旅2007・6日目
YHでは二人のライダーと相部屋になった。同じような旅人だけに会話も
弾む。ライダーハウスに集う人種とYHにくる人種はすこし質が違って
それもまた面白い。YHの方がちょっとだけアッパークラスな感じかな?
自分が思うに北海道を旅する旅人は以下のように分類されるような気が
する。上であればあるほど、旅する力(=生きる力)が強く、濃い人が
多く存在する感じがする。頭の数字はマイナスの対数でその濃さを表現
していると思って欲しい(笑)
1)徒歩、リヤカー引きで野宿旅
2)自転車で野宿旅
3)バイクで野宿旅
4)自転車、バイクでライダーハウス旅
5)改造貨物車、オープンカーで野宿旅
6)自転車、バイク、徒歩、電車でYH旅
7)自転車、バイク、徒歩、電車で宿旅
8)四輪車でオートキャンプ旅
9)四輪車で自ら決めたプランで温泉巡り観光地巡り旅
10)キャンピングカーで野宿旅
これは「自分はこれがベース」というレベルであれば旅の最中それを
ずっと継続してなくてもそのレベルだと言っていい。なお旅行会社の
企画する観光ツアーに参加し、観光バスで観光地を巡る時間を金で買う
人は「旅する力」を自分以外の誰かに委ねてしまった受動的「旅行者」
であって自ら決めて行動する能動的な「旅人」ではないので除外した。
自分は上記でいうと基本は3)だ。無人駅やバス停に泊まった事もあるが、
自転車や徒歩の旅人からみれば自力ではなく機械に乗っているからね。
だけど悪天候の場合にはライダーハウスに逃げ込むし、洗濯物が溜れば
YHに行くし、噂の食材があればそれを食うために民宿でも旅館でもOKだ。
そんな自分の生き方(つまり旅も同じ)のモットーは相反するようだが
「確固たる自己の確立と主義主張を持つ事」
「その時の状況に応じ柔軟に臨機応変する」
・・・だ。旅は日常生活よりも短い間に激しい振幅で変化が現れるので
このモットーをしっかり握って離さないようにしていないと容易にその
場の雰囲気や、回りの旅人のペースに巻き込まれてしまう。よく北海道
や東南アジア、インドなどに沈んでゆくバックパッカーの若者は、多分
そういうタイプなんだろうな。
自分はそうならないように、芯だけはビシっ!と一本通った人間であり
たいと思う。
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朝の天気予報は全道壊滅状態。どこにいっても雨、雨、雨、時々曇り、
そして所により激しい雷雨と来たもんだ(TT)、こりゃダメだ。それじゃ
今日もそこそこ距離を稼げる(=走りっぱなし)って事か(TT)
それじゃ、今日は「食の北海道」を満喫させて貰うか。向かう方向は
北に向かう今後の行程も考えると羅臼、知床、そしてサロマの辺りだな。
そうと決まれば即断即決!、朝イチでサロマ湖畔にあるカニ料理で有名
な民宿の「船長の家」に電話を入れて今夜の宿を確保した。ここは毎回
行こう行こうと思ってはいたがいけなかった所なので、これで課題を
一つクリア出来る。
なおサロマにもYHはあるのでそっちの方が安上がりなのだが、個人的な
諸般の事情でパスだ。理由はもう言わずともご理解頂けるだろう(苦笑)
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小綺麗に盛りつけられオシャレだが旅人の腹を満たすには少々不満な量
の朝飯を喰らい、そそくさと荷造りする。
昨夜一緒に風呂に入った電車で旅する高校生の小僧君が、他のバイク
乗りの後ろに乗って駅まで送られて行くのを手を振って見送り、そして
自分も出発した。
摩周の町中に出て国道243号に乗り、しばらく東に走ってから道道885号
に乗って北東へ進む。このあたり中標津は道東のツーリングスポットだ。
かの有名な開陽台もすぐそばにある。だがそこは6年前に行ってクリア
した場所だ。寄る必要はない。淡々と酪農地域を走り抜ける。だんだん
霧が激しくなってきて、走るだけで衣類が濡れてきたので、止まって
カッパを着る。そして再び走り出す。もしも天気が良かったら、色々と
また思い出してしまう思い出深い場所だけど、この着りのお陰で何も
見えない。夜じゃないけど、霧よ、ありがとう(^^)/
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だがその霧のせいで曲がるべき道を間違えたようで気が付いたら何故か
中標津空港の南を走っていた(^^;)<ばき
あわてて道道774号に乗り羅臼方向を目指す。おお、ホクレンが見えて
きた。よしガソリンを入れよう。125.9km走って3.0L、41.97km/Lかぁ、
昨日摩周湖と屈斜路湖の峠をブイブイ走ったから悪化しちまったぜ:-p
で、この標津ホクレン、なんとここだけのオリジナルフラッグをくれる
所だった。たった3Lしか入れてないのに申し訳ないっすね(^^)
申し訳ないついでに、ちょっと無理なお願いをしてみた。旅の初日に
発覚していたTWのオイル漏れ、結局ずっとジワジワ漏れっぱなしのまま
ずっとダマシダマシ走っていたのだが、そろそろオイルレベルが下限に
近付いていたのだ。そこで事情を話し、「エンジンオイルを100mlだけ
でいいので売ってくれ、銘柄は何でも良いから」、と頼んでみた。
すると快く応じてくれて、ノーキョーSPガソリン車用オイルをオイル
レベル上限チョイまで入れてくれた。しかも量が少ないから無料でいい
との事。旅してるとこういう温情に直に触れられる。本当にありがとう。
そのホクレンではチャリティ募金をしていて、それをするとライダー
限定でオリジナルグローブの片方だけをくれるキャンペーンをしている
という。そこでそのチャリティーに乗り、さっきのオイル代込みという
事で募金としては多めの額を募金箱に投入。善意には善意で答えて
それを回していかなくっちゃ(^^)b
ちなみにそのグローブ、なんで片方なのか、というとこの先の羅臼の
ホクレンで同じキャンペーンをやっていて、そこで募金すると片割れ
をくれて一組みになるのだ、という。ちょうどそっち方向を目指して
いるので、寄ってみます、と告げ、世話になったホクレンを出た。
片割れとなったグローブ夫婦、涙の再会のため突っ走るかぁ!
でも羅臼まで50kmくらいしかないから1Lチョイしかガソリンが入らない
んだけどなぁ<ばき
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道道774号のドン突きにある国道244号を北西に進み、2km程走ってから
右折して道道1145号に入り、北上する。羅臼に向かうのなら海沿いに
出て国道で行くのが王道だろうが、そっちは結婚する前に何度も走った
事があるので、一度も走った事の無い道を行くのさ(^^)
牧草地を走るダートを含む道を新鮮な気持ちで駆け抜けたあと、海沿い
を走る国道335号に乗り北上、羅臼を目指した。
そう、ここから入る知床半島方面は6年前に元カミさんと行かなかった
場所なのだ。だから今回あの時の約束を果たすためにやってきたのだ。
一緒に旅した記憶はないけどそれ以前の単独行では何度も来た所なので、
純粋に懐かしさが込み上げる。この時自分には6年前にこの地に捨てて
埋葬してきた、結婚する以前の自分自身が当時より確実に老いた肉体に
舞い戻って乗り移っていた。
そうさ、俺はようやく帰ってきたんだ。この地に、この世界に。
そういやそんな最中にこんな看板を見つけたよ。この世界って、FOMAの
電波が使える事がそんなにも凄いことらしい<ばき
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このころ空は曇っていたが雨は降っておらず、霧もないので濡れる心配
は無かったが、それでもずっとカッパを着て走っていた。それは何故か?
実は猛烈に寒かったのだ。真夏に寒い?と疑問に思われるかもしれないが
この時の羅臼の気温は17度しかなかったのだ。関東で35度とかを記録する
この時期に、同じ日本でもこの最果ての地では気温がたった17度とは・・
おっと、羅臼ホクレンがあった。片割れのグローブを揃えるためにもここ
に寄っていかねば。でもたった46.1kmしか走ってないけど、とバイトの
若い女性に断ってから給油したら1.1Lしか入らなかった(^^;)<ばき
ここまでの国道335号は流れが速かったから、ちょっと燃費が悪化気味だ。
ここでも募金して、泣き別れだったグローブのもう片方をgetした(^^)
よかったね、片方しかないグローブって新品でも、一見立派でも、何の
役にも立たないからね。
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羅臼の寒さにホクレンを出てすぐにダウン。直後の道の駅に逃げ込んだ。
この側のキャンプ場は10年以上前に利用したなぁ。朝起きたら目の前に
デカイ鹿がいてビビったっけ。
道の駅ではER-6に乗る旅ライダーとカワサキパラツインのミドルマシンに
ついて熱く語り合った後、暖かい飲み物を飲んで身体を暖めてから出発。
知床峠を登り始めた。熊の湯に漬かって暖まりたかったなぁ(;_;)<ばき
途中スゲェ濃霧のため、殆ど視界が無く、数mだけ見えるセンターライン
だけを頼りに知床峠を登りつめた。だが、視界は10mくらい。本当なら目の
前にそびえ立つ羅臼岳が全く見えなかった。せっかく今回の旅のタスクを
一つ果たせたのに、これじゃダメじゃんか。…ごめんな元カミさん。
峠の下りで追突されてはかなわんと、旅装備の一つである赤色点滅灯をTW
に装着して、霧の知床峠をウトロに向けて下り始めた。
しばらく下ると突然霧が晴れ、そして雲も切れて青空が見え、日が差し
始めた!うわ〜幸せ!最高だぜ!おもわず歓声を上げ左手で
ガッツポーズしながら気持ちの良い道を下っていった。
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ウトロに降りた。さっきまで雄大な自然を眺めていられたのに、途端に下
世話な観光地に入ってしまい残念。とりあえずいい時間なので昼飯食おう。
道の駅にいったら、葡萄海老と鮭児とウニの究極海鮮丼なるものがあった。
一日5食限定で3990円!、さすがに売れ残っているようだった<ばき
そこを出てフラフラ走ったらバイクが停ってる店があったのでそこに入る。
一休屋なるそこで鮭親子丼を頂く。一人だったのでカウンター席になった
ので、板前さんと色々話しをすることが出来た。この鮭は「時しらず」と
いう春に川を遡上する鮭なんだ、とか。いやー、美味かった(^◇^)
さあ雨の降る前に走り出そう!国道334号をオホーツク沿いに南西方向に
向かって出発。途中名所のオシンコシンの滝を横目で見ながら通過する。
そういやここは10年以上前に初期型のTDMで北海道を旅した時に来たっけ。
その直後、突然空から鳥撃ち散弾のバラ弾のように大粒の雨が降り出す。
防寒のためにカッパの上は来ていたが、昼飯を食うまえにカッパの下を
脱いでいたのでザァザァと降る雨の中、あわててブーツカバーとカッパ
の下を着込み、準備万端。ちゃんとした装備さえしていれば雨中走行は
それほど苦痛じゃないのだ。決して楽しくないけど、それをも楽しむ!、
それが旅の極意なのさ。
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途中の斜里の街で、突然腹がゴロゴロ言い出して便所に行きたくなった。
目の前にホクレンがあったが、町中に入れば道の駅があるという看板が。
じゃあそっち行くべ、と思ったが、嫌がらせのように信号という信号に
全てひっかかり、道の駅には看板が出ておらず行き過ぎたりして限界
寸前で便所に転がり込んだ。真新しい道の駅だけあって肛門水洗便座で
快適快適<ばき
漏洩汚染を招くメルトダウンをギリギリで凌いだ帰り道、こんな名前の
橋があるのに気が付いた。これは「左の人」が命名したに違いない(--;)
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斜里の町中を通過し、その後国道334を離れ農道に入る。海沿いの景色の
後で、北海道らしい農業風景を眺めるなんて贅沢だなぁ(^^)。
その後で今度は道道467号で北上して濤沸湖に出た。今度は湖の景色が
美しい。デカイ橋の欄干にはとてつもない数の鳥が羽根を休めていた。
国道を走ると、その脇に馬が放牧されていてワラワラ歩いてた。
のどかだねぇ。これで雨さえ降ってなければ(それは禁句だってば)
網走市内に入った。市街地を走り抜け呼人浦を左に見ながら国道238号
をひた走る。雨がだんだん強くなってゆく、避けるように卯原内という
所にあったホクレンに入り、ガソリンを入れた。137.9km走って3.2L。
燃費は43.09km/L。知床峠を越えた割りにはそこそこ良いのはその後の
雨で淡々と60km/Hで走り続けていたからだろう。
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常呂の先で「船長の家はコチラ」の看板が出たので、その看板に従って
進み、今夜の宿である「民宿・船長の家」に到着。この時雨はピークで
ズブ濡れのまま受付に行くのがはばかられたので、玄関先から大声で駐
輪場所や、カッパの仮置き場について指示を仰いだ。
民宿といっても、ここはもうりっぱに旅館と言っても良い規模がある。
とはいえ今夜の部屋は相部屋だ。前日はYH、その前々日にはライダー
ハウスにいた自分は何の抵抗もない。見ず知らずの旅人と会話するのは
楽しいと思いこそすれ、苦痛とは思わないから。
奇しくもこの日も相部屋に集ったのは自分を入れて3人のライダー。
雨について語り、そして今夜の夕食について色々な想像を巡らせていた。
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館内放送がかかり、食堂に移動した。そこにはかなり豪勢ではあったが、
想像したよりは少なめの食材の並んだ席があった。なんだ、この程度
なの?と思ったのは最初だけで、スタートしたら、そこから出るわ出るわ
まだ食ってない料理の乗った皿の上に次の新しい皿が乗せられてゆく、
というと大げさかもしれないが、そのくらいのイメージでカニを主体と
した料理が出続けるのだ。
これが最初にテーブルに並んでいたモノ。これを食っているとその脇で
一人一つずつあるカセットコンロで生きたタラバガニの半身を茹で始める
それをも飽食した後にはまた鍋一つ分のカニシャブ、さらにそこから出るわ
出るわの海の幸、もう食えない、と思っていたら、最初に机の上にあった
チーズケーキと茶碗蒸を食うのを忘れていた_| ̄|○
チーズケーキは食えたけど、茶碗蒸は一口食ったらそこにもカニが
入ってて、その味で断念。もうしばらくの間カニ味の何も食いたくない、
と思いながら部屋に戻り、膨れた腹をかかえて、3人とも早々にその
まま寝込んでしまった。
雨が降っているとあまり寄り道せず移動する時間が増える傾向があるから
結局今日もムチャクチャ走ってしまったよ。ここまで走ると地域を太い筆
で塗りつぶす「面の旅」というより、「点と点を線で結ぶツーリング」に
なってしまうが、雨の日は仕方がない、旅の極意は臨機応変だからね(^^)
本日の走行距離 約280km
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