旅2012・1日目 出発
連休の初日は昨日の7月21日。その日は仕事モードから旅モードへの
切り替えと、万が一緊急の連絡が入ったら旅を中止に出来るための
インターバルとして、あらかじめ今回の連休の予定に入れていた。
旅に持参する荷物の支度、衣類のパッキング、部屋の片付け、ゴミを
出したり…、昔は休みの初日からいきなり全力で旅モードに突入したが
どうもサラリーマン生活が長引くと、全身に癒着して一体化している
(つまりもう自分自身そのものと言っていい)「仕事モード」を脱する
ために、色々な儀式と時間を要するようになっていた。
最初は簡単にそれが引っぺがせると思っていた。でもそれは思っていた
以上に強固にへばりついていて、旅に出るワクワク感と高揚感に沸く
心情の中に、なんと驚くなかれ、
「バイクで北海道まで行くのか…面倒だよなぁ」
「長い休みの間に、仕事の現場で何かあったらどうしよう」
…と、心の隙間にスクレーパーを差し込んで、引っぺがすかのように、
考える仕事主体人間な自分が気持ちの隅っこにいたりもした。
びっくりしたよ、あれだけ楽しみして、必死に頑張って休みを
得たのに、残してきた仕事の方が気になる自分がまだ居た事に(^^;)
でも、旅をしたい自分、この旅が人生の色々なターニングポイントに
なる事を期待する自分が、そいつらに勝利した。ま、敵じゃないわな。
社会人としては失格なのかもしれないけど、この二週間だけは自分を
大事にさせてもらうよ~♪<ばき
今回の旅のテーマは
「未来に持っていけないものは、思い出だけ残して捨てて先に行く」
このケジメをつけるために、中年サラリーマンという仮面を脱いだ
野を彷徨う旅人は、5年ぶりの旅に出るのだ。いや、一時中断してた
だけで、それを再開する、と言ったほうが正解だな、ほんのちょっと
たった5年間だけ一休みしてただけさ:-p
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…旅の初日は小雨で始まった。何だよ!、何で雨が降るんだ(T◇T)!
庭先に出しておいたTWは切なく雨に濡れて泣いているように見えた。
ま、今日は夕方までに大洗港に行けばいいのだ。午後から天気も回復
すると言う天気予報だから、ゆっくり&のんびり準備しよう。
そう思って庭に出た。そしたら夏なのに妙に涼しかった。…あれ?
ここ数日は北海道が寒いという話は現地に住むガミさんから情報を
仕入れていた。でも少しナメていた。そういう旅を何度もして来た
から。でもこっちがこんなに涼しい、この外気温が23℃という事を
考えると、十数℃という北海道はもっと寒い。これは用意した衣類
だけじゃ寒くて走れないって事、だな、
かといってジャンパーを詰め込むほどの余裕は無い。なので最小で
最高の効果を得るためにメッシュジャケットの上に羽織ってサマー
ジャケットを上から着れば3シーズン用のジャンバーとほぼ同じ
保温力となる、ゴアテックスのインナー、ウィンドストッパーを
新たに荷物に追加した。
蛇足だが、このウィンドストッパーは、結婚していた当事に元カミ
さんが冬にバイクで走るように誕生日プレゼントで買ってくれた
ものだ。これも何かの縁かもしれないな。使わせて貰うよ(^^)
あ、一応書いておくけど、今の自分は元カミさんに対する生々しい
感情は何も無いのであしからず:-p。
5年前の旅でほぼ完全燃焼して、元カミさんと今の自分の間に残る
のは、一つの約束と一枚の写真、それだけだ。それは自分の未来に
持って行く事ができない。だからこの旅で北海道に埋葬しに行く。
チョイ暗くなったけど、この旅は当然それだけが目的じゃないよ、
仕事に疲れた中年サラリーマンがずっと待ち望んでいたバイクで
旅する夏休みなんだ♪
今の時点で自分が使える全力を使ってこの夏を楽しむよ~(^◇^)
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小雨もある程度上がり、路面が乾き始めた。太陽はまだ分厚い雲の
裏に隠れて存在感が無いが、もうそろそろだろ!、オレに旅~を
させ~ろ~~♪(嘉門達夫の『俺にカレーを食わせろ』のサビで
どうぞ)
洗濯物が干せるかしら?、という具合に家から顔を出した馴染みの
近所のおばさんに、
「これからちょっと旅に出てきます」
と声を掛けて、出張で家を空ける際と同様にこの地域の回覧板を
ウチだけ飛ばしてくれるよう頼んだ。
さて、行こう!、久々の旅を楽しむため、そして色々なケジメを
つけるために…ね。
蛇足になるが、この着てるヤマハのジャケットは、ここにコメントを
寄せてくれる、ぱにあさんから以前頂いたもの。愛用してます(^^)
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5年前の旅立ちの時には自分を見送って、そして「行ってきます」と
言える当事の彼女が居たけど今は居ない。そんなのとっくに慣れて
いるはずなのに、なんでだろう?、いつもの出張に出る際と物理的に
なんら変わらない行為であるはずなのに今回はそれがとても寂しいと
感じた。…そっか、オレはやっぱり孤独なんだな、という感じで。
それじゃ旅立ちには寂しすぎるだろよ!。なのでこの旅とは無関係
だけど旅するTWの修理に関わってくれた行きつけのハヤシカスタムに
寄り道して、社長さんに声をかけ、今回の旅立ちの見届人になって
もらった<ばき
お忙しいところ申し訳ありませんでした。い、行ってきます(^^;)
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…途中は端折るが、途中で結局小雨に降られ、PAに逃げ込んだ(TT)
何でこんなに雨にたたられるんだろう?、人生最後かもしれない
旅なんだから、天気の神様、気持ちよく送り出してくれよ!頼む!
なんか少し意地になって、カッパを着ないでそのPAで雨が止むのを
少し待った。いかんいかん、旅人たるものもっと冷静沈着に、臨機
応変に事に対処しないと。
その後、東京の高速を70km/Hでゆっくり流して、常磐道を目指す。
…おっと、途中でこの旅でまた果たさねばならないケジメを付けに、
今は亡き友人の墓に立ち寄らねば。TWでここに来るのは彼の葬式
以来だ。
彼の葬儀には喪服ではなく、あえて自分の正装であるTWで今とほぼ
同じ格好で行った。ご遺族がみんなバイクでバイクの格好で来てね、
その方が彼が喜ぶから、と言って下さったのだ。バイクで息子を
失ったご両親、どういう想いで我々にそう言ってくれたんだろう。
自分とTWの旅姿は旅人としての正装だ。その姿で墓前に立ち
この旅に出る事を報告し、そして彼が最期に乗っていたSXを
秋に再生して、それでも蘇らなければ、または蘇っても秋の命日に
その役目を終えさせたら、その後に手放す事を告げた。
もう2年間動かないSXも、これからの自分の未来に残念ながら持って
いけない。ごめんよ、この旅から帰ったら、再生に取り組むから
もう少しだけ待っててくれ。 …じゃ、行ってくるよ。
コップ一杯の排気量しかないTWのエンジン音が彼の墓まで届くよう
アクセルを開けて少しだけ元気に吼えさせてから、寺を後にした。
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常磐道に乗る前にバイク用品屋があったので立ち寄った。ずっと
愛用していたグローブにもう少しで穴があきそうになっていた。
このままだと旅の途中で穴が開く。なのであえてここで新旧交代。
TWカラーである白青黒のFOXのoffグローブを購入。さあ行こう!
下道を少しだけ迷いながら常磐道の三郷のスマートICを目指した。
今回のTW、ぢつはETC化してあるのでそこから高速に入れるのだ。
空は曇天、霧雨も降っていて走っているとしっとり濡れる。でも
行け!行け!北海道目指して突き進めTW!
旅の速度として最高の80km/Hで常磐道を下る。全開走行すれば
一応115km/Hくらいまでは引っ張れるのだが、旅の速度の上限は
一般道60km/、高速は80km/Hだ。そう決めている。だってこれ以上
出すとTWがスピード出しすぎ!、と、こうやって警告を出すからね。
今のバイクには付いてないから、こんな赤いランプが点いても
何だか判らないよね、特に最近バイクに乗り始めた人は(^^;)
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途中のSAで古いグローブを捨てた。もう少しは使えるんだけど、
今回の旅には持っていけない。…許せ。
この旅で、自分が過去に置いてゆく全てのモノの象徴として、
お気に入りの色で愛用のグローブをSAのゴミ箱に投じた。
ゴミ箱から駐輪場に戻ると旅装束をしたバイクが増えてた。
気さくに声を掛けて色々と話をしてみると、みんなこれから
大洗に向かうとの事。この時間にこんな場所でこんなに荷物を
背負って走っていれば、そりゃそうだ。自分もそうだし<ばき
それでは、また港や現地で会いましょう、ご安全に(^^)/
ここまで140km走ったので守谷SAでガソリンを入れた。この旅で
初の給油。3.5L。燃費は40km/Lか、幸先いいじゃんか(^^)
さあ頑張れTW、オレら昭和のロートルはまだまだ往生しないぜ!
大型バイクならヒトっ飛びのSA-SA間も非力なTWじゃ一苦労だ。
さっきのSAで停まってたTLR200とずっと80km/Hで併走しながら
曇天の下、高速を駆け抜ける。隣の友部SAでもちょっと休んで、
涼しいを通り越して少し寒い思いをしながら大洗港を目指した。
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五年ぶりとなる大洗の街に入る。港に入る前にコンビニで食材を
購入し、隣のガソリンスタンドでもう一度給油。北海道に満タンで
上陸したいからね。
15歳という、幼さが見えるバイト少年が、初々しく一生懸命給油
してくれた。すぐ脇で鋭い視線と指示を放つ女性先輩店員が凄く
ギスギス見えてしまうくらいに。(その人も若いんだけどさ)
89km走って2.5L、燃費は35.6km/L。高速走行だとやっぱり悪く
なるな。でもウチのTWは大体いつもこんなもんだ。という事は
きっと快調って事だろ♪
大洗の港の周りは、去年末まで暮らしてた石巻のような猛烈な
津波被害の痕跡は見られないように思えた。でも乗船の手続を
した時に聞いてみたら、去年の今頃は被害状況が生々しかった
らしい。つまりここまで復興した、って事なんだな。
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乗船手続を経て、船に乗り込む寸前までくると、数時間前まで
日常生活をしてたとは思えない。まるでジェットコースターの
急落下のような感じがした(笑)
なぜなら元カミさんと北海道に行く以前からだから、十数年前
から自分の北海道旅は基本的に東北を数日巡り、旅気分を徐々に
盛り上げてから仙台や青森からフェリーというクライマックスを
迎えるように自己演出していたから。
でも今日は、なんだかあっという間にそのクライマックスに
到達してしまった気がして…いいのかなぁ(^^;)?<ばき
この光景を見ると、なんか面倒だ、旅に出たくないなぁ…、と
いう怠惰な気持ちは、全て水平線のかなたに吹っ飛んでしまい、
ワクワク&どきどき感だけしかない。よかった、オレはまだ
ちゃんと旅人だったんだな(^^;)
船に乗り込んでTWを船倉に停める。この感覚が5年前の旅から
本当に5年間も経過してる気がまったくしない。ほんのちょっと
前にこういうことをしてたよな、そんな気持ちになる。
見慣れたフェリーの中に入ると、さらに浦島太郎のような気分。
本当に前の旅から5年間もたっているのかな?、なんかちょっと
悪い苦しい仕事の夢を見ていて、たった今、オレはカジュアル
ルームのベッドで目覚めたんじゃないだろうか…そんな錯覚が…
今夜の自分の寝床を確保して、店を広げる。ここはAC100Vが
取れるので、LOOXに通電し、そのUSB端子から様々なモノに
充電が出来る。5年前は単三電池2本で長時間稼動する愛用の
MKモバギで旅の様子をメモしていたけど、今回のその道具は
このLOOX-U G//90だ。キーボードが実用に耐える最小のPCだ。
18:30の定刻にフェリーは無事出航。今はゴゥゴゥという音を
響かせる巨大ディーゼルの振動と騒音を感じながらベッドの
上であぐらをかいてその股間にLOOXを置いてタイピング中。
夕飯は途中で買った適当なメロンパンやその他。フェリーの
飯はベラボーに高いからパスだ<ばき
でも、せっかくだから明日の朝飯くらいは食ってみるかな。
なにせ朝飯はバイキングだから食い放題♪だしね(^^)
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本日の走行距離:229km
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