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2011.05.08

かつて、もっとも幸せだった、あの場所へ

過労による産業医の指示で始まった、GWを内包した長い休みも
今日で終わる。4/20から始まり、5/8まで休むというと、実に19
連休になる。

サラリーマン人生で、19連休なんて一度も取ったことないな、
と思って思い返してみたら、いちどだけ取っていた事を思い出した。
それは9年前の、ちょうど今。GWの休みに、勤続10年に取れる
休日と結婚休暇を足して元カミさんと新婚旅行した時だ<ばき

まぁそれ以前にも17連休はそれまで毎年のように取っていたから
別に特別でもなかったんだよね、ただ久々に休んだし、時期が
時期だから、久々にあの頃を鮮明に思い出してしまったよ。

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そんな休日もあと少し。健康状態も(というか精神状態だな)
ある程度落ち着いてきたけど、過去の記憶をフラッシュバックさせて
しまったので、現実エクスポージャーと、そして新しい記憶の上書きに
よる希釈化をするために、残りの数日を使って、かつETC休日1000円が
終わりそうなのもあるので、久々にTDMでロングツーリングしてみた。

どのくらい久々か、というと、前回TDMにタンクバックを載せたのが
実に2001年。なんで判るのか、というと、その中に入ってた高速の
無料地図が2001年版のだったから(苦笑)

Jsapakun

Sapa200107

つまりこの10年間に一度もこのタンクバックを使ってないんだ。
ちょっと驚いた。それまでツーリングには欠かさなかったから、
あの時を最後に本当にTDMをずっと封印していたんだね、オレ。

行き先は10年前と、そして二人で最後に行った9年前と同じ場所。
ちょっと今の職場のある町に寄って泊まるけどあくまでも目的は
あの場所、ただ一点だ。

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片道数百キロ超の高速走行に、ヨーロッパ仕込みのTDMはびくとも
しない。ただ人間の方がこの10年間分の劣化が激しく多少なりとも
草臥れた(苦笑)

そんな時はタンデムステップに足をかけて、タンクバックに体重を
預けて、Giviのスクリーン越しに先を見て走る、自称「TDM乗り」を
するとかなり楽チンだ。

Tdmtabi01

もう若くはないから、スピードにスリルや楽しさは求めない。
自分の制御可能なものを、自分の制御しきれるぎりぎりで
操ることに、楽しさと達成感を感じる。そんなロートルには
850cc二気筒で80PSのこのTDMがちょうどいいんだな。

なにせ旧型を含めれば1992年から2011年の今まで、実に
19年間もの間、このTDMという乗り物と過ごしているからね。
確かに諸般の事情で何年もカバーすら剥がさずに実家に
放置したこともあったけどさ<ばき

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途中は端折って、その現場に着いた。

Tdmtabi2

…ここが、そうだ。

自分の今までの人生で最高に幸せだった時期に、この場所に、
自分は立ってた。あたりの風景はあの頃と、何も変わっていない。

違うのは、年老いた自分と、古ぼけたTDMの姿、そして自分ら
以外には誰一人も周りに居ない、という突きつけられた現実だ。

でも、絶対に行くまいと誓った場なのに、不思議と辛くなかった。
少し苦しかったけど、それを凌ぐほどに、楽しかった思い出だけが、
純粋にフラッシュバックして沸いて来た。

…そうだ、あの頃間違いなくオレは楽しかったし、誰より幸せだった。
ものすごく短い間で終わってしまったけれども、一生に一度きりでも
あんなに幸せな時間を過ごせたんだ、だから、もう十分だよな。

それにこれで、あの頃元カミさんと交わした「またここに来よう」と
いう、あの時の約束が9年越しに、やっと果たせた。それだけで
一つ肩の荷が下りたような、そんな感じがした。

でも自分とTDMはあの頃から何も変わらない姿のまま同じ所で
足踏みをして、今更になってここにまったく同じ姿で現れたけど、
あの時にここに居た人は、約十年という長い時を経て、とっくに
自分を置いて先に進み、高い場所に登って、次元の違う暮らしを
しているだろう。もしも、そんな元カミさんが突然ここに現れて、

 「何も変わらずこの何年間も貴方は今まで何をやってきたの?」

と、突っ込まれたとしても、何も言い返せないだろう今の自分の
存在に気付かされたような気がして、ちょっと悔しかった。

これからずっと独りで生きるにせよ、今のままで変わらずには
いられない。先に進んでステージを上げていかないと、進歩が
無くなっちゃうからね。

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一泊して、この地元のバイク仲間と久々に会って、その後
自宅に向けてのキャノンボールランを始めた。どれだけ走っても
休日ETC割引だから1000円で走り放題♪、頑張れ頑張れ!

Megameron

Bigmelon

途中のSAで、でっかいメロンパンを買ったりで、観光気分も
味わってきて、去年たった300kmしか走ってないTDMにも
このGWだけで約1500kmも一緒に走ってやることが出来て
良かった。さすがはTDM、一日で500km走っても大丈夫♪

自宅に帰りついた時には何か色々な物を全部高速道路に
吹っ切ってきたように、草臥れてはいたけど晴れやかな
気持ちで到着した。あー、楽しかった♪

Tdmtabi03

とはいえ、このFフェンダーに張った10年来のシールは
まだ剥がせない。これはまた別の機会に剥がそう(苦笑)

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進むべきは前、未来、つまり前進あるのみ。
進むのを止めたらフラついて、ぱったり倒れてしまう。
行きたい方向に視線を投げ続けなれれば、そちらに曲がれない。
能力を超えて頑張りすぎたら焼きついて壊れる。
雨が降れば一旦泊まって雨宿りもするしカッパだって着る。
無茶しすぎれば事故ったり捕まったりして痛い思いをする。

…人生とは、まさにバイクみたいなもんだ。これは長く
バイクに乗って、様々な事を学んで辿り着いた、言わば
真理だと思ってる。

だから、自分はこれからも単車乗りのままでいようと思う。

でも、全力で片方のオールだけを漕いで同じところだけで
クルクル回るボートのような今の生活ではなく、少しずつ新しい
方向性を持って、行きたい方向に視線を向けて新しい方向に
向けて進み始めないと、もう老後という現実も目前に迫って
来ている事だし、さすがにそろそろまずいだろうな。
 

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コメント

 立ち止まってみるのも有り、ちょっと戻ってみるのも有り、別の道を行くのも有り、ジャンプして飛びついてみるのも有り、道具を使ってみるのも有り・・・・・

 さあ、どこ行こう。

 いきなり全開で、頑張りすぎないでくださいね。

投稿: 剣片喰 | 2011.05.09 19:10

(= ̄ω ̄=)ノニャッ

投稿: bb | 2011.05.10 21:38

たまたま通りすがりの者です。
いきなり、共感出来る話だったので、重いコメントをお許しください。

10年前が恐らく人生の黄金時代というか幸せ絶頂地点と思ってらっしゃいますよね?
(違っていたらすいません)
私もそうでした。
この10年はただ、生きていただけ(総括すれば)の日々でした。
気がつけば、ほんとうにオジサンと呼ばれても違和感のまったくない歳になり、鏡を
みればそこには老いた自分が・・・だけど、気持ちは若い頃のまま、あの時のまま
なんですよ。
もう、恐らく結婚や子供を育てたりすることは無理でしょう。いわゆる普通の人生を
送ることは叶わず、暗い絶望感を感じています。

が、逆にそんな状況を利用し、早々とリタイヤなんぞを考えいます。
諦めることで得られる事もあると思います。


投稿: なんていったら | 2011.05.11 21:40

ある掲示板で、
「結婚とは、ネズミ捕り器みたいなもの」って言ってる人がいて、(なるほどな~)と思ったことがありました。
外にいると、中に入りたくてしょうがないのに、
一旦中に入ると、今度は外に出たくてしょうがない。

人生いろいろですよね。。
因みに私は今年で結婚して16年になります。

投稿: kisskiss | 2011.05.11 22:03

良かったら『星守る犬』見て下さい。

投稿: 犬になりたい | 2011.05.12 08:27

現場生活が、仮かもしれませんが、一旦終了し、
自宅生活に今日から戻りました。

GW前からの大連休と違って、仕事にはさまれた
普通の土日の2連休を自宅で過ごす、というのが
とても新鮮な感じがしています。こういう時間を
過ごしたくて、それが出来なくて、もがいていた
感があったのですが、突然それが出来るように
なった、という感じです(^^;)

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剣片喰さん:

いつもコメントありがとうございます(^^)

たまに発作的にこういう感情が沸いて来て、
ドップリ浸ってしまうことがあります。
何度も自問自答してきたはずなんですけどね。

あ、今は大丈夫ですp(^◇^)q
夢のガレージハウス生活に向けて
少しずつ舵を切って行きますよ~♪

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bbさん:

bbさんが手に入れられた生活は、とある男が
望んでも得られなかった「夢の生活」です(^^)
たっぷり楽しんで、満喫して、幸せになって
くださいね~(^^)/

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なんていったらさん:

コメントを寄せていただきありがとうございます。

人は色々な過去や思いを少しずつ追加しながら背負って
生きて行きます。どうやらお互い、もう戻れない所まで
来てしまったらしいですが、確かにおっしゃられるように、
今の我々のこの立場ででしか目指せないような方向も、
…きっとあるはずですよね(^^)

普通の暮らし…、十年前には、自分でもそれが出来ると
思って(勘違いして)いましたが、やっとこの世における
自分という人間の価値と言うか、生まれ持った身の丈と
いうか、自分が望んでもいい未来と自分が実際に行ける
未来の差異というか、平たく言えば「己の現実」という
ものが、元カミさんは10年近くも昔にとっくに見切って
判断していたんですが、それが自分にもやっと判り始めた
感があります。

自分も頑張って行きますよ、『行ける未来』へ。

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kisskissさん:

そうですね、自分も昔、こんなネタを書いた事があります。

http://tenere.cocolog-nifty.com/log/2004/06/post_4.html

久々に読むと、今回とよく似たことを書いてました(^^;)<ばき

ネズミ捕り器の外を長く経験し、内も短く経験し、そしてまた
外を長く経験した上で思うのは、やっぱり夫婦や家族というのは
「自由を奪う足鎖」ではなく「己を安定させる錨」だな、と
思うのです(^^)

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犬になりたいさん:

助言のコメントありがとうございます(^^)

確かにそうですね、自分は「絶対に得られない、
届かないものをいつまでも欲しがっているだけ」
なのかもしれません。

マッチ売りの少女のように、一瞬灯っただけの
刹那的な暖かさに、得る資格の無い永遠の幸せを
垣間見てしまったのかもしれません(^^;)

そんなマッチ売りの少女に残されたのは、あと
何本かのマッチだけ。それを燃え尽きさせれば
あとは冷たい雪に埋もれて天に召されるだけ。

でもそう簡単には埋もれないです。己の天命が
尽きるまで、まだまだ往生しないで頑張ります。
 

投稿: ino | 2011.05.14 22:54

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