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2021.10.17

弔いは穢れじゃない

自分が現在住んでいる家は諸事情により購入するに至った中古の一軒家。

高齢のご婦人が老後の終の棲家とするために特化した注文住宅で、家族連れが住むには不便なつくりだけど、もう少し経つと老後生活の入り口が見えてくる中年男の道楽一人暮らしに十分対応可能なつくりなので、相当な値段だったけど個人的にはここを買えて、そして住めてよかったと思ってる。

なにせ老人一人暮らしに特化したバリアフリーの最新設計平屋注文住宅(築浅で耐震耐火等今の技術でやれることがほぼ全部入ってる)なんてまず世の中に無いし、自分では新築でこんなに思い切った作りの家はとてもじゃないけど建てられない。少なくとも自分がここで老人になったとしても、車いす生活になったとしても、リフォームする必要が全くない。だから初期費用は高かったけど、長い目で見ればお買い得だったと思う。

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この家を建てたおばあさんは長く共に暮らした愛犬とこの家で生活を始めたものの、短期間で愛犬を亡くし、一人暮らしになってから一気に足腰等身体が弱って1年未満で有料老人ホームに移られた、と言う話は購入時や、引っ越してきてから辺りに長く住んでる方から何度も話を聞いた。

そして、この家に越してきて早5年たった先日、最近初めて聞いた事があったので紹介しておく。

少し広めの敷地なので、こじんまりした庭がこの家にはある。その一角に、直径30cmくらいの、手のひら位の石を丸く並べた場所が引っ越してきた当初からあった。何だろう?。とは思ったけど、植木鉢でも置いてたのかな?くらいしか思ってなかった。でもつい最近、そこには先住のおばあさんの愛犬の遺骨が埋められてる、という話を近所のおばちゃん連中との家庭菜園井戸端会議で聞いた。その話しをしてくれたオバちゃんはその直後「しまった!」みたいな顔をして謝ってきた。なんでも、そういう話を引っ越してきたばかりの自分に話すと気分を悪くするんじゃないか?、と気にして話せなかったとのことだ。

…なんだ、そういう事でしたか、いえいえ全然気になりません。自分も子供の頃から飼ってた虫や動物が死んでしまうと泣きながら団地の片隅の土や実家の庭に埋めて埋葬してましたよ。それだけ前の方が大切に思われて埋められたのであれば、きっとその犬も成仏してるでしょうし、命が土に還るのは(それが焼かれて遺骨になった後であっても)正しい事だと思いますよ、自分はそういう考えの人なので、全然気にしませんよ、大丈夫です。

…という感じでその場で話した。取り繕いではなく本心からそう思うので、正直にね。

ちゃんと弔われている御霊なんだ、その犬はそれだけ飼い主に大切に想われていたということ。その気持ちも一緒にここに埋まっている。それを汚らわしいとかイヤだとか気味悪い、なんて思わない、むしろ命は土に還るべき。なのでその命が土に還って草木や虫やトカゲや鳥の命にこの庭が媒体となって襷渡しされるなら、それはいい事だと思う。その場所は庭の端で、かつ植わっている灌木の袂なので、自分がイモを植える場所からは数m離れているけど、例えば植えたイモがその命を引き継いで育ち、そのイモの命を自分が食って引き継がれるのだとすれば、汚らわしいのではなく、それは尊い事だと思うのだ。

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住まい・インテリア」カテゴリの記事

コメント

 中学の時、登校時に道の真ん中で冷たくなっている猫に出会いました。
 少し悩んで、道のわきに移動させました。(さらにひかれるのは忍びなかった) 
 下校時もそのままになっていたので、連れ帰って自宅の庭に埋めました。 単なる自己満足ですが。
 土に還る・・・ 自然な流れですよね。

投稿: 剣片喰(けんかたばみ) | 2021.10.24 09:16

剣片喰さん:

いつもコメントありがとうございます(^^)

その気持ちよくわかります。亡骸となってしまっていても、なんだか放っておけないんですよね。埋葬と言う行為は多分に残された側の気持ちの整理でもあるんですけど、命の輪廻という点でそれは正しく、人の心境と自然の摂理が一致している稀有な事例だと思います。

本文では遺骨、と書きましたが、後でよくよく話を聞いたら遺灰、でした。小型犬だったそうなので小さい骨壺だったんでしょうけど、それを持っていけなかった前の方の気持ちを自分が受け継ごうと思います(^^)

投稿: ino | 2021.11.03 22:39

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