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2007.08.12

旅2007・8日目

森の中の山小屋で30台後半の中年男同士が夜を明かし、そして朝が来た。
山小屋らしく飲料水はワイルドに井戸水を手動で汲み上げて使う。

Ido

今日は最短最速で苫小牧のフェリー乗場に駆け付けてキャンセル待ちを
せねばならない。往路に使った太平洋フェリーだと09:00から受け付ける
という。三井商船の大洗行きが取れれば一番良いが、ダメなら仙台行き、
それでもダメなら八戸、青森、最悪は大間崎に渡り、北海道を旅するの
には最適だけど、高速道路を巡行するには最低なTW200での苦行のような
高速連続走行を敢行せねばならない。

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もう時効だからゲロするが十数年前に国内仕様の初期型TDMに乗ってた頃
八戸ICから当時住んでいた横浜横須賀道路某所出口まで5時間で帰った
事がある。給油する以外は殆どリミッターが効いた状態のままでずっと
巡行した結果だが、あれは若かったから出来たな、もしも今、ZZR1400を
与えられても、多分その記録は出せないと思う。だって渋滞の車列の間を
150km/Hとかで突っ走っていたんだもの。

今は沢山経験を積んだからそういう無謀な事はしない。お前はヒヨって
臆病になったのか?、もしそう問われたら、堂々と胸を張って「そうだ」
と答えよう。色々と経験を積んだお陰で、スピードの本当の怖さを知った
からね、だからもうそういう無意味なマネはしない。スピードの極意とは
メーターの絶対量じゃ測れない所にあるから。

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見送るガミ氏と握手を交わし、お互いの旅の(=人生の)健闘を祈り出発!。
目指すは苫小牧港!寄り道は一切無しで最短時間で突っ走る!行けTW!
・・・ただしウチらの旅の速度、60km/Hはキープでね<ばき

ヘコヘコとアップダウンを繰り返す直線の国道274号を西に向かい、瓜幕から
南下、そのままひたすら国道274号をひた走る。天気は北海道に渡って今日
までの間で間違いなく最高の天気!、これが北海道の最終日というのだから
少し泣けるが、最後の最後まで雨に祟られるよりは、たった一日でも最高の
天気の中を走れるから自分は相当に幸せモノだぜ(^◇^)!

Kaisei

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十勝清水を抜け、日勝峠を登る。途中にある清水ドライブインを見て記憶が
甦る。・・・そういや、ここもあの時にあなたと一緒に来たよね元カミさん。
あなたはとっくに忘れてそんな記憶はもう無いだろうけど、自分はちゃんと
あの時の事を全部覚えているよ(^^)/

・・・不思議と心苦しくは無かった。むしろ数日前には出来ていなかった
それを肯定的に考えられている自分に自身が驚いた。元カミさんとは人生の
一時期を一緒に旅した(=生きた)。でも、そのままずっと一緒には居られ
なくて、二人は途中で別の道を進む進路を取ったのだ。それは、その時の
我らの選択は、きっと今回の旅の中で雨でライダーハウスに逃げ込んだり、
雨が降りそうなキャンプ地でドカシータープを張ってそれに備えたように、
結果として正しい選択だったんだ、・・・と、今は思う。

全くの他人である二人の旅路(=人生)が何かのきっかけで一瞬だけ交錯して、
そしてほんのちょっとの努力と、信じられないほど沢山の奇跡が幸運にも
働いて、ほんのしばらくの間だったけど二人で一緒に旅して、生きられたと
いう事を、自分は誰にでもなく自身に誇りたいと思う。

別々の道を進んだ二人は、もしかしたらある時に偶然、どこかの旅路ですれ
違う事があるかもしれない。でもその時には自分は卑屈にならず、逃げ隠れ
もせず、堂々と

 「おう久しぶり、元気そうだね、頑張ってるか?この先も頑張れ(^^)/」

と、旅のライダー同士がすれ違いざまに交わす一瞬のハンドサインのように、
今のそういう自分の気持ちを伝えようと思う。あの時、あなたを好きでいて
一緒に旅する(生きる)事が出来て本当に嬉しかったし、楽しかった、何より
幸せだった。今の自分があるのもあなたのお陰だよ、ありがとう!(^^)/

本当は好きでもなんでもない自分の事をどうにか好きになろうと頑張ってた
「元カミさん」というあの頃の人格がもう宿ってない、今はとっくに誰かの
ものになってしまった「かつては元カミさんだった女性」には、今のこんな
自分の気持ちや感情など、カケラすら理解して貰えない事は重々に承知して
いるんだけどね(;_;)<ばき

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国道274号をひたすら走り、日高の道の駅で便所に寄っただけで、すぐ国道
237号に乗ってさらに南西に向かって走り続けた。この道はかなり交通量が
あるので60km/Hで走るTWは他の車からみるとかなり邪魔なようだ。なので
後方をミラーで確認し、車が迫ると路肩に逃げて、腕をクロスさせた左手で
アクセルを制御し空いた右手で「ホレホレ、先に行きな」とハンドサインを
出して抜かせた。

ひたすら国道237号を走っていると牧場が見えてくる。ただそれまでよく
見ていた乳牛のそれとは雰囲気が違い、そこには馬が見える。日高だねぇ。
日高ケンタッキーファームはこちら、という看板を見てももう動じる事は
なくゴーグルの中で微笑んで、ひたすら苫小牧を目指した。1分1秒でも
早くフェリー乗り場に行くのだ、その先には元カミさんがこんな男は不要、
と火の灯るタバコの吸い殻をそのまま車窓から投げ捨てるように見切った
こんなどうしようもない「今の自分」でもいい、必要としてる、と言って
くれる人が待っているのだ(^^)

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この時点で苫小牧まであと50kmくらい。時間は10時を回っていた。ヤバイ!
ふと目の前に高速道路の看板が見えた。地図をさっと確認するとこれは
苫小牧市街まで伸びているではないか、これだ!、コスト云々言ってられ
ない、TWよ、ブン回すぞ、準備はいいか!

北海道暦は長いが、北海道で高速道路に乗るのは実は始めただったりする。
なにせ普通のバイクなら北海道では高速に乗らなくても殆どアベレージが
変わらない、・・・事もあるから<ばき

それにTWで北海道に来るのは下道をのんびり走るためなので、高速に乗る
のはナンセンスなのだ。でも今は乗る。少しでも時間が短縮出来るのなら。
で、乗った。そしたらなんと!この日高自動車道?は無料開放中だった(^^;)

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苫小牧に近付くにつれ北海道には似合わない重工業地帯の様相が見え始め
それまで自然の中を走っていた自分の皮膚感覚に似合わない匂いの風を
全身に浴び始めた。やだなぁ。並走している下道にリヤカーを引いて歩く
旅人が見えたので、手を大きく振ったら向こうも気が付いた。頑張れ!

高速を降り、国道234号に乗る。ここは北海道上陸後に早来町に向かって
走った道だ。一週間程前なのにそれがもっともっと以前だったような気が
する。一週間前に6年ぶりに走った時には、数日前に走ったかのような
感覚があったんだけどね(^^;)<ばき

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フェリー乗り場に行き、そそくさと窓口に降りる。大洗行きの三井商船
フェリーは窓口が閉まっているが、仙台行きの太平洋フェリーの窓口は
「キャンセル待ち受付中」なる表示とともに一部が開いていた。

呼び鈴を鳴らしおねぇさんを呼び出し、乗船手続きの為の書類を一通り
書いてキャンセル待ちの申し込みをした。すると渡された整理券番号が
栄光のNo.1!、やった!、ポールポジション取ったぜ(T◇T)<ばき

いやいや、まだこれで船が取れた訳じゃないのだ。油断出来ない。

しばらくロビーの長いソファーに寝転がり、士幌から苫小牧のキャノン
ボールランの疲れを癒した。しばらくしてから三井商船フェリーの受付
に行ってみると、窓口に一人、キャンセル待ちをする少年が並んでいる
事に気が付いた。なに!そんな手があったのか!、こっちはPPを逃した!

仕方が無いのでその少年の後ろに並んだ。看板には本日の空席は皆無と
表示されている。うーん、大洗は難しいか、仙台行きが取れればいいか、
ダメなら夕方から函館目指して走って、真夜中の便で青森にでも行こう。
・・・と思っていたら、突然窓口が明いた。キャンセル待ちの受付が
これから始まると思ったら、現れたおねぇさんが開口一番こう言った。

 「今日、空席が出たので、今いるお二方にはキャンセル待ちではなく
  席をご用意出来ますけど、如何ですか?」

なに!何とラッキーな!、と言うことはまだ乗船するまでの間、
暫くは遊んでられるじゃんか<ばき

しかも空いたのは隣に寝ている寝相の悪い見ず知らずのオヤジから殴る
蹴るの暴行を受けたり、子どもに踏まれたりする事のない二等寝台!
そそくさと受付を済ませ、太平洋フェリー側の窓口で事情を話して不要
となったキャンセル待ちの一番札を返却した。今の自分のように急きょ
乗りたい人はまだ居るはずだからね。

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18:45に苫小牧発、大洗行きのフェリーの乗船手続きは15:00からだ。
今は14時チョイ前。よし、飯でも食うか、と地図を見て、近所にある
魚市場の食堂を目指した。ホッキ丼が名物らしい。テケテケ走って
いたら、左手に安っぽい黒い牛のハリボテを掲げた、ちょっと前の
ワイドショーやニュースでバンバン登場していた某企業があったので
記念撮影<ばき

Meethope

マルトミ食堂なるその市場食堂に着いたのは14:15頃。でもなんと!
その食堂は14:00までだった(TT)、ちくしょう、北海道にまた課題を
残しちまったじゃないか、次回には必ずこの課題を果たそう。

そう、北海道を旅すると、「次はこうしよう」「あそこに行こう」
と言う具合に果たす課題よりも多くの次なる課題が発生するのだ。
だから毎年来ても、決して飽きないし、また来年も行こう、と思う
ようになるのだ。6年前が初北海道だった元カミさんもそうだった
らしい。今では何処にも居ない人だから、その想いを今回自分は
果たそうと、ここに来た。でもそれを果たせずに、逆に新たなる
課題を持って今日帰る。これは決して失敗ではなくて、新しい未来へ
行くためのステップなんだ、と肯定的に考えよう(^^)

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この時点で14:30。スムーズに乗船手続きをして、土産を買って帰る
事を考えるとあと一時間位で北海道の走り納めとなる。どうするか、

とりあえず苫小牧に一件しかないホクレンに行き、今日最初にして
北海道で最後の給油。225km走って5.7L入った。燃費は39.5km/Lって
所だ。やっぱり最後の高速道路での85km/H巡行が燃費悪化を招いたな。

ちなみにこのホクレン、なんと今まで手にしてなかった道南地域を
示すホクレンフラッグの黄色配布地域だった!なので、最後の最後に
なって、道北、道東、道南を示す三食のホクレンフラッグが揃った!
隠しフラッグの黒は、サロマから最北端を目指せばすぐ上の紋別辺り
で手に入ったのだが、自分的には3色揃っただけで満足(^^)

Hokurenflag2

ホクレンさん、今回も沢山お世話になりました。次回もヨロシク!

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さあ!あと一時間くらいだ、どうしよう?このままフェリー乗り場に
行くのもシャクだな、と思ったので地図を見て考えた。よし!思い
切って支笏湖まで行ってみるか、片道25km位だからどうにかなるべ。

長い直線の登りである国道276号を走り、支笏湖の湖畔まで行って、
最後の北海道らしい景色を楽しんだ。いつかまた、俺は必ずここに
帰ってくる。そう誓って、不毛な都会の苫小牧へトンボ帰りした。

Lakesikotu

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町中にあるスーパーで船内で食すための食材を買い込み、フェリー
乗り場へ!。

Feritokamomai Huda

受付を済ませて2Fにある土産物売り場で少し時間を潰す。洞爺湖
名物のワカサイモを箱は持って帰れないから一個だけ今食べて
帰りたいので売ってくれ、と売り子のおじさんに頼んだら試食用の
それをまるまる一個無料で貰った。感謝!だからじゃないけど
ワカサイモは北海道土産にオススメでっす(^^)/

乗船時間が迫り、バイクを船倉に入れた。その中に摩周のYHで同じ
部屋に泊まったDS4の人がいて、やぁやぁ!、とあいさつを交わす。
エレベータでロビー?に上がり、二等寝台の自分の場所を確保して
から身軽な短パン姿になる。世話になったガミさんと、自分の帰り
を待つ今の彼女(?)にメールで無事船が取れた事を連絡した。

あとは出航までの間、船内の大浴場で夕刻の西日に浮かぶ苫小牧の
風景を見ながらゆっくりと風呂に漬かった。ぶえぇぇえぇええぇえ

そういや今回の旅は、何だかんだ言いながら毎日必ず風呂に入って
いたな。自分としては珍しいかもしれない<ばき

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船は定刻通り出航。自分は買い込んだ食材と、安缶チューハイで
一人で北海道と離別の宴を行い、このツーレポを一通り書いてから
早々に寝に入った。すぐ隣のジィさんがとてつも無い音量のイビキ
をかいているが、ウェストバッグに常備されてる旅装備の一つ、耳
栓を装着して難なく寝た(笑)

明日になれば、もう家に戻ってると言う事が、何か信じられないや
昨日までずっと北海道の自然の中を走っていたのにね。


                 本日の走行距離 263km

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