« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »

2013年9月

2013.09.18

オスはメスに食われる宿命

現場労働であちこちを飛び回っていると、そういう
働き方をずっとしている職人さんや監督が集まる。

休憩時にそういった様々な年齢層で色々な人生を
歩んできた人たちと色々話しをしていると、どうも
長期現場労働をしている男は離婚暦を持つ人間が
かなり多くいるらしい。無作為に100人集めたら
その中に30人以上いる、といっても過言じゃない
ようだ。

自分のように結婚してから短い時間で別れるような
パターンも多々聞くのだが、一番多いのは、長く
一人で出稼ぎして、家に帰れなくてもせっせと稼ぎ
家族に送金を続け、子供が自立し、自分が年老い
現場仕事がキツくなってきた頃に自宅に戻ろうと
すると、その時点で妻に全てを奪われてバッサリ
切り捨てられる、一番救われないパターンだった。

家族のために過酷な現場を飛び回り、帰りたくても
帰れず、せっせと送金を続けても、自宅に居場所が
無くなり、子供が自立したり、稼げなくなったらば
もう用無し、帰ってくるな!とばかりの扱いを受けて
離婚し、独りとなった初老級の人が今の現場でも
ざっと両手で数え切れないくらいいるらしい(T_T)

そう考えると、最初はそうとは思いもしなかったが
今となって考えればいつかは必ず別れる運命に
あった自分は、心の傷がまだ浅いうちに(それでも
死ぬほど苦しかったが)離婚して独りに出戻って
…実は相当に幸せだったのかもな、と思わされた。

人生をささげ尽くした家族から不要物呼ばわりされ
あげく無一文で追い出されるよりは、まだ幸せな
暮らしを自分はしているから。当然だけど、大切な
家族と共に生きて共に成長する暮らしが一番の
幸せではある事は理解しているけどね。

------------

そんな事を思いつつ、現場での仕事を終えて
事務所に歩いて戻る道すがら、ふと自分の視界に、
繋がったまま空を滑空する、緑色が目立つギン
ヤンマのカップルが見えた。

おお、お前らは仲がいいな、せめてお前らはオレより
幸せになりな~、と思ったら、その二匹が交尾体制
から分離して、空中で絡み、もつれ合って地面に
落っこちてきた。自分のほんの1mほど先に、だ。

おいおい、お前らいくらなんでもそりゃ激し過ぎだろ
そんなに熱くマグワらなくてもいいんじゃないの?
…と、思ったら、どうも様子がおかしいのだ。

Tonbo01

脚を畳んで無抵抗な状態のオス(緑と水色の
ツートンカラーの方)の上にメス(緑一色の方)が
しがみついていて、路面にひっくり返ったまま
二匹でモゾモゾしてる。そのうち、オスが数秒
おきの周期的に羽を震わせて、路面に当たり、
バババッ!…バババッ!…バババッ!っと
不思議な羽音を立て始めた。

…何だか、様子がおかしい。

その状態で絡む二匹を手にとってみても、その
状態のままだ。オスは周期的に羽を震わせ、
背後に抱きついたメスが、オスのうなじにどうも
噛み付いているように見える。何だこれ?

Tonbo02

そのまま二匹を路面に置いて様子を見ていたら
オスのうなじに噛み付いているように見えていた
メスが、なんとそのままオスの頭を噛み切った!

そして、そのままオスの胴体をムシャムシャと
食い始めたではないか!

Tonbo03


ちょっと前まで、仲睦まじく一緒に空を飛んでた
連れ合いを、メスよ、お前は食っちまうのかよ!

------------

交尾後にオスを食ってしまうのはカマキリとか
クモくらいなのかと思っていたけど、そっか
トンボもそうなのか…、でもギンヤンマをwikiで
調べても、そんな生態は書いてないんだけどな。

 ギンヤンマ

でも交尾後の産卵はオスメスが連結してか、
または単独で(つまり産卵出来るメスだけで)
という記載があるから、つまり単独のメスは
交尾したオスをがっつり食って、その後で
産卵してる、って事なんだろうな(-_-;)

感情論を抑えて考えれば、交尾して自分の
遺伝子をメスに託したオスは生物的にもう
この世に生まれてきた役割を終えているから、
これ以上生きるのも他の命を食すのも無駄だ。

ならば、他の生き物に食われるくらいならば
自分の子のために交尾後のメスに食われて
子のための栄養源になるのは時間や手間が
節約出来て、確かに極めて合理的ではある。

一番上の画像でオスが脚を小さく畳んで
背後から獰猛に襲い掛かるメスに完全に
無抵抗な状態になって覚悟を決めている
ように見えるのはそういう事だったのかな、
と思う。

------------

そんなメスや卵のために自分の命を捧げる
オスのギンヤンマの姿が、そのちょっと前に
雑談して聞いた、危険な職場で命をかけ働き
せっせと家族に仕送りして、その金で家を
建てて、教育費を負担して、やっと家族と
一緒に暮らせるようになったとたんにあっさり
捨てられる、現場の労働者とちょっとだけど
ダブって見えた(涙)

まぁ現場労働者に限らず、基本的にトンボや
カマキリと同じように、人間もオスはメスに
食われる宿命にある、という事なんだろうな…
その際に自ら喜んで食われているか、辛い
思いをしながら苦しんで食われるかの違いで
結局は食われるサダメから逃れられない。

それは肉体そのものを食われるのではなく
稼いだ金だったり、人生のリソースだったり、
時間だったり。そういったモノをメスや子に
託して自身の命を次に襷渡しして終えるのは
生物のオスとして正しい姿なのかもしれない。

自分は残念ながらその清く正しい生き方から
ドロップアウトしてしまった。だから自分自身を
誰かに与えるような尊い事をする事もなく、
自分が発生する(=独りで生きるには過剰な)
全てのリソースを自身にのみ費やし生きてる。

これが幸せなのか、不幸せなのかは、まだ
判らない。離婚直後はそれがこの上ない
不幸だと思って嘆いたが、十年もたった今は
…もしかして不幸になっていたかもしれないが
そうはならずに済んだ、つまりもしかすると
今は幸せなんじゃないか?、という良くない
疑念を抱きはじめた(苦笑)

でももう少し生きたら、もう少し違った考えに
なるかもしれない。人生はまだまだ続くのだ。
 
 

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2013.09.09

今の新車よりも、こっちに乗りたい

ちょっと間が開きすぎた(^^;)

その間に、仕事はどんどん忙しくなっているけど、
どうにか頑張って乗り物道楽も細々と継続中。

今年は思い切って、利用頻度が極端に少ない
コイツをもう少し活用してやろうと一念発起して、
その筋では有名な某ショップに持ち込んで現在
完全フルOHを実施中。

Tzr01

エンジンもこの通りに木っ端微塵にして、ありと
あらゆる消耗部品を換えクランクやシリンダーは
全てリビルド。

Tzr02

足回りも全部!、何もかも分解して再生して組む。
平たく言えば、古い主骨格と、皮を再利用して、
中身をほぼ新車状態にするのだ。

1992年生まれの、もう二度と作られないだろう
このクラスの乗り物、21世紀の今だからこそ
当時の新車状態に近づけて、最新のマシン達と
一緒に走らせて、ライダーもバイクも今では年寄り
だけど、まだまだ今だってこんなに走れるぜぃ!、
…とワカモノたちをびっくりさせてや<ばき!

------------

ここまでやると、ぶっちゃける話しだが最近流行りの
250ccクラスの新車がそのまま買えてしまうくらいの
費用が余裕でかかる(-_-;;)

単車乗り以外には21年前のクラッシック車にそこまで
費用をかけて再生する事はまず理解されないと思う。
修理費がかかるのなら、修理費がもったいないから
普通に新車を買えばいいじゃん、って言うだろう。

…でもこういうバイクは、もう二度と出てこないのだ。

最新の600ccのSSも良いけど日本国内で乗るには
速すぎるし、この手の250ccと比べると重くて長い。

同じ車種の程度のいい中古を買う事も出来るけれど、
なにせ20年くらい前の中古だから、中身がどういう
状態であるかを確かめる術がない。

それならば、自分が稼動状態で持っている3XVを
素材にして、徹底的に全部バラしてOHすることで
一見古いボロいバイクだけど、中身は新車同然に
再生するほうが安心だし、結局は安上がりなんだ。

2stレプリカは四輪でいえば、RX-7みたいなもんだ。
ロータリーエンジンという唯一孤高の心臓を抱く
軽量のコーナーリングマシン。最新の技術を投じた
最新鋭車には勝てないかもしれない、でも今の
時代の車では絶対に成しえない軽さや速さや
感性に訴えてくるフィーリングが、それにはある。

2stレプリカはそれをさらに研ぎ澄ましたような存在だ。
だから、今の海外製造の250cc新車を目の前に並べ
られても、自分としては自分の手元にあるこの3XVを
超える魅力は見出せなかった。

だから、これからもずっとTZRという楽しいバイクを
生かして走り続けるために、今の状態でも普通に
走れてしまう状態なんだけど、致命的な故障が無い、
動態保存が出来ている今のうちに、そして何よりも
メーカーからOHに必要となる部品がまだ入手可能な
今のうちに、今のタイミングであと10年は安心して
乗れる状態にしておく事にした。

また、TZシリンダーが付いた特別モデルである
SPや完成度を高めた最終モデルのSPRではなく、
乾式クラッチではあるけどその他は全て標準の
モデルである3XV8をわざわざここまでやって再生
するのにもちゃんと意味がある。

ハイパワーだけど気難しいSPと違って標準モデルの
3XVは国内の公道を走るのなら必要十分な馬力を
叩き出しながら丈夫で壊れず、小口径キャブによる
扱いやすさが同居する、楽しくて優れたマシンだ。

だけど標準モデルは特別モデルと違って価値が
低いので、大量に売られたはずなのに今では状態の
良いものは多くないし、ここまでやってリビルドする
人も多くは無い。

だからこそ自分はあえて公道で楽しいスタンダード
エンジンの3XVを再生して、それを残しておきたい。
2stレプリカという先鋭化した乗り物の凄さを誰でも
体感してもらうなら標準モデルの方がいいからね。

いつか出来ることなら、昔はこんなに楽しいバイクが
沢山あったんだよ、ってワカモノに乗せてみたいし、
自分がコイツを手放すときが来ても、次にコイツに
乗る人に少しでも良い状態で襷渡し出来るし(^^ゞ
その前に、自分自身が再生したコイツに乗りたい。

その為に新車を買うのと同じくらい費用をかけても
価値があると判断した。だから徹底的にやるよ(^^)/

この21年間、致命的な故障もせず、かつ一度も
転倒した事が無い、実走2.2万kmの3XV8、
早く元気になってウチに帰っておいで~~~~♪
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »