2006.08.05

爆縮戦隊、小動物と戯る

それはニ週間前のことだった。例の現場出張の件で一本の電話が
入ったのだ。なんでも今回の仕事には、とある資格が必要なので
急きょそれを受験して欲しい、そのために必要な講習を来週には
必ず受けてね♪、というモノだった。

ちょっと待てや!、タイトなスケジュールを必死にやりくりして、
夏休みすら放棄し頑張ってるのに、突然そんな予定を突っ込まれ
たって、対応出来っこないじゃんかよ(T◇T)

だが、冷静になりその仕事の工程を逆算すると、確かに今回この
タイミングしかチャンスが無いのだ。ちっくしょう・・・いいよ、
やってやろうじゃんかよ(^^;)

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話さえ決まれば「動作クロック」が研究所の数倍はあるそっちの
連中の仕事は早い、なんと翌日には受講申込み完了の連絡が入り、
翌々日には必要な受講票やテキスト類が宅配便で届いた。もしや
とっくの昔に申込みは終わっていたんじゃないのか?(苦笑)

数日後、またも数ヶ月ぶりとなる耐圧防護服、じゃなかった背広
を着込んだ。…これさえ装着すれば、社会の底辺で生きる地蟲の
ような自分も、企業戦士、爆縮戦隊サラリーマンに変身するのだ!

てくてく歩いて駅まで出向いて、そこから地獄の人体圧搾装置、
爆縮点に向かって進行する通勤電車に乗り込んで、一路講習会の
会場を目指した。その目的地に到達するまでには実に電車を3本
乗り継がねばならない。

その電車が少しずつ中心に向かう度に、電車を乗り換える度に、
まるでラヴェルの「ボレロ」のように、自分の周りにはじわじわ
人が少しずつ、だが確実に増えて、どんどん密度が面白いように
高まってゆく。…うう、憂鬱だ(TT)

三本目に乗り換える電車は、日本国内でも有数の最高レベル車内
圧力をマークする、まさに「サラリーマン圧搾マシーン」と呼ぶ
のにふさわしい有名な路線だ。自分も過去にこの路線では何度も
痛い目にあっている。

だが自分がまたそれに乗るのは、そして誰もかれもがそれに乗り
たがるのにはちゃんと理由があって、そっち方面のビジネス街に
通勤する為にはこれがもっとも早い列車なのだ。その隣を走る、
同じ区間を走る他の列車に乗ると最低でも10分は到着が遅れる。
高々10分、されど10分、この僅かな時間を稼ぐためだけに、
その列車でサラリーマンは加圧されるのだ。

イナカモノの自分も、目も眩むような大都会に設けられた会場に
設定された時間までに到着するためにはそこそこ早く家を出ねば
ならない。だから「殺人列車」だと判っていても、それに乗って
稼げるその10分がとても貴重だったりするのだ。

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沢山の人が押し合いヘシ合いしているそのホームの上で技術立国
日本が世界に誇る殺人マシーンが到着するのを、死刑執行を待つ
死刑囚のような心境で脂汗を流しながら身動きせず待っていた。
・・・今思えば、恐らくこのタイミングだったんだと思う。

シルバーの車体に緑とオレンジのラインが入ってる、その列車が
ホームに滑り込んできて、そして地獄の扉が開いた。するとそこ
から内部で圧縮されていた人々が迸り落ち…て、こないぞ(^^;;)

今日は何らかの事情で空いていたらしい。夏休みだから学生君が
居ないのが原因なのかもしれない。お陰で乗り込んだその車内は
拍子抜けするほど人の密度が少なかった。とはいえ、その駅から
乗り込んだ乗客も沢山いたので、結局肩が回せない普通の路線の
ラッシュアワーくらいの人口密度はあった。

何にせよ、命が身体から無理矢理搾り出されちゃうほどではない。
助かった…どうせ次の駅では沢山の人が流れ込んでくるのだろう
けど今の所はラクラクだ(^^)

そうなると余裕が出てきて、視線を車内に回して、自分が掴まる
吊り革のあたりにあった醜悪なる週刊誌の吊り広告に気分を悪く
したり、窓の外に流れてゆく景色をぼーっと眺めたりしていた。
その後で、何げなく足元に視線を落とした。そこには想定外の
光景があった

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自分の靴の上に、大きい茶色の、とても立派なスズメガが一匹
掴まってて、そこで羽根をフルフルと小刻みに震わせていたのだ。

スズメガは三角翼の戦闘機のようなシャープな体形、大きく黒い
円らな瞳が印象的なとても可愛い蛾だ(^^)。
だが実はあまりに種類が多すぎ、自分も遭遇した奴の正式名が
判断出来ない。まあこの中のどれか、と思ってくれぃ。

陽光の下を煌びやかに舞う美しさの化身のような蝶に対して常に
日陰者のイメージが付きまとう「蛾」はイメージは良くないけど、
実は蝶と比べても何ら引けを取らない美しい虫だ。

全てが人間の害となるチャドクガのような奴は論外だが、例えば
うっとりするような美しさと優雅さを併せ持つオオミズオアオや
誰もが蛾だとは思わないオオスカシバは、自分のお気に入りの蛾
だけど、他にも並みの蝶を蹴散らす程に美しくて可愛い蛾は沢山
いるのさ(^◇^)/

しかし、そんな蛾が、何でサラリーマンと一緒になって朝の通勤
電車に乗ってるんだ?…お前、いつのまにオレの足に(^^;)?
                  ↑
 そう、あの駅でこの列車を待っていた時だ、それしかない。

自分は公私共に認める生き物大好き♪中年男だし、相当珍しいで
あろう、そのシチュエーションをせっかくだからデジカメで記録
しておこうかな?、と思ったのだが、通勤電車の人込みの真中で
足元に向けてフラッシュを焚いたらOLのスカートの下を盗撮する
不届き者だと勘違いされて、鉄道警察に突き出されかねないので
断念。よって今回、画像は無しだ(^^;)<ばき!

しかし、冷静に考えるとコイツはものすごく運が悪くて、そして
運が良いな。野に生きる小生物が、まず生きて出られないような
この環境にこいつが飛び込んでしまったのは、この上ない不幸で
あるだろう。だが、その中に数多く立ち並ぶ足の中で取り付いた
その足が偶然とはいえ、生き物大好き♪蛾も大好き♪、な自分で
あったのだから。

普通の人だったら、気持ち悪がって振り払われて、踏み潰されて
しまったに違いない。「不幸中の幸い」だったな(^^ゞ<ばき

だけどココがコイツがいるべき場所ではなくて、冷酷無比な満員
電車の中である事実は変わらない、つまり未だに絶体絶命である
事に変わりはないのだ。もし自分の足から離れたらコイツの命は
この列車内で終わってしまう。

そう思うと、足元で丸く黒い瞳で自分を見上げて小刻みに羽根を
フルフルしているこいつが、まるで自分に助けを求めて縋ってる
ように見えて仕方が無かった。事実この列車に乗っている人間で
コイツの命運を心配して、しかもコイツを助けられる人間は自分
以外いないだろう…

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一見した所、触覚が小さいので、多分メスだろう、よって以後は
コイツを「彼女」と記す。

その場でしゃがめれば彼女を手に取り、軽く握った手の平の中に
保護して降りる駅まで連れて行く事は可能だろう。でも空いてる
とはいえここは満員の通勤電車の中だ、そんなことは出来ない。

とりあえず、まず彼女が足の上から落ちないようにそっとそっと、
足を動かして、他人の靴先で踏まれたり潰されたりしないように
微妙に体制を変えた。そして、足を持ち上げて微妙に動かす事で
靴の甲の上につかまっていた、彼女が飛び降りないように注意し
つつ、左足のインサイド側に誘導することに成功した(^^)

足元をずっと見つめて必死になって無言で何かをやってる自分を
周りのサラリーマンはいぶかしげに見ていた。何せ、足元の蛾の
存在など知る由もないし、そんな虫ケラの事など気にも止めまい。

だが自分は両足の間で彼女を保護しながら、このあとどうやれば
良いのかを考えた。このまま目的地の駅まで行ってもいいのだが、
降りる時にはどうしても自分も歩かねばならないから、その時に
彼女が落ちる可能性がある。そういう状態になったら救い上げる
事は不可能だ。

と、すると、降りる前にどうにかして足元の彼女を保護しなけれ
ばならない。うーん、どうしようか、と迷っていたら、人体圧搾
マシーンは次の駅に着いた。この駅では若干の人が降り、多数の
人が乗ってくる。…そうなるともう身動きが取れなくなる。

この時、意を決した。このタイミングでどうにかしよう、と。

マシーンが停止し、ドアが開いた。周りで数人の人間が降車して、
一瞬空間が出来た。そのタイミングを突いてすばやくしゃがんで
彼女をそっと右手で包み、曲げた指先の上に掴まらせた。そして
そのまま軽く握りこんで、彼女を手中に収めた。

自分の近くにいた若いOLは、一連の自分の行動に気付いたようで
まるで自分が素手で汚物を拾い上げたかのような、蔑んだ視線で
自分を睨んだ。

…あのなぁ、ねーちゃんよ、この手の中にいるのはアンタと同じ、
命あるモノなんだぞ。アンタが自分をどう思おうが勝手だけどな、
もし今アンタが死にかけたらオレに助けられるのならばアンタを
助けるよ。それと同じように、オレは「彼女」を救えたんだから
助けた。ただそれだけなんだぞ。それが判らないのか?

…無理か、アンタにはは理解できんよな、悪かった(^^)

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彼女は最初こそ自分の手の中で最初羽根をパタパタ震わせてたが、
諦めたのか、それとも落ち着いたのか、すぐに大人しくなった。

無事保護出来たものの、「ボレロ」的にクライマックスに近付き
つつある車内圧力はその駅からやっぱり脂汗を流すくらい上昇し
本来なら嵐に抗う船舶の錨となりうるつり革に掴まる事が出来ず
奔流に流されるまま圧迫され放題となった、うう苦しいぃ(-◇-;)

だが、手の平の中からたまに伝わる命あるものの感触が、どんな
シチュエーションよりも人と人とが触れ合っているのに無機質で
他人行儀な通勤電車の不毛な雰囲気を和らげてくれた。

電車はいつもの環状路線への乗り継ぎ駅に到達、いつものように
車内圧力が低下した。本来だと降りる駅じゃないけど自分もその
奔流に乗って車外に流れ出た。当然彼女を解き放つためだ。

すぐ近くにあった植え込みの所まで行き、そこの根元にそっと
彼女を放った。ここでも彼女は長く生きられないかもしれない。
でも、自分がしてやれるのはここまでだ。後は自分で生きろ(^^)

おっと、乗り遅れる!あわてて列車に戻った。

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どっと出た汗をぬぐおうとハンカチを取り出したら、右手には
彼女の燐粉がちょっとだけ付いて残っていた。ハンカチで拭けば
すぐ落ちるこれ、さっきのねーちゃんからみたらウス汚いモノ、
なんだろうな。でも同じ汚れならば、そんなねーちゃんと仮に
触れ合って移る人工的な顔料のファンデーションや濃い口紅、
臭い香水よりも、こっちの方がマシだな(^^)<ばき

 

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2005.11.09

爆縮戦隊、ダイソーに救われる

平和な時は敷地の裏庭で昼飯となるサツマイモを育てつつ、自分なりの
ペースで研究所で働くバツイチ中年サラリーマンな自分の平和な日常は
年に数回突然乱れ(=社用)、それを守るために着慣れぬ戦闘服(=背広)を
着込み日常と掛け離れた戦場たる爆縮空間(=通勤電車)に命がけで突入!
そしてそこで発生するブラックホール級の加圧の中で闘う。

自分だけでなく、そんな『人体圧搾装置』で闘う全ての勤め人らを、
人は「爆縮戦隊サラリーマン」と呼ぶのだ。

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デイリー戦士ではない、パートタイム爆縮戦士である自分への出動指令
は通常は戦闘日の数日前に発令される。

だから自分はそれに応じて戦闘準備をすればよく、常時臨戦体制を取る
事は無い。だが迫り来る恐るべき敵(仕事)はそんな自分に都合よく襲撃
してはこない。たまに突発的で、しかもマズいタイミングでその戦闘を
仕掛けられる事がある。

爆縮戦隊員はそれと闘う事で毎月のサラリーを得て生きるという宿命を
背負っているので、「あ、ボクちょっと都合が悪いんでパスっす」と
とりあえず逃れる事は出来ない事は無いが、それをやると査定に響いて
ボーナスサラリーが下がるので、決してやってはならない、タブーだ。

何が何でも闘わねばならない(仕事がある)時には闘う(仕事をする)のだ。
疲れ、薄汚れ、裏寂れ、加齢臭漂う我らは、そう見えてもプロだから。

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ある日の夜、残業してその日の仕事をやっと片付け、夕飯となる焼き
イモを給湯室のレンジでちゃっかり焼き上げ、さあそれを持って帰ろう、
としてた自分に突然予想していなかった戦闘指令が出た。

 上司:「おぅino、明日な、例の件で朝イチで○×△に行ってくれや」
 ino :「突然ですねぇ、でもスケジュールは空いてるんで大丈夫です」
 上司:「◇▼関係だから、くれぐれも失礼の無いようにしろよな」
 ino :「判ってますって、ヘマしたら明後日頭丸めて出社しますよ
 上司:「他の奴はともかくお前は意味ねぇだろ、いいな!頼んだぞ」

よーし、明日は久々に爆縮空間か、最近一日二食はサツマイモばっかり
食ってるから、電車内でギュウギュウ加圧されたら安全弁が開放されて
ガスが放出されちゃうかもな<ばき

その時はこんな風に気楽に考えていた。

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自宅に帰り着き、水道水と焼きイモという今の自分の生活に見合った
豪勢なディナーに舌鼓を打ち、その後で明日の出張の準備を始めた。

そこで重大な事に気が付いた。あれ?ワイシャツの在庫が無いぞ!

し、しまった!最近はすっかりそっちの世界から遠ざかっていたから
夏に使ってからクリーニングに出すのすっかり忘れてた!<ばき

さすがにヨレヨレの使用済みワイシャツをそのまま着ては行けない。
アイロンをかけても、大汗かいてそれが乾いた状態のそれはやっぱり
ダメだ。フo○リー○かけまくったって、所詮は一時凌ぎに過ぎない、
一日は持たない、いや、そういう問題じゃない。

しかも、もう新しいワイシャツを調達しに行くには遅過ぎる時間だ。
…となると、どうしたらいい、あぁ、どうしたらいいんだ<(T◇T)>!

いっそ作業服で行っちまうか:-p?と、とんでもない事を考えたりも
したが、何せ◇▼関係だから、きちっとしてないと失礼にあたる。
悩んでいても仕方が無いので何かが臨機応変に繋がるかもしれない、
と近所の各種店舗が集まってる複合施設に行く。閉店まであと20分!

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生鮮食料品を扱うスーパーは魅力的な見切り食材が沢山あるだろうが
今はそれを物色している暇はない。隣のワークショップは軍手や足袋、
ニッカポッカやツナギ、つまりブルーカラー用戦闘服は沢山あったが
ホワイトカラー用のものは無い。あちゃー、もうダメか・・

仕方が無いのでダイソーに駆け込んだ。仕上がりに自信が無いのだが、
こうなったら手洗いするしかないので、それ用の素材を買わねば…。
スプレー、ブリーチ、その他を買い物カゴに投げ込み、閉店間際の
レジを目指した。ふと、衣類品関係のコーナーがあったのでそちらに
寄り道してみた。すると!なんと!ワイシャツみたいな物が
そこに売ってる
じゃないか!

商品名は「カッターシャツ」、売価は315円也。

よし、コレで行こう!心を決めて他の商品を棚に戻し、自分の身体に
適合しそうなサイズのそのシャツを手にレジに向かい購入。その日は
自分が最後の客だった。

ビジネスという真剣勝負の場にダイソー製品を着て行くのも何だけど、
少なくとも変色して異臭を放ちかねない使用済みワイシャツを化学的
再処理して着るよりマシだろう。品質は期待してないが、とりあえず
明日一日持てばそれでいい。暑い時期ならともかく、今の季節ならば
上着を脱がなくてもどうにかなるから、ボロくてもどうにかなる!

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帰宅後恐る恐るそのパッケージを開けてみた。お子様パーティー用を
間違って買ってしまったら最悪だったがそんな事は無く、ちゃんとした
シャツのように見える。縫製や布質も値段から考えれば立派なもんだ。

着てみた。襟の先端の角度が微妙に広いような気がするが、まあ気に
するのは自分だけで周りは気にも留めないだろう。ボタンもいきなり
モゲたりしなくてちゃんと留め外しが出来る。

ネクタイを装着してみた。すると左右の襟の高さが微妙にズレた(^^;)
というより一番上のボタンの位置が悪いのか、襟の型が歪んでいるの
か、微妙に左右均等になってないのだ。でもコレも他の人にしたら
「そう言われればそうかな?」というレベルだな、学会発表のように
壇上でスポットライトを浴びつつ多数の人の前に立ってファッション
チェックされるわけじゃないから、ネクタイの締め方をどうにか工夫
してやればどうとでも誤魔化せる。

繰り返すようだが、明日一日だけどうにか凌げればいいのだ<ばき

一応事前のチェックはOKだった。細かい所では気になる所はあるけど
それでもコレを315円で売れるんだから、逆に大した対したもんだ(^^)
明日の爆縮装置内で加圧され一発で破損しなければ、だけどさ。

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翌日、そのダイソーシャツを着て爆縮戦士に変身した自分は人体圧搾
マシーンに乗った。車内圧はいつもと変わらず、骨が軋み、肉が拉げ、
揺れる度に顔から汗と、肺からうめき声が内圧に耐えかねて意図せず
勝手に漏れるという最悪の状況だった。

まるで個々に存在する自我を有す人と人が、衣装や皮膚という境界を
超越して融合し、同一化して巨大生命体となり生き続ける為の言わば
「人体融合」するための臨界点に達しようと繰り広げる、一種の宗教
儀式なんじゃないのかとまで思えるその殺人的圧力の中、自分は見た。

そこにはその圧力に無駄に抗って体力を奪われてゆく人や、まるで
深海の熱水帯で硫化水素を食って生きているチューブワームのように
すっかり環境に適応しその殺人圧力下でも普通に涼しい顔して文庫本
や新聞を読む人、もはや昇天脱魂寸前のような恍惚の表情を浮かべて
目を閉じ、立ったまま寝てるか意識を失っているのかよく分からない
乾いた老人、大人の腰から下は意外に圧力が低いのでまるでイソギン
チャクの触手の中で身を守るクマノミのように乱立している足の隙間に
潜り込んでいる私学に通ってるらしい制服を着た小学生…、多種多様
な生物達がこんな苛烈な状況の中でちゃんと生存しているのを。

つくづく、生物って偉大だねぇ<ばき

自分はドアのあたりで、目の前に居る小柄なねーちゃんを自分の身体
で押し潰すまいと、右腕を伸ばして突っ張って安全空間を作っていた
ので、いつもより余計な過重を受けていた。もはや消耗し野垂れ死ぬ
のを待つだけの無駄な存在である自分と違って、こういうねーちゃん
にはこれから幸せに生きる権利と、輝ける未来があるのだ。ただ死に
行くモノとして、せめてそれくらいは守ってやらなきゃなるめぇ(^^)

それに直にオシクラマンジュウ状態になると、その気も、そんな行動
しなくても、キムタク風なら喜ばれても、ハゲかけた中年男じゃ痴漢
呼ばわりされるだけだ。残念ながら女ってのはそういう生き物だから。

つまり、ねーちゃんを守りつつ、実は自分自身を守ってる訳だ<ばき

ある意味、究極のアイソメトリックトレーニングをずっとそのままで
続け、体力の限界を迎えようとしていた頃に「高圧人体プレス機」が
やっと某駅に到着してブリード弁たるドアが開き、車内圧力が急速に
低下した。助かった…ふぅ。

目の前の小柄なねーちゃんもその駅で降りた。
名も知らぬ「戦友」よ、お疲れさん、頑張れよ(^^)

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現地で仕事をこなし、帰りも朝程では無いがそこそこの圧搾作用を
受ける込み具合の列車に乗り、家路についた。電車を三本程乗り
継いでようやく帰宅!。あーくたびれた(-o-;)

武装解除して、ダイソーシャツを見てみたところ、特に異常らしい
異常は見当たらなかった。強いて言えば襟あし辺りがチョイ型崩れ
してる気もするが、こんなのはアイロン一発でどうにでもなるだろ。
これならば安いからと使い捨てせずに、あと一回くらいは使っても
大丈夫そうだ。

値段が値段なんでクリーニングに出すのも何だから、実験台として
自宅の洗濯機で洗ってみて、無事だったらアイロンかけてもう一度
使ってみよう(^^)

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いつもは「素材」を求めに行くダイソーだけど、付加価値をつけて
単価を105円から210円〜1050円程に設定した商品を最近は良く
見かける。

中には明らかに単なる値上げだろソレって言うものものあるし、
そんな値段だったらホームセンターで買った方が安いよ、というモノ
もあることは確かだ。だが例えば値段を上げる事で今まで105円では
出来なかった商品が出せて、より便利になったのも事実だ。

今回は偶然その恩恵に預かる事が出来た。まさかあの百均屋ダイソー
で、ワイシャツらしき服を調達できるとは夢にも思ってなかった。
今回は正直、ダイソーに助けてもらったな。いや〜感謝感謝(^◇^ゞ

後日近所の普通のホームセンターに言ったら、紳士物ワイシャツが
特価780円均一でワゴンに乗っていた。そっちの方が柄物やサイズも
豊富で、しかも質は高そうだった。でもダイソー商品は値段なりの
品質があればそれで十分。同じ質である必要は無い
のさ:-p

 

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2005.05.31

縦方向に圧縮?される爆縮戦隊

いつもはダラダラした私服にデーバッグを背負い、まるで中年ニートのような
スタイルで郊外の某研究所に通う自分は、こう見えても一応はサラリーマンだ。

ナレーター:サラリーマン、それは家庭ではうらぶれた中年男だが、その実態は
      毎朝革靴と背広とワイシャツ、そしてネクタイを締めて仮装武装し
      過酷な通勤経路に闘いを挑む勤め人!ブラックホール級の超高圧空間で
      死闘を繰り広げる勇者!人々はそんな彼らを「爆縮戦隊」と呼ぶのだっ!

・・・といちいち説明するのも面倒なので詳細は過去の記述を見てくれ<ばき

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ここ最近、我が研究所の所轄は平和だったようで、爆縮戦隊への変身を伴う
出動命令は無かった。おかげでのんびりと昼休みにドカヘルを被って研究所の
裏庭を開墾し、代用食のサツマイモの苗の育成に励む事が出来た(^◇^)。

imonae

だが、昨夜、戦隊チーフ課長から緊急指令が発動された。

 隊長:「ぁやしぃ怪人が町で暴れている、西へ飛べ!」

じゃなくて

 課長:「ino、明日あの現場の***の打ち合わせな、お前も行ってくれや」


主戦場は某現場の所轄の某署。そこで許認可に関する説明を別動隊がするので
それのサポートをしてやって欲しい、との事。なんでもそのチームには
甲種危険物取扱の有資格者が居ないので、部外者だけどそれを持ってる自分に
白羽の矢ならぬキャッチャーボートから打ち出された銛が突き刺さったらしい。

 ino :「ラジャー!ボス!!」

じゃなくて、

 ino :「ええっとスケジュールは、と・・空いてます。あ、資料貰えますか?」

・・・何かシマらないなぁ(^^;)

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肉体労働系の現場であれば、いつもの格好に作業服と安全靴とドカヘルを詰めた
ドラムバッグを背負って行くのだが、今回はカタ〜いお役所対応だ。だから着慣れぬ
戦闘服、つまり背広の着用が必須だ。無精髭も剃った。
しかしまぁ、先月ふと思い立って梅雨入り前に背広一式をクリーニングに出して
良かった、あやうく着るものが無い所だったよ(^^;)<ばき

珍しくプレスの効いたワイシャツと背広、そして気道を圧迫することで
吸気量を絞り、人間本来のパワーを抑制するリストラクター替わりの
ネクタイを装着する。うぅ、息苦しい、だがこれが我らのレギュレーション、
誰もがこの不自由なイコールコンディションで闘う、これが爆縮戦士の宿命。

これまた通気性の殆どなく接地面に溝が殆ど切られていない非人間工学を結集して
作られた革靴を履き、片手の自由を完全に奪う手提げ通勤カバンを持って出発した。
でも、長距離出張なら、新幹線での移動だから、ラクチンチン♪、だぜぃ(^〜^)。

この時までは、そう思っていた。

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遠方の現地の待ち合わせから逆算すると比較的早い時間に新幹線に乗る必要がある。

だからそこそこ早い通勤電車に乗った。そこは闘いが始まる前の、のどかな雰囲気が
漂っていた。よもや2時間後、ここが殺人圧縮空間に変わるとは想像出来ないほど
のんびりまったりとした車内だった。いつもがこんななら、爆縮戦士達は苦しまずに
すむのにな。

新幹線の乗り継ぎ駅でやってきて、ミドリの窓口で新幹線の切符を手配する。
すると、なんとまぁ!殆どの指定席が埋まっていてはると言うやおまへんか!
唯一空いているのは某ヒカリ号の喫煙車のみだという。

おい、JR東海、俺を「毒ガス薫蒸室」に閉じ込めて殺す気かっ(T◇T)!

道中ずっと誰かのタバコの煙を強制的に吸わされ続けるくらいなら、
ドライウェルの中でPLR配管に同じ時間抱きついて被曝する方がマシだ。
やむなく自由席の切符を買った。燻されて全身タバコ臭くなるくらいなら、
最悪ずっとデッキで立ってる方が数百倍はマシだ、あわよくば座れるだろうし。

だが世の中そんなに甘くない。指定席が埋まってるくらいだから、自由席も当然
相当混んでいて結局本当に立ったまま新幹線に乗り続けるハメになった(^^;;;)
いや、厳密に言うと自由席はちょっと空いてはいたのだが、自分の後ろに並んだ
子連れ夫婦を一箇所にまとめて座らせるために譲ったのだ。

小さい子供を連れて移動する大変さは自分は経験無いけど身内を見てればわかるから。

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通勤電車で爆縮戦士に加わるのは横方向からの強烈で動的な加圧力だが、
ずっとデッキで立ちっぱなし、というのは縦方向に常に一定にかかる静的な加重、
つまり重力(=自重)と闘わねばならない。短時間ならさほど気にならないそれも
一時間を越えてくるとさすがに辛くなってくる。

これがイマドキの若者だったら床に直接ベタベタ座ってしまうんだろうけど
さすがに中年世代の爆縮戦隊員はそんなことは出来ない。ただ流れる景色を
観ながら軽く揺れるデッキで立ち続けるしかないのだ。うう、きつい。

立ちっぱなしのまま、カバンから今日の打合せの資料を取りだし、内容を
頭に叩き込んで行く。ふと回りを見ると、ノートPCを立ったまま使ってる
ツワモノの同志もいた。…辛いのは、自分だけじゃないよね(^^)。

ナレーター:通勤圧縮地獄と、毒ガス薫蒸地獄、それを逃れた爆縮戦隊を
      待ち構えていたのは長距離立ち地獄!、奪われる体力と気力!
      ああっ!どうする爆縮戦隊?現地で待ち構える敵は手強いぞ!

      「爆縮戦隊サラリーマン!」、次回は「毒ガス充満会議でFireァ!」
      良い子のみんな、闘うおぢさんたちを、応援してくれよな(^^)b<ばき!

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新幹線が目的地の最寄りの駅に着いたときにはさすがに草臥れた(^^;)
昔は青春18切符でこんな長旅も出来たのに「青春36切符」では身体がネを上げる。
でも「タバコ毒ガス薫蒸室」に密閉されるくらいなら、こっちのほうが
身体を使った健康的な闘いだったから、結果オーライとしよう。

かのように、爆縮戦隊にとってオアシスたる出張で使う新幹線でも
場合によってはバトルフィールドと化す事もある。でもそれは仕方ない。
だって我々爆縮戦士は、遊んでるわけじゃない、誰もが闘っているのだ、

えっ?何のためにかって? 当然「生きるため」・・・さ(^^)

 

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2005.03.18

手負イノ爆縮戦士、カク戦エリ

ある日、残業で快調に仕事をこなし帰宅する寸前、課長に呼び止められた。

 課長:「ino、明日本社で行われる会議に、お前も出てくれ。」

突然ではあるがサラリーマンである以上上長の業務命令には逆らえない。

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翌朝、着慣れぬ背広(≒戦闘服)をひっぱりだし、苦手なネクタイを締めて、
爆縮戦士に変身した。中身はガタガタだが、戦闘服の上からは分からない。
そうさ、こうなった以上、俺は戦〜士♪(by ダンバインOP)

だが普段は私服や作業服で通勤している自分がこんな着慣れないものを
着込んでいるのを近所に知られると少し照れくさいのと、春の陽光が
少し眩しかったので、「謎の中国人変身メガネ」も装着して駅に向かった。

kaokao

こうやって変装しとけば近所の人に怪しい奴とは思われまい、しめしめ。

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最寄の駅から圧縮される方向へ向けて列車に乗った。住んでいる路線では、
人と人が当たるほど混むことはないが、そこから横浜方向に行く別の私鉄では、
最初はいいが、最後はかなり混んでくる。だが始発駅から終着駅に行くので、
列車を1〜2本やり過ごせば必ず座れる。

そういう姑息な手段生き残るための高等戦術を駆使するのは、サラリーマン
処世術の一つだ。実はこれ以上肋骨で痛い思いをしないために必要以上に
早い時間に家を出ていたのだ。

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…大都会横浜に着いた。横浜駅は郊外に住む自分からすると実に巨大だ。
そこで爆縮臨界点である東京方向に向けJRに乗り換えるのだ。京急でもいいけど。
その方向に走る列車は3本あるが、自分が行く駅に止まるのは東海道本線と
京浜東北線の2本。東海道本線は国内屈指の最高クラスの車内圧力を誇る、
いわば殺人路線だ。それに対し京浜東北線は鈍行なので、乗る車両を選べば
東海道に比べれば車内圧力は低い。

肋骨ヒビ入りの傷病兵である自分が東海道線に乗るのは自殺行為なので
遅い低圧の京浜東北線に乗るつもりだった。なにせ時間はたっぷりあるのだ。

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横浜駅のJR切符売り場についた頃に、携帯が鳴った。・・・課長からだ。

 課長:「ino、今どこにいる?横浜あたりだろ?」
 ino :「さすがですね、ちょうどそのあたりにいます。」
 課長:「悪いが会議の資料合わせするから*時前に着くように来てくれ」

その時間に本社に行くためには、鈍行の京浜東北線では絶対間に合わない。
悲しいかな殺人圧縮列車ならぎりぎり間に合う。課長はそれを見越していた。

今回の怪我も結局私的な自分の責任だ、だから公な仕事で言い訳に使えない。
たとえそれが、自分にとってダメージであると分かっていても。

 ino :「…了解です、東海道に乗れば間に合いますので行きます」

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東海道本線のホームにはすでに人が通り抜けられないほどあふれていた。
恐ろしいことに、コレだけの人が、満員で到着した列車に乗り込むのだ。
無論横浜で降りる人もいるからそのまま詰め込まれるわけではないが。

平日の朝の東京近辺の東海道本線は現代社会の『親知らず子知らず』だ。
大袈裟に極論すれば、母親が不用意に小さい子供を背負って乗り込んだら、
その親は自分を守るのが精一杯で背中の子供が車内圧で圧死するのを
守りきれないかもしれない・・・と言うほどに、実に恐ろしい世界だ。

健康な大人ですらそこで肋骨を折ったり、ウォークマンが圧壊した、と
言う話もちらほら聞く。そんな所にすで肋骨に亀裂が入ってる自分が
突入したらどうなる?ミシン目の入ったトイレットペーパーのように
そこからボッキリ行くんじゃないだろうか?ぶぢでは済むまい(-◇-;)。

・・・ああ、どうせ圧死するなら、その前に一度今は「無き」元カミさんに
会いたかったなぁ、などと考えつつホームに入ってくる列車を呆然と眺めた。

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ドアが開き、人が降り、その後気合を入れて乗り込ん、いや、後ろから
一気に車内に押し込まれた。

そこは以前体験したのと同じ予想通りの超高圧空間だった。
あらかじめ胸ポケットから携帯電話、内ポケットから手帳と筆記用具を
出しておいたので、圧搾されていている最中でも胸部の患部には
ダイレクトに物は当たらない。

乗り込んでドアが閉まった直後の車内は瞬間的に圧力が高まるが、
そのうち砂を入れた容器をトントン叩くと上手いこと詰まって減容するように、
車内圧が少し減る。そんな状態でとあるカーブを抜けた時、密着していた
車内の人の界面に若干の隙間が出来た。

そして少し人の配置に変化を生じ、自分の左前方にいた同世代のOLらしき
女性が自分の左脇についた途端に左胸に突然激痛が走った!

よりによってその女性はバッグを胸元で抱えて両手を上げていたのだ。
喩えるならばボクシングのファイティングポーズ、のようなガード体制だ。
その肘が、自分の左胸横に当たっているのだ。痛い痛い痛い(T◇T)!

逃げたくても満員電車の中では身動きは取れず逃げられない。
男女の立場が逆なら間違いなく痴漢行為であるその肘で、列車が揺れる度に
ヒビった患部をピンポイントアタックされ、思わず出そうなうめき声を堪えた。

残念ながら満員電車の車内という仁義無き状況ではその女性に文句は
言えない。それに彼女も彼女なりの理由でそのポーズでこの爆縮装置内で
圧力に必死に耐えている、同じ戦場に立ついわば戦友なのだ。

そもそも今の自分の痛みは彼女のせいではなく、怪我したマヌケな自分が、
乗ればこうなると分かっていてこの空間に飛び込んだ、つまり自己責任だ。
・・・ただ出来れば右腕だけは下ろしてぇ、痛いからさぁ(T◇T)

結局十数分間、胸を肘で触られ(=どつかれ)続けたが、さすがに耐えられず
次の停車駅で人の流れに乗って一旦降りて、再び車内での立ち位置を変えた。
これが本当の「Re-structure」、つまりリストラだぜぃ、と親父ギャグ級の
下らん事を再び乗り込んでくる人々に強制圧縮されながら思ったりしつつ、
さらに高まる圧力に歯を食いしばり必死で耐え続けた。

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こめかみの血管が切れる寸前に某駅に着く事で車内圧が下がり、自分は
かろうじて生き残った。目的の駅でドアから人波に翻弄され排出されて
シャバの空気を吸った時には、深呼吸しただけでぎりぎり痛くなるほどに
肋骨のダメージが増大していた。

ま、ぼっきり折れて、肺に刺さって血へど吐くよりはマシだったぜ、と思い、
セカセカ歩く人の流れに乗って、殆ど来ないのであまり実感のない本社に入る。
小綺麗なオフィスに入ってふと思う。…オレって本当にここの社員なんか(^^;)?

現場で見る他の社員はみんな作業服だし、自分も研究所では作業服なので
社員全員が背広を着てるこういうオフィスが、自分の会社だ、と言う実感が
イマイチ持てないのだ(苦笑)

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2004.11.20

圧縮されない爆縮戦隊

以前UPした通り、自分はサラリーマンでありながら背広が苦手で、
ネクタイが大嫌いなスチャラカなサラリーマンだ。

まあこんなヘアスタイルでは背広を着ても似合わないというのも
あるし(まるでブレザーが制服の中学校の野球部員のようなルック
になってまう)あまり意味の無い拘束具(=ネクタイ)を締めてまで
仕事をしたくない。でも本音は電車男の最初の頃のようにファッ
ションに無関心で「モテナイ君」なブサイク中年男ゆえこういう
格好をするのに慣れてない、ってのが正解かな。

普段は私服でこっそりバイクに乗って出勤し、作業服に着替えて
研究開発をしてる気軽なワークスタイルだから余計にそう思うの
かもしれないがやっぱりネクタイは息苦しいし、ブラプラしてる
だけで機能性が皆無、そんなものは付けたくない。これがせめて
額の汗を拭くハンカチとか液晶画面拭きとかならいいのに<ばき

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…ではあるが、仕事の都合でどうしてもそういう「仮装」をせねば
ならない時もある。この日もその諸般の事情で名古屋近辺の某食品
メーカーの、某工場に行かねばならなかった。ここ一週間で自分が
取り組んできたサンプルの分析結果を持って、営業サイドが新たな
事業展開の商談をするのにあたって、開発担当技術者として同行を
求められたのだ。

技術者として作業するのであれば正装たる作業服で行きたい所だが、
この日は下見と今後の作業の段取り調査するためあちらの担当者と
初めて会い打合わせをするので礼を失した姿で行くわけに行かない。
仕方ないので前日に背広を引っ張り出した。

実は以前のアレ以来、ネクタイを締めるのは2度目。7月に通夜に
出るために礼服を着て黒ネクタイを締めただけでその前後は一度も
ネクタイを締めていない。だから爆縮戦隊として「戦闘服」を着用
するのは実に半年ぶりになる。

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…久々に出した背広は防虫剤の匂いまみれ&ヨレヨレだった(^^;)
吊してスチームアイロンで蒸して脱臭&ヨレ対策をした。

…ああっ!、洗濯済みのワイシャツが一枚も無いじゃんか(T◇T)!、
ちゅーことはしかたないので以前のをそのまま着るしかない<ばき
襟が汚れて少し色が付いてるような気がしたのでブリーチ剤を希釈
して古歯ブラシでチョンチョンと付けて脱色(^^;)
吊してファ○リーズを噴霧し、スチームを当て、その後アイロン。
するとアラ不思議、クリーニング後のような仕上がりに♪<ばき

十数本しか持ってないネクタイ(殆どが親と兄貴からのお下がり)も
低温でアイロンをあててしゃっきりさせる。

…うーむ、アイロンって単純だけど偉大だな。自分がもしカタギの
サラリーマンなら使用頻度がもっと高い家電製品なんだろうけど、
自分は雑誌をバラしたりワッペンをバイク用ジャケットに溶着させ
るのにしか使っていないんだよね。

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そんな濃紺の十数年前のリクルートスーツと、結婚生活時に元義父
さんから貰った自分的にとても大事なコートを着て、艶が無くなり
かけた革靴を履いて駅へ向かう。そうそう、元義父さんについては
思う所があるのでまた後日改めて書こう。

新幹線に乗る駅までは都心方向に向かうので危険な「爆縮」傾向に
あるのだがさすがに都心と違い圧縮限界を越え臨界に達するような
車内圧には達していない。

新幹線に乗る駅に到着し、切符を買い、自分が乗る列車をホームで
待つ。ホームを通過する新幹線の速度がハンパじゃないな、生理的
恐怖を感じる。

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乗った新幹線はのぞみ177号、席は禁煙指定席の6号5列のC。

タバコの煙でアレルギーに近い症状が出る(気管支が腫れてゼィゼィ、
って呼気音になる)自分は薫蒸室たる喫煙車には乗れない。それなら
デッキで立ち乗りするほうがマシだ。早く新幹線の全面禁煙化と、
ついでにブータンのように国内タバコ非合法化を切に願う。タバコ
税が無くなったら財政が大変!というのならば、消費税や所得税が
上がってもいい。生きるのに快適な環境が得られるのならば身銭を
切るのはちっとも惜しくない。

新幹線の中で持参した今日の打ち合わせの情報に目を通して頭中に
叩き込む。戦闘員たるサラリーマンにとって新幹線の中も「戦場」、
つまり職場だ。物見遊山に行くわけじゃない、移動している時間も
会社は自分に給料を支払っている。ならばそれに見合った仕事を
しなければ給料ドロボーだ。

…と周りを見回すと、他の「戦闘員」は寝てるかマンガ読んでるの
ばっかり(^^;)

まあ人は人、自分は自分だ。自分の信念はそんな中でも揺らがない。
名古屋駅で降り、今回の仕事の同行者たちと落ち合い、現場に行く。

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…無事に名古屋での仕事を終えて、駅で同行者と別れた。

新幹線の切符売り場は長蛇の列だった、ここ一時間以内の指定席が
埋まったと構内アナウンスがされている。自分は昼飯を食ってない
事もありゆっくりとメシが食いたかったので一時間半後のこだまの
禁煙指定席をget

名古屋駅近辺をうろつき、駅構内東側半地下にあるレストラン通り
で一番端にあるとんかつ屋に入り、名古屋らしいジャンボ味噌カツ
定食を発注。

misokatu

1370円でご飯と千キャベツが食い放題♪遠慮無く両方お代わり♪

ここの女性店員が自分の好きなaikoにそっくり!一瞬本人かと思う
ほどに(^^;)。会計の時に「似てるって言われない?」と聞いたら
やっぱりよく言われるらしくて照れまくりながらも喜んでくれた。
…か、かわいいじゃん(*^^*)<ばき

かわいいコに出会えてしゃべれるとうれしいな♪たのしいなぁ♪
ハッ!これじゃ本当にヱロ中年オヤヂそのものじゃん、_| ̄|○
でもそっか、キャバクラに男が行くのはこういう楽しさを求めてる
からかもね。自分はわざわざ金を払って「営業トーク」したいとは
全然思わないけどな。

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ホームに入りKioskで青柳うぃろうを自分に対する土産(泣)として
買う。好物なのだ。そんな売店には戦闘服姿のサラリーマンが大挙
して押しかけている。その手には既に仕事の武器は無く、駅弁と、
ビールと、つまみと、スポーツ新聞の夕刊が。

往路は仕事の一部だけど復路は戦闘服姿とはいえ仕事は無い(人が
殆どだろう)。彼らは無事に、自分の闘いを終えたのだ。ある人は
勝ちどきを挙げながら、またある人はヤケ酒して、この日の闘いを
終えて家路につくのだ。戦闘員のオジサンはみんな疲れているんだ。
戦士にも休息は必要、乾杯ーーーっ!

…そういう不思議な開放感が、この時間のKioskと帰りの新幹線の
車内にはある。

かく言う自分も、まあ硬い事言わず缶ビールの一本や二本飲んでも
いいじゃん、と思う。実際復路車内で出張報告書でなくこの文章を
モバギで書いてるくらいだし<ばき


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だが、闘いを終えた戦士達に酒が入り、メートルが上がってくる
(=死語)と話しは別。通路を挟んで反対側にいるオヤヂ三人衆が
すっかり宴会モードになって酔っ払っていやがる。これがたまに
デカイ声で笑ってうるさい。あーっ、まったくオヤヂどもはコレ
だからっ!(-"-)
                  ↑  ↑  ↑
     そういう自分だってさっきaiko似の店員としゃべって
     喜んでた中年男のくせになぁ(苦笑)

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日常で圧縮されることに慣れてる爆縮戦士達は、開放感あふれる
新幹線で旅すると外に向かって膨張モードになってしまうようだ。
いつもが圧縮率が高いだけに急に開放されると抑制されずに暴発
してしまうのだろうか?ガード下の飲み屋街で繰り広げるような
「高圧ガス抜き」をあろうことか車内で…(-◇-;)

うーん、こいつらを、このまま朝の通勤電車に放り込んで「圧縮」
したらどうなるだろう?大人しくなって静かになるのかな?いや、
圧力に耐えかねて「パンク」して・・・吐くだろうな(苦笑)

 

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2004.05.18

爆縮戦隊!サラリーマン!

かく言う自分もサラリーマンだが、昨日、実に半年振りくらいに
ネクタイを締めた。

研究所&現場勤めであるため、私服で出勤し、職場で作業服に
着替えるのが日常なのプレスされ折り目の付いたズボンと、襟の
硬いワイシャツ、存在意義不明なネクタイと、機能性に乏しい背広に
全く縁が無い。なによりも本人がそういう窮屈な服を極力着たくない。

だが、郊外の研究所勤めでも、数ヶ月に一度は本社や客先への
打ち合わせが発生する。髪型からしても、いかにも中学生っぽい
ルックスな自分は(プロフィールに画像をUP済)誰が見てもスーツを
着てもあまり似合わない。だから東京の本社に行く場合などは、
他の出張と組み合わせたりすることで今まで何度も私服のまま
本社に乗り込んでいる(笑)

だが昨日は諸般の事情でそういう我侭を通せない場所に行く必要が
有り、泣く泣く、前夜にスーツを引っ張り出し、ワイシャツとズボンに
アイロンを当てた。そういえばサラリーマンと化して13年、実はその間、
一着もスーツを買った事が無い。ネクタイを必要とする服は葬式が
あった時に必要に迫られ喪服を買っただけだ

今、自分が持っているスーツは、大学生時代に就職活動用にコナカで
買ったチョー安物。中学生のブレザーのような、いかにも典型的な
紺色のリクルートスーツ(秋冬用)が一着と、少し薄い生地の春夏用が
色違いで二着。この三着だけで着回しに一度も困った事がない(^^;)

なにせ、一週間連続でスーツを着たのは、入社式から新入社員研修が
終わる間だけ。その後、始まったのは技術者研修、それはもう、スーツ
ではなく作業服だった。一ヶ月間の地方現場実習を含む約5ヶ月の
研修が終わり、決まった配属先は就職活動時の面接の頃から希望して
いた今いる郊外の工場に隣接した研究所だった。

ここも研修時代同様に私服で通って、作業服で仕事するのが日常スタイル
だったので、スーツを着る機会は本社出張や客先訪問などの限られた
シチュエーションだけだ。

そんなスーツ嫌いの男が、それを着て息苦しいネクタイを締めて、
履き慣れぬ革靴を履き、一般サラリーマンが一日で使う体力の大半を
消耗するという、朝の通勤電車に乗った。郊外から、電車を三本乗り継ぎ
都心を目指す途中で久々に殺人的通勤ラッシュに遭遇した。

都心に近づくたびに、電車を乗り継ぐたびに、段々車内に人が増えてゆく。
ネクタイのせいだけはなく、明らかに暑苦しく息苦しい車内の不快指数は
右肩上がりで、一向に上げ止る傾向にない。額を流れる汗を拭うハンカチ
すら使えなくなってゆく。3本目の東海道本線に横浜駅から乗った時には、
車内は人間を乗せるモノではなく、肉轢き機に肉を押し出すための
プレス機に掛かっているような状態になっていた。

それなのに、途中の駅に止まるたびに、内圧でドアすら開かないような
殺人的状況の車内にさらなる圧力を加えながら人が乗り込んでくる!
信じられん。

そんな時にふと気付いた。これは長崎型プルトニウム原子爆弾と同じだ、と。

その起爆装置は爆縮という方法を取るのだ。これは核分裂物質である
プルトニウムの周囲に爆薬を配し、それに同時に点火することで、
ある一点(つまり中心)に向かって周囲から均一に圧縮することで、
プルトニウムを核分裂臨界状態に持ってゆく、というモノだ。

これを、周辺都市から都心へ出勤する人の流れと置き換えてみると、
人の密度の薄い郊外から都心に向けて同時に移動させ濃度を高めて行き
人同士の間隔は徐々に狭まり、そして押すな押すなのラッシュ状態になり、
それをそのまま続けたら、何処かのある一点、つまり「臨界」に達したら、
プルトニウムがプルトニウムでいられなくなって、核分裂連鎖反応を
起こすように、人は人でなくなってしまうのではないか?

それはもしかしたら本当は強大なエネルギーを内包しながらも
日々の生活に抑圧され続けながら苦悩しつつ生きる現代人の魂が、
真の解放を迎える瞬間ではないのか・・・・・

多摩川を越えて肉体に掛かる圧力がピークを迎えていた頃に、身動き
一つ取れぬ圧迫感と暑苦しさと早起きした眠気によって薄れてゆく
意識の下で漠然とそんな事を考えた。
だが東海道本線が品川に着いた途端、車内の「人圧」は急速に低下。
山手線に乗り換える人がそちらに流れたのだ。た、助かった…(-◇-;)

幸か不幸か(笑)、車内は自分が想像した「臨界点」には達しなかった。
だが、もし山手線がなかったら、逆に品川や新橋で更なる「人圧」の
上昇が続いたら、もしかしたら有楽町を越えて東京に到着するまでに
スーツで武装しサラリーマンという姿を保っている人々も、その
圧倒的な爆縮エネルギーによって「臨界」に達してサラリーマンは
サラリーマンではいられなくなって、人としてさえもいられなくなって
「爆発」するのではないだろうか?

以前又聞きした情報だと、こういったラッシュにより人間がパニック
状態に陥るのは1平方メートルに11人以上の人が密集している
状態だという。厳密に測定したわけではないが、朝の通勤電車は
この条件を十分満たしているような気がする。
つまり「臨界」寸前の「いつ爆発(崩壊)するかわからない」危険な
状態なのだ。

だがスーツを着てサラリーマンに変身した人達が人としての限界を
超えた「超人」として、「爆発」することなく、額から汗が流れても
身動き一つせずに黙って耐えているんだ。

無事に列車から排出された時には前夜のアイロンの甲斐もなく
ヨレヨレになった安物のスーツと未熟な心構えで戦場に挑んだ
自分から見れば日々こんなにも圧縮されながらも爆発せず、
いや、出来ずにいられる世間の都心に生きるサラリーマンは
つくづく尊敬に値すると思う。

生き甲斐を無くし、これからを一人で生きるその意義をまだ見つけ
られずにいる自分にとって家族のためでなく、自分のためだけ、
食うためだけに、こんな思いをしてまで通勤するのは・・
たまのスポット参戦は出来ても毎日は勘弁してほしいな、
精神を病んでしまいそうだ(^^;)

あー、俺は郊外勤め&作業服勤務でよかったよ、マジでね。
 

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