今までありがとう、りょう
少し前から、実家から何度か連絡が入っていた。
我が愛猫、りょうが体調不良でもうダメかも、と。
彼女をあの地で拾い上げてから気が付けばもう15年。出来ることなら一緒に暮らしたかったけど、離婚して独り暮らしになり、長期で地方を回る仕事を本格的に始めた矢先だったのでそれも叶わず、数多くの猫を養育した実績のある両親に預けて、そちらでほのぼのと暮らしていたりょう。
でも、月日がたって、彼女も老いて、かつてのヤンチャな子猫とは違い、すっかり落ち着いた老猫になって、共に老いた両親とはいい組み合わせだな、と思っていたけど、ついに彼女にも天命が尽きる時が来たのだ。
長生きする猫なら20年くらいは生きる。短命な猫は5年もしないで亡くなるのも見てきた。そう考えれば大けがせずに、大病せずに、15年を生きてきたりょうの命が尽きようとするのは、それほど理不尽な事じゃないのかもしれない。
…でもね、やっぱり嫌なんだよね、自分が愛した命が尽きようとするのはすごく切ない。それが傍から見ればタダのイヌネコだとしてもね。なので先週の土日に仕事を無理やり前後に押しやって時間を作って、実家に戻ったよ。そしたら、今までになくヨボヨボで、ガリガリで、フラフラなりょうがそこにいた。
自分自身、今まで飼っていた何匹もの猫の死を見てきた。だから、りょうの命が長くないことは一目見て察したし、一撫でしてその触覚から避けようがないということを理解して覚悟した。荒い呼吸や、よたよた歩けば尿が垂れ流しになってしまうところも、今まで何度もそういう死に目を見てきた、だから判る。
…今まで頑張ってきたね、今も相当辛いだろうなぁ、でもここまで頑張って生きてくれて、ありがとうな、りょう(^^)
こんな状態なのに、撫でるとゴロゴロ言って、甘えようとする。仕事ばっかりで一緒に暮らせず、たまにしか遊んでやれなかったのに、もっと遊んで、とせがんでいた若い頃のようにふらふらと自分の元にやってきて、膝の上に乗りたがる。よしよし、お前は元々遊びたがりの元気な子だったけど、仕事ばっかりで構ってやれなくてごめんな…
でも最初に見つけた時から、お前とは運命の出会いだったと思うし、高速を走る車内で箱から飛び出してドタバタ暴れて、でもしばらくすると膝の上で疲れて寝込んだお前とのドライブは楽しかった(^^)、そういえばお前は元カミさんとも会った事があったなぁ、お前も向うも、もう覚えてもいないだろうけど(苦笑)
やつれた毛並の背中をなでると背骨の突起がごつごつと感じられる。こんなになるまで痩せちゃったけど、前は丸々してたし、じゃらして遊ぶと疲れちゃうくらい元気に飛び回り遊んでもっと遊んで♪、とするお前はかわいかったよなぁ(^^)
色々な事を考えながら、まだ生きているりょうの背中をなでて最期になるだろう共に居る時間を過ごした。覚悟してりょうを膝から下ろし、これから起こるだろう事を両親に頼み、実家を出ようと玄関に来たら、りょうが背後からよたよたとその玄関まで出てきて、か細く鳴いた、まるで最期の別れを告げにきたかのよう…泣けた。ごめんな、一緒にいられなくて。
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現場に戻ってわずか数日後、実家からりょうが静かに息を引き取った、との連絡があった。
覚悟はしてたけど、やっぱり悲しい。でも僅かな時間ではあったけど一緒に生きられた事に対する感謝の方が大きい。本当にありがとうな、りょう(^^)。でも、出来る事なら、もっと一緒にいたかったなぁ。あれだけやんちゃな子だったから、もっと一緒に遊んで、一緒にご飯食って、一緒に寝て、一緒に生きたかったなぁ。
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