かつて我が友が駆り、そして事故って命を落とした
傍から見れば単なるポンコツバイク、でも自分には
深い思い入れのある友人の遺品、スズキのSX200R

画像掲示板で晒したようにダイソーの自転車用リム
反射ステッカーを貼り自転車用スポークリフレクタを
装着したので、このように特徴のある足元に(笑)
これが面白いように光まくるので、最近は寒いのに
ついつい夜の街を走りたくなってしまう。

おっと、今回のネタは、それが本題じゃない。
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このSX、完全復活を果たして、任意保険にも入って
磐石の状態でアクセルをあけられるようになった。
それまではおっかなびっくりトコトコと走っていたが
それだと空冷OHC2バルブ単気筒200ccは我が最愛の
TW200に似た感じでスペックや排気量なりの走り方
しかしなかった。
でも、せっかくだ、もっと走ろうぜ!、とアクセルを
ワイドに開けてみた。すると、SXは豹変したように
モリモリとした加速をしてエンジンがブンブンと
回って、近代の薄いピストンの新しいエンジンの
ようにバイィィィン!、とブン回るのだ、DRみたい。
…え?、空冷単気筒の200ccでしょ?TWみたいな
エンジンでしょ?なのにこの加速力は一体?
もっさりバイクじゃない、はっきりと『速いバイク』の
それじゃんか。
何かの勘違いかな?、と思ったが、どうやらSXは
TW的な乗り物じゃないらしい事は判った。なので
これはもっと速い乗り物なんだ、と意識を変えて
峠道や高速をそういうバイクのように走ってみた。
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あれれ?SXって、…速いじゃん!
高速で5速で頑張って引っ張ってもメーター読みで
120km/H、実際は110km/Hも出てない感じだから
絶対的な速さは無いけどそこに至るまでの感覚や
加速感が結構なモンなのだ。
同じ排気量のTW200とは比べ物にならないくらい、
セロー225なんかよりもずっと速い。しかもエンジン
フィールが、空冷OHC2バルブじゃない、まるで
DOHC4バルブのように、ある回転数からはっきりと
トルクが乗り、パワーバンドに入って加速してゆく。
まるで2stやターボのようだ、というと言いすぎだけど
FCRの加速ポンプによる加速上乗せ感みたいな感じ。
当然SXの負圧キャブにそんな高級な仕組みはない。
自分が今までの乗ってきたバイクの中で今のSXの
乗り味に一番近いのは、ほぼ同じエンジン形式の
TW200じゃなくて2st125ccのMBX125F。街中や峠で
パワーバンドをはずさないように細いタイヤで乾燥
96kgの軽量の車体をヒラリと操れば、そりゃもう速い。
大学生の頃に乗っていたよ、大好きだった。
SXはそこまでは速くないし、軽くもない。
でも、TWよりも明らかにそっちに近い乗り味だ、
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今まで色々なバイクに所有や試乗を含めて乗ったが
こんなにはっきりとした「パワーバンド」のある4st
単気筒に乗ったことがない。ウチに居る生涯最速の
4st単気筒、DR-Z400SMの方が、まるでツインや
マルチのように直線的に回転が上がり回転馬力を
引っ張り出す4stのエンジンフィールだ。
SXは違う。回転をあげると、ある所を境にエンジンが
はっきりと元気になり、トルクがモリモリ来てそこから
バィ~~~ン!、と高回転まで吹けるのだ。
農耕機のような(それはそれで味があって大好きな)
TW200のそれとは違ってはっきりと『レーシング』だ。
モンキーやエイプといった小排気量4stミニを大改造
したら、多分こういう『カムに乗る速いエンジン」に
なるんだろう、そういう感じだ。
世間の評判では燃費が良くて、中古流通価格が
ただ安いだけのロバのような実用車、不人気車だ。
某掲示板では『貧乏バイク』とまで卑下されている
SX200Rが、まさかこんなに『速く走る』バイクだとは
…ちょっと驚いた。
キャブレターはノーマル、カムも排気量もノーマル、
マフラーだってノーマルだ、パワーアップ要素は
何も無い、皆無だ。なのに、この『速さ感』は何だ?
昔試乗したことのあるジェベル200はこんなにも
速さを感じるバイクじゃなかった、どちらかというと
TWに近かった。TWよりちょっと速いけどつまり同じ
ジャンルの乗り物、という事になる。
だけどSXは違う。
自分もDR-Zが駿馬だとすればSXはロバと思ってた。
でも、この2台、根底は全く同じDNAのバイクだ。
速さでは排気量やハイテクの塊であるDRにSXは
当然かなわない。でもSXの方がパワーを使い切って
走れるので、バイクとしてはSXの方が面白いかも。

DRの速さはズバ抜けてるけど、その速さを本気で
使いきろうとするともう公道上では危ないくらいの
速度になっちゃうけど、SXならば公道+高速で
そこまで馬力はないけど楽しくて速いエンジンの
実力のほぼ100%を自由自在にひっぱり出せる。
そのあたりが2st125ccっぽいな、と思う所以。
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ただ、この2台のバイクで決定的に違う事がある。
ブレーキの効きだ。DRは抜群に効くのに、SXの
ブレーキはドラムのTW200よりダメ。止まらない。
同じブレーキシステムのDF125Eも全くダメダメ。
いくらなんでもこんなに効かないのはおかしい、
と何度もメンテしてエア抜きして、パッドも社外や
純正の種類をいくつもかえて試したけど、全然
改善しなかった。つまり本当にそういう性能しか
無い、ということだ。
もしかすると友人が事故ったのも、この効かない
ブレーキにも一因があったんじゃないかな?、と
まで思うようになった。
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そこで、効かないSX&DFのブレーキを根本から
変えて、ちゃんと止まるようにする事にした。
原因であろう明らかに非力な1POTキャリパを
全く別のものに交換するのだ。

詳細は省くが、スーパーシェルパ系のトキコの
2POTキャリパーをボルトオン出来るように改造
したものを、SX200R、そしてDF125Eに装着した。
オンロードバイクのカスタムで見られるアルミの
キャリパーステーが付け足し感が満載でキライ
なので、強度に優れるボルトオンに拘ったよ。
専用品じゃないのでドンピシャじゃなかったけど、
どうにかちゃんと付いた(^◇^;)

走ってみたら、これが別のバイクのように効く!
(そりゃそうだ、別のブレーキなんだもの(笑))
SXの鉄ハンドルがしなるのを感じられるくらい
ガッツリ効く。これならば、誰に乗ってもらっても
大丈夫だ。…というか、メーカーは最初からこう
いうくらいの性能のモノを付けて売ってよ(^^;;)

長く効かないブレーキに悩んで試行錯誤して、
諦めていたDF125もこれで安心して止まれる
ようになった。新品キャリパーを2個買ったので
そこそこの費用はかかったけどはっきりした
性能UP、しかも一番大事な安全性能が格段に
UPしたので、良しとしよう。
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たった200ccとは思えないパワフルで軽量な
SXに、抜群の効きのブレーキが備わった。
これで安心して峠を走れるので、ちょっと走って
みた。走った感じは『貧乏バイク』という不名誉な
称号ではなく『DR-Z200』という方がいいくらい。
これはすごく面白いバイクだ!。こんな面白い
エンジンは珍しいぞ、うわ~楽しい!
細いタイヤで軽い車体でヒラリと曲がれるので
パワーに見合って楽しい!
それでいて、燃費がいい。ブンブンと回してパワー
バンドに入れっぱなしで走ってもまず30km/Lを
切らないし、少し意識して回さずにエコランすると
35km/Lは確実に走ってくれる。
2st125ccに準じるくらい速くて、これだけ走って
くれたら、もう何もいう事はないよ(^^)/
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多分、一度も乗った事が無い人らにより勝手に
付けられた『貧乏バイク』、という不名誉な称号、
スタイリッシュとはとても言いがたいデザイン、
数字ではショボい、カタログスペック。それらに
よってSXというバイクは新車販売の頃から相当
不当な扱いを受けて虐げられてきたと思う。
でも、もし今でも稼動するSXが捨て猫のように
バイク屋の片隅でホコリを被って格安で売られて
いたら、それはチャンスだ。キック始動だけど、
デコンプのおかげで腕でかけられるくらい軽い
キックは不慣れな人でもすぐかけられるので
安心していい。50ccスクーターのキック始動が
出来る人ならSXは容易に始動出来る。
ぜひ、不評な下馬評って一体なんなんだよ、と
予想を嬉しい方向に裏切る楽しい加速力と、
乾燥重量104kgという、最近のバイクではまず
ありえないくらい軽さ、その「100km/Hチョイしか
出ないけど、そこまでが楽しい、そして圧倒的に
軽いバイクにしか出せない乗り味」を楽しんで
欲しい。
古いバイクだから部品が出なくなってるけど、
まだ部品が出るジェベル200と互換性がかなり
あるからまだ乗れるよ。消耗品はそこそこ安い
ので大きく故障しなければ維持費は安い。
そういう点では『貧乏でもバイクライフを目一杯
楽しめる面白いバイク』だよね、同意する(^^ゞ
ただしブレーキは出来れば強化を検討してね、
元気一杯なバイクは止まれないと危ないから。

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