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2011.12.17

甘十金剛石、な夜だった、のかも

ちょうど十年前の今日のこの日、元カミさんと一緒にドキドキ
しながら市役所に婚姻届を提出して、自分は既婚者となった。

今から思えば、人生で一番充実していて、かつ一番希望に
満ちていたのが、その日だったのかもしれない。

とはいえ現実は甘くなく、そのあたりから始まった今の仕事で
一緒に暮らす時間が半分くらいしかないような状態で二人は
同じ役所の窓口に離婚届を提出し、一年と数ヶ月という短い
自分の既婚者としての人生は終わった。

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そこから、失ったものから目をそむけるように、色々な方法で
色々な生き方をやってみたが、結局あの日から十年後は
今のこんな状態にしか、なれなかった。

一年間で数ヶ月しか自宅で、暮らせず、地方の現場をめぐり
激務と過労で色々なものをすり減らし、それだけ頑張ってきた
仕事も、今では人に言えないような内容になってしまった。

頑張った副産物として収入は増えた。皮肉な話だけど今の
年収は十年前のきっちり2倍。

専業主婦+子ども二人くらいなら養えるくらい稼げているけど
今の自分にとっての仕事と収入は、「何のために稼ぐ」という、
onである仕事と、offである生活を繋ぐリンクが切れてしまって
いるため、働くことで収入を得ることが、働くモチベーションに
直結していない。

もしも十年前に誕生した、小さな家庭が今もあったのなら、
その家族の幸せのために有意義に使えたかもしれないが、
結局それはかなわない。

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じゃあなんで、こんな仕事を今も継続しているんだろうな。
誰からも褒められず、今となっては誰にもいえないような、
この仕事を。(でも、誰かがやらなければならない仕事
なんだけどね)

独りで生きてゆくなら、この場でこの仕事をしなくてもいい。
別の仕事で、生きていけるだけの収入くらいは得られそう。
なにせ貧乏暮らしには慣れてるからね:-p

でもそうしないで、今もこの仕事から振り落とされないように
踏ん張っている。

多分それは、10年前に始まった、あの生活を維持する事が
出来なかった、踏ん張りきれなかった自分に対する私刑。
つまり今は無期懲役の執行中。刑期の真っ最中って事だ。

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目を瞑って想像してみる。

あの結婚生活が今も継続していたら、自分にも家庭があり
子どもなんかもいたりして、結婚十周年のお祝いをこっそり
用意して、この時間はカミさんがびっくりする顔を楽しみに
ニヤニヤしながら家路を辿っている頃、だったかもしれない。


目を開けて現実を受け入れる。

ボロい自宅は長期放置状態のまま地方の仮設の寮で
仮住まいしつつ、寝る以外は人生のほぼ全てをプラントの
復旧のごく一部のために費やす、家庭の無いうらぶれた
中年バツイチ男がノートPCの液晶に、ぼんやり映っている。

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十年前のあの日、十年後の、この自分の姿はとてもじゃ
ないけど想像出来なかった。とはいえ、自分の現実はコレ。

だから、今から十年後に自分が何をしてどんな格好で
いるのかは(なんとなく今の懲役刑が明けていないような
何も変わらないような、そんな気はするけど)、判らない。

でも、十年前の(つまり今の)自分に対して、胸を張って、
「どうだ!こうやって生きてきたぞ!」、と言えるような
十年を、これから生きて行きたいもんだ。

そんな先まで生きているかどうかも、判らないけどね:-p
  

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コメント

10年前の年収の4分の1になったぞ~ニャ(´・ω・`)っ

投稿: ぬこ | 2011.12.18 09:42

 私は約三分の一・・・ 1人ですから何とかなります。
 前職よりも、仕事は楽しいです。

 10年後、どうなってますかねえ。

投稿: 剣片喰 | 2011.12.19 20:49

ぬこさん:
剣片喰さん:

倍増してもその代償として失った時間と見合うかどうか…
もしも、それが唯一の目的ならば達成感があるんでしょう(^^;)
今は人生のバランスが明らかに「働きすぎ」なんだと思います。

呪縛を解き放って、過剰に傾いたバランスを、よりよい方向に
転換するもありかな、と、今年の春ごろに身体を壊しかけて、
自宅で寝込んで静養していた時には思いました。

でも、地震の影響をモロにうけたこの業界で働く一人として、
そして津波被災地に出向いて目にして、話を聞いて、受けた
そんな甘えた気持ちをぶっ飛ばすほどの衝動で、活を入れられ、
あわてて走り出し、一仕事終えて今年も終わろうとしています。

生きている人間は、その命で頑張れるうちは頑張る!

でもどこまで頑張れるだろうか?、一仕事終わって力を抜いて
ふとそんな事を考えたその日が、よりによってちょうどこの日で
ある事を思い出してしまった。…まだ弱い、情けない(苦笑)

10年後には「十年前にはこんなトボけた事をほざいてやがる」と
ニヤニヤしながら「オレもあの頃は若かったよなぁ~」と向こう
十年間で積み重ねた人生を、今の自分に語ってみたいですね(^^;)
 
苦しいのは、今、生きているからそう思うし、
楽しいのも、今、生きているからそう感じる。

膨大な死と無理やり直面させられた街で、それを感じてます。
 

投稿: ino | 2011.12.19 23:01

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