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2012年8月

2012.08.04

旅2012・14日目 帰還

台風19号の影響で通常より若干海がうねっているようで、少し大きい
揺れを感じながらフェリーのベッドで目が覚めた。

Hunezu

展望ラウンジに食材を持って上がり、メロンパンとその他を齧る。

しばらくするとラウンジに昨夜の女性ライダーもやってきたので
これも縁、と朝飯も一緒に食す。昨夜から色々と話をしているが、
なんでも一人でふらっと北海道に来たのだという。相当な通かと
思ったらバイクに乗り始めてさほどたってないそうだ。

そして自分と同様に旅の途中で転倒して軽い怪我をして、バイクは
それなりに壊れたのだとか。でも周囲の人の助けで応急処置を施し
この旅を終えたのだという。

怪我が軽く済んだのが不幸中の幸い、というよりもラッキーですよ。
バイクに乗ってると良くある事なんです、バイク乗りなら必ず一度や
二度やn度、そうやって色々な(痛い)経験を積んで今に至ります。
これから楽しい事が沢山あります!大丈夫ですよ~(^^)、と励ます。

北海道をバイクに乗って一人で旅する(それをやろうと思って実行
出来てしまう)女性は今の世の中には相当貴重なので、ぜひとも
これにくじけないでこれからもバイクでフラリと旅してみて欲しい。

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メシ後は単独行動。フロに入ってキズパワーバッドの下で化膿した
傷の手当して、船内をうろついて甲板に上がって青い空と青い海の
美しいコントラストを楽しむ。

その間にある雲が視界の端から端まで伸びている。これをいくら
写真に撮っても、このパノラマ立体スケール感が全く伝わらない。

Blueblueblue

ちょうど福島第二の沖あたりだったのでそれを眺め、共同火力の
あたりも海から眺める。海から見えるようなストラクチャーは
発電所ばっかりだから目立つな。

今日の航行は前述の通り、うねりが大きいので、あとはベッドで
ゴロゴロして過ごす。大洗に着岸したら、暑い本州の気温の中で
高速道路をひた走る、ポンコツTWと手負いの自分にとってきつい
この旅のファイナル・ラストランが待っている。

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定刻通りに、船は大洗港に接岸した。下船の案内が流れる。

Ooarai2012

よっしゃ、行くかぁ!、一晩世話になったベッド周りを片付けて、
手荷物を持って、エレベーターホールで下船票を船員に手渡して
車両甲板Fに降りる。バイクを固縛しているベルトをとっとと外し、
荷造りをして、船室に持ってゆく必要が無いのでバイクに括って
置いておいたメッシュジャケットと、ヒットエアと、ヘルメット、
グローブを装着、これで船旅を陽気に楽しむinoからTW旅ライダー
inoへと変身完了!

さあ、上陸だ!、出てゆく順番を少し待って、船員の指示に従い
自分に出走の合図が出た。船倉からタラップに向けて船内を走り
光り輝く外に出た。

Twooaraikaeri

うわぁ!、何だ、スゲェ暑いぞ!、北海道の気温と船上の気温、
それと陸の温度が全然違う!、暑い暑い!

でも、この暑さの中を走らないと帰れない。とっとと我が家に
帰ろうぜTW(^^)

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高速に乗るまでの一般道は北海道と違い普通車やトラックが多く
走っていて、旅の速度60km/Hを維持しているとガンガン抜かれる。

ヒヤヒヤしながらそれをやり過ごし、ふと周囲を見回すと、空が
とても青くて、高くて、北海道の空と殆ど変わらない事に気付く。
そして周囲の景色は当然北海道のそれとは違うが、でも綺麗だな、
と感じた。

Twmito

そうこうしているうちに、ついに高速道路の入り口が見えてきた。
さあTWよ、俺らだけの灼熱の真夏の耐久レース、走りぬくべよ!
(あれ?、今年は8耐あったのかな?)

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高速道路に乗り、旅のトップスピードである80km/Hまでジワジワ
車速を上げてゆく。相当な距離を走って偏磨耗したFタイヤから、
断末魔のような走行ノイズが上がる。

あともうチョイなんだ!もう少しだけ頑張れ!Fタイヤ!

気温は高く、股間に感じるエンジン熱もこの旅で最高の温度だ。
今回の旅に出る前に200cc空冷OHC2バルブエンジンには過剰と
言っても過言ではない10w-60の100%化学合成油に交換したけど、
この時点で3600kmも無交換で走り続けている。

だから必要以上には無理に回さない。旅の相棒であるTWは消耗品
じゃないからね。周囲に迷惑がかからないよう後続車にどんどん
抜いてもらって、ロートルジジィならぬTWを労わりながら頑固な
までに80km/Hを上限として走り続ける。

Twhighspeedrun

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途中で同じフェリーに乗っていたバイクに何台も抜かれてゆく。

北海道のノリで手を上げて挨拶するも、一台もそれに応えては
くれない。また、どのバイクにもホクレンフラッグが見えない。

追い抜き様に荷物の間に見える白い棒が、それを収納した状態で
走っている事を示していた。うーん、何で仕舞っちゃうんだろ?
自分は家に帰り着くまでは、都内だろうと何だろうと旅人として
ホクレンフラッグを掲げて走るけどな。

Twflagpa

広い高速道路だと、この速度でも周囲を見渡す余裕がある。
目に入る風景は、さっき一般道で感じたように、とても美しい。

Nouson

北海道でなくても、日本のあちこちには当たり前のように美しい
風景が存在する。五年前の旅の最後に感じたのと同じ気持ちで
TWと自分は、ひたすら暑く長い高速道路を走り続けた。

Highway

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守屋のSAまで来た。燃料タンクの残量からすると無給油のまま
自宅まで帰れるはずなのだが、高速走行で燃費も悪化している
だろうし、空冷でバテ気味のTWを冷やして、暑さで水分を失って
いるだろう自分もちょっと一服しようか、と軽い気持ちで入った。

駐輪スペースにTWを止めてメットを脱いだ。…ん?ガソリン臭い。

なんだ?、と思ってキャブのあたりを覗き込んだら、ガソリンが
オーバーフローしてダラダラ流れ、熱くなったクランクケースの
上でジュゥジュウ!、と沸騰していた!

うわぁ!、コラコラTW!、こんな所でお漏らしすんなよ!
Twleak

今までノートラブルだったのに何で最後の最後で出るかな(^^;)

ま、どうせいつものフロートのひっかかりだろうな、とタンク
バッグから三脚を取り出し、キャブレターを側面を何度も何度も
ガンガン!、と叩きまくった。フロートのひっかかりならば大体
これで止まるのだ。

でも、何度も何度も、左右から叩いても、ガソリンは漏れ続ける。
これはフロートバルブだな。とすると、キャブを開けないと対応
出来ないじゃんか。

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…なぁTW、お前、もしかしてオレを試しているのか?、オレが
この状況をどう対処するのか、お前ニヤニヤしてるだろ(^^;)

お前と連れ添ってもう20年だぞ?。こんな事はオレらにとっちゃ
オチャノコサイサイ、そうだろ?、…ま、ちょっと休んでろよ、
こんなのはすぐに直してやっからさ(^^)b

荷物にくくりつけたお茶をシリンダーヘッドにぶっ掛ける。

空冷フィンだけでなく、さっきガソリンが沸騰していたクランク
ケースの上でも、水が鉄板焼きのように蒸発してゆく。こんなに
熱いとちょっとキャブは弄れない。TWにぶっかけたお茶を自分も
飲みながら、少しの間TWを冷やした。

…さあ、やるべ。サイドカバーを外して、車載工具を手術前の
ブラックジャックよろしく駐輪場の地面に並べてキャブレターの
分解作業に取り掛かった。

しかし、旅の最後にSAの駐輪場でキャブレターをバラすハメに
なるとはな。ま、これも旅の良い思い出になるよな、とっとと
やろう。

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車載工具だけで、シートやタンクも外さずキャブレターを取外す。
詳細は省くが、こんな感じでキャブは取れて、フロート室を開け、
フロートと、それに連動して動く小さいバルブを取り外した。

Twcabmente

よくよく見るとそのバルブの先端部に小さい糸状の物が付いてた。
それを取り除き、フロートを組み立てて、その状態で燃料ホース
から息を吹き込んで、手でフロートを動かしバルブが正常に作動
する事を確認してから慎重にキャブを組み立てて物の姿に戻した。

Twcomp

外したホース類も全て元通りにして、キャブの神様に祈りながら
燃料コックをonにする。フロート室がガソリンで満たされる間の
数秒が、とてもとても長く感じた。頼むよ(-人-;)

…ガソリンは、もう漏れてこなかった。よし!、直ったぞTW!
ちょっと時間を食った(そして無駄にガソリンをタレ流した)が
これでまた走れるぜ。

エンジンがあっさりと掛かり、スロットルにきっちり呼応して
TWが今までと同じように吼える事を確認して、広げた店を
撤収し、再出発の準備を整えた。

ここから走り出すまでに実は約30分ほどまた一つエピソードが
生まれたのだが長くなるから止めておく(^^;)、話を先に進める。

走り出し、守谷SAのガソリンスタンドで給油。漏洩と分解作業の
ロス分でさぞ入るだろ、と思ったら、96km走って2.3L。燃費は
41.7km/Lだった。高速走行してるのにいいデータだ。って事は
もし漏洩騒動が無ければもっと良かったって事か(^^;)

さあ!さあ走ろうTW!もっともっと!俺ら一緒に走ろうぜ!

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常磐道も三郷に近づくと周囲は都会の景色になってゆく。

Twmisato

半地下道のあたりではもう夕方の渋滞が始まりかけていて、その
流れに乗る。それが皮肉な事にちょうど旅の速度である60km/H。
北海道を走るのと同じなのでエンジンからの暴力的な輻射熱を
股間に感じること無く、TWは淡々と心地よく走ってくれる。

料金所を抜けて首都高に入ると、さらに車が増えて一般道を走る
状態と殆ど変わらない。BMWやレクサスが不機嫌そうな顔でその
車列の中でふてくされてる。でも低速車であるウチらにはそっちの
方が都合がいい(^^)

そうこうしているうちに、目の前にスカイツリーが見え始めた。

これは!!5年前は見なかった光景だな。キャブレターの修理で
時間を食ったため、日照角がほぼ真横から入るので都会の街に
浮かぶスカイツリーがとても美しく輝いて見えた。

Twtower

また道路の左側に見えるゴミゴミしただけの風景だと思っていた
東京の下町の町並みも、日差しを浴びて光輝いて見えた。ほぼ
100%人工物なのに、それがまるで北海道の自然美と同じように
美しく見える。

Machinami

北海道だけじゃなく、日本はまだまだ広いし、美しいんだな。

東京でもこんな景色が毎日展開しているんだ。当たり前の事に
少し感動しながら、横目でスカイツリーを見ながら湾岸に向け
走り続けた。

Twshadow

------------

湾岸線に乗り、そのまま横浜を目指す。ただ自宅に帰るだけなら
横浜に行くのはえらく遠回りなのだが、自分の中で五年前の旅と
今回の旅を合わせた、長い長い旅のゴールとして設定した横浜の
ベイブリッジを通過するためだけに横浜を目指す。

Twwangan

それでこの旅を〆るのさ(^^)

羽田空港のあたりで日は完全に沈み、徐々に暗くなっていった。
気が付くと路面が少し濡れていた。どうやら夕立が一降りした
らしい。キャブ修理のおかげでそれに会わずにすんだようだ(^^)

Twippuku

人間万事塞翁が馬、悪い出来事のように思えても結果良い方向に
進んでいる事もあるって事だ。まさに旅の最後にふさわしいな。

鶴見のつばさ橋を越え、旅のゴール地点としたベイブリッジが
見えてきた。ようやくここまで帰ってきたなあ。

Tubasabaybrige

まずは一服しよう。橋を渡る前にある大黒PAに一旦入って、
北海道の泥化粧とホクレンフラッグを掲げたTWの記念撮影。

Twdaikoku

気持ちを落ち着かせて、再びTWに跨る。行こう!、渡ろう!
あの橋を!。ループしているレーンをくるくる回りながら登り
ベイブリッジの手前で本線に合流する。行け!、加速しろTW!
登り坂となる橋の入り口を、延々と息の長い加速をしながら
速度警告灯が灯ることなくついにベイブリッジを渡りきった。

Twgoal

…ゴール!!ここまで、そして今まで本当にお疲れ!TW!
さあ他のバイクたちがオレらを待ってる我が家に帰ろう(^^)

薄暗くなった横浜の町は都会を象徴するような電飾煌びやかな
夜景に彩られていた。その中をうねるように走る高架の分岐を
自宅方面に向かう方向に曲がるべくヒラリとTWをバンクさせた。

Twnightrun

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自分の住む町までようやく帰ってきた。最寄駅の近所の陸橋の
てっぺんあたりで信号に引っかかって止まると、いつもならば
殆ど人がいないそこの歩道に、何十人もの人が立っていた。

何かと思っていると、下っ腹に響く重低音が逆方向から鳴った。
振り向くと夜空に光の輪が何個も開いていた。おお!花火だ!
旅の最後の最後に、このシチュエーションは出来すぎだな(^^;)

ここが自分の地元だと言うことをあまり考えずに、まるで前日
までと全く同じように北海道を旅する気分で、TWに跨ったまま
メットのシールドを上げて一番近くにいた一家に声をかけた。

ino :「今日は花火ですか?」

旦那:「ええそうです、ここからならよく見えるので。」

ino :「昨日まで北海道に居たので見れると思わなかったです」

お婆:「そんな遠い所までそのバイクで行ってきたんかい?」

自宅まであと数百mの距離で、旅先と変わらないその土地に
住む人たちと、旅人としての会話を短い信号待ちの間に交わす。

信号が青に変わる直前にその中の人がこう言ったので、それに
全力で答えて、ガッツポーズで答えてその場を去った。

奥様:「それはいい夏休みを過ごしましたね!、楽しかった?」

ino :「はい!、楽しかったです!、ありがとうございます!」

わずか1分間程の間だったけど、自宅から目と鼻の先のこんな
場所でも立派に旅人としてのコミュニケーションが出来たよ(^^)

旅って場所じゃない。その気持ちがあるか無いかなんだね。

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家の最寄のガソリンスタンドでこの旅で最後の給油。

120km走って2.7L。燃費は44.4km/L。高速道路メインだったのに
こんなに走ってくれるとは思わなかった。首都高の渋滞が北海道と
同じ巡航速度となって伸びたんだろうな。カブに乗っているという
バイトの学生がその数値に驚いていたが、長年乗っている自分が
一番驚いたよ(^^;)

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自宅に到着したのは20時を超えていた。あたりはすっかり暗く
ご近所に迷惑をかけないよう、そ~っと自宅の庭にTWを入れた。

Twhomehome

出張でしょっちゅう長い間空ける家なのに、この旅を終えて
帰ってきた時に開けた玄関は、いつもとは違う感じがした。

5年前の旅でここに帰り着いた時には、実はここで当事の彼女が
ご飯を作って自分を待っていてくれた。誰かが自分を待っていて
くれる家に帰ってこれる事がとても嬉しかった。

今の自分は、誰からも必要とはされなくなってしまったために
出張にしろ、旅にしろ、家で自分の帰りを待つ人は誰もいない。
あるのは庭先で育つサツマイモと、軒下や駐車場に停め置いた
物言わぬ乗り物たちくらい…ただいま(^^;)

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そんな薄暗い自宅に入り、電気をつけて二週間前に置いてきた
自分の日常を見渡す。

旅を始めた時に最初に感じた浦島太郎感覚を、今度は自宅で
感じた。旅する自分と、ここで生活する自分、どっちが現実だ?

部屋の窓を開け、暗い庭を照らす明かりに薄暗く映る旅装束の
TWを見下ろす。日常の場に戻ったはずなのに今すぐどこにでも
旅立てる姿をしたTWが暗い庭で無言で自分を見上げていた。

そんなモンモンとした葛藤の中で、ふと閃いた。

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旅先では夜になるとその場に集った旅人によるその日だけの
コミュニケーションの場が出来る。その和は朝になると崩れて、
そして散開した旅人は各々がまたどこかの場所に夜になると
集まって、またその場だけのコミュニティを作り楽しむ。

その連鎖を繰り返しながら、時間切れとなり去ってゆく者や、
新たにやってきてその連鎖に加わるもの、そうやって旅人達は
何度も旅したり、新陳代謝を繰り返しながら、今夜も北海道の、
いや、世界中のあちこちでそんな夜や生活をきっと過ごしてる。
自分がこの二週間そうやってきたように。

…これは、旅だけの現象じゃなくて、人々の人生そのものの
縮図、というより人間社会というものが、全てそういう動きで
成り立っているんだろうな。

例えば子供は学校という場に集い、共に学び、卒業する事で
散開して、新たな場にあちこちから人が集い、また散開して、
また集う。それを繰り返している。その中ではもっと細かく
短い単位でその仕組みは激しく繰り返されている。

家族だってそうだ。男と女がひとつのユニットを作り、子を成し、
家族というコロニーを作り、そこで生まれた子供が家庭から
巣立ったり、家庭が崩壊したりすると散開し、また新しい
場所で他者と同じような仕組みでそれを繰り返している。

つまり自分と元カミさんや、この前の彼女も、そうやって
集う事で短い間ではあったが一緒にいられた。でも時が
流れ、そのコロニーは結合力を無くして解散するに至った。
あ、また集うことは無いから、散開ではなく解散ね。

つまりは縁があって集い一緒に暮らし、結局縁が無く別れ、
可能な人はそこからまた別の縁を探す。これはまさに「旅」。

この十年チョイ、色々と考えてきたけど、結局は人間って、
男女が別れて他人になることって、たったそれだけの事
なんだろうな(^^;)<ばき

この無人の家に留まり続ける事も一つの生き方ではある。
人生を旅に例えるなら独りで山の中でキャンプしてる状態だ。
一人で黙々と焚火を弄って過ごす夜も、決して悪くはない。

でも、そこから例えば旅人が集うライダーハウスに向かえば
そこには一期一会の縁により色々な人たちが集い、その人の
数だけ人の輪が広がり、相乗効果による化学反応的な縁が
広がってゆく。行動を起こさないと、それは生まれない。

旅が面白いのはそういう事もあるからなんだよな。そういった
人の付き合いが時に面倒になるけど、「旅は人生の縮図」
というのが自分の元々の持論だった。

ということは、旅も、つまりこれからの人生も、その方法で
どんどん面白くして行けるって事なんだろうな。(^◇^)b

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TWから荷物を下ろして部屋に入れる。ここは北海道のライダー
ハウスで言えば中の下の下くらいか、と考える自分にちょっと
苦笑。今夜はTWを庭に出したままにして、星の下で眠らせよう。

これにて、この旅の全工程が(無事ではなかったけど)終了。
この二週間、お前は本当に良く走ったよなぁTW、ありがとう。
今夜はゆっくりおやすみ~

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本日の走行距離:210km

以下エピローグに続く。

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2012.08.03

旅2012・13日目 終演

ライダーハウスというには豪華すぎる支笏湖畔のモラップ樽前荘の
夜が明けた。夜のうちに細かいパッキングを終えておいて、朝は
大きな荷物を括りつけるだけ、という生活がずっと続いているので
北海道最後の日である今日もその風習に従ってバイクに荷物を括り、
そそくさと出発の準備をする。

この日、同宿となった、他の旅人たちに挨拶を交わし樽前荘の管理人
さんに、せっかくだからここの前で記念写真を撮ってもらえますか?、
と頼んだらこんな看板を持ってきたので調子に乗ってそのまま撮影。

Twtarumae0803

色々ありがとう、また北海道に来る事があれば必ずまた来ます(^^)/

うす曇の天気の下、タペットでもカムチェーンでもないカタカタ音が
増えてきたTWのエンジンはそれでも快調に吹けあがり、北海道最後の
日のスタートを切った。

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今日の最終目的は、すぐ目の前の苫小牧に17:00頃に到着する事だ。

5年前にわずか一時間の空きを使って支笏湖往復を果たしたように、
そのまま直行すれば30分で着いてしまう距離だ。なので今日はこの
旅で走った事の無いこの辺りの道を選んで走り、オマケで食道楽を
することにした。

まずは支笏湖の南を走る初日に走った丸山林道を少し走ってみた。

Twrindou0803

森の中の空気は猛烈に湿っていて、霧というか、雲の中を走ってる
ようなイメージだった。その水滴をもひっくるめてこの森の匂いを
肺いっぱいに何度も吸い込んだ。この空気を再び吸いに来れるのか
どうかわからない、だからもしかするとこれが人生で最後なのかも
しれないと思うと、つい何度も深呼吸をして、その結果、過呼吸で
頭がクラクラしてしまうハメに(^^;)

その道で北海道の泥の水溜りを通過したら、TWのタイヤにビッチリと
北海道の泥がついた。これがTW200を一番かっこよく見せる化粧さ!

Twdorokeshou

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その後国道276号を西に向けて走る。天気がずっとスッキリしない
のが残念だけど、道はいい。旅の速度(60km/H)の枠中で森の中の
ワィンディングロードを目いっぱい楽しむ。

デカいバイクではあっという間に出てしまうだろう、たった60km/h、
TWはスピードメーターを見ないでゆっくり加速し、そのまま5速で
巡航すると、ちょうどその速度だ(^^)

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美笛峠を抜けて、道の駅フォレスト276美笛に来た。ここが道の駅に
なる前から何度も来てるのですっかりおなじみの場所だったりする。

Twforest

元カミさんとの引き出しを含め、それ以前の複数の記憶の引き出しも
次々と開く。

…楽しかったな。でも今回も過去のそれらと同じくらい楽しい(^^)

隣のきのこ王国で定番のきのこ汁を頂く。今回はきのこおにぎりも
セットとして豪勢な朝飯(^◇^)

Kinokofood

表に出たら天気が良くなってきた。さあ!、次に行こう(^^)!

Forestsky

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前日に一度走った国道453号と国道276号が分岐する交差点まで来た。

昨日はこの道を中山峠側に向かって走ったが、今回は逆に南下する。
そしてすぐ右手に現れる道道86号に乗り換えた。これに乗って内浦
湾に面する白老側に向かい、峠越えをするのだ。

坂を登ってゆくと、霧がどんどん濃くなってきた。というよりも、
もう完全に分厚い雲の中を走っているようだ、とても視界が悪い。
真っ白な霧の中を恐る恐る走っていると、その中から突然巨大な
トンネルの入り口が現れたりしてむちゃくちゃビビったりしてた。

Twfog

雨粒こそ降ってないけど、メットのシールドに付く水滴がどんどん
デカくなって、ウェアが濡れ始めた。これ以上頑張ってはダメだ。
すぐに路肩に停まってカッパを着込む。

その状態で走り出すとカッパを着て正解!、すぐ全身が濡れてきた。
でもその峠を超えて下ってきたら、霧が晴れて視界が開け、今度は
どんどん明るくなってきた。さっきの美笛では綺麗な青い雲が見え、
途中の峠は濃霧雨で、そこからすぐそばの海岸線では蒸し暑い曇り。

…ほんの短い距離の間に色々な気候がある。旅の醍醐味だね(^^;)

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白老で内浦湾を周る国道38号に乗り換えて苫小牧方向を目指す。

途中でアイヌ文化で有名なポロト湖の周りを走る。アイヌ文化には
興味があったが駐車場が有料なので、たったそれだけの事でここに
寄るのをやめた。

先日の昭和新山でもそうだがたった100円でも駐車場が有料と無料で
精神的な敷居の高さが100倍くらい違う。狭い都会ならいざ知らず、
広い北海道では駐車場を有料にするとそれだけで観光客が逃げると
思う。だってそばに無料で入れる様々なスポットがあるしぃ(^^;)

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国道に出て苫小牧方向に少し走ってた所のガソリンスタンドで給油。
ここまで186km走って4.4L給油。今回の燃費は42.3km/L。中山峠を
はじめ、何個も峠を越えたわりには頑張った方だと思うな(^^)

そこのオッちゃんと旅の会話をした。なんでもこの近所には有名な
美味しいシュークリーム屋があるんだよ、とのこと。オッチャンに
礼を言って、さっそくそこに行ってみた。

Twmother

シュークリーム屋というより、玉子屋なんだな。玉子を使った
洋菓子が売りみたいだ。シフォンケーキあたりも美味そうだが
今回はガソリンスタンドのおっちゃんに敬意を表してオススメ
されたシュークリームを頂いてみた。

Shu

カスタードクリーム入りと、カスタードと生クリームミックスの
もの。…もぐもぐ、うん、美味い!、いいねぇ。よし次に行こう!

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Twr360803

無味乾燥な市街地の直線道路、国道36号をトラックに煽られながら
淡々と走り、苫小牧市街地にやってきた。ここの漁港には五年前に
やっと辿り着いたのに開店時間に間に合わず入れなかった、有名な
マルトマ食堂がある。

Twmarutoma_2

昼飯時間前だというのに、少し並び始めている列に並んだ。待って
いる間、食堂の通路にこんなダンボールがあるのを見つけてしまい

Marutomacarry

名物の大盛りホッキカレーではなく、量の少ない(つまりここで何か
食った後でまた別の何かを食いに行けるように)ホッキ丼の一点狙い
とした(苦笑)

20分程待って大混雑のそこに入り、名物のホッキ貝のホッキ丼を頂く。

Hokkibowl

…思っていたよりもショボいのだが、他のカレーやマルトマ定食を
依頼した他の客を尻目に、発注してからあっという間に出てきたので
時間の節約にもなったので良しとしよう。味は悪くない、ホッキ貝も
これで食うことが出来たのでミッションコンプリート!、

ホッキ丼ご馳走さまでした~♪

この食堂、かつて行き着けだった市場食堂に店員の威勢や、店内の
メニューの並べ方とかの雰囲気が似ていてどこか親近感が沸く(^^)
店から出てきたら行列がすごい事になってた。早めに来て良かった(^^;)

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この時点で時刻はお昼。まだフェリーの出航手続き開始までまだ
時間はたっぷりとある。地図を眺めて、今から行ける場所を探す。

すると夕張の近くに林道が一本あるのに気が付いた。厚真川林道だ。
そこならば今から向かえば、行って、走って、戻ってこれる距離だ。

よし、TW、北海道の最後に林道行くか!
これがお前と行く北海道の旅の卒業式だ!

まだお前は走り足りなさそうな顔をしてるけど、もうお前の自慢の
タイヤはこんなに段減りしていて、もう交換しないと本来の性能を
発揮してくれない状態になっている。


Twtire0803

オイル交換だって本来ならとっくにしてなくちゃいけない距離を
走ってるし、タペット音、カムチェーンの音に、ピストン首振りか
クランクベアリングの劣化みたいな打音も少しずつ混じっている。

前後ドラムブレーキも押し歩くだけでキューキュー音を立ててるし、
リヤのスポークは手でガタガタ言うくらい全体的に緩んできている。
若作りしてみても、実はそろそろそうとう疲れてる…だろ(^^;)?

だから北海道をあと100km、林道をあと一本走って、それでこの旅を
〆ようぜ。せっかくだからそこまでの道のりも今回や前回の旅では
走っていないルートを選んで行こうぜ。

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都会の苫小牧を脱出するように国道36号を北上して、その途中の
道の駅ウトナイ湖に寄って、そこのメロンパンをゲッチュー♪<ばき

Utonaimelon

次に千歳空港に着陸する飛行機が間近に見える所の路肩にTWを
停めて、着陸態勢で降りてくる飛行機の見物をして、

Twair

その後国道337号に乗り換え、真北に向かう。高速道路のような作り
だけど、ガラガラのその道を、TWは一台でトコトコカタカタと旅の
速度で走る。道東自動車道の下をくぐりぬけ、その先で国道274号に
当たるまで走り、その近辺の道の駅、マオイの丘公園に入ってみた。

Twmaoi

そこから国道274号を東に進むと、ちょっと前まで市街地を走って
いたのに、このあたりは見渡す限り北海道らしい牧草地の風景が
広がっていた。そんな北海道の風景にTWとハイタッチをするかの
ように、ゆっくりと、のんびりと、淡々と走った。

Twbluesky

さようなら北海道、ありがとう北海道、今回も楽しかった!(^^)/
(ぢつはこの時点で生傷が化膿していた膝はかなり痛かったが)

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国道274号をそのまま東に進むと、何日か前にやってきた夕張市に
入る。滝の上公園に寄ってそこの風景を眺めようかと思ったけど、
駐車場からいい景色までそこそこの距離を歩かねばならなかった。
脚を負傷して猛烈に痛む状態ではその行動はキツイため断念した。

その先にある道道1065号に左折してしばらく進むと道が舗装路から
ジャリに変わった。

Twjyaridd1065

そういや、昔はこういう国道があちこちにあったんだよなぁ、と
懐かしみながらその広い砂利道を進む。きれいに整った未舗装路は
「この先林道」という看板が出て終わる。さあ!これから山の中に
入るぞ!、と思ったら…なんと通行止めになってた。

Twatumaline

あちゃー、何だい!せっかくファイナル林道のつもりだったのに!
…まぁ旅はその時々の状況に応じて臨機応変、が自分のモットーだ。
だから、こういう事態は仕方が無い。素直にあきらめて帰ろう。

としたら、そこにoff車が一台やってきた。自分と同じようにこの
林道を走ろうと意気込んで走ってきたXR250乗りのライダーさんだ。

Xr250rider

おや?自分が使っているのと全く同じNAPOLEXの青いタンクバック
使ってますね(^^)?。これいいですよね、絶版ですけど。こんな
古い装備を使っているということは…同類ですね? (にやり)

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XR氏と旅ライダーの会話を、封鎖された林道の入り口で少しした後、
どうしようもないので、そのまま国道に戻る。林道走行を見越した
時間配分をしていたので、時間が少し出来た。なので数日前に一度
行った夕張の道の駅まで行って、もう一回メロンを食ってきた(^^;)

Twyuubariagain

Yuubarimalon

林道は残念だったけど、走って!、食って!、満喫&堪能した!!
…よし、これでケリが付いた。さあ!フェリー乗り場に向かおう!

国道274号を少し戻り、今度は道道462号に乗って追分町に入る。
その後、道なりに進み、国道234号に乗り換え、南下する。そして
旅の3日目で走った早来を通り過ぎて、そのまま国道で道なりに
苫小牧港を目指した。

Twmokueisairo

途中で日本最古の木製サイロを見たりしたけど、これあまり面白く
なかったなあ、その手前の真っ直ぐに伸びる線路の方がいいな。

Railway

すべてのラインが視界の中央に向かって一直線に収束してるもの。

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苫小牧に戻り、肘と膝の怪我をケアする用品を薬局で買い足す。
数日前から化膿してズキズキと痛い生傷となってしまっていた。

ここの若い女子の店員さんが、ものすごく綺麗で可愛くて、応対も
丁寧で親切。ハゲかけた中年バツイチ男もちょっとドギマギ<ばき

船に乗る前には船内で食す食材を調達するのが自分の旅のスタイル。
旅の途中で、セイコマートの店舗内で作ってる豚丼が美味いよ、と
聞いていたので、それを狙って買いに行ったら、それは作る時間が
決まっていて、今の時間はまだ作ってないよ、とのこと。

ならば、それと秋刀魚蒲焼丼の二つを今すぐ作って!、と頼んで、
一度店を後にして、近所で北海道最後の給油。166km走って3.8L。
燃費は43.7km/L。今回の旅、北海道では結局40km/Lを下回る事が
なかった。こんな燃費のいい旅は初めてだ。TWお前ってスゲェよ。

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給油を終えてさっきのセイコマートに戻る。少し店内で待ってたら、
店員のオバちゃんが「出来ました!」とニコニコしてそれを持って
来てくれた。その笑顔を見ただけで、もう食う前にそれが美味いと
判ったよ(^^)。

美味しさは食材や調理の技術だけで作られるんじゃない、作り手の
気持ちがそこに乗って初めて完成する。その気持ちが見えたから、
きっとこれは単なるコンビニ弁当じゃなく、美味いに違いない(^^)

会計を済ませ、店の奥の調理場で働くおばさんにも

「どうもありがとう!」

と、声を掛けてそのセイコマートを後にした。市街地のコンビニ
でも、人と人との交流、つまり旅人の交流がちゃんと出来る事が
とても嬉しかった。

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そのセイコマートの駐車場で、ホカホカの弁当をゴムネットの下に
括っていると、TWのカウルに付けた鳥の羽根を見て、通りすがりの
自転車を押したオバさんが立ち止まり、

「これ、一体何の羽根?」

と尋ねてきた。おっきいのはトンビだと思います。カラスもあります、
旅の途中で拾ってどんどん足していきました、と話したらケラケラと
笑っていた(^^;)。その後も少し「これから船で帰るんですよ~」
といった雑談をしていたが、最後にそのオバさんは自分に向かって
ニコニコしながら、こう言った。

「どう?、良い思い出が、一杯作れたかしら?」

色々な過去の思い出を噛み締めたり、思い出したりしながら
北海道を周ったこの旅、新しい発見や体験、コケて痛い思いも。
でもそれらすべてひっくるめて総括すれば…純粋に楽しかった(^^)

「…はい!楽しかったです!」

自分の顔は判らないけど、多分満面の笑みを浮かべながら、そう
全身全霊全力で答えた。ありがとう、街の人、さようなら(^^)/

Twseikomart

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さあフェリー乗り場は目の前だ。国道から信号を曲がって進むと
見慣れた建物が見えてきた。

Twtomakomaferry

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カウンターで乗船手続を終えて、大洗行きの札をもらう。TWは
ここにそのためのホルダーを付けてあるのでそこに挟み込む。

Twticket

みやげもの売り場をブラブラしながら五年前ここで販売員の人に
試食用のワカサイモを丸々一個貰った、という記憶の引き出しが
開く。同じような販売をしていたらまた声をかけてみようと
思ったけど、ワカサイモの販売員はいなかった。残念。いや、
無料で食えないことが、じゃなくて、そういう旅の会話が出来るか
と思ったけど、出来なかったことが、だよ(^^;)

Wakasaimoferry

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バイクを岸壁側に移動して乗船待ちの車列に並んで案内を待つ。
すると2分もしないうちに乗ってくれ!、と言われてあわてて動く。

今回は行きと違う、ふらの号にお世話になります(^^)/

Twferryhurano

Twferryhuranoin

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乗船してから、自分のベッドを確保し、ラフな格好に着替えて
船内をうろつく。樽前荘で一緒にジンギスカンをつついた女性
ライダーが居たので(さっき書かなかったけど、マルトマ食堂でも
偶然出会っていた)その後ラウンジで、お互い買ってきた食材を
持ち寄り、シェアしながら一緒に夕飯を食う。

その途中で大滝のきのこ汁を食っていた時に偶然隣の席にいた
ライダーさんも加わって、旅の話やその他色々な話で盛り上がり、
北海道旅人としての最後の夜を過ごした。

ここは、まだ北海道の旅の宿と同じ感覚。明日船が大洗に着けば
そこから徐々に現実社会への復帰が始まりだすのだろうな(^^;)

船は順調に航行中。ゆっくり大きく揺られながら、おやすみなさい…

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本日の走行距離:255km 
 

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2012.08.02

旅2012・12日目 転進

同室の人間の鼾も、早立ちする旅人のエンジン音も、テント越しの
鳥の鳴き声も聞こえない、あまりにも快適すぎて、旅してる事を
忘れてしまいそうな岩内町のビジネスホテルの中で目が覚めた。
朝からシャワーを浴びて旅支度を整える。…何か調子狂うな(^^;)

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岩内町のイメージキャラクタはアスパラと鱈をデザインしたこんな
感じらしい。人気が全国区に広がるかどうかは未知数…としておく。

Iwanaitaramaru

小奇麗なロビーを抜け、ホテルの前に停めた土で汚れたTWに荷物を
括りつけ、いざ出発!、岩内町の場所を地図で確認してもらうと
判るように、北と東は前日走って、西は海なんでこの日のコースは
必然的に南に下る事になる。

元々の構想では、岩内に泊まった翌日は、海沿いに南下して函館を
経由して少し上がったあたり、つまり大沼のあたりに泊まって、
その翌日の夕方にフェリーに乗るため、北上して苫小牧に入る、と
いうプランを考えていた。

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でも、前日の神威岬でバンバン開いた記憶の引き出しと同じような
引き出しが(というか地雷原が)道南には猛烈にあちこちにある。
もうそれをわざわざ開けに行かなくてもいい、閉じたままの記憶の
引き出しは、今開かなくてもいい。閉じたままにしておくべきだ。

どうしても思い出さなければいけない理由は…もう無い。だから
今回の旅で道南を巡るのは止めようと、この時点で決めた。

過去のフラッシュバックよりも現在の体験と未来への希望の方が、
バツイチ中年男には必要であるし、より重要だからね(^◇^)。

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それでも、神威岬のフラッシュバック旋風が他でも起こるのか、
ちょっとだけ試してみる事に。過去の記憶に無い風力発電の風車を
眺めながら海岸線を走る国道229号を南下して、途中寿都で給油。

Twhamanaka

133km走ってガソリンが2.95L。燃費は45.1km/L。積丹からほぼ
ずっと海岸線だけ走った結果なので、高低差がほぼゼロだから
その分だけ燃費が伸びる。

そして過去のフラッシュバックの発生を恐れつつ、でもどこかで期待
しながら(苦笑)、おっかなびっくり弁慶岬に行ってみた。

Twbenkei

…はっはっは、我ながら情けないくらいにリアルに当事の出来事
を思い出すわ(^^;)。神威岬で開いたように、ここでもバンバンと
記憶の引き出しが開いてゆく。…もうお腹一杯、十分だ、オレは
オレの現在の生活と未来に向けて進む事にするわ。

国道229号から内陸の黒松内方向に伸びる道道523号に入った。ここは
今まで一度も走った事が無い道。新しい記憶を、この旅で刻もう(^^)

Twtunnel

行け行け、トンネルを抜ければ、そこはきっと新天地が待ってる!

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道道523号を黒松内駅まで進み、突き当たった道道9号を少し南下。
ああ、天気が良くて幸せな気分~♪

Twiitenki

そのあたりにあったセイコマートで朝飯代わりの菓子パンを一個食う。
セイコマートのメロンパンはもう何個も食ってるのでパスした。
でもなんでセイコマートのメロンパンは標準のよりチョコチップの
方が安いんだろう?不思議だな。

で、改めて地図を見ると、近くにある黒松内の道の駅にはパン工房が
設置されてると書いてある!、しまった!、そっちに行って新たな
メロンパンを探さねばなるまい!

道道9号を逆戻りとなるように北上し、右にある道道265号に乗り東へ。
それが国道5号に当たるあたりに、「道の駅くろまつない」があった。

Twkuromatuani

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旅の記録に理由無くメロンパンの話が割り込んできて恐縮なのだが、
自分は「メロンパンハンター」なので、食った事の無いメロンパンと
名の付くものがあれば食わねばならない宿命を持って生まれた男。
なのでここでも当然ここで売っているメロンパンを頂く。

Melonkurosatunai

Meloncleamkuromatunai

クリームパンはおまけということで(^◇^ゞ

…ハグハグ、なるほど、こういう系の味か。これでこの値段だったら
コストパフォーマンス的には合格の一品だな(^^)。じゃあ先に行こう。

国道5号からすぐに道道344号に乗り換え東に進み突き当たった所に
ある道道266号に乗り換えさらに東へ、南へ進むと、ついさっきまで
日本海側に居たのに、太平洋である内浦湾をぐるっと走る国道37号に
突き当たる。これを南下すれば長万部、東に進めば豊浦だ。長万部
にも過去の記憶の引き出しがあるのでそちらには行かない(^^;)

Twr37

豊浦側に進み、そこにある豊浦海浜公園に入る。ここにはホタテの
化け物が居て、近づく旅人を食らふ、という恐ろしい伝説がある。

…今回も近寄っただけでこの通り、危うく食われそうになった。

Twhotate

だが、どうにかして何を逃れた。あぁ饅頭ならぬホタテ怖い(-_-;)<ばき

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展望台に上がり、景色を眺める。ここは以前旧型TDMで来た事がある
ので、1993年の北海道旅以来だ。記憶の中にまったく元カミさんが
出てこないで、当事RF400Rに乗る友人と北海道を回った時の小さい
記憶の引き出しが開いた。陸走して青森から函館に入って、恵山に
登って間欠泉見て、長万部を抜けてここに来たっけ。その日のうちに
洞爺湖でキャンプしてたら友人のヘルメットが盗まれて大騒ぎに。

…あの頃はあの頃で、色々と面白かった、青春の一ページだな(^^;)

さぁて、この後は自分が北海道の中で好きな場所の一つ、洞爺湖の
周辺を回ろう。国道37号を洞爺湖に向かう国道230号に乗り換えて
海岸線を離れる。少し走ると、あっという間に湖が見えてくる。

Twtouya_2

洞爺湖は美しい、湖畔を周遊する道を40km/Hくらいでゆっくりと
回る。景色がいいところでは止まって眺めて写真を撮って・・・と
いう感じで時間をたっぷり使って、その周辺をウロウロ&テケテケ
走り回った。

Twtouya2

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有名なサイロ展望台に行ってみよう、と湖畔を離れて国道230号に
乗ったら、前日羊蹄の湧水地で出会った、サッカーのドリブルを
しながら歩いて日本一周してる男が前方に歩いていた。また遭遇
するとは思わなかったよ(^^;)。なのでまた声を掛けて会話してみた。

Fbtabi

今回は忘れずに写真を撮らせてもらったので掲載しとこう。

前日京極の道の駅で出会ったときには自転車のカミオン君と
一緒だったので二人旅なのかと思ったけど、その時に偶然一緒に
居ただけで、基本的に一人旅なんだそうな。

日本一周はどの位の予定で考えてるのさ?、と聞いたら2年くらい
かかりそう…、との事(^^;)。突風でボールが転がってもし崖から
落ちどうするの?、と聞いたら今まで何度かそういうピンチが
あったそうだ(^^;;)

いいぞ!頑張れ!、そういう事が出来るのは若者の特権だぜ(^^)!

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サイロ展望台で雄大な洞爺湖の景色を眺めて駐輪場に戻ったら、
自分と同年代の女性二人連れがTWのそばでシゲシゲとTWを眺めて
いた。こんなバイクに興味でもあるのかしら?、と思ってそこに
近づいたら声を掛けられた。

Twsairo

どうも4色揃ったホクレンフラッグに興味があるらしく、一本ずつ
その写真を取らせて欲しい、とのこと。快諾した。その後この旗の
入手方法を聞かれたので、あちこちのホクレンで買うんですよ、
一本百円です。でもバイク乗りにしか売ってくれないそうですよ、
と話したら、なんとこのお二人、バイク乗りだった(^^;)

女性二人旅ですか、楽しそうですね、と話したら、一人旅って
一体何が面白いんですか?
、と逆に問われた(^^;)

それを理解して楽しむためには、実際にそれをやってみるしか
方法が無いんだけど、それを説明すると長くなるので、ただ
「自由気ままで楽しいですよ~」、とだけ答えた。

旅の思い出を共感共有する人が居た方がそりゃ面白いし楽しい
のは痛い程よく判っているけれど、それは話さなかった(苦笑)
羨ましがられたホクレンフラッグをハタハタとさせながら出発。

Hokurenflag4

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洞爺湖をほぼ一周して、昔、友人と共に泊まり、友人がそこでメットを
盗まれた、苦い思い出のあるキャンプ場を懐かしみつつ通り抜ける。

Twnakatouya

そして昭和新山にやってきた。昭和新山は駐車場が有料なので、
そこには入らず、ここに来るたびにその手前にあるなんでもない
野原にバイクを乗り入れて写真を撮っていた。今回もそれに習い
そこに乗り入れて写真撮影。

Twshouwasinzan

昭和の男が、昭和のバイクで、昭和新山を眺めるの図。
蛇足だがハゲ山をハゲた男が見る、という所も共通(T_T)<ばき

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愛しの洞爺湖畔に別れを告げ、観光モードから走りを楽しむモードに
チェンジ!、今夜の宿は支笏湖あたりと想定して、そこに入るまでに
たっぷり走れるコースを考えた。

…よし、一昨日のニセコに入る前に行ってみたかったがルート的に
断念した中山峠をTWで走ってやろう。つまりガンガン走ってぐるっと
北側に遠回りしてから支笏湖に入るのだ。

距離はあるが、TWの旅の速度(60km/H)で時間内に絶対回りきれる!

考えている時間が勿体無いので走り始めた。まずは国道453号を大滝
方面に進む。天候は良くなったり、曇ったりの繰り返しで気温は
全般的に涼しい。太陽が出ていないと少し寒いくらいだ。

快適なスピードを維持し続け、直線もカーブも、全て60km/H以下で
淡々と走り続けた。バイクで走っているだけで、この上ない喜び!
まるで初めて原付に乗り始めた少年の頃のように、遅い速度で
周りの景色を楽しみながら、森の中を走る国道を進んだ。

大滝のあたりで、その道は二股に分かれる。東に進めばそのまま
支笏湖に到着するコース。北西に進むと二日前に走った羊蹄山の
京極に進むコース。

今回は中山峠を目指したので、北西の京極方向に進路を取った。
森やのどかな風景、少し寂れた街などを見ながら、常に旅の速度で
TWはさらに進む。二日前に周囲を回った羊蹄山がまた見えてきた。

Twyouteiagain

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そういえば二日前くらいから、TWの走行音に「ミョ~~~」という
特有の音が混ざり始めた。これはフロントタイヤの変磨耗による
走行ノイズ。センターブロック偏磨耗して、接地面が極端に少なく
なる事で発生する。

Twftire

この通り、真ん中のブロックの半分以下でしか接地しなくなる。

ここまで使うと、TWという乗り物を楽しく乗るためにはFタイヤを
交換する必要がある。これ以上使うとろくにグリップしないし、
ハンドルがブレて不安定になるし、ブレーキかけても止まらない、
ダートではすぐ滑る、と、つまりいい事が一つも無いのだ。

このタイヤは、今回の旅でもうお役目ご免で終わりだね、あと少し、
この旅が終わるまで、もう少し頑張ってくれ(^^)。

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国道276号は京極に入る手前の喜茂別で国道230号と分岐する。
国道230号は中山峠を経由して札幌に続く道だ。そちらに進み、
そこでガソリン補給。

前回の給油から198km走ってガソリンが4.5L入った。燃費は44km/L。
海から基本的に登り坂なんだけど、このコースでこんな燃費を
叩き出すとは、TW、お前スゲェな(^^)

さあ、中山峠を越えようぜ!、旅の速度で走る我々を他の車は
バンバンとそれ以上の速度で抜いて行く。ウチらはまだ余力が
あるけど、この道は一般国道だから原付だって走るんだろう?、
こんなに平均速度が高いとちょっと危ないよ。

同じ登り坂を必死にペダルをこいで登っている自転車の旅人や、
反対車線に止まり、寒いのだろう、服を着ていた、カブに旅の
荷物を乗せた女性ライダーに手を挙げて旅人の挨拶を交わす。

頑張れ!、そしてこの峠を越えるんだ!

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Twnakayama

中山峠の道の駅に着いた。あげいもが有名らしいが、何度も
食った事があるのでわざわざ食わんでもいいや。便所にだけ行き、
さあ峠を越えるぜぇ!、と思ったら携帯電話にメールが着信した。

見てみたら、それは会社からだった。今の仕事が突然大変な
ピンチ状態になっているらしい。すぐ電話をして状況を確認し
応急処置の対応を協議した。

…とはいえ、過去の旅のように飛んで帰ったり、5年前の旅の
ように中断して帰るような事はしない。この旅はほぼ終わりだし、
今日船に飛び乗っても今の計画通りに明日の船で帰っても、
そのトラブルに対処出来るのは結局週明け後だもの(^^;)<ばき

この件で、ワクワク旅気分から憂鬱仕事モードになったけれど、
昨日そのリハビリをしていたので、すぐさま気を取り直した。

帰ったら仕事が相当大変な状態になってると思うけど、今は
今やるべき事、つまりこの旅をきっちりと最後まで実行して、
プライベートにメリハリをつけてから、そっちのトラブルに
対応するのが一番正しい選択と判断した。だからそうする。

さて、気を取り直して、旅の再開♪再開♪<ばき

Twnakayama2

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中山峠を走り抜けて、定山渓に入る。今回のルーティング
では、ここから小樽に抜ける道道1号を走る事が出来ない。
残念だが、また何かの機会があればここを通ってやろう。

Twjyouzannkei

国道230号をそのまま直進し、ライダーハウス札幌オート
ハウスの看板を横目で見ながら国道230号を東へ進む。
緑が一気に減ってゴミゴミした建物や店が多くなり、歩道を
歩く人が増えて信号が多くてしょっちゅう止まり、街中に
出てきた事を実感する。

R230r453

早く森に戻らなければ!、国道230号と、支笏湖に向かう
国道453号を繋ぐ道に移り、そしてすぐ国道453号に乗って
今度は南下を始める。支笏湖はもうすぐそこだ。登り坂を
駆け上がって行くと、どんどん気温が下がるのを感じる。

涼しいを通り越して徐々に寒くなってゆく。もう一枚着るか
どうか迷うが、この峠を越せば支笏湖に向け下り坂のはず。
よし、そのまま行こう!

真夏なのに寒さに震えながら淡々と支笏湖を目指す。途中
止まっている白バイを見かけたので敬礼しつつ旅の速度を
維持したまま走り去る。オレとTWが北海道というリングで
タッグを組んでいる限り、速度違反で捕まる事は無いのさ。

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国道453号から左に、つまり東に伸びる道道117号への看板が
見えてきた。この道は北海道上陸初日に走った道!

R453dd117

左に伸びるその道の入り口を通り過ぎながら振り返って、
確かに見覚えのあるその道の入り口を確認した。つまり
支笏湖まであとわずか!あぁ寒いよう!!

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上陸初日に最初に向かった支笏湖がようやく見えてきた。

支笏湖は洞爺湖同様に美しく、自分的には大好きな景色だ。
十日ほど前に来た時とは時間が違い、日照が異なるために
少し雰囲気が違って見える。自然って本当に面白いなぁ。

Twshikotuagain

そこからもう少し走って、今夜の宿に辿り着いた。

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今夜はモーラップ樽前荘。北海道内にあるライダーハウスの
中でもベスト3に入る、というかベスト1なんじゃないかと
思うくらい設備が良くて、飯も食えて、何もかも綺麗な所。
途中でここの良い評判を何回も聞いていたので今回の旅の
最後の宿泊はここにしようと思っていた。

Twtarumae

受付を済ませて部屋に入る。綺麗。TVのある場所も、屋外の
調理場や洗面台や便所に至るまで、ライダーハウスという
枠を超越した素晴らしさ。バイク乗りだけじゃなくて普通の
家族連れがやってくるというが、そりゃ来るよな(^^;)

Tarumaenaka

無いのは風呂くらいなもんだけど、それは近くに温泉が
あるから、そっちに入りに行けばいいだけの話。割引券を
ここでくれるからそれを使えばいい。

こんなすごいところでも最近利用者が減っているらしい。
もっと多くの人にここを知ってもらい、利用してもらい、
こういう素晴らしい施設を末永く維持して欲しいと願う。

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今夜の夕食は昨夜と全く同じジンギスカン(^^;)

Tarumaebbq

でも、仕事の話をしながら過ごした昨日のそれと違い、
今日は旅人同士が旅の話をしながら過ごすので面白い。

あと、こんなに女性ライダーが多い宿も初めての経験かも。
男と違って色々と制約がある女性なら、こういういい設備に
集まるのは、もしも自分が女性だったら…、という視点で
今までの経験を踏まえて考えればよく判る。オススメです。

あと、リピーターや常連がすごく多いらしく、次々とやって
くる人間がみんな顔見知りみたいな状態のようで、そこで
黙ってしまうとどんどん一人ぼっちになってしまう。ここが
初めてで口下手な人はそういう人の輪に入りにくいかも(笑)。

恐れずに、おっくうがらずに、積極的に話しかけてみれば、
同じ旅人同士、きっと楽しい会話に入れるのでご心配なく。
それは樽前荘に限らず、どこの旅の宿でも(キャンプ場でも)
同じ事なので、ぜひチャレンジしてみよう(^^)/

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夜になったら照明にお気に入りの蛾、オオミズアオが飛んで
きていた。さっそく手に停まらせて観察。…美しいよなぁ。
指に載せても手乗りインコのようにおとなしくしている。
ちょっと羽根をフルフルしてるのが実に可愛いのだ(^^)♪
昔書いたけど、蛾は嫌いじゃないよ、蝶より可愛い。

Oomizuao

夕飯の後は、一人部屋の中でこの記録のアラスジを作成。
同室となった人が戻ってきて、そこでも旅人同士の会話。
話が延々と終わらないので寝るのが24時を回ってしまった。

明日は北海道最終日。フェリー乗り場の苫小牧は目の前
だから、寝坊しても大丈夫だけど、大事に使いたいよな(^^)

おやすみなさ~い。

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本日の走行距離:273km 
 

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2012.08.01

旅2012・11日目 現実

狭い部屋に4人が押し込められた事で、逆に色々な旅人の会話が
楽しめたものの、大雨で窓が開けられず寝苦しい夜を過ごす事に
なった、ニセコツーリストホームに朝が来た。

昨夜の天気予報は大雨だったが案の定、朝から雨がパラパラ音を
立てて降っていて、自分を含めライダー4人は全員がっかり_| ̄|○

とはいえ、出発の支度を強制的にしなくてはならない。

------------

このニセコ・ツーリストホームはオーナーが兼業で日中仕事に出る
ために日中留守になるので、朝8:30になったら雨が降っていようが
なんだろうが、強制的に全員チェックアウトせねばならないのだ。

他のライダーハウスだったらそのまま部屋でゴロゴロしながら雨を
やり過ごすタイプの他の人達は、ここのシステムの罠に嵌まって
雨の中、出発を余儀なくされてアタフタと支度をしていた。

Twnaya

でもここにはバイクを収納出来る納屋があるので、雨を避けながら
荷造りが可能だ。そこでせっせと荷造りをしながら建物に鍵を掛け
立ち去るオーナーを見送りつつ、ちょっと雨宿りさせてください、と
断った上で、その納屋でしばらく雨宿りをさせてもらう。

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モンキー改(!)で京都からやって来ていた旅人と、その凄い旅の
装備について語ったり、PCXに乗る若者と道の駅情報を話したり
しながら、雨が収まるのを旅人たちは、ただひたすら待つ。

Monkysp

ゴリラタンクとか、15cmロングスイングアーム+NSRフォークに12
インチホイルとかなら、まだしもほぼノーマルディメンションでこの
荷物。さすがにスィングアームがノーマル長だと重心が後輪よりも
後ろに行っちゃって、F荷重がスカスカになるため、バランスを極力
崩さぬ7cmだけ長いものを装着しているという。NSR80やカブ110も
持っているという彼、旅ならカブの方が全然楽なのに、というと

 「コイツで、この姿で、旅したかったんですよ」

と笑って話す。…うんうん、その気持ち、わかるなぁ(^~^)

携帯電話の赤外線通信で、彼とモンキーの走行写真を貰ったので
御参考までに掲載。この画像の著作権は彼にあるので御注意を。

Stil0001

…あぁ、なんて楽しそうなんだろう(^◇^)

リッターバイクのツアラーだけが旅のバイクじゃない。ウチのTWも
そうだし、このモンキーも、立派な旅バイクだ!

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段々空が明るくなって、雨も小降りになる方向が見て取れたので
結局、意を決してこの北海道旅で初めてカッパを着込んでここを
出発する事にした。

「カッパ無しの旅」という長年の夢、たった一度でいいから成し遂げ
たかった夢のパーフェクトゲームは達成はこれで達成出来なく
なったが、旅の途中の雨、北海道の雨は自分の中で、あるのが
当たり前、つまり降られるのは当然のデフォルトだったはず。

な~に、今まで雨に降られなかったのが、ただラッキーだっただけ。
カッパを着て、森の濃い匂いを肺一杯に吸い込みつつ、雨の道を
走るのも悪くは無いさ、これもオレの旅の風景の一つじゃん。

次々と出て行く人を見送り、モンキー旅仕様の旅人にシャッターを
押してもって、雨装束姿を宿をバックに記録する。さあ!行くか!

Twturisutomae

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雨は降っても、旅とは日常の延長線上であるのが自分の主義主張。
なので、こうなってもやるべき事や、やりたい事をひたすらやるのだ。

Twnisekopanorama

この日はまず、ニセコパノラマラインの名がある道道66号を使って
まずは岩内に向けて進む。今夜の宿は諸般の事情により、この旅に
出る前から岩内と決めてあるので、今日の予定は雨の中、一日かけ
ゆっくりと積丹半島めぐりをするだけだ。

雨の道はそれはそれで面白い。色々な生き物がたくさん這い出して
くるからだ。カタツムリが群れていたのでちょっとフェンダーに載せて
みた。殻の模様がみんなバラバラでイイネ!

(Twkatatumuri

自分の知る限り、こんなにデカイ奴は見たこと無いよ!、という
大きさのミヤマクワガタ君も道端にノコノコと道に這い出てきたり

Miyamakuwa

立派なヤツだなぁ…、こんなの見たら童心に還っちゃうよな(^◇^)

道端に見かけるたびに途中何度も停まって、こういった生き物を
手に取り、観察して楽しんでいた (^◇^)

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雨は段々収まって来ているようだ。シールドに付く水滴が少しずつ
少なくなって行く。途中で防水グローブを普通のグローブに変えて
様子を見ながら走る。…大丈夫だ。よしよし。

北海道随一と言われる美しい眺めのワィンディングロードというが
霧と曇りであたりの景色は殆ど見えない。でも道は楽しい。だから
走っていてそれなりに楽しめた。そこそこ走ると、徐々に雨が上り
段々路面も乾き始めた。山々にかかる雲も少しずつ引いて行く。

Twnisekopano02

その山をどんどん下って、少しずつ人の生活の景色が見え始めた。
その中に、今までに見たことの無い感覚のある、白い塊のような
建物が見え始めた。…泊原発だ。

Tomarinpp

北海道の自然美の対極にあるそれは、そういう施設を見慣れている
はずの自分にも、すこし異質に見えた。それだけ北海道の中を沢山
彷徨っていた、という事なんだろうな。

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そのまま岩内町内に入る。とりあえず道の駅に行こう。そう思って
行ってみたら、この道の駅には見覚えがあることに気が付いた。

…そうだ、ここは元カミさんと来たことがあるぞ。十年とチョイの間、
全く開かなかった記憶の引き出しが突然大きく開いて、色々な事を
思い出し始めた。

Iwanaimichieki

数日前に封印したつもりだった記憶が、ものすごく鮮明に蘇って、
人間って、こんなに十年チョイ前の記憶を思い出せるものなんだ、
とちょっと感動した。おっと、そんな事を長々としてる暇はないぞ、
まずはその向かいにある警察に行くのだよ、善良な市民の味方の
警察にね。

Twiwanaikouban

…あ、別に悪い事をして自首したんじゃなくて、今夜はこの岩内に
ホテルを取って泊まる予定なので、その場所や連絡先を尋ねるため
来たのだ。どうやら似たような人間が多いらしく、町内宿泊施設
マップなるコピーがあらかじめ用意されていて、それを一枚くれた。

ありがとうございます(^^ゞ

------------

この時点で雨は無く、路面もほぼ全部乾いてきたので、ここで
カッパを脱ぎ、収納せずそのままゴムネットの下に挟んで収める。
走行しながら乾かすためだ。

あとは岩内町内の大きいドラッグストアで生傷保護用のキズパワー
パッドを買い増しして体液決壊に備える。最初は半日でダバダバ
漏れて張り替えていたけど、今では丸一日以上張ったままでも
決壊しなくなってきた。

Twds

それなりに効いていると思うけど、いつまでたっても生傷感覚が
消えないのはちょっと違和感があるな。怪我してから数日たてば、
普通は生傷感が消えて行くんだけど、これはいつまでたっても
生傷感が消えない。ま、今回が初めての使用だからこうやって
実験して最後まで体感しないとよく判らないよね、もう少しだけ
頑張ってみよう。 (でも実はこの時点でかなり痛みが増えていた)

Twasupara

へ~、岩内って日本のアスパラガス発祥の地なの、知らなんだ。

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さて、気を取り直して、積丹半島の旅に行くかぁ!

曇りから一転して徐々に薄日が射すくらいになってきて、気分も
段々盛り上がる。岩内から国道229号を北上し、泊村を目指す。
遠くからは見えた泊原発は、近づくとトンネルがあって見えない。

Twr229

そのまま海岸の景色と、山々の美しい風景を眺めながら淡々と
海岸線を北上する。神恵内までやってきて、今まで一度も走った
ことの無い道、道道998号に乗って、積丹半島の真ん中を横断
することにした。

Dd998

Twrecord

道道998号は半島の山に駆け上り、そして降りてくる道。車も
少なく、適度にくねって、楽しい…けれど、この縦溝の排水路は
どうもいかん。ブロックパターンのoff車だと凄くハンドルが取られ
かなり緊張する。

曇天の下の緑の森から雲か霧が湧き上ってくる幻想的な光景を
路肩にTWを停めてじっと10分ほど眺めたりする。自然は美しい…

Yamakumo

途中に覆道が一杯あって、その中の景色が人工物とはいえ少し
幻想的な感じ。路面が濡れているのでヒヤヒヤしながらTWの旅の
速度(60km/H)を超えぬよう、峠道を楽しむ。

Twdd998

その後、古平側に向かって駆け下りて行く。でも下れば下るほど
空が暗い灰色の雲に覆われて行く。嫌な予感がする…

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くねくね道が終わり、海岸線に向けて一直線の道になったら、その
悪い予感が的中。雨がバラバラと降ってきた。あちゃー!、こりゃ
我慢して走るレベルじゃないや、すぐに路肩に停まってカッパを
着始めた。するとブーツカバーが片方無い!、どうやら途中で
落っことしてしまったようだ。

うわー困ったぞ!、でもそれほど大雨じゃないし、履いている靴も
ゴアテックスの防水ライディングシューズだから、しばらく大丈夫
だろう。大雨になったら沢山持ってるコンビニ袋を使ってどうにか
しよう。

カッパを着込んだ状態で再スタート。走っていた道道998号は国道
229号に再びぶつかって消滅する。その国道229号を西側に向けて
走り、積丹半島の先端を目指した。

おっとっと!、途中にある積丹のガソリンスタンドで給油も忘れずに。
159km走って3.8Lだった。41.8km/Lだ。ニセコパノラマと道道998号と
峠2本走ると、このくらい。前日も書いたけど、かなり良いんだけど
悪くも感じてしまう(^^;)

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そこから段々天気が悪くなって行く。午前中に天気が良くなって
アップテンポ↑になってた気持ちも、徐々にローダウン↓してきた。

しゃーない、積丹まで来てるんだから、ウニ丼でも食って気合を
入れるべ!、どうせ今日はそのくらいしか楽しみが無いんだから。

0円マップを見ると、「生うに専門」と言う店がこのすぐ近くにある。
だが行ってみたら、今日はシケてて漁に出なかったので閉店。

うわ~残念。ノシャップの樺太食堂といい、なんで!、こんなにも
ウニ丼屋に縁が無いんだあ(T◇T)!

Nagisa001

Nagisa002

なのでその先にあった普通の食堂に入って生ウニ丼を発注した。

Unisawa01

Unisawa

一食で2200円も使うのは日常ではありえないけれど、これも旅の
非日常だから出来る贅沢だよなぁ、頂きま~~す(-人-)

…美味い!、産地で食う季節がいい食い物はやっぱり美味いなぁ♪

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食堂を出たら雨が上がっていた。入るときに脱いだカッパをゴム
ネット下に挟んで走り出す。積丹岬を回る道に進み、でもそこは
通り過ぎ(過去に何度も来ているので)、思い出の地、神威岬に
やってきた。

Twkamui01

懐かしいな、ここも何度も来てるけど、元カミさんと来たのが最後。

そう軽く思っていたら、今までや、さっきの道の駅で開いた
記憶の引き出しとは比べものにならないくらいの数の記憶の
引き出しが次から次へとバンバン開いて、十年チョイ前に
ここにやってきたときの風景の中で、その過去の場に
今の自分が透明人間になって同時に存在しているかの
ような、今までに経験の無い、強烈で、鮮烈で、自分自身で
そういう状態が制御が出来ないすさまじいフラッシュバックに
襲われた。
一瞬、気が狂ったかと思ったくらい。

むしろ今までのは単なる思い出を懐かしむ気持ちといっていい。
でもここで体験したのは、今までに経験のない奇妙な感覚だった。
多分これが医学用語で言う本当のフラッシュバックなんだろうな。

自分の目の前に、あの頃の自分と元カミさんがいた。その二人の
行動に透明人間になった今の自分が引き寄せられるように、
無言でその二人の後を背後霊のように追いながらフラフラと
一緒に行動を始めた。

…ここにバイクを停めた、…このルートを歩いた、…ここで写真を
撮った。…あの時にこんな事を話した、その時の天気や、気温、
二人がどういう格好をしていて、元カミさんがその時に何を話し、
どんな表情をしてどういう仕草をしていたのかすら、その全部を
自分は半透明な存在のまま、その幻の二人の行動を一つ一つ
見ながら(=思い出しながら)フワフワと歩いた。そこで撮った
過去に捨てたはずのフィルムカメラの写真までも思い出した。

女人禁制の門まで上がってきて、そこから神威岬の絶景を見た
辺りで、当事の二人の姿は消えて、自分は半透明の存在から
足を地に付けて立っている現実の人間に戻った(気がした)

Kamui2012

…ウソだろ?、だって、その一ヶ月前と一ヵ月後の記憶を試しに
思い出せ、と言われたって、そんなもの全く思い出せないのに…

なのに、この記憶を生んだ場に立って、同じ景色を見たら硬く
閉じていた(はずの)記憶の引き出しが、いきなり全開となって
全部が残らず飛び出てきた。人間って、こんなに細かい事まで
記憶していられるのか?、十数年前だぞ?、今まで一度だって
思い出した事が無いのに、何でこんなに鮮明に思い出すんだ?

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ここでの出来事をこれ以上細かく書くと、宗谷や朱鞠内での
行動や決意が揺らぐどころか吹っ飛びそうなので、ここに書き残し
後々反芻するような事にならないように書かない。

でも、人が過去に「きっと忘れられない記憶になるね」と、刻んだ
楽しい思い出は、その後の結末がどうなっていようと、そのまま
いくつになっても、どう上書きを繰り返しても、…それを消す事は
出来ず、自分の記憶の中で、青春の一部だったり、人生の一部
として脳内のどこかにずっと存在している、そんな事を確信した。

ただ、それを必要以上に頻繁に思い出さない、そういう事なんだ。

それは意思の力や時間の経過で、その記憶を納めた引き出しを
わざわざ開けなくても生きていけるようになっていたり、意図的に
閉じたままにしたり、または容易には開かなくするように訓練を
積む事は出来るんだけど、でも、それを全く無かった事にしたり、
意図的に破棄したり、改変したり、空にする事って出来ないんだ。

思い出すまい、忘れよう、とずっと思って努力してきたから今まで
思い出さなかったんだろう。でもここに来たいと願って、苦労して
やって来たら、その引き出しを頑丈に止めていた閂が全部弾け
飛んで、その引き出しが全て開いて、自分は長い間無意識で
封印していた記憶を思い出した。

…思うに、これは実は自分がどこかでそうなるように願って
いたんじゃないだろうか?。

これが悪い記憶、嫌な記憶ならば、またここに来たい、とはきっと
思わなかったと思う、でもそれは封印されたとはいえ楽しい記憶。、
またここに来たい、何が何でもどうにかして行こう(そして記憶の
引き出しを弾け飛ばして、その中身を取り出そう、思い出そう)と
無意識のうちに、心のどこかで願っていたのかもしれないな。

あの時の旅は人生で一番幸せな旅だった。だからいくら離婚した
時にそのアルバムを全部捨てても、脳みそに刻まれた記憶の
引き出しの中身まで捨て去る事が出来なかったんだろうな。

もしもそうなら、自分はこれからも堂々とこの記憶を持ったままで
生きよう。でも、それを表に出さずに、仕舞ったまま生きて行ける
生き方を、これからはしないと、やっぱダメだな…そう生きよう(^^;)

「絵葉書みたいに綺麗だったね、いつかまた来ようね」、と当時
二人で熱く話した神威岬、一人で辿りつき、そして一人で去る。
過去の記憶をここまで細かく思い出せた自分を褒めてやっても
いいんだろうな、と思いながら、沢山開いた記憶の引き出しを
心の中で蹴っ飛ばして、一個ずつ乱暴に閉じた。

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神威岬からそのまま国道229号を南下して、

Twr229again

途中からさっき通った道を逆に進んで再び岩内の町内に入る。

今夜の宿はここ岩内だ。ここにはキャンプ場もライダーハウスも
無いのだが、この日はここに長く出張に来ている仕事の仲間と
久々に会う約束をしていたので、適当なビジネスホテルに泊まる。

警察から貰った情報を使って、ウニ丼を食った後に電話して
予約を入れておいたのでチェックインはスムーズに済んだ。

Twhotel

今までライダーハウスや、旅の宿や、キャンプをして回っていた
けど、ここに来て、突然都会的で清潔で設備の整った仕事で使う
ようなところに来ると、ちょっと旅の生活から仕事主体の日常に
戻ったのかのような逆浦島太郎的な違和感があるな(^^;)<ばき

Hoteruiwanai

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ここで会うのは、旅人ではなく仕事関係の人なので、当然だが
熱く北海道のバイク旅を見知らぬ旅人同士で夜まで語り合って
いた今までの夜とは今夜は状況が全く異なり、旅に出るにあたり
自宅に置いてきたはずの会社人としての日常の生活の話題や、
休んで置いてきた仕事の話ばかりを、この席では沢山する事に
なった。

でも、別にそれはかまわない。だって最初から旅の後半の終わる
ちょっと前に、あえてこういう場を作る事を計画して、それを実行した
だけだから。だからこれも今回の旅のミッションの一つ。

久々に僻地で働く知人に会う、という直接の目的が当然あるけど
ここは過去の思い出を語ったりバイクで旅する自分と、現在を
生きる社会人としての自分が、北海道という旅先で、真直角で
交差する場所なのだ。

仕事モードから旅モードに切り替えるのと同じように、旅モードから
仕事モードに気持ちを切り替える準備をしておく。ビジホ泊はその
ための高い投資だったりする。

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久々に会う仲間は長い暮らしに少し疲れているようだったが
ジンギスカンを突きながら陽気に話し合う事が出来た。滅多に
会えないので今回こういう機会だけど、会えて良かった(^^)


これからも頑張れよ、ご安全に~~(^^)/

ビジホに戻り、熱いシャワーを浴びて、生傷の手当てをしたあと
蚊にも、同室者の鼾や、風の音、幹線道路を通る車の音もしない
空調の効いた快適な(=コストがその分だけ高い)北海道の旅先
らしからぬ空間で、寝に入った。

久々に飲んだアルコールの効き目もあって、あっという間に寝た。
テントやライダーハウスでは、要らぬ感傷に浸る可能性があるが
ビジホだと仕事の記憶とダブるから、そういう事も無く快適<ばき

全て思惑通り!

記憶の引き出しが開きすぎたのが、ちょっと誤算だったけどね。

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本日の走行距離:201km ウニ丼のように濃厚な一日だった…


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