« 「モノ」に篭る魂 | トップページ | 友人がTVに出るらしい »

2007.03.18

山崎豊子の最高傑作は

ちょこっとTVを付けたらテレビ朝日でスマステーションなる番組が
あって、そこで山崎豊子特集をやっていた。

山崎豊子という作家は、自分が一番好きな作家だ。その作品は
ドロドロした社会派小説としての元祖たる「仮面集団」から現時点
での最新作である「沈まぬ太陽」まで、一体何回繰返し読んだか
判らないほど、読みまくり、読み返した事か…あ、現在連載中の
「運命の人」はまだ読んでないけどね。

最初古本屋で暇つぶしのつもりで買った「白い巨塔」の上下と
その続編の「続・白い巨塔」を読んだのが山崎豊子漬けになる
きっかけだった。蛇足だが今では「続・白い巨塔」という本は無く、
「白い巨塔」に吸収合併されそちらが上中下巻になってるらしい。

------------

最近になり女史の作品の一つである「華麗なる一族」がドラマ化
され、放映されている。骨太の熱い情熱家であり技術者である、
万俵鉄平役を、ある意味もっともイメージ違いであるキムタク氏が
演じていて、もうそれだけで見る価値が無く、とても残念(T_T)

でもそれでも山崎豊子作品が多くの日の目を浴びるきっかけと
なるのならそれはとても良いことだと思う。

------------

そんな山崎豊子フリークである、殆どの作品を何度も繰り返し
読んだ経験者としてはその中で「華麗なる一族」は実はそれ
ほど評価は高くない。作品としてのレベルが低いから、では
なくて他の作品のレベルがそれをはるかに凌ぎ凄いからだ。

そんな凄い作品を世に出しつづけた彼女の作品の中で自分が
最も大好きで、誰に対しても名作の誉れ高き作品と言えるのは、
それは最も有名である「白い巨塔」ではなくて、あまり知られて
ない「不毛地帯」だ。これを凌ぐ作品は無い。「華麗なる一族」
は正直な所、彼女の真骨頂なる実在したモチーフである社会的
出来事の数やスケールといい、物語の濃さといい、登場人物の
奥深さと味わい深さ、そして物語への没頭のしやすさとラストの
清々しさ、どれ一つとっても全てが「不毛地帯」の足元にすら
及んでないと思う。

それがウソだと思うなら、一度「不毛地帯」を読んでみて欲しい。
「白い巨塔」よりも、「華麗なる一族」より、「大地の子」よりも
「二つの祖国」よりも、…凄いよ、「不毛地帯」は。本当に凄い。

詳細はネタバレになるから言わないけど、本当に!絶対に!
面白いよ~、ハンパでなく面白い。オススメだぜぃ(^^)。

------------

そうそう「二つの祖国」は山崎豊子作品には珍しく「不毛地帯」に
物語のモチーフが一部リンクするから(東京裁判の辺り)どうせなら
そのモチーフを彼女がどう書き分けているのかを味わうためそれも
是非読んでみて欲しい。

当然華麗なる一族も、沈まぬ太陽も、大地の子もオススメ♪
ただし「ムッシュクラタ」だけはちょっと毛色が彼女っぽくなくて
一度読んだけど読み返さなかったなぁ<ばき

 

|

« 「モノ」に篭る魂 | トップページ | 友人がTVに出るらしい »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

華麗なる一族の最終回はどうなのでしょうか?わたしは原作を読んでいないので、とても楽しみです!

投稿: 今日は最終回 | 2007.03.18 14:24

今日は最終回さん:

どうもそうらしいですね、自分はその時間諸般の事情で
高速道路を走っていたので見てませんでしたけども、
やっぱり鉄平は疑われた父に認められず絶望して山で
祖父の形見の銃で頭を吹っ飛ばした後に血液型の検査で
実はオヤジの実の子供だった、という感じだったのかな?
それとももう少し救われるストーリーに改変されていた
のかなぁ?

----

華麗なる一族はまだ映像化が可能だったかもしれないけど
多分「不毛地帯」をあのスケールやストーリーをそのまま
映像化するのは不可能だと思います。あまりにスケールが
デカすぎますから。

もし就職活動する前に「不毛地帯」を読んでいたら
プラントエンジニアや技術開発職を選ばずに、絶対
商社マンになって世界中を飛び回ってやる!と思って
いたでしょう(^^;;)

一度ダマされたと思って読んで見てください(^^ゞ
 
 

投稿: ino | 2007.03.18 23:57

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 山崎豊子の最高傑作は:

» 木村拓哉 昨日のスマステーション [芸能&ニュースな日記]
木村拓哉が昨日、香取慎吾の司会でおなじみのスマステーションにゲスト出演していましたね。 当然、本日放送の『華麗なる一族 最終回90分スペシャル』がテーマでした。 華麗なる一族のドラマ内で「ここが気になる」というテーマで、当時の時代背景に照らし合わせて、見てみるという内容でした。... [続きを読む]

受信: 2007.03.18 13:09

» 華麗なる一族華麗な最終回 [芸能情報ツウ!]
華麗なる一族華麗な最終回華麗なる一族が先週の日曜日に最終回を向かえたが、一時期「花より男子2リターンズ」と視聴率競争で負けたとのことが取り上げられていたが、最終回では見事有終の美を飾ったようだ。「華麗なる一族」最終回の視聴率が、関東地区で30・4%、関西地区で39・3%、瞬間最高視聴率は関東が35・5%関西が44・9%だった。「花より男子2(リターンズ)」の最終回は、関東で27・6%、関西で26・0%正直なところ、華麗なる一族は一度も観たことがなく、最終回だけ拝見したが、それ...... [続きを読む]

受信: 2007.03.21 14:25

» 華麗なる一族 視聴率 [華麗なる一族 視聴率]
華麗なる一族の視聴率が好調だ。だがドラマも終盤にさしかかりいまからでは「もう乗り遅れでは?」と思うかたもあらすじさえわかれば十分ついてゆけます。華麗なる一族第4話のあらすじ万俵鉄平(木村拓哉)の会社、阪神特殊製鋼が開発した新素材を、アメリカンベアリング社が、高く評価し、全米自動車業界へ大々的に展開させたいと申し出てきた。それは世界最大の鉄鋼国アメリカへ進出するという、日本鉄鋼業界の悲願を実現するということであった。同じ頃、金融再編を急ぐ大蔵省では、連日のように都市銀行同士の合...... [続きを読む]

受信: 2007.03.29 01:02

« 「モノ」に篭る魂 | トップページ | 友人がTVに出るらしい »