうとうとしてる。
目を覚ますつもりで、ラジオに火を入れて、ザラザラした音楽を
聞き流し、その後の天気予報とニュースを聞きながら徐々に意識を
覚醒させて行く。今日の天気は太平洋側が雨、日本海側が晴れ。

…よし、行くべき方向は西に決めた。「旅」っていうのは予定
じゃなくこうやって現場の臨機応変で行先が決まるものなのだ。

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昨夜食い損ねたおかずを使って、そそくさと朝飯を支度し、食す。
06:00頃には朝日がテントに照る。何か幸先が良い気がするぜぃ♪

Asahi

Twtent

我ら単車の遊牧民は住まいの撤収も早い。何せ暗闇でも手探りで
パッキングが出来るほど馴染んだ道具達なのだ、それを手際よく
ソソクサと片して行く。その間シュラフを朝日で干すのは当然さ。

最後にフライシートを外し、裏面に付いた露をふき取り、フライ
は立ち木に引っ掛けて干し、テントもひっくり返してグランドを
天日で干す。こういうのは儀式にして、日常みたいなもんだ。

魂を込めてテントをたたみ、パッキングする。魂の入り方が中途
半端だと、テントの荷姿は確実に一回り大きくなってしまうから。
…よし、全て撤収完了、ゴミも一つたりとも残ってないぜ!

と、思ったら、テントの下からこんなモノが出てきた。

Ringtab

小学生の頃、よく見たな。ちゅー事は一体何年前のゴミだよ(-_-;)

エンジンを掛けると静かだった山の朝に違和感ある人工造音が
響く。200cc空冷単気筒、ノーマルマフラーのTWですら自然の中
ではこんなに五月蝿いんだよね。ちょっと罪悪感を覚えた。

(東北ツーリングマップル P13 Fの1)

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一夜を過ごした背炙り山を後に走り出す。朝の気温はTシャツに
メッシュジャケットを羽織った状態で丁度心地よい快適な温度
だった。

R118に乗り、そのまま北上、R121を左折し、すぐ県道69号に入る。
ゴミゴミした国道を走るよりも、気持ちいい県道、農道を走る方が
遅いTWで旅を楽しむために良いのさ♪、だからそういう道を選んで
走るのだ。

この県道、微風で波打つ緑の湖面のように美しく整っている田圃の
真ん中を綺麗に貫通している。そんな田圃を眺めながら40km/Hで
走る。青い空、白い雲とあわせたコントラストが最高に綺麗だ。
ああ、なんて美しい風景なんだろう…心が心底和むゥ(^^)/

Tanbo

止まって写真を取って、足元に流れる用水路を覗き込むとそこに
子鮒?らしき小魚が泳いでた(^^)。もー言う事無し♪最高だね♪

そのまま県道69号をずっと北上し、R459を西に進む。走りながら
何か見たことのある風景だと、気が付いた。あれ?何でだ?

そのうち、左手に見えた大きい駐車場のあるみやげ物屋を発見し
全てを思い出した。ああっ!この道は、以前来た道だ。あそこは
喜多方ラーメンを食った後に走り始めてすぐ、雨に降られカッパ
を着るために止まった店!、ということはこのまま西に行くと…
ああっ!ここはあの時にラーメンを食った店だ!懐かしいなぁ。

…そっか、無意識でこの道を(逆だけど)進んでたんだね…

こんな事を思い出すのは、この世でもう自分一人だけだ。だけど
自分だけにとっては楽しかった思い出の一つ。だから、それを
忘れずにいよう、でも今回を最後にもう思い出す事は無いだろう。

湧き上がる万感の思いを込めてラーメン屋の多い喜多方の市街地を
駆け抜け、R459をそのまま西に進んだ。

(東北ツーリングマップル P18 Aの2)

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このあたりのR459は、とても国道とは思えないほど狭くて曲がり
くねっている。一車線も無さそうなほど狭い所も多々ある。TWは
そんなコマい道が結構得意だ。速度は遅いが、気持ちよく走る。

途中、こんなオブジェを見つけたので、TWを並べて記念撮影(笑)

Twyamato

その後、道は綺麗に開けて絶好のワィンディングロードとなった。
超絶バンク角で攻めてもいいけど、そんな事をするよりも流れる
景色が素晴らしく、そっちを優先し50km/H程で小排気量単気筒の
振動無き純粋な鼓動感を楽しみつつ、ひたすら西を目指した。

そのうち、阿賀野川の雄大な流れの脇を走るようになる。山と森、
水面と、青空、程よい気温、頬を撫でる程度に身体に纏わり付き
戯れる風…全てが最高♪、も~~~っ最高ぅぅう!!(T▽T)

鹿瀬のあたりでこの日初めてのガソリン給油実施。下道走行のみ
157.5km走って、入れたガソリンは4.0L。つまり燃費は39.4km/L
ノーマルTWがあるべき本領を発揮するとこういう事になるのさ♪

R459はそのうち名前をR49に変えたが、かまわずそのまま走った。

(東北ツーリングマップル P17 Aの1)

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少し走りまくったし、暑くなってきたので一休みしたくて、看板が
出た道の駅「みかわ」で一服する事にした。この道の駅、便所しか
ない。どこが道の駅なんだ?と思ったら道を挟んだ反対側に寂れた
売店と自販機、もう一つ便所があった。そして、ここには不思議な
オブジェ「将軍様の杉」というモノがあった。どうも杉の巨木が
近くにあるらしい。なので一服する前にそれを見に行く事にした。

…それはまるで、ポセイドンの持つ鉾のような、杉の巨木だった。
だが色々いたんでて、この通りメンテナンスしてる最中だったのが
ちょっと残念だったが。

Shogun

廻りにある回廊を廻り眺めると、この天幕の中で「TREE-DOCTOR」と
書かれたツナギを着てドカヘルを被り、シリコンコーキング剤を
手に黙々と作業してる人が一人だけいた。

声をかけたらビックリしていたが、この杉について色々質問したり
廻りから生えてる他の杉が、実は根っこで巨木と一つに繋がって
いるのだ、という看板には無い話を聞くことが出来た(^^)。

こうやって、興味あることは何でも話し掛けて聞いてみるのが
自分の旅のスタイルの一つだ。老若男女問わず声をあけて話して
みる。ただし!若い女性だけは除く(苦笑)。なぜならそんな気も、
つもりも一切ないのに、露骨に警戒されたり、汚物を見るような
軽蔑した眼差しと侮蔑の言葉しか返ってきた事が無いから(自爆)

つまり自分は、そういう連中から「人」として見られてないのよ。

そういう連中を相手にするくらいなら、オバチャンやバァチャン、
オッチャンやニィちゃんの方が、よっぽど同じ人間や旅人らしい
愉快な会話が楽しめるのさ。残念ながら、コレ、実話だよ(苦笑)

その後、売店に戻り、冷えたコーラを飲み干し、今後のルートを
考えた。国道を走リ続けるのは不毛だから、山中を進む県道17号を
行くか…

そう思って、そっちに進んだけど出てきた看板はこんなのだった。

Twikidomari

あっちゃー、そうかよ、と思ってたら、車が一台止まった。
すかさずそのオッチャンに声を掛けて聞いてみたら…

 「ここはもう2年くらい前からずっと不通なんだ、金が無いから
  直さないんだ、オレも廻りの皆も 困ってるけど、直す気も
  無いみたいなんだよ。」

…なるほど、そういう裏事情があるんですか(^^;)
じゃあ仕方ないな、国道に戻ろう。

(東北ツーリングマップル P16 Lの1)

------------

R49をそのまま西に進み、途中でR290に左折、阿賀野川を渡って
五泉市に入った。そのまま国道を淡々と進んだ。

(東北ツーリングマップル P21 Hの7)

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走りながら地図を見たら、この近所に大きい銭湯があるようだ。
せっかくだから入ってゆこう♪、R290を逸れてそこを目指した。

五泉市村松にある「さくらんど」、平日昼間の入浴料は大人で
700円。ちと高いが、タオルセットを貸し出してくれるし、石鹸も
シャンプーもボディーソープもあるので何も持たずに飛び込んでも
大丈夫。露天風呂は本当に青天井で開放感は抜群だった。そこで
大の字に寝転がり、滅多に紫外線に晒さない(以下自主規制)まで
しっかり日光浴させ<ばき!

風呂上りに汗にまみれた着替えたシャツやら靴やらメットやらも
TWを物干しにして干した(笑)

Twmonohosi_2

こんなマッタリした時間を過ごしつつ、自分は日陰で地図を眺め
これからどう旅路を行こうか、と考えていた、その時に、携帯から
突然メール着信を告げる短いメロディーが鳴った。

(東北ツーリングマップル P16 Hの1)

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…ちょっと長くなりすぎたので、ここで一旦切って、後編へ続く。

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2006.08.14

久々に野宿旅(前編)

盆休みに突入し、準備万端TWと共に久々に野宿旅に出た。

実は初日を8/13(日)に定め、その計画が着々と進行してたのだが
13日に大寝坊コイて、その他色々あり結局出発出来ず(^^;)<ばき
大体そういう時は無理しちゃったりするので、往々にして良くない
事が起こるのだ。実際、その後で荷物を一通り再チェックしてたら
なんと!寝袋が入ってなかった!あっ、アブねー!(自爆)

慌てるナントカはもらいが少ない、ってやつだ、どうせ休みは
8/20まであるのだ
、のんびり行こう。

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翌日、8/14は朝から晴天♪よしよし。全ての準備も万端だぜぃ。

Traveledwarthog

使い込み厳選された愛用のキャンプ用品類と食糧(青いバッグ)、
キャンプサイトでの普段着や、もしもの時の一般人変身セット、
下着類3セットと、万が一テント泊が寒い場合を想定して防寒用
アイテム(スキー用タイツ&タートル&使い捨てカイロ)までもを
充填した衣類(黒いバッグ)、電気系用品や三脚、風呂セット、
歯ブラシ帽子等の日用品、地図類を納めたoff車用タンクバック。

これとTW専用のちょっと大きめのウェストバッグ、これで全て。
冬を除いたスリーシーズンなら、この姿のまま一泊でも10泊でも
一ヶ月でも半年でも、そのまま旅が続けられる装備だ。

そういや我が愛機TWをこの姿にしたのは以前四国を廻った時
以来だ。あれ以降、起せず寝かせ続けたTDMと同様、TWもこの
姿にさせられなくてずっと苦しんだよなぁ…

そんなTWのタンクバックに、お守りとして写真を一枚入れた。
…さあ、行こうか、相棒よ(^^)

Twcar

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目指すは東北方面。途中は省くが、東北道に乗って北上する。

TWの瞬間最高速度は120km/Hで、巡航最高速度は110km/H、だが
もうハタチ近いロートルマシンの相棒をそんな酷使するつもりは
無いので、80~90km/Hで一番左側を淡々と走る。そのくらいでも
公称16馬力のTWでは頑張ってる方だ。だからちっとも退屈でなく
十分スポーツ走行してる気分になる。風圧は大したこと無いけど
エンジンがビンビン!頑張って走ってるので少しでも助けたくて
前傾姿勢を取る。

TWの高速走行時はタンデムステップに足を乗せ、タンクバックに
胸を乗せ、ゼッケンカウルが跳ね上げる風をoffヘルのバイザーの
上に流すようなスタイルを取ると空力的には一番いいし楽になる。
ただしその様は傍から見ると相当カッコ悪いので要注意<ばき

たった200ccしかないけど一応単気筒なのでその速度域だと手が
段々シビレて来る。なので疲れた右手を休ませるために左手で
スロットルを握って、アクセルコントロールしながら走った。この
左手アクセルは慣れないと相当危ない(コケるぞ)。だけど慣れて
しまえば加速、減速、追越し、車線変更も自由自在だ。パイロン
スラロームだって出来るんだぜ(笑)

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タンク容量の小さい(7L!)TWは頻繁にガソリンを足す必要がある。
まあ普通のバイクよりも高速走行が草臥れるから、休み休み走る
には7Lくらいが丁度良い、という効果もあるんだけど。

とりあえず蓮田SAに入る。盆休み故かムチャクチャに混んでいた。
荷物の上に括った大シェラカップを使い無料サービスの冷水をその
マイカップで大量に汲んで、一気に飲み干す。単車で走ってると、
汗がすぐ乾いてしまうため、あまり汗をかいた気がしないが、実は
大量に水分を失っている
ので、休憩で水分補給が欠かせないのだ。

その度に自販機で清涼飲料水を飲んだら、旅のコストが高くなる。
だから自分は使い捨ての紙コップすら無駄にしない自前のシェラ
カップでタダの冷水やお茶をガブガブ飲むのさ(^◇^)<ばき

冷水を少し残しTWに戻り、ブレーキドラムに水をブッカケて冷やす。
シリンダーヘッドにも数滴たらすとあっという間に沸騰し蒸発した。
こりゃ相当熱くなってんな相棒。悪いな、もう少し頑張ってくれ。

高速に乗る前に燃料を満タンにしたけど、ここでも入れてみた。
TWは高速走行をすると燃費が悪くなるのだ。ここまでほぼ高速
のみを105km走って入ったガソリンが2.8Lぽっちだった。

ちゅー事は燃費が37.37km/Lって事か。ブンブン!と回して
常時100km/H以上で走ると燃費が極端に悪くなって26km/L程に
なるんだけど、今回は最高速を90km/H以下に押さえているから、
かなり良い燃費となった。半分くらいは渋滞の中を60km/H以下で
スリヌケてた、ってのも相当に効いてるはずだが(苦笑)

TWを労わって80km/Hで走るっていうのは、それだけじゃなくて
自分のサイフや地球の環境にも優しいって事なんね(^^ゞ<ばき

(2006年度版ツーリングマップル関東 P48 Iの4)

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その後も淡々と東北自動車道を北上した。とはいっても90km/H
しか速度を上げないので、ありとあらゆる車両に抜かれる。
いいよ~、ガンガン抜いていってくれぇ♪、オレはこの心地よい
速度で、最高の相棒とのランデブーをたっぷり楽しむからさ。

…こうやって走っていてつくづく思うよ、自分とTWとのコンビは
「無敵」って事を。これは誰よりも強いんじゃないよ、旅する我ら
には「敵が存在しない」って事。勘違いしないでね。

誰とも競わない、どんなモノとも争わない、ただ一台と一人、
景色と速度、風と音を楽しみながら独特の世界観を構築して、
その中で飽きる事なく、ずっと一緒に走り続けていられるのだ。
100MPHだと眺められない周りの山々の緑も、80km/Hならば
余裕で眺められるからね。

------------

次に入ったのは那須高原SA。ここも混んでいた。気温はさっき
より上がっていて、もう相当に暑い。よくよく見ると結構単車も
多かった。でもみんな大型バイクばっかり。最近は中型バイクは
見向きもされないんだろうな、こんなに楽しいのになぁ(^^)

ここでもガソリンを入れてみた。142km走って4.25L。燃費は
33.4km/L、さすがに気温が上がって熱効率が落ちたのか?、
いやいや、渋滞がなくてずっと高速走行だった為だね、ちょっと
悪化したのは仕方ない。エンジンは相当の熱を放っていて、TWの
独特の愉快痛快な低速トルクがスカスカになってしまってる。
オーバーヒート寸前だな、これは。

お前はそもそも連続高速巡航するためのバイクじゃないもんな。
ごめんよTW、もう少しだけから、勘弁な。

(2006年度版ツーリングマップル東北 P8 Jの7)

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再び走り始めた。

休憩中にメシを食いつつ地図を眺めて、白河ICで降りる事を
決断していた。そこから林道を走り、猪苗代湖方向を目指す。
浦和-白河間は単車で3450円だ。そこから県道37号に乗り、
北西方向に進んだ。

自分がTWで下道を旅する時、速度は40~60km/Hしか出さない。
つまりどんなに見通しが良く、制限速度が高くても、60km/Hが
上限
だ。これくらいでないと「旅」が楽めないから。そうやって
県道37号を使い、羽鳥湖の湖畔を走りつつ北上を続けた。

「旅のスピード」には一言あるのでいずれ別ネタでUPしよう。

(2006年度版ツーリングマップル東北 P8 Iの1)

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そこからR118に乗り、すぐ右折し、明神滝方向を目指した。その
先には「黒沢林道」があるのだ。荷物満載のフル装備のTWで走る
何年ぶりの林道だ!、ちょっとだけ気合が入った。

Twrindou

最初はおっかなビックリだったけど、段々と身体が我が相棒と踊る
ワルツのリズムを思い出して波長が合い始めた。絶対的な速度は
レーシーなoff車で走るより圧倒的に遅いけど、このシンクロ感が
高まるとTWで走る林道は最高に楽しくなるのさ♪

転倒することも、コースアウトしてロープと滑車の世話になる
事もなく、無事にこの黒沢林道を抜けた。その後、舗装路になる
手前に綺麗に新しく舗装された道があったので、そっちを走った。
ツーリングマップル東北P13のGの4にある、破線の建設予定の
道がもう出来てたようだ。

そこからのワィンディングは最高ゥ♪。さっきまでダートを走って
いたので、オンロードだと絶大なるグリップを感じつつブイブイ
走った。左コーナーはサイドスタンドをガリガリ♪削りながらね。
あ、こういう時はさっき言った「旅リミッター」は切れてるので
あしからず:-p<ばき

その後R294に出た。そこからは旅モード再開、東へ向けて走り
青松浜で北上、猪苗代湖の湖畔に出た。湖畔周遊道路である県道
376号を左回りに走り、県道9号に繋ぎ、北上した。

(2006年度版ツーリングマップル東北 P13 Kの1)

------------

この頃は、日中の日差しが最高に暑くクラクラ来たので志田浜の
コンビニに逃げ込んで、アクエリアスの1Lを買って一気飲み!
美味いっ!五臓六腑から四肢まで染み渡るぜぇ!!

身体が落ちついてから、地図を眺めて今日の宿泊場所を探した。
そこで、このまま北東方向に行き、二本松にある「あだたら高原
キャンプ場」に行く事を決定。ここは以前利用した事があるので
勝手が判っているのだ。近所の売店も銭湯もすべて周知してる。

志田浜から国道を避け、裏道の県道322号、323号を繋いで走る。
左に会津磐梯山が巨大な積乱雲を載せて佇む。…凄い迫力だ。

その後R115に乗り、東へ向けて坂を登った。たまに4速に落とす
けど、殆どトップギヤの5速のまま、小排気量単気筒の心地よい
鼓動感を満喫しつつ淡々と走った。

(2006年度版ツーリングマップル東北 P18 Mの3)

------------

R115を登りつめたら、そこには長い「土湯トンネル」があった。
トンネルの中は涼しい…を通り越してちょっと寒かった。でも
今までが暑すぎたから、丁度いいや、と思っていた。

だが、トンネルを出たら、そこは雪国…ならぬなんと曇天、
しかも路面は濡れて雨まで降っていた!予想GAYだぜ<ばき

ここまでの天気は最高に良かった、良すぎて暑過ぎたくらい。
なのにトンネルを抜けただけで気温は下がるわ,曇るわ、雨も
降るわ、と激変しやんの(TT)

何も見えない見晴らし台で止まり、このまま走るか、カッパを
着るか、考えた。目指すアダタラ高原キャンプ場は目の前だ。
だけど、どう考えてもその方向は雨が降ってる。こうしている
間にもどんどん雨が強くなっている。曇天の空に太陽が差し
込める切れ目はまったくなく、回復する気配は微塵も無かった。

しばらく考えた。このまま目指す所に行くと確実に雨にヤラレて
しまう。…そういやこの付近には土湯温泉郷があるな、以前も
雨に降られて、そこに逃げ込んだ事もあったなぁ…、あの頃は
楽しかったっけ…(謎)、おっと、もうその思い出を共有し共感
出来る人がこの世に居ない今、その事を思い出したって仕方が
無いじゃん。…だけど土湯温泉街で宿を取るのだけはやめよう。

じゃあどうする?…戻るべよ。だって会津は晴れてたじゃん。

雨の中。地図をパラパラめくると、これまた以前利用した事の
ある馴染みのキャンプ場の名前が目に飛び込んできた。それは
猪苗代湖西にある「背炙り山キャンプ場」。単車の乗り入れが
可能な無料キャンプ場だ。そこに決めた!雨の土湯にかつての
思い出だけを置いて、R115をとんぼ返りした。

(2006年度版ツーリングマップル東北 P19 Dの3)

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土湯トンネルを戻るとやっぱ会津側は晴れてて暑かった(苦笑)

トンネル一つでこんなに世界が違うとは…来た道を淡々と戻る。
さっき走ってきた県道323号との合流あたりでガソリンを給油。
ほぼ下道のみの走行で152kmで、4.28L入った。つまり燃費は
35.5km/L。林道走行やR115の上り坂が悪影響だったかな?

その後猪苗代湖湖畔に出て左廻りを開始、野口英世記念館を
横目に通り過ぎた。ここは子供時代に一度来た事があるのだが
以前は茅葺の実家が露天だったのに、何年も前からその上に
不自然な屋根が作られてしまい異様な雰囲気となっている。

淡々と湖畔を走り、その後県道376号に逸れ、適当な細い道を
使ってR294号に乗ってそのまま南下した。

(2006年度版ツーリングマップル東北 P18 Fの7)

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綺麗な田圃を見ながら南下して、県道374号に左折し、タイトな
ワィンディングをTWの究極に近いバンク角でズバズバ切り替えし
つつ駆け抜ける。しばらく走ると背炙り山公園の入口が見えた。

この時点で16:30。だが公園の受け付けは16:00までだ。当然
事務所は閉まっていた。でも勝手知ったるキャンプ場なので、
ゲートを通過、奥にあるキャンプ場に行き、テントを張る空間が
空いている事を確認した後一旦出て、県道374号をそのまま進行、
麓に下り、そこにあるコンビニで食材とビールを買って戻った。

キャンプ場には自転車のチームがいて、その中の一人に挨拶して
色々と話し込む。こういう見知らぬ人とのコミュニケーションが
一人旅の醍醐味、なんだよね(^^ゞ

その後、花火を計画している別のファミリーキャンパーから離れ
静かな場所にテントを張った。風が強く、テントの外でマッタリ
出来ず、テントの中で一人でビールで乾杯♪

ラジオで明日の天気予報とこの日のニュースを聞きながら飲む
ビールの美味いこと、美味いこと♪絶品だ(TT)

今日の走行、実に440km。非力なTWでは限界に近い距離だ。
そんな肉体疲労もあり、アルコールの廻りが早く、あれあれよと
いう間に、眠気が怒涛の勢いで廻って、メシを作って食うのも
せずそのまま一気に寝入ってしまった。記憶に残ってる時間は
たしか20:00頃、だったような気がする。


(2006年度版ツーリングマップル東北 P13 Fの1)

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以下、中編に続く

 

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2006.08.12

盆休み突入(Go!Go!一人旅)

元々サラリーマンらしからぬ半月以上の休みをgetしたはずなのに
諸般の事情によりそれを放棄して、仕事に邁進することにしたのは
以前UPした通りだ。

その代替として得た夏休みに昨日から突入した。世間一般的には
盆休みといわれる時期とダブってしまうその期間は8/11~8/20。
9連休…人によっては長い、と思うかもしれないけど、さすがにオフ
ピーク時の17連休と比べるとその価値は半減以下だろう…_| ̄|○

とはいえ休みは休み、せっかく今まで折角北海道ツーリングの
準備をしてきたので、この休みを使って久々に他のどんな単車より
シンクロ率の高い我が相棒、TW200で野宿旅に出る事にした。

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連休の初日を使って車両側の準備は完了。我ながら万端だぜ♪

Tw2006natu

えっ?以前の姿と変わらんって(^^;)?
いやいや、これでも当時から見ると大分リニューアルしてるんよ。

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以前UPしたが電装系はほぼ新品(ハーネス+CDI+ハンドルSW類)
前後ブレーキシュー&カムも新品交換、ライトガード兼物干しも
装備
したしね(笑)。

リヤサスも1987年製のモノから21世紀製の新品に交換してある。
バネが最初期型の白から後期型の黒になってしまったけどね。
後期の変わり果てた姿になったTWのリヤサスは初期のoff仕様のそれより『硬い』

それだけでなく、例えばF周りは自作ライトガード以外にもホラ、
Fmawari

Fフォークブーツを新品にしたし滑落時等に使うロープ(ライト下)も
新品に交換。しかも今までの6mmφから8mmφに強化済(笑)
ちゃんとTWのカラーリングに合わせた白青のロープがコダワリ♪

ついでにFタイヤも新品交換、些細なコストよりも信頼性重視で
当然のようにチューブも新品交換。サスとステム&ホイルベア
リングは点検してそのままでOKなのでそのままで行く。

他にも経年劣化ぎみだった標準必須装備である洗濯バサミ
新品交換。今までは単色だったけど2006年仕様は3色だ<ばき

Twhasami

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リヤ周りもこの通り。一見では判らないけど相当手が入ってる。
Rmawari

前後スプロケ&チェーンを新品交換、リヤタイヤも当然チューブも
新品交換。他にも外付工具箱の無い最初期型2JL-TWなので
新たに工具箱を追加装備。車載工具はちゃんと車両中央部に
収納されているので、ここには短めのロープと滑車を入れた(^^)

キャリアのパイプの中にはちゃんと吹き竹ならぬ吹きホース装備(^^)
Twhose

そのキャリアにはTW用ヤマハ純正オプションである焼網を装備。
…いやいや、純正ってのは冗談よ(^^;)。これはダイソーやホーム
センターで売ってる折り畳み式の足付きの焼網。この通りまるで
それを想定したのか、と思えるほどのジャストフィットで、キャリア
下にすっぽり収納出来るのだ。
Twami

さあ、段々ワクワクしてきたぜ(^◇^)♪

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出発予定は明日。昨日はTWの最終メンテナンス&日常生活の
家事一般で消費し、今日はエンジン交換後のレガシィの試運転を
兼ねて久々に実家に帰るのだ。

旅で目指す方向は東北。フラフラと、風の向くまま気の向くまま
40~60km/H程度の心地よいスピードで、気楽で孤独な野宿の
一人旅を楽しんでこようと思う。XT600ZTDM850は「ツーリング」
にはいいんだけど、こういう「旅」には速すぎるし、重すぎるのよ。


で、2006年度版の東北方面のツーリングマップを買ってきた。
古い地図は持ってるけど、地図はカーナビのデータと同じで
常に最新版を持っていないと役に立たないから。
あらゆる情報は生モノ、鮮度が何よりも重要で必要なのさ

Maptouhoku

2006/8/13 お詫びと訂正:

このライダー、知り合いだ、と以前UPしたけど、、よくよくみたら
かの有名な旅ライダー、「賀曽利 隆」さんじゃないですか!!

一度木賊かどこかで偶然お会いした事はあるけど、自分の知り
合いとは別人でした。(勘違いした自分の知り合いは賀曽利さんと
必ず直接面識があると思うけど(謎))

よってその記述を削除し、お詫びします。すみませんでしたm(_ _)m

 

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2006.08.08

大雨で目が覚める

目覚ましラジオが06:00に起動し、かれこれ何年も聞きつづけている
地元FM局のDJトークで目覚めるのが日常の朝…なのだが今朝は
それよりももっと早くにとんでもない量の小豆が巨大なザルの
上を奔流となって流れるような、轟音
で目が覚めた。

誰だ!枕元で小豆を洗ってる奴は!、と思ったら、その音はなんと
とんでもない豪雨だった。

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最初は寝ぼけていたが、エアコンなしで熱帯夜を過ごす体制だった
我が家、通気性確保のため、雨の吹き込みにめっぽう弱い状態で
ある事を思い出し、飛び起きた。

慌ててあちこちの窓を閉め、窓際を雑巾で拭いてまわって、長靴を
履いて傘を手に庭に出た。野菜と単車のカバーの状態をチェックし、
雨に弱い七輪や、メンテナンス用工具を軒先の奥に移動。念のため
車のカギを手に駐車場まで行き、窓の開閉状態をチェックすると、
アトレーの窓が熱気抜き通気性確保のため15mm程あいてたので
あわてて閉めた。

レガシィと違ってアトレーはサッシュ有りドアで、配送用のウィンド
バイザーが付いてるから、普通に雨が降るだけなら吹き込まないが
今朝のはハンパじゃない、駐車場は見る間に水位が5cm程になり
レガシィの扁平率45のタイヤのゴム部分までが水に漬かっていた。

家も駐車場も、高台にあるからこれ以上水没する事は無いけど、
排水能力が追いつかないくらいの豪雨はやっぱりちょっと凄い。
なにせ大型の70cm傘をちゃんと差しているのに、着てるシャツが
あれよあれよ、と言う間に濡れてゆくのだ。

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庭のサツマイモ畑も一旦水没したが、土の地面の吸水排水能力は
舗装された駐車場と違うのでしばらく安心だ。軒先からは凄い量の
雨水がバシャバシャという音を立てて落ちていた。

おっと、忘れる所だった、我が家は雨が降ったらやる事があるのだ。
それは雨水の確保。軒先から落ちる雨水をある程度貯めて
おいて、それを庭先農園の水源にしているのだ。

この所の猛暑で備蓄していた農業用水を使い果たしていたので、
空になってた廃材利用の農業用水タンクやバケツを軒下に置いた。

Ametank1

参考までに青いのが80L、緑が35L、バケツが10L*4、ジョウロが4L。

もっと大きいタンク(~150L)を使いたいけど置き場所確保が大変だし
(なにせ一度満水にするともう簡単には動かせなくなってしまうのだ)
この季節だと、ボウフラが湧いて蚊が大量発生したりするのでこの
くらいの量が自分がコントロールするには都合が良いのさ(^◇^)

…おお、今まで見た事無い、凄い勢いで貯まってゆくぜ(^^;)<ばき
上記の画像は約30分後なんだけど、なんと!もう満水になりやんの。
さすが大雨洪水警報発令!な、だけの事はあるぜ、スゲェ!

でもこれから出勤なのになぁ…徒歩出勤はちょっと無理だな、
いいや、レガシィで行くべ:-p<ばき
 


 

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2006.08.05

爆縮戦隊、小動物と戯る

それはニ週間前のことだった。例の現場出張の件で一本の電話が
入ったのだ。なんでも今回の仕事には、とある資格が必要なので
急きょそれを受験して欲しい、そのために必要な講習を来週には
必ず受けてね♪、というモノだった。

ちょっと待てや!、タイトなスケジュールを必死にやりくりして、
夏休みすら放棄し頑張ってるのに、突然そんな予定を突っ込まれ
たって、対応出来っこないじゃんかよ(T◇T)

だが、冷静になりその仕事の工程を逆算すると、確かに今回この
タイミングしかチャンスが無いのだ。ちっくしょう・・・いいよ、
やってやろうじゃんかよ(^^;)

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話さえ決まれば「動作クロック」が研究所の数倍はあるそっちの
連中の仕事は早い、なんと翌日には受講申込み完了の連絡が入り、
翌々日には必要な受講票やテキスト類が宅配便で届いた。もしや
とっくの昔に申込みは終わっていたんじゃないのか?(苦笑)

数日後、またも数ヶ月ぶりとなる耐圧防護服、じゃなかった背広
を着込んだ。…これさえ装着すれば、社会の底辺で生きる地蟲の
ような自分も、企業戦士、爆縮戦隊サラリーマンに変身するのだ!

てくてく歩いて駅まで出向いて、そこから地獄の人体圧搾装置、
爆縮点に向かって進行する通勤電車に乗り込んで、一路講習会の
会場を目指した。その目的地に到達するまでには実に電車を3本
乗り継がねばならない。

その電車が少しずつ中心に向かう度に、電車を乗り換える度に、
まるでラヴェルの「ボレロ」のように、自分の周りにはじわじわ
人が少しずつ、だが確実に増えて、どんどん密度が面白いように
高まってゆく。…うう、憂鬱だ(TT)

三本目に乗り換える電車は、日本国内でも有数の最高レベル車内
圧力をマークする、まさに「サラリーマン圧搾マシーン」と呼ぶ
のにふさわしい有名な路線だ。自分も過去にこの路線では何度も
痛い目にあっている。

だが自分がまたそれに乗るのは、そして誰もかれもがそれに乗り
たがるのにはちゃんと理由があって、そっち方面のビジネス街に
通勤する為にはこれがもっとも早い列車なのだ。その隣を走る、
同じ区間を走る他の列車に乗ると最低でも10分は到着が遅れる。
高々10分、されど10分、この僅かな時間を稼ぐためだけに、
その列車でサラリーマンは加圧されるのだ。

イナカモノの自分も、目も眩むような大都会に設けられた会場に
設定された時間までに到着するためにはそこそこ早く家を出ねば
ならない。だから「殺人列車」だと判っていても、それに乗って
稼げるその10分がとても貴重だったりするのだ。

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沢山の人が押し合いヘシ合いしているそのホームの上で技術立国
日本が世界に誇る殺人マシーンが到着するのを、死刑執行を待つ
死刑囚のような心境で脂汗を流しながら身動きせず待っていた。
・・・今思えば、恐らくこのタイミングだったんだと思う。

シルバーの車体に緑とオレンジのラインが入ってる、その列車が
ホームに滑り込んできて、そして地獄の扉が開いた。するとそこ
から内部で圧縮されていた人々が迸り落ち…て、こないぞ(^^;;)

今日は何らかの事情で空いていたらしい。夏休みだから学生君が
居ないのが原因なのかもしれない。お陰で乗り込んだその車内は
拍子抜けするほど人の密度が少なかった。とはいえ、その駅から
乗り込んだ乗客も沢山いたので、結局肩が回せない普通の路線の
ラッシュアワーくらいの人口密度はあった。

何にせよ、命が身体から無理矢理搾り出されちゃうほどではない。
助かった…どうせ次の駅では沢山の人が流れ込んでくるのだろう
けど今の所はラクラクだ(^^)

そうなると余裕が出てきて、視線を車内に回して、自分が掴まる
吊り革のあたりにあった醜悪なる週刊誌の吊り広告に気分を悪く
したり、窓の外に流れてゆく景色をぼーっと眺めたりしていた。
その後で、何げなく足元に視線を落とした。そこには想定外の
光景があった

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自分の靴の上に、大きい茶色の、とても立派なスズメガが一匹
掴まってて、そこで羽根をフルフルと小刻みに震わせていたのだ。

スズメガは三角翼の戦闘機のようなシャープな体形、大きく黒い
円らな瞳が印象的なとても可愛い蛾だ(^^)。
だが実はあまりに種類が多すぎ、自分も遭遇した奴の正式名が
判断出来ない。まあこの中のどれか、と思ってくれぃ。

陽光の下を煌びやかに舞う美しさの化身のような蝶に対して常に
日陰者のイメージが付きまとう「蛾」はイメージは良くないけど、
実は蝶と比べても何ら引けを取らない美しい虫だ。

全てが人間の害となるチャドクガのような奴は論外だが、例えば
うっとりするような美しさと優雅さを併せ持つオオミズオアオや
誰もが蛾だとは思わないオオスカシバは、自分のお気に入りの蛾
だけど、他にも並みの蝶を蹴散らす程に美しくて可愛い蛾は沢山
いるのさ(^◇^)/

しかし、そんな蛾が、何でサラリーマンと一緒になって朝の通勤
電車に乗ってるんだ?…お前、いつのまにオレの足に(^^;)?
                  ↑
 そう、あの駅でこの列車を待っていた時だ、それしかない。

自分は公私共に認める生き物大好き♪中年男だし、相当珍しいで
あろう、そのシチュエーションをせっかくだからデジカメで記録
しておこうかな?、と思ったのだが、通勤電車の人込みの真中で
足元に向けてフラッシュを焚いたらOLのスカートの下を盗撮する
不届き者だと勘違いされて、鉄道警察に突き出されかねないので
断念。よって今回、画像は無しだ(^^;)<ばき!

しかし、冷静に考えるとコイツはものすごく運が悪くて、そして
運が良いな。野に生きる小生物が、まず生きて出られないような
この環境にこいつが飛び込んでしまったのは、この上ない不幸で
あるだろう。だが、その中に数多く立ち並ぶ足の中で取り付いた
その足が偶然とはいえ、生き物大好き♪蛾も大好き♪、な自分で
あったのだから。

普通の人だったら、気持ち悪がって振り払われて、踏み潰されて
しまったに違いない。「不幸中の幸い」だったな(^^ゞ<ばき

だけどココがコイツがいるべき場所ではなくて、冷酷無比な満員
電車の中である事実は変わらない、つまり未だに絶体絶命である
事に変わりはないのだ。もし自分の足から離れたらコイツの命は
この列車内で終わってしまう。

そう思うと、足元で丸く黒い瞳で自分を見上げて小刻みに羽根を
フルフルしているこいつが、まるで自分に助けを求めて縋ってる
ように見えて仕方が無かった。事実この列車に乗っている人間で
コイツの命運を心配して、しかもコイツを助けられる人間は自分
以外いないだろう…

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一見した所、触覚が小さいので、多分メスだろう、よって以後は
コイツを「彼女」と記す。

その場でしゃがめれば彼女を手に取り、軽く握った手の平の中に
保護して降りる駅まで連れて行く事は可能だろう。でも空いてる
とはいえここは満員の通勤電車の中だ、そんなことは出来ない。

とりあえず、まず彼女が足の上から落ちないようにそっとそっと、
足を動かして、他人の靴先で踏まれたり潰されたりしないように
微妙に体制を変えた。そして、足を持ち上げて微妙に動かす事で
靴の甲の上につかまっていた、彼女が飛び降りないように注意し
つつ、左足のインサイド側に誘導することに成功した(^^)

足元をずっと見つめて必死になって無言で何かをやってる自分を
周りのサラリーマンはいぶかしげに見ていた。何せ、足元の蛾の
存在など知る由もないし、そんな虫ケラの事など気にも止めまい。

だが自分は両足の間で彼女を保護しながら、このあとどうやれば
良いのかを考えた。このまま目的地の駅まで行ってもいいのだが、
降りる時にはどうしても自分も歩かねばならないから、その時に
彼女が落ちる可能性がある。そういう状態になったら救い上げる
事は不可能だ。

と、すると、降りる前にどうにかして足元の彼女を保護しなけれ
ばならない。うーん、どうしようか、と迷っていたら、人体圧搾
マシーンは次の駅に着いた。この駅では若干の人が降り、多数の
人が乗ってくる。…そうなるともう身動きが取れなくなる。

この時、意を決した。このタイミングでどうにかしよう、と。

マシーンが停止し、ドアが開いた。周りで数人の人間が降車して、
一瞬空間が出来た。そのタイミングを突いてすばやくしゃがんで
彼女をそっと右手で包み、曲げた指先の上に掴まらせた。そして
そのまま軽く握りこんで、彼女を手中に収めた。

自分の近くにいた若いOLは、一連の自分の行動に気付いたようで
まるで自分が素手で汚物を拾い上げたかのような、蔑んだ視線で
自分を睨んだ。

…あのなぁ、ねーちゃんよ、この手の中にいるのはアンタと同じ、
命あるモノなんだぞ。アンタが自分をどう思おうが勝手だけどな、
もし今アンタが死にかけたらオレに助けられるのならばアンタを
助けるよ。それと同じように、オレは「彼女」を救えたんだから
助けた。ただそれだけなんだぞ。それが判らないのか?

…無理か、アンタにはは理解できんよな、悪かった(^^)

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彼女は最初こそ自分の手の中で最初羽根をパタパタ震わせてたが、
諦めたのか、それとも落ち着いたのか、すぐに大人しくなった。

無事保護出来たものの、「ボレロ」的にクライマックスに近付き
つつある車内圧力はその駅からやっぱり脂汗を流すくらい上昇し
本来なら嵐に抗う船舶の錨となりうるつり革に掴まる事が出来ず
奔流に流されるまま圧迫され放題となった、うう苦しいぃ(-◇-;)

だが、手の平の中からたまに伝わる命あるものの感触が、どんな
シチュエーションよりも人と人とが触れ合っているのに無機質で
他人行儀な通勤電車の不毛な雰囲気を和らげてくれた。

電車はいつもの環状路線への乗り継ぎ駅に到達、いつものように
車内圧力が低下した。本来だと降りる駅じゃないけど自分もその
奔流に乗って車外に流れ出た。当然彼女を解き放つためだ。

すぐ近くにあった植え込みの所まで行き、そこの根元にそっと
彼女を放った。ここでも彼女は長く生きられないかもしれない。
でも、自分がしてやれるのはここまでだ。後は自分で生きろ(^^)

おっと、乗り遅れる!あわてて列車に戻った。

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どっと出た汗をぬぐおうとハンカチを取り出したら、右手には
彼女の燐粉がちょっとだけ付いて残っていた。ハンカチで拭けば
すぐ落ちるこれ、さっきのねーちゃんからみたらウス汚いモノ、
なんだろうな。でも同じ汚れならば、そんなねーちゃんと仮に
触れ合って移る人工的な顔料のファンデーションや濃い口紅、
臭い香水よりも、こっちの方がマシだな(^^)<ばき

 

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