旅2007・1日目
・・・朝、自宅で目が覚めた時は、まだ自分は日常生活にいた。
だが居間には昨夜までの成果である旅支度が並び、庭には相棒のTWが
朝日を浴びて輝いていた。そうだ、今日から俺は何年ぶりかで旅人と
して旅(=生活)するんだっけな。不思議と小学生の頃の遠足の前の
ような高揚感はない。むしろ少し面倒かも、という感情があることに
気付き、愕然とした。これが老いた、と言う事なのか?
そんな感情を掻き消すかのように、出来上がった荷物を旅の相棒に
ゴムヒモでどんどん括り付けてゆく。道具の選定や荷造りだけでなく
TWへのパッキングも、この10年ほど殆ど変わってない。
大振りのウェストバッグとOFF車用のタンクバッグに単車乗りとして
必要なアイテムや、旅人としての日常装備が殆ど収まっている。
リヤシートの上には重量のあるテントやキャンプ用品、寝袋や予備の
ガソリン等、キャリア上には軽い衣類。それらの間に畳んだドカシー
を挟む。重量物は単独でXクロスのゴムヒモで括り、ドカシーと衣類
はすでに固定されている重量物とそれらをまとめて固定するように
長いゴムヒモでM字型?に固定する。そうやっておくと、荷物満載で
林道走行をしてもズレないし、何より衣類だけを降ろす事が容易に
可能なので、出先で衣類を出し入れしたり宿泊するときに便利なのだ。
さらにその上からゴムネットをかける。荷物の固定には何の寄与も
していない。これは途中で買い物をしたり、風呂で濡れたタオルや、
雨で濡れたカッパを挟んで走りながら乾かすためのものだ。ホクレン
フラッグもここに装着する。
そういうパッキングのノウハウも、自分的にはもう完成の域に近付い
ている。とはいえ、自分一人にしか役立たない技術ではあるが(苦笑)
すべてのパッキングが完成し、最後にチェーンの張りとタイヤの空気
圧を調整して準備は出来た。ウェアを着込み、ずっしりとした重みの
ウェストバッグを装着し、首からゴーグルを下げメットとグローブを
手にした時点で、疲れた中年サラリーマンは「旅人」に変身していた。
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旅立ちを心配した今の彼女(?)が見送りに来てくれた。彼女はまだ
この旅の本当の意味を知らない。仮に知っても「ふーん、じゃあ
頑張って来てね」、くらいしか言わないだろうけどね(^^)
短めの別れのあいさつを交わし、TWの心臓に火を入れた。
缶コーヒーのショート缶しか排気量の無い小排気量の空冷OHC単気筒
らしい小気味良く歯切れの良い排気音を程よく消音されたノーマル
マフラーからせわしなく奏でながら、相棒が小刻みに振動して自分を
急かす。
「さぁさぁ!、そろそろ行こうぜ!ホラホラ、早く!」
よし!行こうか相棒。俺らの課題をこの旅で必ず成し遂げようぜ。
バイクは危ない、という一般的なイメージしかないので心配そうに
自分を見送る彼女に、必ず帰る、と約束して、走り始めた。
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たった200cc、16馬力しかないTWは高速道路が苦手だ。だが距離
を稼ぐ必要がある今回のような旅は、高速道路を使わない訳には
いかない。正直な所、2st125ccの方が高速走行に向いていると
思うくらい、非力なTWに鞭打って、高速道路を巡行した。大体
80〜85km/Hで流しているので、ありとあらゆる車に抜かれる。
それがちっとも悔しくないし、むしろ爽快ですらあるのがTWの
面白い所だ。逆に100km/H巡行なんてしたら、ただ辛いだけだ。
今回新兵器としてスロットルロッカーなる後付レバーを装着した。
これ大正解。手の痺れや疲れが劇的に低減するのだ。しかも使わ
ない時にはくるりと回して干渉しない所に移動してしまえば峠も
OK。値段が1200円前後したけど帰ったら他の車体にも付けよう。
とあるSAでTWの泣き所、スプロケ軸受部のアウター側からオイル
漏れ発覚。大量だったら即旅中止だけど、高速走行後だけポタリ
ポタリ、なので大丈夫と判断。しばらく様子を見る。フェリーに
乗る前までに酷くなったら、この旅は中断する。
それまでは暑くて死にそうな天気だったのに、福島県に入った
途端、空の色が鉛色になったかと思ったら気温が一気に下がった。
そういう皮膚感覚があるのが単車の旅だ。危ないな、と思ったら
かなり大粒の雨が突然降ってきた。陸橋下に逃げ込んでたまらず
カッパを着る。なんだよ、初日っからカッパ装着かよ(TT)
その後、カッパを脱いだり着たり、を何度か繰り返し、SAやPAで
同じ境遇のライダーと話をしたりしながら、ようやく初日の目的
地の最寄りのIC、二本松に辿り着いたので下りた。その頃には
もう晴れて雨の気配は無くなっていた。そこから目指すは岳温泉
近くにある無料キャンプ場の「あだたら高原野営場」
ここは十年くらい前に親友と一度使った事があったので懐かしく
なって行ってみた。去年も一度目指したが、雨で断念したのは
以前UPした通りだ。ここは無料のキャンプ場としては結構いい
レベルでお勧め。二本松IC寄りにある岳温泉の入り口に300円で
入れる元湯銭湯があるので目の前にあるスカイピアなる設備の
500円の風呂よりいい。そこは湯舟がかなり熱いけどね。
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で、キャンプ場の内部を確認して、地元民らしき人に色々聞き
大体のルールが把握出来たので風呂に行って食材を買い揃えて
再び現場に行き、まずは夕日を眺めながらカナカナカナと鳴く
ヒグラシの大合唱の中で発泡酒で一人で乾杯!そしてテントを
設営。手慣れたモンだぜ(^^)
枯れ枝をたくさん広い集めて、今回の旅で始めて導入したユニ
フレームの「ネイチャーストーブ」を使ってみた。こじんまり
した焚火となるが、一応地面を焼かなくて焚き火が出来た。
飯は初日からフルに作るのもなんなので、今夜はコンビニ弁当
で済ませてしまった。TDMなら鼻歌モノの距離だがTWではかなり
長い距離を走ったので結構身体も疲労しているようだ。早々に
寝た。
これが老いというものなのか(;_;)<ばき
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満タンで7Lしか入らないノーマルのTWタンクでは後続距離が知れ
ているし、給油にしくじると高速道路上で車体を押し歩く羽目に
なる。なので小刻みに給油する必要がある。この日は
下道と首都高と高速 126.2kmで3.6L → 35.1km/L
全て高速巡行 145.9kmで4.8L → 30.4km/L
高速と下道 93.2kmで3.0L → 31.0km/L
と、言う記録が刻まれた。ブンブン回すとやっぱり途端に燃費が
上がるんだなぁ。高速さえ走らなければTWはスゲェんだけど<ばき
本日の走行距離 362km
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