旅2012・6日目 再開
さろまにあんで迎えた朝、同室のやけどのような日焼けに悩まされて
いた自転車乗りとほぼ同時に目を覚まし、布団を片付けて、荷造りを
整えて、一階に下りて暖かい朝食を頂き、会計してこの宿を後にする。
ここでは朝に出発する人を、宿の人達が大きな旗を振って送り出して
くれるらしい。とはいえ、自分が出る直前に弱冠18歳で一人旅をする
関西の女性ライダーの方が圧倒的な注目を集めており、自分は刺身の
ツマというか、おまけというか、正直、単なる邪魔者状態だったので、
その彼女が出立した後に、あっさりと早々に去った。
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ちょうど五年前に当事の彼女からのSOSを受けてその旅を中断し帰路に
ついたのは、そこからすぐの交差点。あれから5年間もかかってやっと
ここに辿りつたな、ここに。
今回の旅、今までは5年前の旅の焼き直しに近いようなイメージだった
けれど、ここから5年前の旅が再スタートするのだ。ちょっと身震いが
した。この五年間の時間がまるで瞬きしただけのような短い時間に
感じられた。
ふと、五年前に自分にSOSを入れた当時の彼女の事を思い出す。
色々あって、大変な人生を歩んでいた彼女をどうにかして救いたくて
自分が出来る全てを費やしてサポートを続けた。5年前の旅を中断して
途中で帰ったのもそのためだった。
あの時、この手前の交差点を曲がった自分の頭の中では新しい未来へ
突き進むファンファーレが鳴り響いていた。でも自分の努力が足りず
その彼女と一緒に幸せになることが出来ず、自分はタイムマシーンで
タイムスリップしたかのように、当事とほぼ同じ状態のままでここに
やってきた。
あの時、新しい未来に進む事が出来ていたら、ここには居なかった。
来る必要も無かった。そう考えると、こうなる事は自分の運命だった、
きっとそうなんだろう、そう思うことにする(^^)
ならば、ここから行こうじゃないか、五年前に目指した約束の地へ!
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ここから先は、元カミさんと一緒に回ったのが最新の記憶だ。
だから少し覚悟はしていたけど、道端に現れる景色を思う気持ちが
全部が5年前の旅と同じような、今までの生やさしく温い思い出とは
桁違いに生々しい、鮮明なフラッシュバックを伴っていた。
ああ、北海水産でホタテ食ったっけ、この道の駅でポニーを眺めて
いたっけ、と、だんだん苦しくなっていった。
でもね、5年前に思ったように、今回の旅でも思ったように、あの時は
とても楽しかったんだ。単純に大好きな元カミさんと大好きな北海道を
旅して回る、それが本当にうれしくて、そして楽しかった。
だからそれを今感じられる事は、本当は幸せな事なんだな(^^)♪
それに、あれから十数年もかかっちゃったけど自分は再びここを訪れる
事が出来たじゃないか。…そうだな、自分は今、確実に幸せなんだ。
もしも今でもあの当事の気持ちのままでそれまでの年月を一緒に生きた
元カミさんがここに一緒にいれば、もっと楽しくもっと幸せな気持ちに
なれただろうから、それに比べたら今は…というする事が無意味な相対
的な比較論に過ぎない。
絶対指標で言えば、自分は今間違いなく「幸せ側」にいるんだ。
この今の幸せをくれてありがとう、元カミさん。
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湧別町内でガソリン補給。前日を含めてここまで120km走ってた状態で
ガソリンが2.8L入った。つまり42.9km/L。相変わらず燃費いいな、TW。
給油してくれた店員さんがここからホクレンフラッグは青になるので
一本どうですか?と声を掛けてくれたので、当然のようにそれを購入。
あとは道央の赤い旗だけだ(^^)
もうしばらく走ると、大昔に自分が初めて北海道に来た時に、初めて
キャンプをした思い出の、三里浜キャンプ場への案内看板があった。
あの頃は自分も若かったなぁ、と一人で苦笑い。初北海道は何もかもが
新鮮で、楽しくて…そうさ、その原体験があったから、今もこうやって
ここに居るのさ(^^ゞ
北海道は元カミさんとの思い出だけじゃない。それを全部ひっくるめた
「オレの場所」なんだよね、ここは。
さあ、先を急ごう!
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湧別を抜けて、そこからすぐの所にあるコムケ湖の周回ダートを走る。
砂のダートはTWが最も得意とする道だ。オホーツクと、水辺の湿地を
交互に眺めて、最果ての地にいる実感を味わう。
砂っぽいフラットダートを走り終えて国道238号に戻り、北西へ走る。
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またも道の駅があった。オホーツク紋別というところ。地図を見ると
そこにはカニのハサミのオブジェがあるという。じゃ、行ってみるか。
…で、でかい。おおおぉお!、オレにもっとカニを食わせろぉ!、と
へばりついてみたけど、殻が固くて歯が立たなかった(T◇T)<ばき
偶然だけど、この日、この場所に旭川動物園から逃げたフラミンゴが
飛んできていたらしい。夜のニュースで知った。それを追っている
らしい人や車は見たけど鳥には気付かなかったなぁ、残念。
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その後も国道238号を進む。このままずっとオホーツク沿いを進めば
放っておいても宗谷に到達するのだけど、それじゃあまり面白くない。
そこまでの海岸線も道の駅はたくさんあるけど、あまり面白い道じゃ
ない。
そこで興部の手前の道道334号から内陸に向けて走ることにした。
この道、すごく気持ちが良い。天気が良いことと、殆ど誰も走って
いないので、北海道を全て独占しているような気分になる。景色以外
何もないけど、遅いTWで他の車に煽られて走る幹線道路よりも、こう
いう道道の方が走っていて気持ち良い。
とはいえ、道道はそう長く続かない。西興部で国道239号に乗る。
海沿いは風もあって気温が低かったが、内陸に入ると気温が上がり、
かつ天候も回復して日差しがジリジリと暑い。
このあたりのセイコマートに飛び込み、ウェアをメッシュに交換。
走ると天然クーラー全開!、すずしぃ~♪
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この国道239号もとても気持ちが良い道だ。でもバイクは居ない。
ある程度北海道を走りまくった、通な人しか使わないのかなぁ。
流れる山や周りの景色が美しくて、もうなんと言っていいのか、
幸せすぎて涙が出らぁ(T◇T)!、そんな感じが全開!全快!
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山の中から、名寄に入ると、一気に都会になる。都会は自然ほど
美しくないので、とっとと走り抜ける。途中で高速道路のような
道が無料開放されている、という看板があったので、TWには似合
わない都会はそういう道を使ってワープするに限る。暑いしね。
他の車の迷惑にならないように旅の上限速度を70~80kmに上げて
ひたすら走る。燃費悪くなりそうだけど、時間と距離を稼ぐ事を
優先した。味気ない道路が終わり、また一般道に出た。
結構走ったのでガソリンを入れる。今回はこまめにガソリンを
入れてるのでその区間の燃費が残って面白い。美深のエネオスで
給油。162km走って3.65L。つまり燃費は44.4km/L。高速走行が
入った割りには伸びたな。以外と70km/Hくらいで走る方が燃費が
いいのかな?
でも旅が楽しい速度は60km/Hまで!。それをとことん突き詰める。
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そこから少し北上したところに、道の駅・美深がある。
ここは以前はバイクが必ずあって、隣のキャンプ場にはバイク
乗りのテント村みたいな、小さいテントがたくさん並んでいた。
でも今日のこの時間はバイクは自分だけだ。
蛇足になるけど、ちょうど駐輪した目の前に、こんなポスターが
貼ってあって一人で苦笑い。
鉄筋コンクリートの建物が、いったいどれだけ犬猫が粗相したら
倒壊するって?それだけブチ切れてる、と言いたいんだろうけど、
嘘はいかんよな、ログハウスじゃないんだぞ?
せっかくなので中に入って見ると、チーズ系の美味そうな菓子が
あったので購入。840円なり。それをここで食おうとお思ったら
凍っているので解凍しないと美味くないらしい。じゃあ仕方ない、
このまま持って歩いて15時のおやつに食う事にしよう。
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さあ北上だ、北上!、国道40号をさらに北側に進む。
ここから先は元カミさんと回っていない、記憶の非汚染地帯だ。
だから色々な感情が蘇ってくる事まったくなくて、ただ純粋に
うわぁ!懐かしいなぁ!というまだ二十代だった頃の気持ちが
緩くフラッシュバックする。
元カミさんには悪いけど、ここから先はオレだけの世界だ。
だからこそ、あの時にまた一緒に来ようと約束をしたんだ。
写真を入れた左腰のホルスターバッグを左手でポンと叩いて
あの約束をこれから果たす、と心の中でつぶやく。
この時点で今日は稚内まで行く事にした。距離的には十分だ。
その途中で日本海側に抜け、久々にオロロンラインを走ろう。
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国道40号は、昔大雨に降られて、当時稚内に一人で住んでた
従姉妹の家に逃げ込むべく雨中夜間走行をした記憶しかない。
だから天気の良い昼間に旅の速度で走ると、すごく新鮮だ。
こんな楽しい道を、20代だったあの頃はただただ突っ走って
いたのか、もったいなかったな。まぁあの時は雨だったし、
夜になってたから、仕方ないけど。
そんな事を思い出しながら、淡々と進む。
佐久で国道40号から道道119号に乗り換えさらに西を目指す。
今日の午前中にはサロマ湖のオホーツク側を走っていたのに
もう日本海が目の前。それだけ陸地が細くなってると言う事。
北海道の地形を感じるねぇ。
そして道は国道232号へ繋がる。北上を開始する。
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道の駅・てしおで一休み。さっき買ったチーズ系のお菓子が
程よく解凍していたので、箸でつまんで頂く。あ~美味い♪
そしたら、すごい格好をした、こんなバイクがそこに走って
やってきた。日本兵のようなメットをかぶっていたその老人と
色々話をしたが、何でも自作でこれを作り上げたらしい。
何度も試行錯誤して、石川県からここまでこれるようになった、
と楽しそうに笑った。自分もこういう老人になりたいもんだ(^^)
ただ、メットだけはちゃんとしたものを被った方が…(^^;)
彼も今夜は稚内を目指しているという。旅人よ、ご安全に!
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目指す道はオロロンライン!、ただ途中で道を間違えて、道の
駅を出た国道40号をそのまま北上してしまい、間違いに気付き
あわてて道道972号でオロロンラインに戻った。
風力発電の風車がブンブン回っていた。オブジェとして見れば
美しいけれど、発電量はたかが知れてるから、ちょっと空しい。
オロロンラインにある北緯45°のモニュメントに立ち寄る。
大昔に旧型TDMでここを走った時に、ここで写真を撮ったなあ。
もう20年近く前だ。また来たぜ、へへへ(^^)
オロロンラインはどんどん曇ってきて。日差しが消えて灰色の
曇天と化した。日本海に沈む夕日が見たくてここを走る時間を
夕刻にあわせてきたけど、夕日は絶望状態。
じゃあ仕方ない、単なる高速道路みたいなもんと思って稚内を
目指そう。
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十数年ぶりに稚内にやってきた。昔と違い、大型の都会的な
店舗が多くあるのが少し戸惑う。
でもそれ以外の町並みや雰囲気は変わらない。懐かしいな(^^)
今夜の宿はパニアさん強烈お勧めのみどり湯ライダーハウス。
有名な所だけど初めて来た。フロも洗濯も出来る。女性も居た。
海外で言うドミトリーそのものだ。
手続きをして荷物を一部降ろして、じゃあメシ食ってきま~す。
久々に稚内市内を観光してみた。稚内の駅舎も激しく改装され
昔の最果て感がまったく無かった。観光客がいると思うとその
殆どは中国の観光客。外国からこんな所を見に来るんだ、へ~。
ちょっと早いけど夕飯を食う事にした。少し走った所にある
ノシャップ岬にあるこれまた有名な樺太食堂に行ってみたけど、
残念ながら閉店。ステッカー欲しかったのになぁ。
じゃあ方針変更。ここまで海鮮料理ばっかり食って来たので、
ここではガッツリとした肉を食いたくなりマップルに載って
いた巨大ハンバーガーの店ディノーズに行ってみた。そこで
店のおばさんと色々会話をしながら、お勧めのメニューを食す。
直径18cmのハンバーガーにチーズとミートソースたっぷりの
看板メニュー、スラッピージョー。…ふぅ、ご馳走様でした(^◇^)
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みどり湯に戻り、洗濯を仕掛けて、隣の銭湯に行って風呂に
入る。戻って洗濯物を乾燥機にかけて、他の旅人とだべる。
21時になったら集合写真を撮り、ミラーボールが回り始めて
ちょっとビビったが、長々と途絶えない旅人同士の語らいを
寝るまでして、今日は就寝。今日も昨日に引き続き距離を
走りすぎた感があるのでちょっとくたびれた。良く寝れそう。
約束の地、宗谷岬は目と鼻の先だ。明日には必ず辿りつく。
おやすみなさい
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本日の走行距離:387km 今日も走ったなぁ。
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